“いっぱい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一杯44.7%
充満27.7%
一盃11.7%
充溢2.1%
一拝2.1%
一艘1.1%
充分1.1%
一抔1.1%
一排1.1%
一椀1.1%
一盞1.1%
充滿1.1%
十分1.1%
満樹1.1%
満腹1.1%
滿腔1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
六本のはしで根気好く今の通りの順序にして攪廻かきまわしていると最初は底の方に少しばかりあった白身が泡立ってえて湯呑一杯いっぱいになります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
するとまたそのおんなが、や、どッこいしょ、と掛声して、澄まして、ぬっと入って、ふわりと裾埃すそごみで前へ出て、正面充満いっぱいに陣取ったろう。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
細君の心を尽した晩餐ばんさんぜんには、まぐろの新鮮な刺身に、青紫蘇あおじその薬味を添えた冷豆腐ひややっこ、それを味う余裕もないが、一盃いっぱいは一盃とさかずきを重ねた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
富「あゝ痛い、つねってはいけない、そういう……又充溢いっぱいになってしまった……いけないねえ……だが、お隅さん、本当に御疑念はお晴らしください、富五郎迷惑至極だてねえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一拝いっぱいよろしい」と云う会釈えしゃくがあった。宗助はあとを略して中へ入った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こんな小さなうちだって、これはたとえば、電気のぼたんだ。ひねる、押すか、一たび指が動けば、横浜、神戸から大船が一艘いっぱい、波を切って煙をくんだ。喝!
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あいかわらず、このていだ、といううちにも、一昨々年さきおととしまでは、台湾に一艘いっぱい帆を揚げていたんだよ。ところが土地の大有力者が、妻に横恋慕をしたと思いたまえ。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分も同じように振舞いたいと思って手の届くところにえている虎杖すかんぽを力充分いっぱいに抜いて、子供たちのするように青い柔かい茎をんでも見た。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
暗緑のしめっぽい木立を抜けるとカラリと晴れた日を充分いっぱいに受けて、そこはまばらに結った竹垣たけがきもいつか倒れてはいたが垣の外は打ち立てたようながけ
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
やがて頭巾を取ると総髪そうはつ撫付なでつけで、額には斯う疵がある、色黒くせい高く、これからこれ一抔いっぱいひげが生えているたくましい顔色がんしょくは、紛れもない水司又市でございますから、親の敵とすぐ討掛うちかかろうと思ったが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
万障ばんしょう一排いっぱいして二月二十七日を都落みやこおちの日と定め、其前日二十六日に、彼等夫婦は若い娘を二人連れ、草箒くさぼうき雑巾ぞうきんとバケツを持って、東京から掃除そうじに往った。案外道が遠かったので、娘等は大分弱った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
磯は更に一椀いっぱいけながら「おれは今日半食おやつを食わないのだ」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
丈「此方こっちでも聞きてえ事もあるから、有合物ありあいもの一盞いっぱいやろう」
そのまなこでなうて、そんな鬪爭けんくわまなこ何處どこにあらう? 足下おぬしあたまには鷄卵たまご黄蛋きみ充實つまってゐるやうに、鬪爭けんくわ充滿いっぱいぢゃ、しかも度々たび/″\打撲どやされたので、少許ちっと腐爛氣味くされぎみぢゃわい。
などとわめく。赫燿かくやくたる大蟹を篝火かがりびは分ったが、七分八分は値段ではない、の多少で、一貫はすなわち十分いっぱいの意味だそうである。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
窓より見晴らす初夏の空あおあおと浅黄繻子あさぎじゅすなんどのように光りつ。見る目清々すがすがしき緑葉あおばのそこここに、卵白色たまごいろの栗の花ふさふさと満樹いっぱいに咲きて、えがけるごとく空のみどりに映りたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
『いや、大変御馳走さまでした。もう満腹いっぱいなんです。愉快なお話が何よりの御馳走ですからね。』
今日けふうれしい、かたじけないとおもこゝろわしおなじに滿腔いっぱいなら、しかもそれをあらはちからわしよりもおほいなら、今日けふ出會であひ二人ふたりかんずるこのゆめのやうなうれしさを、ゆかしい天樂てんがくのやうなそもじこゑ