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備
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そな
ふりがな文庫
“
備
(
そな
)” の例文
おのづから
智慧
(
ちゑ
)
も
力
(
ちから
)
も
備
(
そな
)
はつて、
陽
(
ひ
)
の
面
(
おもて
)
に、
隱形
(
おんぎやう
)
陰體
(
いんたい
)
の
魔法
(
まはふ
)
を
使
(
つか
)
つて、
人目
(
ひとめ
)
にかくれ
忍
(
しの
)
びつゝ、
何處
(
いづこ
)
へか
通
(
とほ
)
つて
行
(
ゆ
)
くかとも
想
(
おも
)
はれた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて、金の力の宏大なのに
陶醉
(
たうすゐ
)
して、貫兵衞はもう一度、それが自分に
備
(
そな
)
はつた才能、徳望のやうに思ひ込んでしまつたのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私
(
わたくし
)
は
右
(
みぎ
)
の
懐剣
(
かいけん
)
を
現在
(
げんざい
)
とても
大切
(
たいせつ
)
に
所持
(
しょじ
)
して
居
(
お
)
ります。そして
修行
(
しゅぎょう
)
の
時
(
とき
)
にはいつも
之
(
これ
)
を
御鏡
(
みかがみ
)
の
前
(
まえ
)
へ
備
(
そな
)
えることにして
居
(
お
)
るのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
僕はこれは表裏を
備
(
そな
)
うる人の意志によるものであると思う。僕のここにいう意志とは
天性
(
てんせい
)
というにあい対して用いたのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
最前看護婦が、枕元に立てかけて行った、病院
備
(
そな
)
え
付
(
つけ
)
の白木の松葉杖を左右に突っ張って、キマリわるわる廊下に出てみた。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
神と悪魔との反対面を
兼
(
か
)
ね
備
(
そな
)
えて持つ科学に、われ等は
取
(
と
)
り
憑
(
つ
)
かれているのだ。
斯
(
か
)
くのごとき科学力時代に、科学小説がなくていいであろうか。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
煖房装置
(
だんぼうそうち
)
もあれば、
壁
(
かべ
)
にはオゾン
発生機
(
はっせいき
)
を
備
(
そな
)
えてあって、たくさんのテーブルには、それぞれ
客
(
きゃく
)
が
対
(
むか
)
い
合
(
あ
)
っていました。
世の中へ出る子供たち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
櫻島噴火
(
さくらじまふんか
)
は
著
(
いちじる
)
しい
前徴
(
ぜんちよう
)
を
備
(
そな
)
へてゐた。
數日前
(
すうにちぜん
)
から
地震
(
ぢしん
)
が
頻々
(
ひんぴん
)
に
起
(
おこ
)
ることは
慣例
(
かんれい
)
であるが、
今回
(
こんかい
)
も
一日半前
(
いちにちはんぜん
)
から
始
(
はじ
)
まつた。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
わたしたちの
宿
(
やど
)
の
構造
(
こうぞう
)
はしごく
簡単
(
かんたん
)
であった。
備
(
そな
)
えつけの家具も同様で、土の山と、二つ三つ大きな石がいすの代わりに
置
(
お
)
いてあるだけであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
○さて堂内人
散
(
さん
)
じて後、かの
山長
(
やまをとこ
)
堂内に
苧幹
(
をがら
)
をちらしおく㕝
例
(
れい
)
なり。
翌朝
(
よくてう
)
山
長
(
おとこ
)
神酒
(
みき
)
供物
(
くもつ
)
を
備
(
そな
)
ふ、
後
(
うしろ
)
さまに
進
(
すゝみ
)
て
捧
(
さゝ
)
ぐ、正面にすゝむを神の
忌
(
いみ
)
給ふと也。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そして
