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顏面
おや/\と
思ひながら、
又ツヽくと、
鼻の
孔さへ二ツ
開いた。
正しく
土偶の
顏面なのであつた。(第壹圖ロ參照)
漆の
中に
眼の
輝く、
顏面凡て
髯なるが、
兩腿出した
毛むくぢやら、
蝟の
大胡坐で、
蒋生をくわつと
睨む、と
黒髯赤く
炎に
照らして、「
何奴だ。」と
怒鳴るのが、ぐわんと
響いた。
「さうでござんすね」
勘次はぐつたりと
俛首れて
言辭の
尻が
聞きとれぬ
程であつた。
深い
憂が
顏面の
皺に
強く
刻んだ。