あづ)” の例文
三十七ねんぐわつ十四幻翁げんおう望生ぼうせい二人ふたりとも馬籠まごめき、茶店ちやみせ荷物にもつ着物きものあづけてき、息子むすこ人夫にんぷたのんで、遺跡ゐせきむかつた。
安井やすゐ門口かどぐちぢやうおろして、かぎうらうちあづけるとかつて、けてつた。宗助そうすけ御米およねつてゐるあひだ二言ふたこと三言みこと尋常じんじやうくちいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
してしばらく拷問は御用捨にあづかりたし實は私し昌次郎にうらみあるにより彼等が歸り道に待伏まちぶせし猿島河原にて二人の者を切殺し首を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あづかつたおぼえはないとふのはひどやつだ、塩原しほばらいへへ草をやさずに置くべきか、とつて吾妻橋あづまばしからドンブリと身を投げた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
るにはるがあづけてある。いきほへいわかたねばらない。くれから人質ひとじちはひつてゐる外套ぐわいたう羽織はおりすくひだすのに、もなく八九枚はつくまい討取うちとられた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『えらい權式けんしきぢやなア。』とおもひながら、玄竹げんちく腰差こしざしをあづけようとすると、多田院ただのゐんからむかへのをとこつて、『よろしい/\。』とつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
なん商買しようばいなどがおありなさらう、そんなのではいとひながら蒲團ふとんうへせてきし紙入かみいれをとりあげて、お相方あいかた高尾たかをにこれをばおあづけなされまし
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
末子すゑこかあさんがくなるともなく常陸ひたちはう乳母うばうちあづけられて、七ねんもその乳母うばのところにましたが、いまではとうさんのうちはうかへつてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
留置とめおきあづけなどゝ云ふことにせられては、病体でしのねるから、それはやめにして貰ひたい。倅英太郎は首領の立てゝゐる塾で、人質ひとじちのやうになつてゐて帰つて来ない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼女かのぢよはすぐに自分自身じぶんじしんのために、また子供達こどもたちためめにはたらかなければならなかつた。彼女かのぢよもなく親戚しんせき子供こどもあづけて土地とち病院びやうゐんつとめるとなつた。彼女かのぢよ脇目わきめらなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ニキビだらけでノツポで、あまり頼母し氣な青年ではありませんが、親の大藩の留守居が、自分のダラシの無い生活を見せ度くない爲に、インチキを承知で、春名塾にあづけて置くのでせう。
「さううたぐるならわしはあづかりますめえ」といつて拒絶きよぜつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あづけ置て立出たちいでしが其後一向に歸り來らず然に昨年祖母ばば病死びやうしし殘るは私し一人と成りせめては今一度對面たいめんし度と存ず夫故に伊勢參宮より故郷こきやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると相応さうおうあきなひもあるから、あきなだかうちよりめて置いて、これを多助なすけあづけたのが段々だん/\つもつて、二百りやうばかりになつた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
また彼方此方あつちこち五六けん立場茶屋たてばぢややもござりますが、うつくしい貴女あなたさま、たつた一人ひとりあづけまして、安心あんしんなは、ほかにござりませぬ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこで今迄いままで問題もんだい其所そこゑつきりにしていて、自分じぶん當時たうじ小六ころく學資がくしとして叔父をぢあづけてつた千ゑん所置しよちたゞしてると、叔母をば
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
各々おの/\つてゐるだらう、御城與力おしろよりき同心どうしんは、御城代ごじやうだい勤役中きんやくちうあづけおく、といふ上意じやういだが、町奉行まちぶぎやうへは與力よりき同心どうしん勤役中きんやくちうくだされおくといふ上意じやういになつてる。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かげまわりて機械からくりいとひききしは藤本ふぢもと仕業しわざきはまりぬ、よしきううへにせよ、もの出來できるにせよ、龍華寺りうげじさまの若旦那わかだんなにせよ、大黒屋だいこくや美登利みどりかみまいのお世話せわにもあづからぬもの
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お前は板塀いたべいの戸口へ往つて、平八郎にかう云ふのだ。内の五郎兵衛はおあづけになつてゐるので、今家財改かざいあらためのお役人が来られた。どうぞちよいとの間うら路次口ろじぐちから外へ出てゐて下さいと云ふのだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
やさしいこゑ時々とき/″\く。から直接ちよくせつに、つかひのようのうけわたしもするほどなので、御馳走ごちそうまへに、たゞあづけだ、と肝膽かんたんしぼりつつもだえた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今度こんど辞職した以上は、容易にくち見付みつかりさうもない事、やむを得ず、それ迄妻を国もとあづけた事——中々なか/\尽きさうもない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
言上に及ぶに光貞卿ふかよろこび然らばしばらくの内其方へあづおくべしとて城内二の丸の堀端ほりばた大木たいぼくの松の木あり其下へ葵紋あふひもんぢらしの蒔繪まきゑ廣葢ひろぶたに若君を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ハイ御免ごめんなさい。主人「へいこれはいらつしやい。客「両掛りやうがけ其方そつちへおあづかり下さい。主人「へい/\かしこまりました。客「おいてりますかな。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨日きのふの朝東京を立つて、晩は京都へ着き、祇園ぎをんの宿に一泊して、今日の正午過ひるすぎには、大阪の停車場ステーシヨンの薄暗い待合室で、手荷物を一あづけにしやうとしてゐるところを、突然いきなり背後うしろから