内氣
(
うちき
)
でもありませんね。あなたは、あなたの精神に或る
雄々
(
をゝ
)
しさを
備
(
そな
)
へてゐらつしやると同時に、あなたの眼にある鋭さを備へてゐらつしやる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それ欧、米諸国のごとき、人民を教育する諸般の学校を設け、諸般の方法を
立
(
たつ
)
る、もとより周密
備
(
そな
)
わらざるなし。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
それから、かや、まき、とべら
等
(
など
)
の
常緑樹
(
じようりよくじゆ
)
の
發芽
(
はつが
)
を
最後
(
さいご
)
に
五月
(
ごがつ
)
の
上旬頃
(
じようじゆんごろ
)
には、すべての
樹木
(
じゆもく
)
は
春
(
はる
)
の
着
(
き
)
つけを
終
(
をは
)
つて、ついで
來
(
く
)
る
夏
(
なつ
)
の
生活
(
せいかつ
)
の
備
(
そな
)
へをします。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
あわてるには及ばぬまでも、諸陣はみな戦気立ッて、御司令を待ちおりまする。
備
(
そな
)
えはいかにしたものでしょうか
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
普通
(
ふつう
)
中学校などに
備
(
そな
)
え
付
(
つ
)
けてある
顕微鏡
(
けんびきょう
)
は、
拡大度
(
かくだいど
)
が六百
倍
(
ばい
)
乃至
(
ないし
)
八百倍ぐらいまでですから、
蝶
(
ちょう
)
の
翅
(
はね
)
の
鱗片
(
りんぺん
)
や
馬鈴薯
(
ばれいしょ
)
の
澱粉粒
(
でんぷんりゅう
)
などは
実
(
じつ
)
にはっきり見えますが
手紙 三
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
かの
三
(
みつ
)
の形の
業
(
わざ
)
は、みな直に成り
備
(
そな
)
はりてその主より輝き出で、いづれを始めと別ちがたし 二八—三〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
而
(
しか
)
して
後
(
のち
)
に
或
(
ある
)
義士
(
ぎし
)
の
一撃
(
いちげき
)
に
斃
(
たほ
)
れたりと
書
(
か
)
かば
事理分明
(
じりぶんめい
)
にして
面白
(
おもしろ
)
かるべしと
雖
(
いへども
)
、
罪
(
つみ
)
と
罰
(
ばつ
)
の
殺人罪
(
さつじんざい
)
は、この
規矩
(
きく
)
には
外
(
はづ
)
れながら、なほ
幾倍
(
いくばい
)
の
面白味
(
おもしろみ
)
を
備
(
そな
)
へてあるなり。
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
とか
望
(
のぞ
)
み
給
(
たま
)
ふらんそは
又
(
また
)
道理
(
だうり
)
なり
君様
(
きみさま
)
が
妻
(
つま
)
と
呼
(
よ
)
ばれん
人
(
ひと
)
姿
(
すがた
)
は
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
の
美
(
び
)
を
尽
(
つく
)
して
糸竹
(
いとたけ
)
文芸
(
ぶんげい
)
備
(
そな
)
はりたるを
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかしあの
赤
(
あか
)
い
水々
(
みづ/″\
)
した
實
(
み
)
は、
長
(
なが
)
い/\
野山
(
のやま
)
の
雪
(
ゆき
)
が
消
(
き
)
えるまでの
間
(
あひだ
)
を、
神
(
かみ
)
が
小鳥達
(
ことりたち
)
の
糧食
(
りやうしよく
)
にと
備
(
そな
)
へられたものではないかと
思
(
おも
)
ふと、
痛々
(
いた/\
)
しく
鉈
(
なた
)
を
入
(
い
)
れた
人
(
ひと
)
の
罪
(
つみ
)
が
恐
(
おそ
)
ろしい。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
……
終
(
つい
)
に
此
(
この
)
