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崩
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くづ
ふりがな文庫
“
崩
(
くづ
)” の例文
震災で
崩
(
くづ
)
れなかつた山門を見たとき、これは崩れる山門ぢやない——そんなやうな気さへされて、建長興国の思ひにとざゝれました。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
四谷
(
よつや
)
の
通
(
とほ
)
りへ
食料
(
しよくれう
)
を
探
(
さが
)
しに
出
(
で
)
て、
煮染屋
(
にしめや
)
を
見
(
み
)
つけて、
崩
(
くづ
)
れた
瓦
(
かはら
)
、
壁泥
(
かべどろ
)
の
堆
(
うづたか
)
いのを
踏
(
ふ
)
んで
飛込
(
とびこ
)
んだが、
心
(
こゝろ
)
あての
昆布
(
こぶ
)
の
佃煮
(
つくだに
)
は
影
(
かげ
)
もない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さうして
愛情
(
あいじやう
)
の
結果
(
けつくわ
)
が、
貧
(
ひん
)
のために
打
(
う
)
ち
崩
(
くづ
)
されて、
永
(
なが
)
く
手
(
て
)
の
裡
(
うち
)
に
捕
(
とら
)
へる
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
なくなつたのを
殘念
(
ざんねん
)
がつた。
御米
(
およね
)
はひたすら
泣
(
な
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
定
(
さだ
)
めてあの
張作霖
(
ちやうさくりん
)
がそんな
風
(
ふう
)
に
相好
(
さうかう
)
を
崩
(
くづ
)
してのけぞり
返
(
かへ
)
つただらうと
思
(
おも
)
ふと、その
昔
(
むかし
)
馬賊
(
ばぞく
)
の
荒武者
(
あらむしや
)
だつたといふ
人
(
ひと
)
のよさも
想像
(
さうざう
)
されて
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
屋敷の裏で、
崩
(
くづ
)
れた石垣に打たれて死んでゐるのを、今朝往來の人が見付けた。
鍬
(
くは
)
なんかを捨ててあつたところを見ると、石垣を
銭形平次捕物控:153 荒神箒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
それが
年月
(
としつき
)
を
經
(
へ
)
るに
從
(
したが
)
つて
石
(
いし
)
が
崩
(
くづ
)
れたり、その
中
(
なか
)
に
木
(
き
)
の
種
(
たね
)
が
落
(
お
)
ちて
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
したりして、
塚
(
つか
)
の
上
(
うへ
)
に
樹木
(
じゆもく
)
が
茂
(
しげ
)
つて
來
(
き
)
たのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
下部
(
しもべ
)
らもこのおとにみなはせよりて、
崩
(
くづ
)
れおちたる雪にまみれたる人を見れば、此家へも常にきたる福一といふ
按摩
(
あんま
)
とりの
小座頭
(
こざとう
)
也けり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
昔
(
むかし
)
のまゝ
練壁
(
ねりかべ
)
は
處々
(
ところ/″\
)
崩
(
くづ
)
れ
落
(
お
)
ちて、
瓦
(
かはら
)
も
完全
(
くわんぜん
)
なのは
見當
(
みあたら
)
ぬ
位
(
くらゐ
)
それに
葛蔓
(
かづら
)
が
這
(
は
)
い
上
(
のぼ
)
つて
居
(
ゐ
)
ますから、
一見
(
いつけん
)
廢寺
(
ふるでら
)
の
壁
(
かべ
)
を
見
(
み
)
るやうです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
晩餐
(
ばんさん
)
が
畢
(
をは
)
ると
踊子
(
をどりこ
)
を
誘
(
さそ
)
ふ
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
おと
)
が
漸
(
やうや
)
く
沈
(
しづ
)
み
掛
(
か
)
けた
夜氣
(
やき
)
を
騷
(
さわ
)
がして
聞
(
きこ
)
え
始
(
はじ
)
めた。
檐
(
のき
)
に
立
(
た
)
つた
蚊柱
(
かばしら
)
が
崩
(
くづ
)
れて
軈
(
やが
)
て
座敷
(
ざしき
)
を
襲
(
おそ
)
うた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
然
(
しか
)
るに
私
(
わたくし
)
の
苦心
(
くしん
)
は
全
(
まつた
)
く
無益
(
むえき
)
であつた。
第一端艇
(
だいいちたんてい
