“甘南備”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かんなび66.7%
かむなび33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
楠公夫人久子は、河内国甘南備かんなびの郷字矢佐利の住人、南江備前守正忠の末の妹で、幼い時に父母に訣れ、兄正忠夫妻の教育を享けて成人した淑徳高い女性である。
楠公夫人 (新字新仮名) / 上村松園(著)
二十歳はたちの年の暮——ちょうど今頃の冬、ここから近い甘南備かんなびさと南江みなみえの生家から、土地の名族楠木家にしてから、正成とのあいだに、六人の男子をしてきょうまでに至る間
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前にあった、「かはづ鳴く甘南備かむなび河にかげ見えて今か咲くらむ山振やまぶきの花」(巻八・一四三五)もまた名詞止だが、幾分色調の差別があるようだ。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なぜこの歌の上の句が切実かというに、「かはづ鳴く甘南備かむなび河にかげ見えて今か咲くらむ山吹の花」(巻八・一四三五)等の如く、当時の人々が愛玩した花だからであった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)