神かつて出現無くして凶年相続き候へば、豊年の願として人々かの形を似せ
供物
(
くもつ
)
を
備
(
そな
)
へ、古見三村より小舟一
艘
(
そう
)
づゝ、
賑
(
にぎ
)
やかに
仕出
(
しいだ
)
し争はせ、祭の儀式を勤め候。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やがてナブルスに着き、
羅甸
(
らてん
)
派の
精舎
(
しやうじや
)
に
宿
(
しゆく
)
す。総じてパレンスタインの僧舎は、紹介状だに持参せば、旅客を泊むる仕組にて、此処にも幾個の
客床
(
かくしやう
)
を設けあり、食堂も
備
(
そな
)
はる。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
冷却
(
れいきゃく
)
して
後
(
のち
)
、
飛散
(
ひさん
)
するとすれば、
高尚
(
こうしょう
)
なる
殆
(
ほとん
)
ど
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
き
智力
(
ちりょく
)
を
備
(
そな
)
えたる
人間
(
にんげん
)
を、
虚無
(
きょむ
)
より
造出
(
つくりだ
)
すの
必要
(
ひつよう
)
はない。そうして
恰
(
あたか
)
も
嘲
(
あざけ
)
るが
如
(
ごと
)
くに、また
人
(
ひと
)
を
粘土
(
ねんど
)
に
化
(
か
)
する
必要
(
ひつよう
)
は
無
(
な
)
い。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかもおかしみを十分に
備
(
そな
)
えたところに、この丈草の句よりは一歩を進めたところがある。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
興
(
おこ
)
し
亡
(
なき
)
親達
(
おやたち
)
へ
聊
(
いさゝ
)
か
孝養
(
かうやう
)
に
備
(
そな
)
へんと出立なす
折柄
(
をりから
)
輕井澤
(
かるゐざは
)
の
邊
(
へん
)
より彼の
曲者
(
くせもの
)
と連れに成り
道中
(
みちすが
)
ら彼の
振舞
(
ふるまひ
)
に心をつけるに
唯者
(
たゞもの
)
ならず江戸より付き來りし樣子なり今日も彼者
度々
(
たび/\
)
手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
押しも押されもせぬ文豪のおもかげがある。遊蕩青年からすぐこの文豪の風格を
備
(
そな
)
へた著書を生んだその間の系統の不明なのに、他の国文学者たちは一致して不思議がつて居る。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
堅牢
(
けんらう
)
なる
鐵
(
てつ
)
の
檻
(
おり
)
をもつて
圍繞
(
かこ
)
まれ、
下床
(
ゆか
)
は
彈力性
(
だんりよくせい
)
を
有
(
いう
)
するクロー
鋼板
(
かうばん
)
で、
上部
(
じやうぶ
)
は
半面
(
はんめん
)
鐵板
(
てつぱん
)
に
蔽
(
おほ
)
はれ、
半面
(
はんめん
)
鐵檻
(
てつおり
)
をもつて
作
(
つく
)
られ、
鐵車
(
てつしや
)
は
都合
(
つごう
)
十二の
車輪
(
くるま
)
を
備
(
そな
)
へ、
其内
(
そのうち
)
六
個
(
こ
)
は
齒輪車
(
しりんしや
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其議論の
激
(
はげ
)
しき
遂
(
つひ
)
に小西技師をして、
国境論者
(
こくけうろんしや
)
は別隊を
率
(
ひき
)
ゐて
別
(
べつ
)
に
探検
(
たんけん
)
すべしとの語を
発
(
はつ
)
せしむるに
至
(
いたり
)
たる程なりき、
若
(
もし
)
糧食
(
れうしよく
)
の
備
(
そな
)
へ充分にして廿日以上の日子を
費
(
つひや
)
すの覚悟なりせば
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
廼
(
すなは
)
ち
關其思
(
くわんきし
)
を
戮
(
りく
)
して
曰
(
いは
)
く、「
胡
(
こ
)
は
(一〇三)
兄弟
(
けいてい
)
の
國
(
くに
)
也
(
なり
)
、
子
(
し
)
之
(
これ
)
を
伐
(
う
)
てと
言
(
い
)
ふは
何
(