)
の
波上
(
はじやう
)
に
浮
(
うか
)
ぶや
否
(
い
)
なや、
忽
(
たちま
)
ち
數百
(
すうひやく
)
の
人
(
ひと
)
は、
雪崩
(
なだれ
)
の
如
(
ごと
)
く
其處
(
そこ
)
へ
崩
(
くづ
)
れかゝつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かくても貫一は
膝
(
ひざ
)
を
崩
(
くづ
)
さで、
巻莨入
(
まきたばこいれ
)
を
取出
(
とりいだ
)
せしが、
生憎
(
あやにく
)
一本の莨もあらざりければ、手を鳴さんとするを、満枝は
先
(
さきん
)
じて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
山
(
やま
)
を
切
(
き
)
り
崩
(
くづ
)
して、それに
引添
(
ひきそ
)
ふやうに
建
(
た
)
てられたこの
家
(
いへ
)
の二
階
(
かい
)
からは、
丁度
(
ちやうど
)
迫
(
せま
)
らぬ
程度
(
ていど
)
にその
斜面
(
しやめん
)
と
空
(
そら
)
の一
部
(
ぶ
)
とが、
仰臥
(
ぎやうぐわ
)
してゐる
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
に
入
(
はい
)
つて
來
(
く
)
る。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
この現象は、いろいろな意味にとられるが、根本的には、純小説をしつかり
支
(
ささ
)
へてゐた個人主義、ないしは個人性が、それだけ
崩
(
くづ
)
れてきたのだとみられる。
百万人のそして唯一人の文学
(新字旧仮名)
/
青野季吉
(著)
誰れ見ねども膝も
崩
(
くづ
)
さず、時々鬢のほつれに
小波
(
さゞなみ
)
を打たせて、吐く息の深げなるに、哀れは
此處
(
こゝ
)
にも漏れずと見ゆ。主は
誰
(
た
)
ぞ、是れぞ
中宮
(
ちゆうぐう
)
が曹司横笛なる。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
宿入
(
やどいり
)
に出すが如き
仕成
(
しなし
)
にて名代に
遣
(
つか
)
はしけるに彼の仲間の若者は萬八の
崩
(
くづ
)
れより
向島
(
むかうじま
)
の花見と云ひなしその
實
(
じつ
)
花街
(
よしはら
)
の櫻の景氣を見んと言ひ立ち伊勢五の養子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
創立以来勤続三十年といふ漢文の老教師は、癖になつてゐる鉄縁の老眼鏡を
気忙
(
きぜは
)
しく耳に
挟
(
はさ
)
んだり
外
(
はづ
)
したりし
乍
(
なが
)
ら、
相好
(
さうがう
)
を
崩
(
くづ
)
した笑顔で
愛弟子
(
まなでし
)
の成功を自慢した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「酒には苦労しますぜ。かういふ時世になると何ぞボロイ
儲
(
まう
)
けでもせなんだら酒のために落ちぶれまんな。第一にナリが
崩
(
くづ
)
れますぜ。この通り、
乞食
(
こじき
)
みたいに……」
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
隣り座敷では
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
がいよ/\
劇
(
はげ
)
しくなつて、
濁聲
(
だみごゑ
)
で
唄
(
うた
)
ふ男の聲も聞えた。唄ひ終ると、男も女も
哄
(
どつ
)
と一時に笑ひ
囃
(
はや
)
すのが、何かの
崩
(
くづ
)
れ落ちるやうな勢ひであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
平家建
(
ひらやだて
)
の
小屋組
(
こやぐみ
)
、
即
(
すなは
)
ち
桁
(
けた
)
や
梁
(
はり
)
と
屋根
(
やね
)
との
部分
(
ぶぶん
)
が
普通
(
ふつう
)
に
出來
(
でき
)
てゐれば
容易
(
ようい
)
に
崩
(
くづ
)
れるものではない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
而るに今や利根水源を
確定
(
かくてい
)
して、加ふるに上越の国界を
明
(
あきらか
)
にするを得、衆皆
絶叫
(
ぜつけう
)
快
(
くわい
)
と
呼
(
よ
)
ぶ、其勢上越の深山も
崩
(
くづ
)
るるが如し、深井君
直
(
ただ
)
ちに鋭刀を
揮
(
ふる
)
ふて白檜の大樹皮を
彫
(
ほ
)
り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
これだけは
聊
(
いささ
)
か快とするに足る。なほ又
次手
(
ついで
)
につけ加へれば、北原君は底抜けの
酒客
(
しゆかく
)
なれども、座さへ
酔
(
ゑ
)
うて
崩
(
くづ
)
したるを見ず。
纔
(
わづか
)
に平生の北原君よりも手軽に正体を
露
(
あらは
)
