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訴
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うつた
ふりがな文庫
“
訴
(
うつた
)” の例文
お濱の
眼
(
め
)
——
訴
(
うつた
)
へるやうに平次を仰ぐ黒い眼は、夕立を浴びたやうにサツと濡れて、ハラハラと
拭
(
ぬぐ
)
ひもあへぬ涙が膝にこぼれました。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども第一に
困
(
こま
)
つたのは、平岡の勝手
元
(
もと
)
の都合を、三千代の
訴
(
うつた
)
へによつて
知
(
し
)
つたと
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
しては、三千代に
迷惑
(
めいわく
)
が
掛
(
かゝ
)
るかも知れない。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さうして
女房
(
にようばう
)
は
激烈
(
げきれつ
)
な
神經痛
(
しんけいつう
)
を
訴
(
うつた
)
へつゝ
死
(
し
)
んだ。
卯平
(
うへい
)
は
有繋
(
さすが
)
に
泣
(
な
)
いた。
葬式
(
さうしき
)
は
姻戚
(
みより
)
と
近所
(
きんじよ
)
とで
營
(
いとな
)
んだが、
卯平
(
うへい
)
も
漸
(
やつ
)
と
杖
(
つゑ
)
に
縋
(
すが
)
つて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一
緒
(
しよ
)
に
飯
(
めし
)
なぞ
食
(
た
)
べると、
彼
(
かれ
)
はいつでも
心
(
こゝろ
)
の
空虚
(
くうきよ
)
を
訴
(
うつた
)
へるやうな
調子
(
てうし
)
でありながら、さう
言
(
い
)
つて
寂
(
さび
)
しい
顔
(
かほ
)
に
興奮
(
こうふん
)
の
色
(
いろ
)
を
浮
(
うか
)
べてゐた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
其方儀天一坊身分
聢
(
しか
)
と相糺さず
萬事
(
ばんじ
)
華麗
(
くわれい
)
の
體
(
てい
)
たらく有しを
如何
(
いかゞ
)
相心得居申候や
訴
(
うつた
)
へもせず
役儀
(
やくぎ
)
をも
勤
(
つとめ
)
ながら心付ざる段不屆に付退役申付る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
六千四百
噸
(
とん
)
の
巨船
(
きよせん
)
もすでに
半
(
なかば
)
は
傾
(
かたむ
)
き、
二本
(
にほん
)
の
煙筒
(
えんとう
)
から
眞黒
(
まつくろ
)
に
吐出
(
はきだ
)
す
烟
(
けぶり
)
は、
恰
(
あたか
)
も
斷末魔
(
だんまつま
)
の
苦悶
(
くもん
)
を
訴
(
うつた
)
へて
居
(
を
)
るかのやうである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
失望
(
しつはう
)
と
煩悶
(
はんもん
)
とがごツちやになツて
耐
(
た
)
へず
胸頭
(
むなさき
)
に
押掛
(
おしか
)
ける………其の
苦惱
(
くなう
)
、其の
怨
(
うらみ
)
、誰に
訴
(
うつた
)
へやうと思ツても訴へる
對手
(
あひて
)
がない。
喧嘩
(
けんくわ
)
は、
獨
(
ひとり
)
だ。
悪腕
(
わるあがき
)
を
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
私は耐へ、忍んだ總ての苦痛と悲しみは當然といふこと——最早この上耐へることが出來ないことを私は
訴
(
うつた
)
へたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
疼痛
(
とうつう
)
とは
疼痛
(
とうつう
)
の
活
(
い
)
きた
思想
(
しさう
)
である、
此
(
こ
)
の
思想
(
しさう
)
を
變
(
へん
)
ぜしむるが
爲
(
ため
)
には
意旨
(
いし
)
の
力
(
ちから
)
を
奮
(
ふる
)
ひ、
而
(
しか
)
して
之
(
これ
)
を
棄
(
す
)
てゝ
以
(
もつ
)
て、
訴
(
うつた
)
ふる
事
(
こと
)
を
止
(
や
)
めよ、
然
(
しか
)
らば
疼痛
(
とうつう
)
は
消滅
(
せうめつ
)
すべし。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
胸の底に
潜
(
ひそ
)
んだ
漠然
(
ばくぜん
)
たる苦痛を、
誰
(
たれ
)
と限らず
優
(
やさ
)
しい声で答へてくれる美しい女に
訴
(
うつた
)
