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炎
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ほのほ
ふりがな文庫
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炎
(
ほのほ
)” の例文
火
(
ひ
)
を
見
(
み
)
るな、
火
(
ひ
)
を
見
(
み
)
るな、で、
私
(
わたし
)
たちは、すぐ
其
(
そ
)
の
傍
(
わき
)
の
四角
(
よつかど
)
に
彳
(
たゝず
)
んで、
突通
(
つきとほ
)
しに
天
(
てん
)
を
浸
(
ひた
)
す
炎
(
ほのほ
)
の
波
(
なみ
)
に、
人心地
(
ひとごこち
)
もなく
醉
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かなり疲れて、ゆき子は、幾度も砂地に立ちどまつて溜息をついた。息苦しく、全身がかつかつと
炎
(
ほのほ
)
を噴いてゐるやうだつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
この死骸も
炎
(
ほのほ
)
に焼かれた顔は目鼻もわからぬほどまつ黒だつた。が、
湯帷子
(
ゆかた
)
を着た体や
痩
(
や
)
せ細つた手足などには少しも焼け
爛
(
ただ
)
れた
痕
(
あと
)
はなかつた。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もち
前
(
まへ
)
の
疳癪
(
かんしやく
)
したる
堪
(
た
)
えがたく、
智識
(
ちしき
)
の
坊
(
ぼう
)
さまが
目
(
め
)
に
御覽
(
ごらん
)
じたらば、
炎
(
ほのほ
)
につゝまれて
身
(
み
)
は
黒烟
(
くろけふ
)
りに
心
(
こゝろ
)
は
狂亂
(
きやうらん
)
の
折
(
をり
)
ふし、
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
もいふ
事
(
こと
)
、
金
(
かね
)
は
敵藥
(
てきやく
)
ぞかし
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
否、其前逢つた時既に、と思ひ
出
(
だ
)
した。代助は
二人
(
ふたり
)
の過去を順次に
溯
(
さかの
)
ぼつて見て、いづれの
断面
(
だんめん
)
にも、
二人
(
ふたり
)
の間に
燃
(
もえ
)
る愛の
炎
(
ほのほ
)
を見出さない事はなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ロミオ
信仰
(
しんかう
)
の
堅
(
かた
)
い
此
(
この
)
眼
(
まなこ
)
に、
假
(
かり
)
にも
其樣
(
そのやう
)
な
不信心
(
ふしんじん
)
が
起
(
おこ
)
るならば、
涙
(
なみだ
)
は
炎
(
ほのほ
)
とも
變
(
かは
)
りをれ!
何度
(
なんど
)
溺
(
おぼ
)
れても
死
(
し
)
にをらぬ
此
(
この
)
明透
(
すきとほ
)
る
異端
(
げだう
)
め、
譃
(
うそ
)
を
言
(
い
)
うた
科
(
とが
)
で
火刑
(
ひあぶり
)
にせられをれ!
何
(
なん
)
ぢゃ
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ば
懸
(
かけ
)
たりける
折節
(
をりふし
)
山風
烈
(
はげし
)
くして
炎
(
ほのほ
)
は所々へ
燃移
(
もえうつ
)
れば三十一人の小賊共スハ
大變
(
たいへん
)
なりと
慌騷
(
あわてさわ
)
ぐも
毒
(
どく
)
酒に五體の
利
(
きか
)
ざれば
憐
(
あは
)
れむべし
一人
(
ひとり
)
も殘らず
燒燗
(
やけたゞれ
)
て
死亡
(
しばう
)
に及ぶを
強惡
(
がうあく
)
の三人は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それが朝夕出入をして居る儀平とこの
親父
(
とつさあ
)
の仕業であつたと聞いた時は、驚きも怪みも一つになつて心頭から
憤
(
いきどほり
)
が
炎
(
ほのほ
)
のやうにもえたつた。
先刻
(
さつき
)
もお巡査さんの前に散々本人をきめつけた。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
柴
(
しば
)
はまた
音
(
おと
)
して
爆
(
は
)
ぜぬ、
燃
(
も
)
えあがる
炎
(
ほのほ
)
のわかさ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
うちに靈獸
潜
(
ひそ
)
みゐて青き
炎
(
ほのほ
)
を
牙
(
き
)
