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一杯
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いつぱい
ふりがな文庫
“
一杯
(
いつぱい
)” の例文
日
(
ひ
)
一杯
(
いつぱい
)
……
無事
(
ぶじ
)
に
直江津
(
なほえつ
)
へ
上陸
(
じやうりく
)
したが、
時間
(
じかん
)
によつて
汽車
(
きしや
)
は
長野
(
ながの
)
で
留
(
と
)
まつた。
扇屋
(
あふぎや
)
だつたか、
藤屋
(
ふぢや
)
だつたか、
土地
(
とち
)
も
星
(
ほし
)
も
暗
(
くら
)
かつた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夕日
(
ゆふひ
)
は低く惱ましく、わかれの光悲しげに、
河岸
(
かし
)
を
左右
(
さいう
)
のセエヌ
川
(
がは
)
、
川
(
かは
)
一杯
(
いつぱい
)
を
抱
(
だ
)
きしめて、
咽
(
むせ
)
んで
搖
(
そゝ
)
る
漣
(
さゞなみ
)
に熱い
動悸
(
どうき
)
を見せてゐる。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
少
(
すこ
)
し
時間
(
じかん
)
が
遲
(
おく
)
れたので、
寄席
(
よせ
)
は
一杯
(
いつぱい
)
であつた。
二人
(
ふたり
)
は
坐蒲團
(
ざぶとん
)
を
敷
(
し
)
く
餘地
(
よち
)
もない
一番
(
いちばん
)
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
に、
立膝
(
たてひざ
)
をする
樣
(
やう
)
に
割
(
わ
)
り
込
(
こ
)
まして
貰
(
もら
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一杯
(
いつぱい
)
に
青
(
あを
)
く
茂
(
しげ
)
つた
桑畑
(
くはばたけ
)
抔
(
など
)
に
白
(
しろ
)
い
大
(
おほ
)
きな
菅笠
(
すげがさ
)
と
赤
(
あか
)
い
帶
(
おび
)
との
後姿
(
うしろすがた
)
が、
殊
(
こと
)
には
空
(
そら
)
から
投
(
な
)
げる
強
(
つよ
)
い
日光
(
につくわう
)
に
反映
(
はんえい
)
して
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
い
帶
(
おび
)
が
燃
(
も
)
えるやうに
見
(
み
)
えたり
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
は
魯
(
おろ
)
か
犬
(
いぬ
)
が
子
(
こ
)
を
産
(
う
)
んだとては
一句
(
いつく
)
を
作
(
つく
)
り
猫
(
ねこ
)
が
肴
(
さかな
)
を
窃
(
ぬす
)
んだとては
一杯
(
いつぱい
)
を
飲
(
の
)
み
何
(
なに
)
かにつけて
途方
(
とはう
)
もなく
嬉
(
うれ
)
しがる事おかめが
甘酒
(
あまざけ
)
に
酔
(
ゑ
)
ふと
仝
(
おな
)
じ。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
▼ もっと見る
そこで、その小説が活字になる。作家は原稿料を貰ふ。どうかすると、僕をよんで、
一杯
(
いつぱい
)
やらうと云ふやうな事になる。
創作
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
成程
(
なるほど
)
、
一日
(
いちにち
)
の苦
闘
(
とう
)
に
疲
(
つか
)
れて
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
ツて來る、
其處
(
そこ
)
には
笑顏
(
ゑがほ
)
で
迎
(
むか
)
へる
妻子
(
さいし
)
がある、
終日
(
しうじつ
)
の
辛勞
(
しんらう
)
は
一杯
(
いつぱい
)
の
酒
(
さけ
)
の
爲
(
ため
)
に、
陶然
(
たうぜん
)
として
酔
(
え
)
ツて、
全
(
すべ
)
て人生の
痛苦
(
つうく
)
を
忘
(
わす
)
れて了ふ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
『イヤ
如何
(
どう
)
も
愚論
(
ぐろん
)
ばかりで
恥
(
はづ
)
かしう
御座
(
ござ
)
います、
然
(
しか
)
しあれでも
私
(
わたくし
)
の
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
なのです。』
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
、
往復
(
わうふく
)
の
分
(
ぶん
)
と、
中二日
(
なかふつか
)
、
何處
(
どこ
)
かで
一杯
(
いつぱい
)
飮
(
の
)
めるだけ。……
宿
(
やど
)
は
何
(
ど
)
うせ
矢太
(
やた
)
さんの
高等御下宿
(
かうとうおんげしゆく
)
にお
世話樣
(
せわさま
)
に
成
(
な
)
るんでせう。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
夫
(
それ
)
は
問題
(
もんだい
)
だ。
何