へて見たくてならない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其
袂
(
たもと
)
を
捉
(
とら
)
へて『
餘
(
あんま
)
りじやアありませんか、
何卒
(
どうか
)
返却
(
かへ
)
して
戴
(
いたゞ
)
きたいもんです』と
泣聲
(
なきごゑ
)
になつて
訴
(
うつた
)
へた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
おとつさんは
刎橋
(
はねばし
)
の
番屋
(
ばんや
)
に
居
(
ゐ
)
るよと
習
(
なら
)
はずして
知
(
し
)
る
其道
(
そのみち
)
のかしこさ、
梯子
(
はしご
)
のりのまねびにアレ
忍
(
しの
)
びがへしを
折
(
おり
)
りましたと
訴
(
うつた
)
へのつべこべ、三
百
(
びやく
)
といふ
代言
(
だいげん
)
の
子
(
こ
)
もあるべし
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
含春
(
がんしゆん
)
も
亦
(
また
)
明敏
(
めいびん
)
にして、
此
(
こ
)
の
句
(
く
)
を
見
(
み
)
て
略
(
ほ
)
ぼ
心
(
こゝろ
)
を
知
(
し
)
り、
大
(
おほい
)
に
當代
(
たうだい
)
の
淑女振
(
しゆくぢよぶり
)
を
發揮
(
はつき
)
して、いけすかないとて
父
(
ちゝ
)
に
告
(
つ
)
ぐ。
父
(
ちゝ
)
や、
今古
(
こんこ
)
の
野暮的
(
やぼてん
)
、
娘
(
むすめ
)
に
惚
(
ほ
)
れたりとて
是
(
これ
)
を
公
(
おほやけ
)
に
訴
(
うつた
)
へたり。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
犠牲
(
ぎせい
)
だとか
精神的
(
せいしんてき
)
教育
(
けういく
)
だとか
能弁的
(
のうべんてき
)
に
社界
(
しやかい
)
に
訴
(
うつた
)
へながら自らは
米国的
(
べいこくてき
)
安楽主義
(
あんらくしゆぎ
)
を
採
(
と
)
るものなり、即ち義を見て為し得ざる
卑怯者
(
ひけうしや
)
なり、即ち
脳髄
(
のうずい
)
と
心臓
(
しんざう
)
と
性質
(
せいしつ
)
を
異
(
こと
)
にするものなり
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
まち
子
(
こ
)
は、そんなことを
訴
(
うつた
)
へるやうに
夫
(
をつと
)
に
云
(
い
)
つた。
彼女
(
かれ
)
は、
自分
(
じぶん
)
のすこやかな、
乙女
(
おとめ
)
の
時
(
とき
)
の
輕
(
かる
)
やかな、
快活
(
くわいくわつ
)
な
姿
(
すがた
)
を
夫
(
をつと
)
に
見
(
み
)
せることが
出來
(
でき
)
ないのを、
淋
(
さび
)
しいことのやうに
一人
(
ひとり
)
で
考
(
かんが
)
へた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
前の傾向は多数へ
訴
(
うつた
)
へる小説をうむことになりさうだし、
後
(
のち
)
の傾向は少数に訴へる小説をうむことになる筈である。即ち両者の傾向は相反してゐるけれども、どちらも起らぬと断言しがたい。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
近来
(
ちかごろ
)
都の
大臣殿
(
おほいどの
)
の
一六一
御願
(
ごぐわん
)
の事みたしめ給ひて、
一六二
権現
(
ごんげん
)
におほくの宝を奉り給ふ。さるに此の
神宝
(
かんだから
)
ども、
一六三
御宝蔵
(
みたからぐら
)
の中にて
頓
(
とみ
)
に
失
(
う
)
せしとて、
一六四
大宮司
(
だいぐじ
)
より国の
守
(
かみ
)
に
訴
(
うつた
)
へ出で給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
二十一日の
暁
(
あかつき
)
になつても、大風雨は
止
(
や
)
みさうな
気色
(
けしき
)
もない。平八郎
父子
(
ふし
)
と瀬田とは、渡辺の
死骸
(
しがい
)
を
跡
(
あと
)
に残して、
産土
(
うぶすな
)
の
社
(
やしろ
)
を出た。土地の百姓が死骸を見出して
訴
(
うつた
)
へたのは、二十二日の事であつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
眼下
(
がんか
)
に
茫々
(
ばう/\
)
たる大湖ありと、衆忽ち
拍手
(
はくしゆ
)
して帰途の
方針
(
ほうしん
)
を
定
(
さだ
)
むるを得たるを
喜
(
よろこ
)
び、帰郷の
近
(
ちか
)
きを
祝
(
しゆく
)
す、
日
(
ひ
)
既
(
すで
)
に中して
腹中
(
ふくちう
)
頻
(
しき
)