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あづかつて置いて頂戴」と云つた。三四郎はいささか迷惑の様な気がした。然しこんな時に争ふ事を好まぬ男である。其上往来だから猶更なおさら遠慮をした。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やさしいこゑ時々とき/″\くのであるし、から直接ぢかに、つかひのようの、うけわたしもするほどなので、御馳走ごちそうまへたゞあづけだと、肝膽かんたんしぼつてもだえてた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みぎぢくになつてりますが、三遊亭いうてい共有物きよういうぶつとして、円朝わたくし門弟共もんていどもはうあづけておきましたけれども、これ河竹黙阿弥翁かはたけもくあみをう所有しよいうされてたのを、円朝わたくしもらけました。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
はなの、うして、二本ふたもとばかりかれたあとを、をとこかごのまゝ、撫子なでしこも、百合ゆりむね滿つるばかりあづけられた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにたいして面倒でもありませんがね」とすぐに机の抽出ひきだしから、あづかつたものをして、三四郎にわたした。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
昨夜ゆふべまへさんにあづけた、アノ胴巻どうまきしてんな。主「はい/\此品このしな御座ございますか。客「イヤこれを忘れちや大事おほごとだ、アヽ有難ありがたい、はい左様さやうなら。主「ア、つちまつた。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
といつて、わたしはきよとりとした。——これは帰京ききやう早々そう/\たづねにあづかつた緑蝶夫人ろくてふふじんとひこたへたのであるが——じつくち宿やど洋燈ランプだつたので、近頃ちかごろ余程よほどめづらしかつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小六ころくあにから自分じぶん學資がくしほどあつて、何年分なんねんぶん勘定かんぢやうで、叔父をぢあづけられたかを、いてかなかつたから、叔母をばからはれてると、一言ひとことかへやうがなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たいまへさんはなに証拠しようこあづけたとひなさるか、あづけたものなら証拠しようこければならない。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
となり八疊はちでふに、家内かないとその遠縁とほえんにあたるむすめを、あそびに一人ひとりあづかつたのと、ふすまをならべてゐる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつはね情死しんぢゆうそこなひました、相手あひて本町ほんちやう薬屋くすりやの息子さんで、二人とも助かりまして品川溜しながはだめあづけられて、すんでに女太夫をんなたいふに出るところをいゝあんばいにけてこゝにてゐますが。
掻蹲かつゝくばひ、両腕りやううでひざあづけたまゝ啣煙管くはへぎせる摺出すりだていは、くちばしながさぎ船頭せんどうけたやうなさまである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしも少しおどろきまして、此分このぶんではとてこと出来できまいと困りましたから、わたし日頃ひごろ御贔屓ごひいきあづかりまする貴顕きけんのおかたところまゐりまして、みぎのお話をいたしますると、そんならばさいはひわたくしくから
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
半纏着はんてんぎは、みづあさいしおこして、山笹やまざさをひつたりはさんで、細流さいりう岩魚いはなあづけた。溌剌はつらつふのはこれであらう。みづ尾鰭をひれおよがせていははしる。そのまゝ、すぼりと裸體はだかつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手のさき天窓あたまさきそろへ、どうめて閑雅しとやか辞儀じぎをして、かね/″\おまねきにあづかりました半田屋はんだや長兵衛ちやうべゑまうす者で、いたつて未熟みじゆくもの、此後こののちともお見知みしかれて御懇意ごこんいに願ひますとふと
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
……こゝの御新姐ごしんぞの、人形町にんぎやうちやう娘時代むすめじだいあづかつた、女學校ぢよがくかう先生せんせいとほして、ほのかに樣子やうすつてゐるので……以前いぜんわたしちひさなさくなかに、すこ家造やづくりだけ借用しやくようしたことがある。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうもなにからなにまでお厚情なさけあづかりまして、有難ありがたぞんじます。
わたしたちは、蝙蝠傘かうもりがさを、階段かいだんあづけて、——如何いか梅雨時つゆどぎとはいへ……本來ほんらい小舟こぶねでぬれても、あめのなゝめなるべき土地柄とちがらたいして、かうばんごと、繻子張しゆすばり持出もちだしたのでは
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かういふときだ。在郷軍人ざいがうぐんじんが、シヤツ一枚いちまいで、見事みごとくつわ引留ひきとめた。が、このおほきなものを、せまい町内ちやうない何處どこへつなぐところもない。御免ごめんだよ、たれもこれをあづからない。そのはずで。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うちからさをなんぞ……はりいとしのばしてはなかつたが——それは女房にようばうしきり殺生せつしやうめるところから、つい面倒めんだうさに、近所きんじよ車屋くるまや床屋とこやなどにあづけていて、そこから内證ないしよう支度したくして
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しながら、ふと猶予ためらつたのは、ひとつ、自分じぶんほかに、やはらかく持添もちそへてるやうだつたからである。——いやひとそでのしのばるゝ友染いうぜんふくろさへ、汽車きしやなかあづけてたのに——
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
名物めいぶつ切干大根きりぼしだいこんあまいにほひをなつかしんで、手製てせいののりまきしか稚氣ちきあいすべきことは、あの渦卷うづまき頬張ほゝばつたところは、飮友達のみともだちわらはばわらへ、なくなつたおやどもには褒美はうびあづからうといふ
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)