(
なに
)
しろ
此年
(
ことし
)
一杯
(
いつぱい
)
に
極
(
き
)
まれば
好
(
い
)
い
事
(
こと
)
だから、まあよく
考
(
かんが
)
へるさ。おれも
考
(
かんが
)
へて
置
(
お
)
かう」と
宗助
(
そうすけ
)
が
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
また書く上ばかりでなく、書くまでの段取を火鉢にあたりながら漫然と考へてゐるには
今頃
(
いまごろ
)
が一番いいやうだ。新年号の諸雑誌の原稿は
大抵
(
たいてい
)
十一月
一杯
(
いつぱい
)
または十二月のはじめへかかる。
一番気乗のする時
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
森
(
もり
)
一杯
(
いつぱい
)
に
鳴
(
な
)
り
響
(
ひゞ
)
いて
上
(
うへ
)
へ/\と
恐
(
おそ
)
ろしく
人々
(
ひと/″\
)
の
心
(
こゝろ
)
を
誘導
(
そゝ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
寢臺
(
ねだい
)
に
一杯
(
いつぱい
)
漲
(
みなぎ
)
れよ、さるほどに小生も
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
以前
(
いぜん
)
の
少年
(
せうねん
)
も
手傳
(
てつだ
)
つて、これから
包
(
つゝみ
)
を
解
(
と
)
いて、
人參
(
にんじん
)
を
卓子
(
テエブル
)
一杯
(
いつぱい
)
に
積上
(
つみあ
)
げる。
異香
(
いかう
)
室内
(
しつない
)
に
滿
(
み
)
つ——で、
尊
(
たふと
)
さが
思遣
(
おもひや
)
られる。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日當
(
ひあた
)
りの
惡
(
わる
)
い
上
(
うへ
)
に、
樋
(
とひ
)
から
雨滴
(
あまだれ
)
ばかり
落
(
お
)
ちるので、
夏
(
なつ
)
になると
秋海棠
(
しうかいだう
)
が
一杯
(
いつぱい
)
生
(
は
)
える。
其
(
その
)
盛
(
さか
)
りな
頃
(
ころ
)
は
青
(
あを
)
い
葉
(
は
)
が
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
つて、
殆
(
ほと
)
んど
通
(
とほ
)
り
路
(
みち
)
がなくなる
位
(
くらゐ
)
茂
(
しげ
)
つて
來
(
く
)
る。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
臘
(
らふ
)
に
白粉
(
おしろい
)
した、
殆
(
ほとん
)
ど
血
(
ち
)
の
色
(
いろ
)
のない
顔
(
かほ
)
を
真向
(
まむき
)
に、ぱつちりとした
二重瞼
(
ふたへまぶた
)
の
黒目勝
(
くろめがち
)
なのを
一杯
(
いつぱい
)
に
睜
(
みひら
)
いて、
瞬
(
またゝき
)
もしないまで。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼方
(
あちら
)
の
角
(
かど
)
だから、遠く三四郎と
真向
(
まむかひ
)
になる。
折襟
(
をりえり
)
に、
幅
(
はゞ
)
の広い
黒繻子
(
くろしゆす
)
を
結
(
むす
)
んだ
先
(
さき
)
がぱつと
開
(
ひら
)
いて胸
一杯
(
いつぱい
)
になつてゐる。与次郎が、仏蘭西の
画工
(
アーチスト
)
は、みんなあゝ云ふ
襟飾
(
えりかざり
)
を
着
(
つ
)
けるものだと教へて呉れた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
給金
(
きふきん
)
をのこらず
夜具
(
やぐ
)
にかける、
敷
(
し
)
くのが
二枚
(
にまい
)
、
上
(
うへ
)
へかけるのが
三枚
(
さんまい
)
といふ
贅澤
(
ぜいたく
)
で、
下階
(
した
)
の
六疊
(
ろくでふ
)
一杯
(
いつぱい
)
に
成
(
な
)
つて、はゞかりへ
行
(
ゆ
)
きかへり
足
(
あし
)
の
踏所
(
ふみど
)
がない。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこン
処
(
とこ
)
は
梅林
(
ばいりん
)
で
上
(
うへ
)
の
山
(
やま
)
が
桜
(
さくら
)
の
名所
(
めいしよ
)
で、
其
(
その
)
下
(
した
)
に
桃谷
(
もゝたに
)
といふのがあつて、
谷間
(
たにあひ
)
の
小流
(
こながれ
)
には、
菖浦
(
あやめ
)
、
燕子花
(
かきつばた
)
が
一杯
(
いつぱい
)
咲
(
さ
)
く。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
... ふいと
見
(
み
)
ますと、
障子
(
しやうじ
)
の
硝子
(
がらす
)
一杯
(
いつぱい
)
ほどの
猫
(
ねこ
)
の
顏
(
かほ
)
が、」と、
身
(
み
)
ぶるひして、「
顏
(
かほ
)
ばかりの
猫
(
ねこ
)
が、
李
(
すもゝ
)
の
葉
(
は
)
の
眞暗
(
まつくら
)
な
中
(
なか
)
から——
其
(
そ
)
の
大
(
おほ
)
きさと
言
(
い
)
つたらありません。 ...
