半分はんぶん)” の例文
このみつつのかたちうたを、のちには、片歌かたうたといつてゐます。これは、うた半分はんぶんといふことでなく、完全かんぜんでないうたといふことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
父親ちちおやはなにかいっていましたが、やがて半分はんぶんばかりとこなかからからだこして、やせたでその金貨きんかを三にんむすめらにけてやりました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にいさんはいつもむつかしいことをいうので、たいていぼくにはよくわからないのだが、この言葉ことば半分はんぶんぐらいはわかるようながした。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かたぽうでもいけなけりゃ、せめて半分はんぶんだけでもげてやったら、とおりがかりの人達ひとたちが、どんなによろこぶかれたもんじゃねえんで。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
まったくインデアンは半分はんぶんおどっているようでした。第一だいいちかけるにしても足のふみようがもっと経済けいざいもとれ本気にもなれそうでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのいはとうさんに、彼處あそこ御覽がらん、こゝを御覽ごらん、とひまして、半分はんぶんつちのついた水晶すゐしやうがそこいらにらばつてるのをしてせました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
九州きゅうしゅう総追捕使そうついほしというのは、九州きゅうしゅう総督そうとくという意味いみなのです。するとほか大名だいみょうたちは、これも半分はんぶんはこわいし、半分はんぶんはいまいましがって
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
三千代みちよつぎ部屋へやで簟笥のくわんをかたかた鳴らしてゐた。そばおほきな行李こりけてあつて、なかから奇麗きれい長繻絆ながじゆばんそで半分はんぶんかかつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しか今度こんどのは半分はんぶん引切ひききつてあるどうからばかりのむしぢや、切口きりくちあをみびてそれ黄色きいろしるながれてぴくぴくとうごいたわ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しか方法はうはふもないのでかれ地主ぢぬし哀訴あいそして小作米こさくまい半分はんぶんつぎあきまでしてもらつた。地主ぢぬし東隣ひがしどなり舊主人きうしゆじんであつたのでそれも承諾しようだくされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あんなに大事にしてそだてあげた水蜜桃も、こうした東京の店へくれば、まるで半分はんぶんは、箱づみのままにくさっていくのだ。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
實際じつさいおもつたよりもはやく、それを半分はんぶんまないうちあいちやんはあたま天井てんじやうにつかへたのをり、くびれない用心ようじんかゞんで、いそいでびんした
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それを知っていたって、王さまにいやあ、その男は心臓しんぞうからひざこぞうまで、からだの半分はんぶんが石になっちまうんだからな。
その前年から徐々そろそろ攘夷説がおこなわれると云う世の中になって来て、亜米利加アメリカに逗留中、艦長が玩具おもちゃ半分はんぶん蝙蝠傘かわほりがさを一本かった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と、うのでした。それは自分達じぶんたち世界せかい半分はんぶんずつだとおもっているからなのです。ある牝鶏めんどり子家鴨こあひるむかって
ただ、おとこが四にんおんなが五にんというふうに、半分はんぶんずつで、いいあんばいだと、おもうだけだ。おんなまれて、がっかりすることなんてないな。
「そら、あの西の勘三さんの田ン中の掘切でねていたんだッてよ。泥深い中にからだ半分はんぶん突っささったまま、首イこうたれてつめたくなったんだッてよ」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
しかし細君や子どもたちは、変人へんじんとはいえ、花前がいかにもきちんとした顔をしているので、いたずら半分はんぶんにはしのことをうてみるようなことはしない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
たゞ、一箇所かしよ丈餘じやうよ貝層かひそう下部かぶから一二しやくところに、小石こいしごとかこつたなかで、焚火たきびをしたらしい形跡けいせき個所かしよが、半分はんぶんきりくづされて露出ろしゆつしてるのを見出みいだした。
わたくしはびっくりして早速さっそく鎌倉かまくらの、あのなつかしい実家さとへとんできましたが、モーそのときはよくよく臨終りんじゅうせまってりまして、はは霊魂たましいはその肉体にくたいから半分はんぶんたり
その着物は、半分はんぶんきんったビロードでできていて、もう半分は、灰色はいいろ手織ておりぬのでできていました。
わたし左側ひだりがはにゐる中根なかね等卒とうそつはもう一時間じかんまへから半分はんぶんくちをダラリとけて、ねむつたままあるいてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
こないだの關東かんとう大震災だいしんさいのときには、淺草あさくさ觀音かんのんのおどううらのいてふの片側かたがは半分はんぶんけても、半分はんぶん枝葉えだはのためにがおどうえうつるのをふせぎました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
半分はんぶんいはせずうしろより只一刀に切殺し此方へ入來いりきたるにぞお菊はお竹が聲におどろ迯出にげいださんとするに間合まあひなければ屏風びやうぶかげへ隱れ戰慄ふるへたりし中曲者くせものは手ぢかに在しお菊が道具だうぐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うへなき滿足まんぞくもつ書見しよけんふけるのである、かれ月給げつきふ受取うけとると半分はんぶん書物しよもつふのにつひやす、の六りてゐるへやの三つには、書物しよもつ古雜誌ふるざつしとでほとんどうづまつてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
浴槽ゆぶねの一たん後腦こうなうのせて一たん爪先つまさきかけて、ふわりとうかべてつぶる。とき薄目うすめあけ天井際てんじやうぎは光線窓あかりまどる。みどりきらめくきり半分はんぶんと、蒼々さう/\無際限むさいげん大空おほぞらえる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