に
齒
(
か
)
めば
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
炎
(
ほのほ
)
のころも、
纏
(
まと
)
ひたる
地
(
つち
)
の
熟睡
(
うまい
)
の
静心
(
しづごころ
)
。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鶴は鳴く雲の
炎
(
ほのほ
)
に身を絞り
天の狼
(新字旧仮名)
/
富沢赤黄男
(著)
いつかは
炎
(
ほのほ
)
さかりに
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
炎
(
ほのほ
)
は
燃
(
も
)
ゆる
日輪
(
にちりん
)
の
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
岩
(
いは
)
を
削
(
けづ
)
つて
點滴
(
したゝ
)
る
水
(
みづ
)
は、
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
階子
(
ばしご
)
に、
垂々
(
たら/\
)
と
雫
(
しづく
)
して、
立
(
た
)
ちながら
氷柱
(
つらゝ
)
に
成
(
な
)
らむ、と
冷
(
ひやゝ
)
かさの
身
(
み
)
に
染
(
し
)
むのみ。
何處
(
どこ
)
に
家
(
いへ
)
を
燒
(
や
)
く
炎
(
ほのほ
)
があらう。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ともすれば燃え出でゝ押へ難き
炎
(
ほのほ
)
に身をも燒くめり、お近が願ひは不二の嶺の上もなく立のぼれるに、身は夢の望に交れる如く、我れ同列の人々より見れば
花ごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかし五銭出しさへすれば、何区でも勝手に
行
(
ゆ
)
かれるのである。けれども屋根のある浮き桟橋は——震災は勿論この浮き桟橋も
炎
(
ほのほ
)
にして空へ立ち
昇
(
のぼ
)
らせたのであらう。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平和
(
へいわ
)
を
亂
(
みだ
)
す
暴人
(
ばうじん
)
ども、
同胞
(
どうばう
)
の
血
(
ち
)
を
以
(
もっ
)
て
刃金
(
はがね
)
を
穢
(
けが
)
す
不埓奴
(
ふらちやつ
)
……
聽
(
き
)
きをらぬな?……やア/\、
汝等
(
おのれら
)
、
邪
(
よこし
)
まなる
嗔恚
(
しんに
)
の
炎
(
ほのほ
)
を
己
(
おの
)
が
血管
(
けっくわん
)
より
流
(
なが
)
れ
出
(
いづ
)
る
紫
(
むらさき
)
の
泉
(
いづみ
)
を
以
(
もっ
)
て
消
(
け
)
さうと
試
(
こゝろ
)
むる
獸類
(
けだもの
)
ども
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
など、汝は
否
(
いな
)
む。これやわが深みの
炎
(
ほのほ
)
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
炎
(
ほのほ
)
のころも
纏
(
まと
)
ひたる
地
(
つち
)
の
熟睡
(
うまい
)
の
靜心
(
しづごゝろ
)
。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
炎
(
ほのほ
)
に
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
黒雲
(
くろくも
)
を
捲
(
ま
)
いて、
飛
(
と
)
んで
行
(
ゆ
)
き、
電
(
いなづま
)
のやうに、
鐵
(
てつ
)
の
門
(
もん
)
、
石
(
いし
)
の
唐戸
(
からと
)
にも、
遮
(
さへぎ
)
らせず、
眞赤
(
まつか
)
な
胸
(
むね
)
の
炎
(
ほのほ
)
で
包
(
つゝ
)
んで、
弱
(
よわ
)
い
婦
(
をんな
)
に
逢
(
あ
)
ひました。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
封
(
ふう
)
じ
目
(
め
)
ときて
取出
(
とりいだ
)
せば
一尋
(
ひとひろ
)
あまりに
筆
(
ふで
)
のあやもなく、
有難
(
ありがた
)
き
事
(
こと
)
の
數々
(
かず/\
)
、
辱
(
かたじけ
)
なき
事
(
こと
)
の
山々
(
やま/\
)
、
思
(
おも
)
ふ、
戀
(
した
)
ふ、
忘
(
わす
)
れがたし、
血
(
ち
)
の
涙
(
なみだ
)
、
胸
(
むね
)
の
炎
(
ほのほ
)
、
此等
(
これら
)
の
文字
(
もじ
)
を
縱横
(