すだけなり。
田端人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と云つたやうな
趣
(
おもむ
)
きのある街で、土塀が
崩
(
くづ
)
れてゐたり家竝が傾きかかつてゐたり——勢ひのいいのは植物だけで時とすると
吃驚
(
びつくり
)
させるやうな
向日葵
(
ひまはり
)
があつたりカンナが咲いてゐたりする。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
常子は形勢を察したので
扉
(
ドア
)
のところに行つて「鶴子さん」とさう呼んだ。……彼女が呼び終るまで
故意
(
わざ
)
と不機嫌な顔を
崩
(
くづ
)
さずにゐた信徳は、それで気が済んだやうに又眼を書類に落した。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
乳母
誓文
(
せいもん
)
、ござります。ロミオどのは
追放
(
つゐはう
)
の
身
(
み
)
ぢゃほどに、
世界
(
せかい
)
が
崩
(
くづ
)
れうと、
戻
(
もど
)
って
來
(
き
)
て
何
(
なん
)
のかのと
言
(
い
)
はッしゃらう
筈
(
はず
)
は
無
(
な
)
い。よしや
戻
(
もど
)
らッしゃるにせい、ほんの
窃々
(
こつそり
)
の
内密沙汰
(
ないしょざた
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
私の勇氣は、
挫
(
くじ
)
けていつた。いつもの
虐
(
しひ
)
たげられた氣持や懷疑心や孤獨な
憂鬱
(
いううつ
)
が、
崩
(
くづ
)
れゆく憤激の
餘燼
(
よじん
)
に、
濕
(
じ
)
め
濕
(
じ
)
めと落ちかゝつた。みんなは、私が惡いと云ふ。多分、さうかも知れない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
絃
(
いと
)
をあやつる老妓あれば、
此方
(
こなた
)
にどたばた
逐
(
お
)
ひまくられて、キヤツと
玉切
(
たまぎ
)
る
雛妓
(
すうぎ
)
あり、玉山
崩
(
くづ
)
れて酒煙
濛々
(
もう/\
)
、誠に
是
(
こ
)
れ
朝
(
あした
)
に筆を
呵
(
か
)
して天下の大勢を論じ去る
布衣
(
ふい
)
宰相諸公が、
夕
(
ゆふべ
)
の脚本体なりける
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
岩崎弥太郎
(
いはさきやたらう
)
さんと
云
(
い
)
ふ
方
(
かた
)
が
入
(
い
)
らツしやいまして、あの
旦那様
(
だんなさま
)
が針の山を
払
(
はら
)
ひ
下
(
さ
)
げて、
其
(
その
)
山を
崩
(
くづ
)
した
土
(
つち
)
で血の池を
埋
(
う
)
めてしまひ、今では
真
(
ま
)
ツ
平
(
たひ
)
らで、
彼処
(
あすこ
)
が公園に
成
(
な
)
りまして、誠に
面白
(
おもしろ
)
うございますよ
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
束
(
たば
)
になつて
倒
(
たふ
)
れた
卒塔婆
(
そとば
)
と共に
青苔
(
あをごけ
)
の
斑点
(
しみ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれた
墓石
(
はかいし
)
は、岸と
云
(
い
)
ふ限界さへ
崩
(
くづ
)
れてしまつた
水溜
(
みづたま
)
りのやうな
古池
(
ふるいけ
)
の中へ、
幾個
(
いくつ
)
となくのめり込んで
居
(
ゐ
)
る。
無論
(
むろん
)
新しい
手向
(
たむけ
)
の花なぞは一つも見えない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
地震
(
なゐ
)
崩
(
くづ
)
れそのままなれや石崖に
枝垂
(
しだ
)
れ桜は咲き枝垂れたり
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
一同が、また、新しくどつと笑ひ
崩
(
くづ
)
れた。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
雲の峰いくつ
崩
(
くづ
)
れて月の山 同
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
ああ、
崩
(
くづ
)
れ
掛
(
か
)
けた壁に
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
山
(
やま
)
を
崩
(
くづ
)
して、
其
(
そ
)
の
峯
(
みね
)
を
余
(
あま
)
した
状
(
さま
)
に、
昔
(
むかし
)
の
城趾
(
しろあと
)
の
天守
(
てんしゆ
)
だけ
残
(
のこ
)
つたのが、
翼
(
つばさ
)
を
拡
(
ひろ
)
げて、
鷲
(
わし
)
が
中空
(
なかぞら
)
に
翔
(
かけ
)
るか、と
雲
(
くも
)
を
破
(
やぶ
)
つて
胸毛
(
むなげ
)
