“いつぱい”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イツパイ
語句割合
一杯50.9%
充滿16.4%
一盃9.1%
充満9.1%
充溢3.6%
一坏1.8%
一拜1.8%
一輩1.8%
一面1.8%
充分1.8%
全幅1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夕日ゆふひは低く惱ましく、わかれの光悲しげに、河岸かし左右さいうのセエヌがはかは一杯いつぱいきしめて、むせんでそゝさゞなみに熱い動悸どうきを見せてゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「うゝん、だれだからない。手桶てをけなか充滿いつぱいになつて、のたくつてるから、それだから、げると不可いけないからふたをしたんだ。」
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『今日はどうかしてゐる。この男は東三省と日本が攻守同盟でも結んだつもりなのだ。一盃いつぱいやつてふだんの通りになつてはどうだね、陶』
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
貢さんは何時いつも聞く阿母さんの話だけれど、今日はつめたい沼の水のそこの底で聞かされた様な気がして、小供心に頼り無い沈んだ悲哀かなしみ充満いつぱいに成つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
胸は感謝の情に充溢いつぱいになつてゐて、それで、口は余り利けなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一坏いつぱいの土あさましく頑石叢棘ぐわんせきさうきよくもとに神隠れさせ玉ひて、飛鳥ひてうを遺し麋鹿びろくあとを印する他には誰一人問ひまゐらするものもなき、かゝる辺土の山間やまあひに物さびしく眠らせらるゝ御いたはしさ。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一拜いつぱいよろしい」と會釋ゑしやくがあつた。宗助そうすけはあとをりやくしてなかはひつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今朝けさ梅林ばいりん金色夜叉こんじきやしやうめる、富山唯繼とやまたゞつぐ一輩いつぱい人物じんぶつあるのみ。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おまへが初めて町の安床に行つた時……と又眼が憎さげに顫へる……がらがらと駆けて通つた囚人馬車がまるでおまへの頭を轢きつぶして鏡一面いつぱいに黄色く光つて行つた時
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昼間の光に薄黄色い火の線と白い陶器せとものの笠とが充分いつぱいにダラリと延ばした紐の下で、畳とすれすれにブランコのやうに部屋中揺れ廻つて居る、地震かしらと思ふ内に赤坊あかんぼが裸で匍ひ出して来た
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
全幅いつぱいの薬種屋式の硝子戸棚には曇つた山葵わさび色の紙が張つてあつて、其中ほどの柱に阿蘭陀渡の古い掛時計が、まだ正確に、その扉の絵の、眼の青い、そして胸の白い女の横顔のうへに
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)