じゆうわう
)
に
散
(
ち
)
らして
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
軽快な
蹄
(
ひづめ
)
の音、花々しい槍の
閃
(
ひらめ
)
き、それから毒竜の
炎
(
ほのほ
)
の
中
(
うち
)
に、
毿々
(
さん/\
)
と
靡
(
なび
)
いた
兜
(
かぶと
)
の乱れ毛、……
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今こそ
蝋
(
ろふ
)
は
琺瑯
(
はうろう
)
に
炎
(
ほのほ
)
のころもひき
纏
(
まと
)
ひ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
裸
(
はだか
)
で
飛込
(
とびこ
)
んだ、
侍方
(
さむらひがた
)
、
船
(
ふね
)
に
寄
(
よ
)
りは
寄
(
よ
)
つたれども、
燃
(
も
)
え
立
(
た
)
つ
炎
(
ほのほ
)
で
手
(
て
)
が
出
(
だ
)
せぬ。
漸
(
やつ
)
との
思
(
おも
)
ひで
船
(
ふね
)
を
引
(
ひつ
)
くら
返
(
かへ
)
した
時分
(
じぶん
)
には、
緋鯉
(
ひごひ
)
のやうに
沈
(
しづ
)
んだげな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
櫻町
(
さくらまち
)
が
殿
(
との
)
の
面影
(
おもかげ
)
も
今
(
いま
)
は
飽
(
あ
)
くまで
胸
(
むね
)
に
浮
(
うか
)
べん、
我
(
わ
)
が
良人
(
をつと
)
が
所爲
(
しよゐ
)
のをさなきも
強
(
しひ
)
て
隱
(
かく
)
さじ、
百八
(
ひやくはち
)
煩惱
(
ぼんなう
)
自
(
おのづ
)
から
消
(
き
)
えばこそ、
殊更
(
ことさら
)
に
何
(
なに
)
かは
消
(
け
)
さん、
血
(
ち
)
も
沸
(
わ
)
かば
沸
(
わ
)
け
炎
(
ほのほ
)
も
燃
(
も
)
えばもえよとて
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
風に
靡
(
なび
)
いたマツチの
炎
(
ほのほ
)
ほど
無気味
(
ぶきみ
)
にも美しい青いろはない。
都会で
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鉛のごとき
鹹水
(
しほみづ
)
は
炎
(
ほのほ
)
と燃えて
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
双
(
さう
)
の
玉
(
たま
)
の
乳房
(
ちぶさ
)
にも、
糸一条
(
いとひとすぢ
)
の
綾
(
あや
)
も
残
(
のこ
)
さず、
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
いだ
)
くや、
此
(
こ
)
の
彫刻家
(
てうこくか
)
の
半身
(
はんしん
)
は、
霞
(
かすみ
)
のまゝに
山椿
(
やまつばき
)
の
炎
(
ほのほ
)
が
𤏋
(
ぱつ
)
と
搦
(
から
)
んだ
風情
(
ふぜい
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
噫
(
あゝ
)
、かなし、
炎
(
ほのほ
)
よ、
慾
(
よく
)
よ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
艫
(
とも
)
の
鷺
(
さぎ
)
の
炎
(
ほのほ
)
は
消
(
き
)
えて、
船
(
ふね
)
の
板
(
いた
)
は、ばらりと
開
(
ひら
)
いた。
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ、
幅広
(
はゞひろ
)
い
煙
(
けむり
)
を
立
(
た
)
てゝ、
地獄
(
ぢごく
)
の
空
(
そら
)
に
消
(
き
)
えて
行
(
ゆ
)
く、
黒
(
くろ
)
い
帆
(
ほ
)
のやう、——
女
(
をんな
)
の
像
(
ざう
)
は
影
(
かげ
)
も
失
(
う
)
せた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
視よ、持つは
炎
(
ほのほ
)
か、
華
(
はな
)
か
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
天井
(
てんじやう
)
へ
崩
(
くづ
)
れて、
底
(
そこ
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
な
板
(
いた
)
には、ちら/\と
火
(
ひ
)
の
粉
(
こ
)
がからんで、ぱち/\と
煤
(
すゝ
)
を