なん
)
ぞや」と。
胡君
(
こくん
)
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
いて、
鄭
(
てい
)
を
以
(
もつ
)
て
己
(
おのれ
)
に
親
(
した
)
しむと
爲
(
な
)
して、
鄭
(
てい
)
に
備
(
そな
)
へず。
鄭人
(
ていひと
)
胡
(
こ
)
を
襲
(
おそ
)
うて
之
(
これ
)
を
取
(
と
)
れり。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
花には
萼
(
がく
)
、花弁、
雄蕊
(
ゆうずい
)
、
雌蕊
(
しずい
)
が
備
(
そな
)
わっていて、植物学上でいう
完備花
(
かんびか
)
をなしている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「どうぞお
寛
(
くつろ
)
ぎなさるよう。何はなくても晩食の物、すぐにお
備
(
そな
)
え致しましょう」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それは
例
(
たと
)
へば
堂塔
(
だうたふ
)
伽藍
(
がらん
)
を
造
(
つく
)
る
場合
(
ばあひ
)
に、
巨大
(
きよだい
)
なる
重
(
おも
)
い
屋根
(
やね
)
を
支
(
さゝ
)
へる
必要上
(
ひつえうじやう
)
、
軸部
(
ぢくぶ
)
を
充分
(
じうぶん
)
に
頑丈
(
ぐわんぜう
)
に
組
(
く
)
み
堅
(
かた
)
めるとか、
宮殿
(
きうでん
)
を
造
(
つく
)
る
場合
(
ばあひ
)
に、その
格式
(
かくしき
)
を
保
(
たも
)
ち、
品位
(
ひんゐ
)
を
備
(
そな
)
へるために、
優良
(
いうれう
)
なる
材料
(
ざいれう
)
を
用
(
もち
)
ひ
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
珠
(
たま
)
のようだといわれたその肌は、
年増盛
(
としまざか
)
りの
愈〻
(
いよいよ
)
冴
(
さ
)
えて、わけてもお旗本の
側室
(
そくしつ
)
となった身は、どこか昔と違う、お屋敷風の品さえ
備
(
そな
)
わって、
恰
(
あたか
)
も
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
濡衣
(
ぬれぎぬ
)
を見るような
凄艶
(
せいえん
)
さが
溢
(
あふ
)
れていた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
首
(
くび
)
は
寧
(
むし
)
ろ
倒
(
さかさま
)
に
垂
(
た
)
れて
額
(
ひたひ
)
がいつでも
暑
(
あつ
)
い
日
(
ひ
)
に
照
(
て
)
られて
汗
(
あせ
)
ばんで
居
(
ゐ
)
た。
百姓
(
ひやくしやう
)
は
皆
(
みな
)
此
(
こ
)
の
見窄
(
みすぼら
)
しい
女
(
をんな
)
を
顧
(
かへり
)
みなかつた。
村落
(
むら
)
から
村落
(
むら
)
へ
野
(
の
)
を
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
は
人目
(
ひとめ
)
を
惹
(
ひ
)
くべき
要點
(
えうてん
)
が一つも
備
(
そな
)
はつて
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
茨右近が
独断
(
どくだん
)
で、
四谷自証院
(
よつやじしょういん
)
、瘤寺裏の横地半九郎方へ斬り込んで、居合わせた松原源兵衛をその四番首にした時、先方にも
備
(
そな
)
えがあって、芝源助町の神保造酒、無形一刀流の道場から、春藤幾久馬
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
殊勝
(
しゆしよう
)
らしく
聞
(
きこ
)
えて
如何
(
いかゞ
)
ですけれども、
道中
(
だうちう
)
、
宮
(
みや
)
、
社
(
やしろ
)
、
祠
(
ほこら
)
のある
處
(
ところ
)
へは、
屹
(
きつ
)
と
持合
(
もちあは
)
せた
藥
(
くすり
)
の
中
(
なか
)
の、
何種
(
なにしゆ
)
のか、
一包
(
ひとつゝみ
)
づゝを
備
(
そな
)