が
白
(
しろ
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
肩から肩の上へ
猿
(
さる
)
の様に
重
(
かさ
)
なり合つて、最上の一人の手が
岩
(
いは
)
の鼻へ掛かるや否や、
岩
(
いは
)
が
崩
(
くづ
)
れて、腰の縄が切れて、上の三人が折り重なつて
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二十二三でせうが、存分にお
侠
(
きやん
)
で此上もなく色つぽくて、素顏に近いほどの薄化粧が、やけな眼隱しに
崩
(
くづ
)
れたのも、言ふに言はれぬ魅力です。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
弦月丸
(
げんげつまる
)
は
萬山
(
ばんざん
)
の
崩
(
くづ
)
るゝが
如
(
ごと
)
き
響
(
ひゞき
)
と
共
(
とも
)
に
左舷
(
さげん
)
に
傾斜
(
かたむ
)
いた。
途端
(
とたん
)
に
起
(
おこ
)
る
大叫喚
(
だいけうくわん
)
。
二百
(
にひやく
)
の
船員
(
せんゐん
)
が
狂
(
くる
)
へる
甲板
(
かんぱん
)
へ、
數百
(
すうひやく
)
の
乘客
(
じやうきやく
)
が
一時
(
いちじ
)
に
黒雲
(
くろくも
)
の
如
(
ごと
)
く
飛出
(
とびだ
)
したのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かゝるをりしも人々の
座
(
すは
)
りゐたる
后
(
うしろ
)
の方にたかきあかり窓ありしが、きびしき音ありてまどをやぶり、
掘
(
ほり
)
あげの雪がら/\と
崩
(
くづ
)
れおちたる中に人の
降
(
ふ
)
りくだりければ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
日本
(
につぽん
)
でも
昔
(
むかし
)
から
百姓
(
ひやくしよう
)
が
土地
(
とち
)
を
耕
(
たがや
)
したり、
山
(
やま
)
が
崩
(
くづ
)
れたりした
時
(
とき
)
、ひょっこり
石器
(
せつき
)
の
發見
(
はつけん
)
されたことが
屡々
(
しば/\
)
ありましたが、
昔
(
むかし
)
はそれらの
石器
(
せつき
)
を
人間
(
にんげん
)
が
造
(
つく
)
つたものとは
思
(
おも
)
はないで
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
しき是へ御上りあれと
云
(
いふ
)
ゆゑ長八は
御構下
(
おかまひくだ
)
さるなと其所へ
上
(
あが
)
り
四邊
(
あたり
)
を見るに
壁
(
かべ
)
の方は破れたる二
枚
(
まい
)
屏風
(
びやうぶ
)
を立回し此方には
崩
(
くづ
)
れ懸りし一ツ
竈
(
べつゝひ
)
に
炭
(
すみ
)
か
鑄懸
(
いかけ
)
か眞黒に
薫
(
くす
)
ぶりたる
鍋
(
なべ
)
一ツを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
尤も今日は、
刻限
(
こくげん
)
が
遲
(
おそ
)
いせいか、一羽も見えない。唯、
所々
(
ところどころ
)
、崩れかゝつた、さうしてその
崩
(
くづ
)
れ目に長い草のはへた
石段
(
いしだん
)
の上に、
鴉
(
からす
)
の
糞
(
くそ
)
が、點々と白くこびりついてゐるのが見える。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蹈居
(
ふみゐ
)
る土も今にや
崩
(
くづ
)
れなんと疑ふところ、
衣袂
(
いべい
)
の
雨濃
(
あめこまやか
)
に
灑
(
そそ
)
ぎ、
鬢髪
(
びんぱつ
)
の風
転
(
うた
)
た急なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
雪
(
ゆき
)
に
覆
(
おほ
)
はれたその
切
(
き
)
り
崩
(
くづ
)
しの
斜面
(
しやめん
)
に、
獸
(
けもの
)
の
足跡
(
あしあと
)
が、
二筋
(
ふたすぢ
)
についてゐるのは、
犬
(
いぬ
)
か
何
(
なに
)
かゞ
驅
(
か
)
け
下
(
お
)
りたのであらう、それとも、
雪崩
(
なだれ
)
になつて
轉
(
ころ
)
げ
下
(
お
)
りて
來
(
き
)
た
塊
(
かたま
)
りの
走
(
はし
)
つた
跡
(
あと
)
でもあらうかと
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「おゝ
痛
(
い
)
てえまあ」
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
から
假聲
(
こわいろ
)
でいつた。
踊
(
をどり
)
の
列
(
れつ
)
は
先刻
(
さつき
)
から
崩
(
くづ
)
れて
堵
(
と
)
の
如
(
ごと
)
く
勘次
(
かんじ
)
とおつぎの
周圍
(
まはり
)
に
集
(
あつ
)
まつたのである。おつぎは
