一艘いっぱい)” の例文
こんな小さなうちだって、これはたとえば、電気のぼたんだ。ひねる、押すか、一たび指が動けば、横浜、神戸から大船が一艘いっぱい、波を切って煙をくんだ。喝!
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あいかわらず、このていだ、といううちにも、一昨々年さきおととしまでは、台湾に一艘いっぱい帆を揚げていたんだよ。ところが土地の大有力者が、妻に横恋慕をしたと思いたまえ。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、何の、これでは済まさない、一つ風並かざなみが直りさえすれば、大連だいれんか、上海シャンハイか、香港ホンコン新嘉坡シンガポールあたりへ大船で一艘いっぱい、積出すつもりだ、と五十を越したろう、間淵が言います。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)