充滿いつぱい)” の例文
新字:充満
自體彼の頭腦の中にはくさツたガスのやうな氣が充滿いつぱいになツてゐて、頭がはなは不透明ふとうめいになツてゐる、彼はく其れを知ツてゐるから
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「うゝん、だれだからない。手桶てをけなか充滿いつぱいになつて、のたくつてるから、それだから、げると不可いけないからふたをしたんだ。」
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
日出雄ひでをさん、あんまりやるとそんじますよ。』と氣遣きづかひがほわたくしさへ、その生臭なまくさにく口中こうちう充滿いつぱい頬張ほうばつてつたのである。
さて展覽會てんらんくわい當日たうじつおそらく全校ぜんかう數百すうひやく生徒中せいとちゆうもつとむねとゞろかして、展覽室てんらんしつつたもの自分じぶんであらう。※畫室づぐわしつすで生徒せいとおよ生徒せいと父兄姉妹ふけいしまい充滿いつぱいになつてる。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
狹苦しい門口かどぐちは以上の借金取りで、充滿いつぱいになつて居るといふ騷ぎ。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
勿論もちろん素跣足すはだしで、小脇こわきかくしたものをそのまゝつてたが、れば、目笊めざるなか充滿いつぱいながらんだいちごであつた。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
少し間のびた顏をしてゐる者があツたら、突倒つきたふす、踏踣ふみのめす、噛付かみつく、かツぱらふ、うなる、わめく、慘たんたる惡戰あくせんだ。だからあせあかとが到處いたるところ充滿いつぱいになツてゐて、東京には塵埃ごみが多い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ともさん。)といまおつしやつてくださいました、御聲おこゑが、御新姐樣ごしんぞさまそつくりで、——友造ともざうむね充滿いつぱいりました。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
下水げすゐからは下水の水があふれてゐる、芥箱には芥が充滿いつぱいになつている。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
迷兒まひごかなしさが充滿いつぱいなので、そんなことにはがつきやしないんだらう、巡査じゆんさにすかされて、いちやあ母樣おつかさんてくれないのとばかりおもんだので
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
よくも、あのみづんだとおもふ。一釣瓶ひとつるべごとにえのきのこぼれたやうなあか毛蟲けむし充滿いつぱい汲上くみあげた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)