畜生ちくしやう)” の例文
その畜生ちくしやうおとされるとは、なにかの因縁いんえんちがひございません。それは石橋いしばしすこさきに、なが端綱はづないたままみちばたの青芒あをすすきつてりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
嬢様ぢやうさま勘違かんちがひさつしやるな、これはお前様まへさまではないぞ、なんでもはじめから其処そこ御坊様おばうさまをつけたつけよ、畜生ちくしやう俗縁ぞくえんがあるだツぺいわさ。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誠にしづまりかへつて兵士へいしばかりでは無い馬までもしづかにしなければいかないとまうところが、馬は畜生ちくしやうの事で誠に心ない物でございますから、じれつたがり
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
はふ道理だうり無茶苦茶むちやくちや犬畜生いぬちくしやうのやうなこゝろであらう、此樣このやうないたづらの畜生ちくしやうをば、御存ごぞんじのこととててんにもにもいかのやうに可愛かあいがつてくだすつて
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
忘れ盜人ぬすびとに同意爲す爰な畜生ちくしやうめと云聲聞て勝手に働き居りし若い者又は九助が家附いへつきの親類小前のともがら十二三人襷懸たすきがけにて面々飛出し彌々いよ/\大騷ぎとなりし故藤八は兩手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畜生ちくしやう! け! さツさとけ!』とかれ玄關迄げんくわんまで駈出かけだして、泣聲なきごゑげて怒鳴どなる。『畜生ちくしやう!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いよ/\忌々いま/\しくて仕樣しやうがないので、またばかりつゞけた。矢張やはなんごたへもない。もううなつてると此方こつち意地いぢだ。畜生ちくしやう、いつまでゝもめるものかと根氣こんきよくきつゞけた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
あゝわかつた/\、畜生ちくしやううまくやつてるな、此前このまへあのへん沈沒ちんぼつしたトルコまる船幽靈ふないうれいめが、まだうかれないで難破船なんぱせん眞似まねなんかしてこのふね暗礁あんせうへでも僞引寄おびきよせやうとかゝつてるんだな、どつこい
あだかたきうらみそねみの畜生ちくしやう桜花さくら見てありとわれに驚く
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
私達わたしたちのことを、ほんとに、畜生ちくしやうもないもんだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
やはらかにかなしき畜生ちくしやう
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
畜生ちくしやう、)といつたがうまないわ。びく/\とうごめいてえるおほき鼻面はなツつら此方こちらけてしきり私等わしらはう様子やうす
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わしが見てねえでは歯骨はつこつなにわかるまい。金「ナニ知つてるよ、ちやんと心得こゝろえてるんだ、彼方あつちけ、かねえとなぐけるぞ、かねえか畜生ちくしやう。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
畜生ちくしやうひとしと云己等如き恩もなさけも知らぬいぬおとりし者はわすれしやも知れず某しはもと相摸さがみの國御殿場ごてんば村の百姓條七がなれのはてなり抑其方は勘當かんだううけし身にて一宿しゆくとまる家さへなきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
た々々! 諸君しよくん目出めでたう、院長閣下ゐんちやうかくか我々われ/\訪問はうもんせられた! 畜生ちくしやうめ!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しまつたりと退きて畜生ちくしやうめとはまことみつけのことばなり、ものなればおもからぬかさしらゆき往來ゆきかひおほくはあらぬ片側町かたかはまちうすぐらきに悄然しよんぼりとせし提燈ちやうちんかげかぜにまたゝくも心細こゝろぼそげなる一輛いちりやうくるまあり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
畜生ちくしやう。あいつは遊んでゐやがる。」
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わかいものがかへると、はなしをして、畜生ちくしやう智慧ちゑわらはずが、あにはからんや、ベソをいた。もち一切ひときれもなかつたのである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしたんだねえ、まアなんだね。梅「うしたつて、フン/\あのまつ畜生ちくしやうめ……。女房「まつさんがうしたんだえ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
畜生ちくしやう! やい毆殺ぶちころしてしまへ! ころしてもるものか、便所べんじよにでも敲込たゝきこめ!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まこと畜生ちくしやうくまなれや不義ふぎくもりしむねつき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぐにこたへて、坂上さかがみのまゝ立留たちどまつて、振向ふりむいた……ひやりとかたからすくみながら、矢庭やにはえるいぬに、(畜生ちくしやう、)とて擬勢ぎせいしめ意氣組いきぐみである。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
穏坊をんばう畜生ちくしやう此方こつち這入はいつやアがるときかねえぞ、無闇むやみ這入へいりやアがるとオンボウいて押付おつつけるぞ。と悪体あくたいをつきながら穏坊をんばうそでした掻潜かいくゞつてスーツと駈出かけだしてきました。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
……馴染なじみなるすゞめばかりでけた。金魚きんぎよつた小兒こどものやうに、しかゝつて、しやがんでると、げたぞ! 畜生ちくしやうたゞ一匹いつぴきも、かげかたちもなかつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あにきもねえもんだ、あにきたぬき)の腹鼓はらつゞみが聞いてあきれるとぬかしやアがるから、やい畜生ちくしやう手前てめえ懶惰者なまけもんでべん/\と遊んでゐるから、何処どこ奉公ほうこうつたつて置いてくれる者もないから
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