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一杯
(
いつぱい
)
の
日當
(
ひあたり
)
で、いきなり
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
へ
白木
(
しらき
)
の
卓子
(
テエブル
)
を一
脚
(
きやく
)
据
(
す
)
ゑた、
其
(
その
)
上
(
うへ
)
には
大土瓶
(
おほどびん
)
が一
個
(
こ
)
、
茶呑茶碗
(
ちやのみぢやわん
)
が
七個
(
なゝつ
)
八個
(
やつ
)
。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一通
(
ひとゝほり
)
の
声
(
こゑ
)
ではない、さつきから
口
(
くち
)
が
利
(
き
)
けないで、あのふくれた
腹
(
はら
)
に
一杯
(
いつぱい
)
固
(
かた
)
くなるほど
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
み/\して
置
(
お
)
いた
声
(
こゑ
)
を、
紙鉄砲
(
かみでつぱう
)
ぶつやうにはぢきだしたものらしい。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
さ
)
うしますと、
坊
(
ばう
)
さんが、
蒼黄色
(
あをきいろ
)
に、
鼠色
(
ねずみいろ
)
の
身體
(
からだ
)
を
搖
(
ゆす
)
つて、
唾
(
つば
)
を
一杯
(
いつぱい
)
溜
(
た
)
めたやうな、ねば/\とした
聲
(
こゑ
)
で
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見物
(
けんぶつ
)
は
山
(
やま
)
も
町
(
まち
)
も
一杯
(
いつぱい
)
さ。けれども、
何
(
なん
)
の
機掛
(
きつかけ
)
もなしに、てくり/\だから、
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
て
變
(
へん
)
な
氣
(
き
)
がした。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
忽
(
たちま
)
ち
心着
(
こゝろづ
)
くと、
同
(
おな
)
じ
處
(
ところ
)
ばかりではない。
縁側
(
えんがは
)
から、
町
(
まち
)
の
幅
(
はゞ
)
一杯
(
いつぱい
)
に、
青
(
あを
)
い
紗
(
しや
)
に、
眞紅
(
しんく
)
、
赤
(
あか
)
、
薄樺
(
うすかば
)
の
絣
(
かすり
)
を
透
(
す
)
かしたやうに、
一面
(
いちめん
)
に
飛
(
と
)
んで、
飛
(
と
)
びつゝ、すら/\と
伸
(
の
)
して
行
(
ゆ
)
く。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「おまけにお
前
(
まへ
)
、
小屋
(
こや
)
一杯
(
いつぱい
)
、
蘭麝
(
らんじや
)
の
香
(
かをり
)
が
芬
(
ぷん
)
とする。
其
(
そ
)
の
美
(
うつく
)
しい
事
(
こと
)
と
云
(
い
)
つたら、
不啻毛嬙飛燕
(
まうしやうひえんもたゞならず
)
。」
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
内證
(
ないしよう
)
でその
道
(
みち
)
の
達者
(
たつしや
)
にたゞすと、
曰
(
いは
)
く、
鍋
(
なべ
)
で
一杯
(
いつぱい
)
やるくらゐの
餘裕
(
よゆう
)
があれば、
土手
(
どて
)
を
大門
(
おほもん
)
とやらへ
引返
(
ひきかへ
)
す。
第一
(
だいいち
)
歸
(
かへ
)
りはしない、と
言
(
い
)
つた。
格言
(
かくげん
)
ださうである。
皆
(
みな
)
若
(
わか
)
かつた。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゝつたな——
裏川岸
(
うらがし
)
の
土藏
(
どざう
)
の
腰
(
こし
)
にくつ
付
(
つ
)
いて、しよんぼりと
立
(
た
)
つたつけ。
晩方
(
ばんがた
)
ぢやああつたが、あたりがもう/\として、
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
も、ぼつと
暗
(
くら
)
い。
折
(
をり
)
から
一杯
(
いつぱい
)
の
上汐
(
あげしほ
)