へました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかしだんだん彼らと
交
(
つき
)
あってみると、実に
村夫子
(
そんぷうし
)
の中に高い人格を
備
(
そな
)
えた人が、
到
(
いた
)
る所にいるのを見て、
心窃
(
こころひそか
)
に喜んでいる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
真正真銘
(
しんしょうしんめい
)
の九万九千トンの巨艦だ。立派に大砲も
備
(
そな
)
え、
重油
(
じゅうゆ
)
を燃やして時速三十五ノットで走りもする。見本とはいいながら、立派なものじゃ。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
娘
(
こ
)
はよほど
良
(
よ
)
い
家柄
(
いえがら
)
の
生
(
うま
)
れらしく、
丸
(
まる
)
ポチャの
愛
(
あい
)
くるしい
顔
(
かお
)
にはどことなく
気品
(
きひん
)
が
備
(
そな
)
わって
居
(
お
)
り、
白練
(
しろねり
)
の
下衣
(
したぎ
)
に
薄
(
うす
)
い
薄
(
うす
)
い
肉色
(
にくいろ
)
の
上衣
(
うわぎ
)
を
襲
(
かさ
)
ね
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
○さて堂内人
散
(
さん
)
じて後、かの
山長
(
やまをとこ
)
堂内に
苧幹
(
をがら
)
をちらしおく㕝
例
(
れい
)
なり。
翌朝
(
よくてう
)
山
長
(
おとこ
)
神酒
(
みき
)
供物
(
くもつ
)
を
備
(
そな
)
ふ、
後
(
うしろ
)
さまに
進
(
すゝみ
)
て
捧
(
さゝ
)
ぐ、正面にすゝむを神の
忌
(
いみ
)
給ふと也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「どうもさうらしいな。飯の食ひ溜めといふことは聽いたが、煙草の呑み溜めは、八五郎一人に
備
(
そな
)
はる藝當だよ」
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
駿河臺
(
するがだい
)
の
紅梅町
(
こうばいちやう
)
にその
名
(
な
)
も
薫
(
か
)
ほる
明治
(
めいぢ
)
の
功臣
(
こうしん
)
、
竹村子爵
(
たけむらししやく
)
との
尊稱
(
そんしよう
)
は
千軍万馬
(
せんぐんまんば
)
のうちに
含
(
ふく
)
みし、つぼみの
花
(
はな
)
の
開
(
ひら
)
けるにや、
夫
(
それ
)
が
次男
(
じなん
)
に
緑
(
みどり
)
とて
才識
(
さいしき
)
並
(
な
)
らび
備
(
そな
)
はる
美少年
(
びせうねん
)
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山の根に
拠
(
よ
)
って、広い
濠
(
ほり
)
をめぐらし、千松万柳、門への道は、
吊
(
つ
)
り橋だった。正門の次に内門をひかえ、白壁高く、楼に楼を
層
(
かさ
)
ね、武器庫、
厩長屋
(
うまやながや
)
、およそ
備
(
そな
)
わらざるはない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
下
(
した
)
の
鐵心
(
てつしん
)
に
至
(
いた
)
るまでは
玄武岩質
(
げんぶがんしつ
)
のものもしくはそれに
鐵分
(
てつぶん
)
が
加
(
くは
)
はつたもので
出來
(
でき
)
てゐて、これは
急速
(
きゆうそく
)
に
働
(
はたら
)
く
力
(
ちから
)
に
對
(
たい
)
して
極
(
きは
)
めてしぶとく
抵抗
(
ていこう
)
する
性質
(
せいしつ
)
を
備
(
そな
)
へてゐるけれども
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
私
醜
(
みつともな
)
い
婦人
(
をんな
)
といふものは創造の
麗
(
うるは
)
しい顏の汚點だと見なします。でも
殿方
(
とのがた
)
にはたゞ力と勇武だけをお
備
(
そな
)
へになれば結構ですわ。その座右の銘としては——狩獵、射撃、戰ですわ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それも
御褥御枕
(
おしとねおまくら
)
を