畜生ちくしやうひと女房にようばううばつた畜生ちくしやう魔物まもの義理ぎりはあるまいが、約束やくそくたがへてむか、……なんつて約束やくそくした——をんな彫像てうざうこしらへろ、形代かたしろつてい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ヘエ……そんなにめておんなさるな、畜生ちくしやううへくらゐなどもらひましたから、果報焼くわはうやけで、此様こん塩梅あんばい身体からだが悪くなつて、牛のくらゐだふれとは此事このことで、毎日々々黒胡麻くろごまばかりはせられて
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれども、次第しだい畜生ちくしやう横領わうりやうふるつて、よひうちからちよろりとさらふ、すなどあとからめてく……る/\手網であみ網代あじろうへで、こし周囲まはりから引奪ひつたくる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、不斷ふだんだと、魑魅ちみ光明くわうみやうで、電燈でんとうぱつけて、畜生ちくしやうつぶてにして追拂おひはらふのだけれど、あかり覺束おぼつかなさは、天井てんじやうからいきけると吹消ふつけされさうである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふうちに、とびかゝつて、三疋四疋さんびきしひき就中なかんづく先頭せんとうつたのには、停車場ていしやばぢかると、五疋ごひきばかり、前後ぜんごからびかゝつた。しつしつしつ! 畜生ちくしやう畜生ちくしやう畜生ちくしやう
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
口惜くやしい、畜生ちくしやうめ、けだものめ、ト始終しじうさうおもつて、五ねんも八ねんたなければ、真個ほんとうわかることではない、おぼえられることではないんださうで、おなくんなすつた
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
や、其時そのときびく足代あじろおつこちて、どろうへ俯向うつむけだね。其奴そいつが、へい、あしやしてぬま駆込かけこまぬがつけものだで、畜生ちくしやうめ、今夜こんやめをつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとせつけがましく此方こつちい/\、みぎのちよつかいをつてたが、畜生ちくしやう不意ふいたれたらしい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
⦅あゝ、奥様おくさまわたくしけだものになりたうございます。あいら、みんな畜生ちくしやうで、このさるめが夥間なかまでござりましやう。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
親仁おやぢ其時そのとき物語ものがたつて、御坊ごばうは、孤家ひとつや周囲ぐるりで、さるたらう、ひきたらう、蝙蝠かうもりたであらう、うさぎへびみんな嬢様ぢやうさま谷川たにがはみづびせられて、畜生ちくしやうにされたるやから
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ステツキるやいなや、畜生ちくしやうつて、まど飛下とびおりると、うだらう、たゝきもひしぎもしないうちに、へびが、ぱツと寸々ずた/\れてとをあまりにけて、蜿々うね/\つてうごめいた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
畜生ちくしやうめ、そしてへんなものをあらふとおもつた。てめえ、そりや間男まをとこおに腹卷はらまきぢやねえかい。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いけ可煩うるせ畜生ちくしやうぢやねえか、畜生ちくしやう!」と、怒鳴どなつて、かさはらつてむつくりと半身はんしん起上おきあがつて、かしてるとなにらぬ。くせ四邊あたりにかくれるほどな、びたくさかげもなかつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したに、火箸ひばしさきつゝいた、きずがポツツリえる、トたしかおぼえてわすれぬ、瓜井戸うりゐど宿しゆくはづれで、飯屋めしや縁側えんがはしたから畜生ちくしやうを、煙管きせる雁首がんくびでくらはしたのが、ちやうおなひだりした
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よつてしからぬ二人連ふたりづれを、畜生ちくしやう蝦蟆賣がまうりめ、とふ。たゞし蝦蟆がま赤蛙あかがへるなり。蝦蟆がまや、蝦蟆がんまい。——そのあとから山男やまをとこのやうな小父をぢさんが、やなぎむしらんかあ、やなぎむしらんかあ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
畜生ちくしやう畜生ちくしやう——と口惜くやしさうにわめ調子てうしが、立派りつぱ同一おなじ先祖せんぞらしい、おたがひの。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝへけつけるのに人數ひとかずおそらくなからう、「あなたをつけてね、のすらりとした容子ようすのいゝ、人柄ひとがらかたえたら大急おほいそぎでわたしてください。」畜生ちくしやうおごらせてやれ——をんなくち赤帽君あかばうくん
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやう鹽梅あんばいに、貴下あなたがおひなさいましたやうな、大勢おほぜい御婦人ごふじんづれでも來合きあはせてくださればうございますけれどもねえ……でないと……畜生ちくしやう……だの——阿魔あま——だのツて……なんですか
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
引手ひきて馬方うまかたもない畜生ちくしやうが、あの大地震おほぢしんにもちゞまない、ながつらして、のそり/\と、大八車だいはちぐるまのしたゝかなやつを、たそがれのへい片暗夜かたやみに、ひともなげにいてしてる。重荷おもにづけとはこのことだ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
所帶しよたい苦勞くらうまで饒舌しやべりやがる、畜生ちくしやうめ。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いけ可煩うるせ畜生ちくしやうぢやねえか、畜生ちくしやう!」
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いたはしいナ、畜生ちくしやう。」
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
畜生ちくしやうあま畜生ちくしやう——
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
畜生ちくしやうめ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)