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振向
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ふりむ
ふりがな文庫
“
振向
(
ふりむ
)” の例文
成
(
な
)
るたけ
順礼
(
じゆんれい
)
を
遠
(
とほ
)
くよけて、——
最
(
も
)
う
人気配
(
ひとけはひ
)
に
後
(
うしろ
)
へ
振向
(
ふりむ
)
けた、
銀杏返
(
ゐてふがへし
)
の
影法師
(
かげばふし
)
について、
横障子
(
よこしやうじ
)
を
裏
(
うら
)
へ
廻
(
まは
)
つた。
店
(
みせ
)
は
裏
(
うら
)
へ
行抜
(
ゆきぬ
)
けである。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
痴人
(
ばか
)
め!』
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
焦心
(
ぢれ
)
ッたさうに
御自身
(
ごじしん
)
の
頭
(
あたま
)
を
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
して
申
(
まを
)
されました、それから
愛
(
あい
)
ちやんに
振向
(
ふりむ
)
いて、『
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
す
名
(
な
)
ぢや?
子供
(
こども
)
』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
吾等
(
われら
)
も
喫驚
(
びつくり
)
して
其方
(
そなた
)
を
振向
(
ふりむ
)
くと、
此時
(
このとき
)
、
吾等
(
われら
)
の
立
(
た
)
てる
處
(
ところ
)
より、
大約
(
およそ
)
二百ヤード
許
(
ばかり
)
離
(
はな
)
れた
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
から、
突然
(
とつぜん
)
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
た
二個
(
ふたり
)
の
人
(
ひと
)
がある。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
お
京
(
きやう
)
さん
己
(
お
)
れが
本當
(
ほんたう
)
に
乞食
(
こじき
)
の
子
(
こ
)
ならお
前
(
まへ
)
は
今
(
いま
)
までのやうに
可愛
(
かあい
)
がつては
呉
(
く
)
れないだらうか、
振向
(
ふりむ
)
いて
見
(
み
)
ては
呉
(
く
)
れまいねと
言
(
い
)
ふに
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
背と腰には木葉を
綴
(
つづ
)
りたるものを
纏
(
まと
)
ひたり。横の方を
振向
(
ふりむ
)
きたる
面構
(
つらがま
)
へは、色黒く眼円く鼻ひしげ
蓬頭
(
ほうとう
)
にして
鬚
(
ひげ
)
延びたり。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
もっとも庭へは足を入れず、
傍屋
(
はなれ
)
を一度だって
振向
(
ふりむ
)
きもしなかった。ところがその晩になって、わたしは
驚
(
おどろ
)
くべき出来事をこの
眼
(
め
)
で見ることになった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
それから先は、
後方
(
うしろ
)
をも
振向
(
ふりむ
)
かず、
一散走
(
いつさんばし
)
りに夢中で
駈出
(
かけだ
)
したが、その横町を出ると、すぐ
其処
(
そこ
)
が
金剛寺坂
(
こんごうじざか
)
という坂なので、私はもう一生懸命にその坂を中途まで下りて来ると
青銅鬼
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
立見
(
たちみ
)
の混雑の中に
其
(
そ
)
の時
突然
(
とつぜん
)
自分の肩を
突
(
つ
)
くものがあるので
驚
(
おどろ
)
いて
振向
(
ふりむ
)
くと、
長吉
(
ちやうきち
)
は
鳥打帽
(
とりうちぼう
)
を
眉深
(
まぶか
)
に黒い
眼鏡
(
めがね
)
をかけて、
後
(
うしろ
)
の一段高い
床
(
ゆか
)
から首を
伸
(
のば
)
して
見下
(
みおろ
)
す若い男の顔を見た。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
別れた人のうしろ姿に、
霏々
(
ひひ
)
と雪ふぶきの吹いていたその日の別離を。——幾たびも
振向
(
ふりむ
)
いては去った彼の君の
眸
(
ひとみ
)
を。遂には、雪の中へ泣き倒れて、雪に埋もれていた自分の姿を。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
振向
(
ふりむ
)