さ。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
意氣込
(
いきご
)
んで
話
(
はなし
)
をすると——
道理
(
だうり
)
こそ……
三光社
(
さんくわうしや
)
の
境内
(
けいだい
)
は
大變
(
たいへん
)
な
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
で、
雨
(
あめ
)
の
水溜
(
みづたまり
)
のある
處
(
ところ
)
へ、
飛
(
と
)
びながらすい/\と
下
(
お
)
りるのが
一杯
(
いつぱい
)
で、
上
(
うへ
)
を
乘越
(
のりこ
)
しさうで
成
(
な
)
らなかつた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
呆
(
あき
)
れたやうに
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けると、
卍
(
まんじ
)
を
頬張
(
ほゝば
)
つたらしい、
上顎
(
うはあご
)
一杯
(
いつぱい
)
、
眞黒
(
まつくろ
)
に
見
(
み
)
えたさうです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
たゞし
人目
(
ひとめ
)
がある。
大道
(
だいだう
)
へ
持出
(
もちだ
)
して、
一杯
(
いつぱい
)
でもあるまいから、
土間
(
どま
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
框
(
かまち
)
に
堆
(
うづたか
)
く
崩
(
くづ
)
れつんだ
壁土
(
かべつち
)
の
中
(
なか
)
に、あれを
見
(
み
)
よ、
蕈
(
きのこ
)
の
生
(
は
)
えたやうな
瓶
(
びん
)
から、
逃腰
(
にげごし
)
で、
茶碗
(
ちやわん
)
で
呷
(
あふ
)
つた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
緋鯉
(
ひごひ
)
は
立派
(
りつぱ
)
だから
大將
(
たいしやう
)
だらうが、
鮒
(
ふな
)
は
雜兵
(
ざふひやう
)
でも
數
(
かず
)
が
多
(
おほ
)
いよ……
潟
(
かた
)
一杯
(
いつぱい
)
なんだもの。」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
心
(
こゝろ
)
利
(
き
)
いて、すばやい
春葉
(
しゆんえふ
)
だから、「
水
(
みづ
)
だ、
水
(
みづ
)
だ。」と、もう
臺所
(
だいどころ
)
で
呼
(
よ
)
ぶのが
聞
(
きこ
)
えて、
私
(
わたし
)
が
驅
(
かけ
)
おりるのと、
入違
(
いれちが
)
ひに、
狹
(
せま
)
い
階子段
(
はしごだん
)
一杯
(
いつぱい
)
の
大丸
(
おほまる
)
まげの
肥滿
(
ふと
)
つたのと、どうすれ
合
(
あ
)
つたか
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「いや、
盛
(
さかん
)
だな。」と、
缺
(
か
)
け
火鉢
(
ひばち
)
を、
鐵火
(
てつくわ
)
にお
召
(
めし
)
の
股
(
また
)
へ
挾
(
はさ
)
んで、
手
(
て
)
をかざしながら
莞爾
(
につこり
)
して、「
後藤君
(
ごとうくん
)
、お
樂
(
らく
)
に——
皆
(
みな
)
も
飮
(
の
)
みなよ、
俺
(
おれ
)
も
割
(
わり
)
で
一杯
(
いつぱい
)
やらう。」
殿樣
(
とのさま
)
が
中間部屋
(
ちうげんべや
)
の
趣
(
おもむき
)
がある。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
茶
(
ちや
)
の
鳥打
(
とりうち
)
をずぼりと
深
(
ふか
)
く、
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
を
上
(
うへ
)
から
押込
(
おしこ
)
んだ
體
(
てい
)
に
被
(
かぶ
)
つたのでさへ、
見上
(
みあ
)
げるばかり
脊
(
せ
)
が
高
(
たか
)
い。
茶羅紗
(
ちやらしや
)
霜降
(
しもふり
)
の
大外套
(
おほぐわいたう
)
を、
風
(
かぜ
)
に
向
(
むか
)
つた
蓑
(
みの
)
よりも
擴
(
ひろ
)
く
裾
(
すそ
)
一杯
(
いつぱい
)
に
着
(
き
)
て、
赤革