りに飢を
訴
(
うつた
)
ふ、されども一
滴
(
てき
)
の水を得る能はず、
况
(
いわ
)
んや飯を
炊
(
かし
)
くに
於
(
おい
)
てをや
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
が
時々
(
とき/″\
)
、もっとよい
暮
(
くら
)
しがしたいといふ
氣持
(
きも
)
ちが
起
(
おこ
)
らなくもありません。それは
多
(
おほ
)
くは
家族
(
かぞく
)
のものたちが、
主人
(
しゆじん
)
に
訴
(
うつた
)
へる
場合
(
ばあひ
)
、
或
(
あるひ
)
はさういふ
心持
(
こゝろも
)
ちを
顏
(
かほ
)
に
現
(
あらは
)
してゐる
場合
(
ばあひ
)
に
起
(
おこ
)
つて
來
(
く
)
る
氣持
(
きも
)
ちなのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
私
(
わたし
)
は
自分
(
じぶん
)
の
不安
(
ふあん
)
と
苦痛
(
くつう
)
を
訴
(
うつた
)
へたが、
其
(
それ
)
も
効
(
かひ
)
はなく、
此
(
この
)
まゝ
秘密
(
ひみつ
)
にしてくれと
云
(
い
)
ふ
妻
(
つま
)
の
哀願
(
あいぐわん
)
を
容
(
い
)
れて、
此事
(
このこと
)
は一
時
(
じ
)
其
(
その
)
まゝに
葬
(
はふむ
)
ることにした。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
殺したる事大膽不敵の
擧動
(
ふるまひ
)
なり伊勢屋方より
訴
(
うつた
)
へたる旅僧も同夜の事なれば是は
汝
(
なんぢ
)
が
同類
(
どうるゐ
)
成
(
なる
)
べし
殊更
(
ことさら
)
其方
(
そのほう
)
は金屋にて盜みし櫛を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
斯
(
か
)
うなると
少
(
すこ
)
し
遣場
(
やりば
)
に
困
(
こま
)
るのね」と
訴
(
うつた
)
へる
樣
(
やう
)
に
宗助
(
そうすけ
)
に
告
(
つ
)
げた。
實際
(
じつさい
)
此所
(
こゝ
)
を
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げられては、
御米
(
およね
)
の
御化粧
(
おつくり
)
をする
場所
(
ばしよ
)
が
無
(
な
)
くなつて
仕舞
(
しま
)
ふのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
貧乏
(
びんばふ
)
な
所帶
(
しよたい
)
であれば
彼等
(
かれら
)
は
幾
(
いく
)
ら
少量
(
せうりやう
)
でも
不足
(
ふそく
)
をいはぬ。
然
(
しか
)
し
多少
(
たせう
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
ると
彼等
(
かれら
)
が
認
(
みと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
家
(
うち
)
でそれを
惜
(
をし
)
めば
彼等
(
かれら
)
は
不平
(
ふへい
)
を
訴
(
うつた
)
へて
止
(
や
)
まぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
見え隱れに八をつけてやるから、直ぐ番所へ駈け込み
訴
(
うつた
)
へをしろ、お係り同心が出役になつてゐる筈だ。——俺に言はれたなんて、間違つても言ふなよ。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
職務
(
しよくむ
)
を
取
(
と
)
るのは
前
(
まへ
)
にも
不好
(
いや
)
であつたが、
今
(
いま
)
は
猶
(
なほ
)
一
層
(
そう
)
不好
(
いや
)
で
堪
(
たま
)
らぬ、と
云
(
い
)
ふのは、
人
(
ひと
)
が
何時
(
いつ
)
自分
(
じぶん
)
を
欺
(
だま
)
して、
隱
(
かくし
)
にでも
密
(
そつ
)
と
賄賂
(
わいろ
)
を
突込
(
つきこ
)
みは
爲
(
せ
)
ぬか、
其
(
そ
)
れを
訴
(
うつた
)
へられでも
爲
(
せ
)
ぬか
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
近
(
ちかづ
)
いて
視
(
み
)
ると
例
(
れい
)
の石を
持
(
もつ
)
て居るので大に
驚
(
おどろ
)
き其
男
(
をとこ
)
を
曳
(
ひき
)
ずつて
役場
(
やくば
)
に出て
盜難
(
たうなん
)
の
次第
(
しだい
)
を
訴
(
うつた
)
へた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