燒
(
や
)
く、
炎
(
ほのほ
)
で
舐
(
な
)
める、と
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
た。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
炎
(
ほのほ
)
しろく
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
尾
(
を
)
と
頭
(
あたま
)
を
以
(
も
)
つて
撃
(
う
)
つた
炎
(
ほのほ
)
の
大蛇
(
おろち
)
は、
黒蛇
(
くろへび
)
に
變
(
へん
)
じて
剩
(
あまつさ
)
へ
胴中
(
どうなか
)
を
蜿
(
うね
)
らして
家々
(
いへ/\
)
を
卷
(
ま
)
きはじめたのである。それから
更
(
さら
)
に
燃
(
も
)
え
續
(
つゞ
)
け、
焚
(
や
)
け
擴
(
ひろ
)
がりつゝ
舐
(
な
)
め
近
(
ちか
)
づく。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
上段
(
じやうだん
)
づきの
大廣間
(
おほひろま
)
、
正面
(
しやうめん
)
一段
(
いちだん
)
高
(
たか
)
い
處
(
ところ
)
に、
疊
(
たゝみ
)
二疊
(
にでふ
)
もあらうと
思
(
おも
)
ふ、
恰
(
あたか
)
も
炎
(
ほのほ
)
の
池
(
いけ
)
の
如
(
ごと
)
き
眞鍮
(
しんちう
)
の
大火鉢
(
おほひばち
)
、
炭火
(
たんくわ
)
の
烈々
(
れつ/\
)
としたのを
前
(
まへ
)
に
控
(
ひか
)
へて、
唯
(
たゞ
)
見
(
み
)
る
一個
(
いつこ
)
の
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
間近
(
まぢか
)
な
火
(
ひ
)
は
樹
(
き
)
に
隱
(
かく
)
れ、
棟
(
むね
)
に
伏
(
ふせ
)
つて、
却
(
かへ
)
つて、
斜
(
なゝめ
)
の
空
(
そら
)
はるかに、
一柱
(
いつちう
)
の
炎
(
ほのほ
)
が
火
(
ひ
)
を
捲
(
ま
)
いて
眞直
(
まつすぐ
)
に
立
(
た
)
つた。
續
(
つゞ
)
いて、
地軸
(
ちぢく
)
も
碎
(
くだ
)
くるかと
思
(
おも
)
ふ
凄
(
すさま
)
じい
爆音
(
ばくおん
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
月
(
つき
)
のはじめに
秋
(
あき
)
立
(
た
)
てば、あさ
朝顏
(
あさがほ
)
の
露
(
つゆ
)
はあれど、
濡
(
ぬ
)
るゝともなき
薄煙
(
うすけむり
)
、
軒
(
のき
)
を
繞
(
めぐ
)
るも
旱
(
ひでり
)
の
影
(
かげ
)
、
炎
(
ほのほ
)
の
山
(
やま
)
黒
(
くろ
)
く
聳
(
そび
)
えて、
頓
(
やが
)
て
暑
(
あつ
)
さに
崩
(
くづ
)
るゝにも、
熱砂
(
ねつさ
)
漲
(
みなぎ
)
つて
大路
(
おほぢ
)
を
走
(
はし
)
る。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
半天
(
はんてん
)
を
蔽
(
おほ
)
うた
忌
(
いま
)
はしき
魔鳥
(
まてう
)
の
翼
(
つばさ
)
に
似
(
に
)
て、
燒殘
(
やけのこ
)
る
炎
(
ほのほ
)
の
頭
(
かしら
)
は、その
血
(
ち
)
のしたゝる
七
(
なゝ
)
つの
首
(
くび
)
のやうであつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
悲慘
(
ひさん
)
なのもあれば、
船
(
ふね
)
に
逃
(
のが
)
れた
御殿女中
(
ごてんぢよちう
)
が、
三十幾人
(
さんじふいくにん
)
、
帆柱
(
ほばしら
)
の
尖
(
さき
)
から
焚
(
や
)
けて、
振袖
(
ふりそで
)
も
褄
(
つま
)
も、
炎
(
ほのほ
)
とともに
三百石積
(
さんびやくこくづみ
)
を
駈
(
か
)
けまはりながら、
水
(
みづ
)
に
紅
(
あか
)
く
散
(
ち
)
つたと
言
(
い
)
ふ
凄慘
(
せいさん
)
なのもある。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
漆
(
うるし
)
の
中
(
なか
)
に
眼
(
まなこ
)
の
輝
(
かゞや
)
く、
顏面
(
がんめん
)
凡
(
すべ
)
て
髯
(
ひげ
)
なるが、
兩腿
(
りやうもゝ
)
出
(
だ
)
した
毛
(
け
)
むくぢやら、
蝟
(
はりせんぼん
)
の
大胡坐
(
おほあぐら
)
で、
蒋生
(