(
あかゞは
)
の
靴
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あくる
朝
(
あさ
)
、
命
(
いのち
)
の
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
まうとすると、
釣瓶
(
つるべ
)
に
一杯
(
いつぱい
)
、
汚
(
きたな
)
い
獸
(
けもの
)
の
毛
(
け
)
が
浮
(
う
)
いて
上
(
あが
)
る……
三毛猫
(
みけねこ
)
の
死骸
(
しがい
)
が
投込
(
なげこ
)
んであつた。その
斷
(
ことわ
)
られたものの
口惜
(
くやし
)
まぎれの
惡戲
(
いたづら
)
だらうと
言
(
い
)
ふのである。——
朝
(
あさ
)
の
事
(
こと
)
で。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鯊
(
はぜ
)
を
見着
(
みつ
)
けたが、
買
(
か
)
はうと
思
(
おも
)
ふと、いつもは
小清潔
(
こぎれい
)
な
店
(
みせ
)
なんだのに、
其
(
そ
)
の
硝子蓋
(
がらすぶた
)
の
中
(
なか
)
は、と
見
(
み
)
るとギヨツとした。
眞黒
(
まつくろ
)
に
煮
(
に
)
られた
鯊
(
はぜ
)
の、
化
(
ば
)
けて
頭
(
あたま
)
の
飛
(
と
)
ぶやうな、
一杯
(
いつぱい
)
に
跳上
(
はねあが
)
り
飛𢌞
(
とびまは
)
る
蠅
(
はへ
)
であつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
旦那
(
だんな
)
お
相乘
(
あひのり
)
參
(
まゐ
)
りませう、と
折
(
をり
)
よく
來懸
(
きかゝ
)
つた
二人乘
(
ににんのり
)
に
這
(
は
)
ふやうにして
二人
(
ふたり
)
乘込
(
のりこ
)
み、
淺草
(
あさくさ
)
まで
急
(
いそ
)
いでくんな。
安
(
やす
)
い
料理屋
(
れうりや
)
で
縁起
(
えんぎ
)
直
(
なほ
)
しに
一杯
(
いつぱい
)
飮
(
の
)
む。
此處
(
こゝ
)
で
電燈
(
でんとう
)
がついて
夕飯
(
ゆふめし
)
を
認
(
したゝ
)
め、やゝ
人心地
(
ひとごこち
)
になる。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
餘
(
あま
)
り
眞面目
(
まじめ
)
だから
笑
(
わら
)
ひもならない。「まあ、
落着
(
おちつ
)
きたまへ。——
景氣
(
けいき
)
づけに
一杯
(
いつぱい
)
。」「いゝえ、
歸
(
かへ
)
ります。——
成程
(
なるほど
)
、
猫
(
ねこ
)
は
屋根
(
やね
)
づたひをして、
窓
(
まど
)
を
覗
(
のぞ
)
かないものとは
限
(
かぎ
)
りません。——
分
(
わか
)
りました。 ...
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
成程
(
なるほど
)
、
空
(
す
)
きに
空
(
す
)
いた
上
(
うへ
)
にも、
寝起
(
ねおき
)
にこんな
自由
(
じいう
)
なのは
珍
(
めづ
)
らしいと
思
(
おも
)
つた。
席
(
せき
)
を
片側
(
かたがは
)
へ十五ぐらゐ
一杯
(
いつぱい
)
に
劃
(
しき
)
つた、たゞ
両側
(
りやうがは
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
居
(
ゐ
)
ながらだと
楽々
(
らく/\
)
と
肘
(
ひぢ
)
が
掛
(
か
)
けられる。
脇息
(
けふそく
)
と
言
(
い
)
ふ
態
(
さま
)
がある。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いづれも
二十代
(
はたちだい
)
の
事
(
こと
)
だから、
湯
(
ゆ
)
どうふで
腹
(
はら
)
はくちく
成
(
な
)
らぬ。
餅
(
もち
)
の
大切
(
おほぎれ
)
なだるま
汁粉
(
じるこ
)
、それも
一
(
いち
)
ぜん、おかはりなし。……
然
(
しか
)
らざれば、かけ
一杯
(
いつぱい
)
で、
蕎麥湯
(
そばゆ
)
をだぶ/\とお
代
(
かは
)
りをするのださうであつた。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
杯
常用漢字
中学
部首:⽊
8画
“一杯”で始まる語句
一杯機嫌