然
(
しか
)
るに
二時
(
ふたとき
)
と
忍
(
しの
)
ぶを
得
(
え
)
ず、
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
窮
(
きう
)
を
訴
(
うつた
)
へ、
只管
(
ひたすら
)
籠
(
かご
)
を
出
(
い
)
でむとわぶ、
汝
(
なんぢ
)
すら
其通
(
そのとほ
)
りぞ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大屋樣
(
おほやさま
)
地主樣
(
ぢぬしさま
)
いづれの
御無理
(
ごむり
)
も
御尤
(
ごもつとも
)
と
受
(
う
)
ける
質
(
たち
)
なれば、
長吉
(
ちようきち
)
と
喧嘩
(
けんくわ
)
してこれこれの
亂暴
(
らんぼう
)
に
逢
(
あ
)
ひましたと
訴
(
うつた
)
へればとて、それは
何
(
ど
)
うも
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い
大屋
(
おほや
)
さんの
息子
(
むすこ
)
さんでは
無
(
な
)
いか
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
明
(
あす
)
は
訴
(
うつた
)
へ出でよといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
偖
(
さて
)
又
(
また
)
憑司は其夜昌次郎を立せやり
草履
(
ざうり
)
に血の付たるを
持
(
もち
)
て傳吉宅へ
忍
(
しの
)
び
込
(
こみ
)
庭
(
には
)
の
飛石
(
とびいし
)
へ血を付置き夫より高田の役所へ
夜通
(
よどほ
)
しに往て
訴
(
うつた
)
へ
捕方
(
とりかた
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
此頃
(
このごろ
)
室中
(
しつちゆう
)
に
來
(
きた
)
つて、
何
(
ど
)
うも
妄想
(
まうざう
)
が
起
(
おこ
)
つて
不可
(
いけ
)
ない
抔
(
など
)
と
訴
(
うつた
)
へるものがあるが」と
急
(
きふ
)
に
入室者
(
にふしつしや
)
の
不熱心
(
ふねつしん
)
を
戒
(
いま
)
しめ
出
(
だ
)
したので、
宗助
(
そうすけ
)
は
覺
(
おぼ
)
えずぎくりとした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
は
灸
(
きう
)
の
如
(
ごと
)
き
跡
(
あと
)
をぽつ/\と
止
(
とゞ
)
めたのみで
衣物
(
きもの
)
の
心部
(
しんぶ
)
は
深
(
ふか
)
く
噛
(
か
)
まなかつた。
埃
(
ほこり
)
は
彼
(
かれ
)
を
越
(
こ
)
えて
走
(
はし
)
つた。
與吉
(
よきち
)
は
火傷
(
やけど
)
の
疼痛
(
とうつう
)
を
訴
(
うつた
)
へて
獨
(
ひとり
)
悲
(
かな
)
しく
泣
(
な
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして、身を
潜
(
ひそ
)
めて樣子を見てゐると、春日邦之助が通用門から出て來て死骸を引ずつて餅の木坂の秋山家の門前に捨てた——と、かう
訴
(
うつた
)
へたんださうですよ
銭形平次捕物控:193 色若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨夜も散歩の帰りに、好子は子供のことで
少
(
すこ
)
しばかり
融
(
とほる
)
に
訴
(
うつた
)
へるところがあつた。訴へるといつても、それは愚痴とか不満とかいふやうな種類のものでは決してなかつた。
二人の病人
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
身
(
み
)
に
引
(
ひき
)
うけて
世話
(
せわ
)
をすること
眞
(
しん
)
の
兄弟
(
けうだい
)
も
出來
(
でき
)
ぬ
業
(
わざ
)
なり、これを
色眼鏡
(
いろめがね
)
の
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
にはほろ
醉
(
よひ
)
の
膝
(
ひざ
)
まくらに
耳
(
みヽ
)
の
垢
(
あか
)
でも
取
(
と
)
らせる
處
(
ところ
)
が
見
(
み
)
ゆるやら、さりとは
學士
(
がくし
)
さま
寃罪
(
ゑんざい
)
の
訴
(
うつた
)
へどころもなし。
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
矢庭
(
やには
)
に
引捕
(
ひつとら
)
へて
官
(
くわん
)
に
訴
(
うつた
)
へると二の
句
(
く
)
もなく
伏罪
(
ふくざい
)
したので、石の
在所
(
ありか
)
も
判明