備
(
そな
)
え、
御沓杖
(
おくつつえ
)
等を用意して、祭儀の中心をなすものは神と君と、同時の御食事をなされる、むしろ単純素朴にすぎたとも思われる行事であったというに至っては
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そんな飲食店の食器や
備
(
そな
)
え
付
(
つけ
)
品を、初めは
楊子
(
ようじ
)
入れ位から始めて、ナイフ、フォークに到る迄失敬して、泥棒学のイロハを習う。だんだん熟練して、額縁や掛物、皿小鉢や鍋に及ぶ。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
少女
(
しょうじょ
)
は、
手
(
て
)
に
持
(
も
)
っていた、パンをちぎりました。とつぜん、なにか
音
(
おと
)
がして、ねこのそばへ
落
(
お
)
ちました。おどろいた
母
(
はは
)
ねこは、
背
(
せ
)
を
円
(
まる
)
くして、
不意
(
ふい
)
の
来襲者
(
らいしゅうしゃ
)
に
備
(
そな
)
えて、
身構
(
みがま
)
えをしました。
どこかに生きながら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
冷却
(
れいきやく
)
して
後
(
のち
)
、
飛散
(
ひさん
)
するとすれば、
高尚
(
かうしやう
)
なる
殆
(
ほとん
)
ど
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
き
智力
(
ちりよく
)
を
備
(
そな
)
へたる
人間
(
にんげん
)
を、
虚無
(
きよむ
)
より
造出
(
つくりだ
)
すの
必要
(
ひつえう
)
はない。
而
(
さう
)
して
恰
(
あたか
)
も
嘲
(
あざけ
)
るが
如
(
ごと
)
くに、
又
(
また
)
人
(
ひと
)
を
粘土
(
ねんど
)
に
化
(
くわ
)
する
必要
(
ひつえう
)
は
無
(
な
)
い。あゝ
物質
(
ぶつしつ
)
の
新陳代謝
(
しんちんたいしや
)
よ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
説明
(
ときあか
)
せば
惣領
(
そうりやう
)
に
生
(
うま
)
るゝは
格別
(
かくべつ
)
に
果報
(
くわはう
)
ある事なれば
貴賤
(
きせん
)
に
限
(
かぎ
)
らず
惣領
(
そうりやう
)
は
其家
(
そのいへ
)
の
相續人
(
さうぞくにん
)
なり
因
(
よつ
)
て
自然
(
しぜん
)
の
徳
(
とく
)
を
備
(
そな
)
へて
生
(
うま
)
れ
得
(
え
)
しに
相違
(
さうゐ
)
なく
既
(
すで
)
に
右大將頼朝公
(
うだいしやうよりともこう
)
にも
源家
(
げんけ
)
の
御惣領
(
ごそうりやう
)
なりしが一
旦
(
たん
)
清盛公
(
きよもりこう
)
の
爲
(
ため
)
に
世
(
よ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今
(
いま
)
一個
(
いつこ
)
の
人
(
ひと
)
あり、
車臺
(
しやだい
)
に
坐
(
ざ
)
して、
右手
(
ゆんで
)
に
柄子
(
とりで
)
を
握
(
にぎ
)
つて
旋廻輪
(
せんくわいりん
)
を
廻
(
まわ
)
しつゝ、
徐々
(
じよ/\
)
に
足下
(
そくか
)
の
踏臺
(
ふみだい
)
を
踏
(
ふ
)
むと
忽
(
たちま
)
ち
傍
(
かたはら
)
に
備
(
そな
)
へられたる
號鈴器
(
がうれいき
)
はリン/\と
鳴
(
な
)
り
出
(
だ
)
して、
下方
(
かほう
)
の
軸盤
(
じゆくばん
)
の
靜
(
しづ
)
かに
回轉
(
くわいてん
)
を
始
(
はじ
)
むると
共
(
とも
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
“備”の解説
備(そなえ)は、戦国時代から江戸時代において戦時に編成された部隊。
各種足軽(弓・鉄砲・槍)隊、騎馬武者隊、小荷駄隊などで構成され、独立した作戦行動を採れる基本単位を指す。
(出典:Wikipedia)
備
常用漢字
小5
部首:⼈
12画
“備”を含む語句
準備
設備
備付
具備
後備
神南備
凖備
備中
下準備
準備中
備附
備忘録
備中守
兼備
備前物
脇備
神奈備
甘南備
赤備
整備
...