しやうせい
)
をくわつと
睨
(
にら
)
む、と
黒髯
(
くろひげ
)
赤
(
あか
)
く
炎
(
ほのほ
)
に
照
(
て
)
らして、「
何奴
(
どいつ
)
だ。」と
怒鳴
(
どな
)
るのが、ぐわんと
響
(
ひゞ
)
いた。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
嘘
(
うそ
)
か
眞
(
まこと
)
か、
本所
(
ほんじよ
)
の、あの
被服廠
(
ひふくしやう
)
では、つむじ
風
(
かぜ
)
の
火
(
ひ
)
の
裡
(
なか
)
に、
荷車
(
にぐるま
)
を
曳
(
ひ
)
いた
馬
(
うま
)
が、
車
(
くるま
)
ながら
炎
(
ほのほ
)
となつて、
空
(
そら
)
をきり/\と
𢌞
(
まは
)
つたと
聞
(
き
)
けば、あゝ、その
馬
(
うま
)
の
幽靈
(
いうれい
)
が、
車
(
くるま
)
の
亡魂
(
ばうこん
)
とともに
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
瞳
(
ひとみ
)
は
水晶
(
すゐしやう
)
を
張
(
は
)
つたやうで、
薄煙
(
うすけむり
)
の
室
(
しつ
)
を
透
(
とほ
)
して
透通
(
すきとほ
)
るばかり、
月
(
つき
)
も
射添
(
さしそ
)
ふ、と
思
(
おも
)
ふと、
紫
(
むらさき
)
も、
萌黄
(
もえぎ
)
も、
袖
(
そで
)
の
色
(
いろ
)
が
𤏋
(
ぱつ
)
と
冴
(
さ
)
えて、
姿
(
すがた
)
の
其處此處
(
そここゝ
)
、
燃立
(
もえた
)
つ
緋
(
ひ
)
は、
炎
(
ほのほ
)
の
亂
(
みだ
)
るゝやうであつた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
長蟲
(
ながむし
)
は
苦悶
(
くもん
)
に
堪
(
た
)
へず
蜒轉𢌞
(
のたうちまは
)
り、
遁
(
のが
)
れ
出
(
い
)
でんと
吐
(
は
)
き
出
(
いだ
)
す
纖舌
(
せんぜつ
)
炎
(
ほのほ
)
より
紅
(
あか
)
く、
笊
(
ざる
)
の
目
(
め
)
より
突出
(
つきいだ
)
す
頭
(
かしら
)
を
握
(
にぎ
)
り
持
(
も
)
ちてぐツと
引
(
ひ
)
けば、
脊骨
(
せぼね
)
は
頭
(
かしら
)
に
附
(
つ
)
きたるまゝ、
外
(
そと
)
へ
拔出
(
ぬけい
)
づるを
棄
(
す
)
てて、
屍
(
しかばね
)
傍
(
かたへ
)
に
堆
(
うづたか
)
く
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
犬
(
いぬ
)
どもの、
耳
(
みゝ
)
には
火
(
ひ
)
を
立
(
た
)
て、
牙
(
きば
)
には
火
(
ひ
)
を
齒
(
は
)
み、
焔
(
ほのほ
)
を
吹
(
ふ
)
き、
黒煙
(
くろけむり
)
を
尾
(
を
)
に
倦
(
ま
)
いて、
車
(
くるま
)
とも
言
(
い
)
はず、
人
(
ひと
)
とも
言
(
い
)
はず、
炎
(
ほのほ
)
に
搦
(
から
)
んで、
躍上
(
をどりあが
)
り、
飛蒐
(
とびかゝ
)
り、
狂立
(
くるひた
)
つて
地獄
(
ぢごく
)
の
形相
(
ぎやうさう
)
を
顯
(
あらは
)
したであらう
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
欄干
(
らんかん
)
に
胸
(
むね
)
を
壓
(
おさ
)
へて、
故郷
(
ふるさと
)
の
空
(
そら
)
とも
分
(
わ
)
かぬ、
遙
(
はる
)
かな
山
(
やま
)
の
頂
(
いたゞき
)
が
細
(
ほそ
)
い
煙
(
けむり
)
を
噴
(
は
)
くのを
見
(
み
)
れば、あれが
身
(
み
)
を
焚
(
や
)
く
炎
(
ほのほ
)
かと
思
(
おも
)
ひ、
石
(
いし
)
の
柱
(
はしら
)
に
背
(
せ
)
を
凭
(
もた
)
れて、
利鎌
(
とがま
)
の
月
(
つき
)
を
見
(
み
)
る
時
(
とき
)
は、それも
身
(
み
)
を
斬
(
き
)
る
刃
(
やいば
)
かと
思
(
おも
)
つたんです。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“炎”の解説
炎(ほのお)は、火の中でも、気体が燃焼するときに見られる穂のような、光と熱を発している部分を指す。語源は火の穂(ほのほ)から由来していると言われている。
(出典:Wikipedia)
炎
常用漢字
中学
部首:⽕
8画
“炎”を含む語句
陽炎
火炎
炎焔
炎上
章太炎
炎々
余炎
炎熱
炎暑
焔炎
炎火
炎天
肺炎
肋膜炎
脳膜炎
盲腸炎
炎燄
餘炎
肥厚性鼻炎
炎日
...