(
はんめい
)
した。
官吏
(
やくにん
)
は
直
(
す
)
ぐ石を
取寄
(
とりよ
)
せて一見すると、これ亦た
忽
(
たちま
)
ち
慾心
(
よくしん
)
を
起
(
おこ
)
し、これは
官
(
くわん
)
に
没收
(
ぼつしう
)
するぞと
嚴
(
おごそ
)
かに
言
(
い
)
ひ
渡
(
わた
)
した。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
學院
(
がくゐん
)
に
遣
(
つか
)
はして
子弟
(
してい
)
に
件
(
ともな
)
はしむれば、
愚
(
ぐ
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に
同窓
(
どうさう
)
に
辱
(
はづかし
)
めらる。
更
(
さら
)
に
街西
(
がいせい
)
の
僧院
(
そうゐん
)
を
假
(
か
)
りて
獨
(
ひと
)
り
心靜
(
こゝろしづ
)
かに
書
(
しよ
)
を
讀
(
よ
)
ましむるに、
日
(
ひ
)
を
經
(
ふ
)
ること
纔
(
わづか
)
に
旬
(
じゆん
)
なるに、
和尚
(
をしやう
)
のために
其
(
そ
)
の
狂暴
(
きやうばう
)
を
訴
(
うつた
)
へらる。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「もう
少
(
すこ
)
し
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
」と
御米
(
およね
)
が
訴
(
うつた
)
へるやうに
云
(
い
)
つた。
宗助
(
そうすけ
)
の
手
(
て
)
が
御米
(
およね
)
の
思
(
おも
)
ふ
所
(
ところ
)
へ
落
(
お
)
ち
付
(
つ
)
く
迄
(
まで
)
には、二
度
(
ど
)
も三
度
(
ど
)
も
其所
(
そこ
)
此所
(
こゝ
)
と
位置
(
ゐち
)
を
易
(
か
)
えなければならなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お雪といふのが毒死したといふ
訴
(
うつた
)
へのあつたのは、ある秋の日の夕方、係り同心
漆戸
(
うるしど
)
忠内の指圖で、平次と八五郎が飛んで行つたのは、その日も暮れて街へはもう
灯
(
あかり
)
の入る時分でした。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唯
(
たヾ
)
死
(
し
)
ねかしと
身
(
み
)
を
捨
(
すて
)
ものにして、
部屋
(
へや
)
より
外
(
そと
)
に
足
(
あし
)
も
出
(
だ
)
さず、
一心
(
いつしん
)
悔
(
くや
)
み
初
(
そ
)
めては
何方
(
いづかた
)
に
訴
(
うつた
)
ふべき、
先祖
(
せんぞ
)
の
耻辱
(
ちじよく
)
家系
(
かけい
)
の
汚
(
けが
)
れ、
兄君
(
あにぎみ
)
に
面目
(
めんもく
)
なく
人目
(
ひとめ
)
はずかしく、
我心
(
わがこヽろ
)
我
(
わ
)
れを
責
(
せ
)
めて
夜
(
よ
)
も
寐
(
ね
)
ず
晝
(
ひる
)
も
寐
(
ね
)
ず
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
訴
(
うつた
)
へるやうにいひました。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これでも
延
(
の
)
びるかと
押
(
おさ
)
へるやうな
仕方
(
しかた
)
に、
堪
(
た
)
へて
眞直
(
まつす
)
ぐに
延
(
の
)
びたつ
事
(
こと
)
人間
(
にんげん
)
わざには
叶
(
かな
)
ふまじ、
泣
(
な
)
いて
泣
(
な
)
いて
泣
(
な
)
き
盡
(
つく
)
くして、
訴
(
うつた
)
へたいにも
父
(
ちゝ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
鐵
(
かね
)
のやうに
冷
(
ひ
)
えて、ぬる
湯
(
ゆ
)
一
杯
(
ぱい
)
たまはらん
情
(
なさけ
)
もなきに
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
斯
(
か
)
ういつてお糸の聰明な美しい眼が、文七に
訴
(
うつた
)
へるのでした。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
又
(
また
)
訴
(
うつた
)
うる。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
訴
常用漢字
中学
部首:⾔
12画
“訴”を含む語句
訴訟
強訴
愁訴
告訴
訴訟沙汰
讒訴
訴人
哀訴
直訴
泣訴
嗷訴
公事訴訟
密訴
駈込訴訟
出訴
越訴
訴訟所
駈込訴
自訴
駕籠訴
...