昔の地獄ぢごくの火の車や無間地獄むげんぢごくなどで、此方こちら本当ほんたうの火の車がりまして、半分はんぶんいてつて、その境界さかひめがちつともわかりません、誠に感心だ、火の燃えるところ本当ほんたうのやうだ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでもやはり、子供こどもとなり部屋へやで遊んでいる間、部屋へやの戸を半分はんぶん開放あけはなしにしておいた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
けれどもあのヱヴェレストの頂上てうじやうだけは、見上みあげたゞけでもくらんで、何度なんどもそこまでんでようとしては、半分はんぶんもゆかないうちに、つかれてしまつたラランはゾグゾクしながら
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
八つくちをふさぎて大人おとな姿すがたにこしらへられしより二十二の今日けふまでに、下宿屋住居げしゆくやずまゐ半分はんぶんつもりても出入でいり三ねんはたしかに世話せわをうけ、伯父おぢ勝義かつよし性質せいしつむづかしいところから
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御者ぎょしゃ懶惰ぶしゃうはしため指頭ゆびさきから發掘ほじりだ圓蟲まるむしといふやつ半分はんぶんがたも鼠裝束ねずみしゃうぞくちひさい羽蟲はむし車體しゃたいはしばみから、それをば太古おほむかしから妖精すだま車工くるましきまってゐる栗鼠りす蠐螬ぢむしとがつくりをった。
眼のきれの長い佳人かじんである。更衣室も無いので、仕切りの障子をしめ、二畳の板の間を半分はんぶんめた古長持の上に妻の鏡台きょうだいを置いた。鏡台の背には、破簾やれみすを下げてすすだらけの勝手を隔てた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
火星くわせい直径ちよっけい四千二〇〇哩まいるある 地球ちきゆう半分はんぶんよりちよっとながいくらいだ。)
しらべると、びんに半分はんぶんほどのこつたウィスキイに青酸加里せいさんかり混入こんにゅうしてあつた。だから老人ろうじんは、それを一口ひとくちか、せいぜい二口ふたくちむとくるしくなり、金魚鉢きんぎょばちのそばまでつてつてんだのにちがいない。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
往來わうらい煙草たばこつたもの、なかひと退けてすゝまうとしたもの、そんなのまでをとらへて、打首うちくびにするならば、火事くわじ半分はんぶんげんずるし、なか風儀ふうぎたちまあらたまるであらうとおもつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そのおんなひとかおは、あちらをいているので半分はんぶんしかいてありません。けれどわかい、しとやかな、うつくしい姿すがたをしていました。
遠方の母 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大臣だいじんは林をまわりました。林のかげに一けんの大きなうちがありました。日がまっ白にって家は半分はんぶんあかるくゆめのように見えました。
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おもいながら、半分はんぶん気味きみわるいので、いきなりくわり上げて、ころそうとしますと、かみなりがついて、あわててお百姓ひゃくしょうめました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
相談さうだん半分はんぶん細君さいくんはなしてると、御米およねどくさうなかほをして、「でも、けないんだから、仕方しかたがないわね」とつて、れいごと微笑びせうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とうさんの幼少ちひさ時分じぶんにはおうちにおひなといふをんな奉公ほうこうしてまして、半分はんぶん乳母うばのやうにとうさんをおぶつたりいたりしてれたことをおぼえてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そんだが嫁樣よめさま衣物きものどういんだかてえもんだな」半分はんぶんのぞむやうな半分はんぶん氣遺きづかふやうなたがひこゝろかたるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さっきの半分はんぶんずつのからだが、いつのまにかつながって、おそろしい男が若者のせきにがんばっているではありませんか。
地震ぢしんえらおつぱだかつて、しやつきりのこつたのはお天守てんしゆばかりぢや。人間にんげんいへ押転おつころばして、ほり半分はんぶんがたうまりましけ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのうちでもつめほうは、三日みっかなけりゃ目立めだってびる代物しろものだ。——ゆびかずで三百ぽん糠袋ぬかぶくろれてざっと半分はんぶんよ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その夕方、カイはうちにいて、着物きもの半分はんぶんぬぎかけながら、ふとおもいついて、窓のそばの、いすの上にあがって、れいのちいさなのぞきあなから、外をながめました。
このうえなき満足まんぞくもっ書見しょけんふけるのである、かれ月給げっきゅう受取うけとると半分はんぶん書物しょもつうのについやす、その六りているへやの三つには、書物しょもつ古雑誌ふるざっしとでほとんどうずまっている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と、ひやかし半分はんぶんにみているものもありましたが、十日とおかたち、十五にちたっても、さけをのみません。
しかし樹木じゆもくによつては氣候きこう急激きゆうげき變化へんかのためまたは、病虫害びようちゆうがい一時いちじおとしたりすると、この生長状態せいちようじようたい例外れいがい出來できて、完全かんぜんあらはれず、半分はんぶんぐらゐでえるのがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
母屋おもや入口いりくちはレールにちかはうにあつて人車じんしやからると土間どま半分はんぶんほどはすかひにえる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
英語えいごたまへ!』とつて小鷲こわしは、『そんなながッたらしいこと半分はんぶんわからない、いくつたつて駄目だめだ、いづれもしんずるにらん!』つて微笑びせうかくすためにあたまげました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)