此
(
この
)
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くと
共
(
とも
)
に
亂
(
みだ
)
れ
掛
(
か
)
けた
衣物
(
きもの
)
の
合
(
あは
)
せ
目
(
め
)
を
繕
(
つくろ
)
うた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
であるから
學校
(
がくかう
)
の
歸途
(
かへりみち
)
には
大勢
(
おほぜい
)
が
其
(
その
)
崩
(
くづ
)
れ
落
(
おち
)
た
壁
(
かべ
)
に
這
(
は
)
いのぼつてワイ/\と
騒
(
さわ
)
ぐ、
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つやら、
囃
(
はや
)
すやら、
甚
(
はなは
)
だしきは
蜜柑
(
みかん
)
の
皮
(
かは
)
を
投
(
な
)
げつけなどして
揄揶
(
からか
)
うのである。けれども
何
(
なん
)
の
效果
(
きゝめ
)
もない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
滅多
(
めつた
)
に
笑
(
わら
)
つたこともない
但馬守
(
たじまのかみ
)
、
今日
(
けふ
)
は
殊
(
こと
)
に
機嫌
(
きげん
)
のわるい
主人
(
しゆじん
)
が、にツこりと
顏
(
かほ
)
を
崩
(
くづ
)
したのを、
侍女
(
じぢよ
)
紀
(
こつな
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
さうに
見上
(
みあ
)
げて、『
畏
(
かしこ
)
まりました。』と、うや/\しく一
禮
(
れい
)
して
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
らうとした。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
然
(
しか
)
るを、
元嘉
(
げんか
)
、
京洛
(
きやうらく
)
の
貴婦人
(
きふじん
)
、
才媛
(
さいゑん
)
は、
平時
(
へいじ
)
に
件
(
くだん
)
の
墮馬髻
(
だばきつ
)
を
結
(
ゆ
)
ふ。たとへば
髷
(
まげ
)
を
片潰
(
かたつぶ
)
して
靡
(
なび
)
け
作
(
つく
)
りて
馬
(
うま
)
より
墮
(
お
)
ちて
髻
(
もとゞり
)
の
横状
(
よこざま
)
に
崩
(
くづ
)
れたる
也
(
なり
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは江戸の法規で、心中の流行に手を燒いた幕府は、心中
崩
(
くづ
)
れの男女に、念入りの醜體をさらさせることを考へたのです。
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
壁
(
かべ
)
に掛けたの
許
(
ばかり
)
でも大小
合
(
あは
)
せると余程になる。
額縁
(
がくぶち
)
を
附
(
つ
)
けない
下画
(
したゑ
)
といふ様なものは、
重
(
かさ
)
ねて
巻
(
ま
)
いた
端
(
はじ
)
が、
巻
(
ま
)
き
崩
(
くづ
)
れて、
小口
(
こぐち
)
をしだらなく
露
(
あら
)
はした。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
元來
(
がんらい
)
墓
(
はか
)
の
周圍
(
しゆうい
)
に、
一
(
ひと
)
つは
土
(
つち
)
が
崩
(
くづ
)
れないように、もう
一
(
ひと
)
つは
飾
(
かざ
)
りのために、
土
(
つち
)
で
作
(
つく
)
つた
筒形
(
つゝがた
)
の
陶器
(
とうき
)
を
竝
(
なら
)
べて
埋
(
うづ
)
めるといふことは、その
以前
(
いぜん
)
からもあつたように
思
(
おも
)
はれますから
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
『イヤ、
中黒
(
ちうぐろ
)
です。』と
滑※
(
こつけい
)
なる
兵曹
(
へいそう
)
の
一言
(
いちごん
)
に、
大佐
(
たいさ
)
も、
濱島
(
はまじま
)
も、
私
(
わたくし
)
も
大聲
(
おほごゑ
)
に
笑
(
わら
)
ひ
崩
(
くづ
)
るゝ
時
(
とき
)
、
春枝夫人
(
はるえふじん
)
の
優
(
やさ
)
しい
眼
(
め
)
は、
遙
(
はる
)
か/\の
南
(
みなみ
)
の
方
(
ほう
)
の
水
(
みづ
)
と
空
(
そら
)
とを
懷
(
なつ
)
かし
相
(
さう
)
に
眺
(
なが
)
めて
居
(
を
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
崩
常用漢字
中学
部首:⼭
11画
“崩”を含む語句
崩折
崩御
雪崩
崩潰
崩壞
大崩崖
崩壊
持崩
一雪崩
総崩
人崩
居崩
崖崩
大崩
山崩
崩落
崩掛
御家人崩
分崩
御崩御
...