いて見ると、富士はいつの間にか姿を出している。甲府盆地で見た時とは違って雄大の感がある。麓の方一条の白い河原は、富士川で、淡く煙りの立つあたりは鰍沢だと人夫は指す。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
「お房かな。」と思ツて、
所故
(
わざと
)
振向
(
ふりむ
)
きもせずにゐる。果してお房だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
『
君
(
きみ
)
よ』と
呼
(
よ
)
べば、
立
(
た
)
ちどまり、
振向
(
ふりむ
)
き
樣
(
ざま
)
に
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「艦長!」龍介は艦長を
振向
(
ふりむ
)
いて云った。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『そんな
事
(
こと
)
は
止
(
や
)
め!』と
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
叫
(
さけ
)
んで、『
眩暈
(
めまひ
)
がする』それから
薔薇
(
ばら
)
の
木
(
き
)
に
振向
(
ふりむ
)
いて、『
何
(
なに
)
をお
前方
(
まへがた
)
は
此處
(
こゝ
)
でして
居
(
ゐ
)
たのか?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
振向
(
ふりむ
)
き
状
(
ざま
)
に、ぶつきら
棒
(
ぼう
)
に
立
(
た
)
つて、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、
額
(
ひたい
)
を
擦
(
こす
)
つたのが、
悩乱
(
なうらん
)
した
頭
(
かしら
)
の
髪
(
かみ
)
を、
掻毮
(
かきむし
)
りでもしたさうに
見
(
み
)
えて、
煙
(
けむり
)
の
靡
(
なび
)
く
天井
(
てんじやう
)
を
仰
(
あふ
)
いだ。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼女は
振向
(
ふりむ
)
いたが、立ち止りもしないで、まるい麦わら
帽子
(
ぼうし
)
についている
幅
(
はば
)
の広い水色のリボンを、片手で
払
(
はら
)
いのけると、ちらとわたしに
眼
(
め
)
をそそぎ、軽くほほえんだなり
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
『おや、
貴方
(
あなた
)
如何
(
どう
)
かなすつて。』と
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
と
共
(
とも
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
振向
(
ふりむ
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
振向
(
ふりむ
)
ひて
見
(
み
)
てくれねば
此方
(
こちら
)
も
追
(
お
)
ひかけて
袖
(
そで
)
を
捉
(
と
)
らへるに
及
(
およ
)
ばず、
夫
(
それ
)
なら
廢
(
よ
)
せとて
夫
(
そ
)
れ
限
(
ぎ
)
りに
成
(
な
)
りまする、
相手
(
あいて
)
はいくらもあれども一
生
(
せう
)
を
頼
(
たの
)
む
人
(
ひと
)
が
無
(
な
)
いのでござんすとて
寄
(
よ
)
る
邊
(
べ
)
なげなる
風情
(
ふぜい
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
直
(
す
)
ぐに
答
(
こた
)
へて、
坂上
(
さかがみ
)
は
其
(
そ
)
のまゝ
立留
(
たちど
)
まつて、
振向
(
ふりむ
)
いた……ひやりと
肩
(
かた
)
から
窘
(
すく
)
みながら、
矢庭
(
やには
)
に
吠
(
ほ
)
える
犬
(
いぬ
)
に、(
畜生
(
ちくしやう
)
、)とて
擬勢
(
ぎせい
)
を
示
(
しめ
)
す
意氣組
(
いきぐみ
)
である。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
云
(
い
)
ふべき
言葉
(
ことば
)
もなく、
幾
(
いく
)
らかのお
茶
(
ちや
)
と
麺麭
(
パン
)
と
牛酪
(
バター
)
とを
出
(
だ
)
して、
福鼠
(
ふくねずみ
)
の
方
(
はう
)
に
振向
(
ふりむ
)
き、『
何故
(
なぜ
)
皆
(
みん
)
な
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
に
住
(
す
)
んでゐたの?』と
問
(
と
)
ひ
返
(
かへ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私
(
わたくし
)
も
愕然
(
がくぜん
)
として
振向
(
ふりむ
)
くと、
今迄
(
いまゝで
)
は
白色巡洋艦
(
はくしよくじゆんやうかん
)
の
一方
(
いつぽう
)
に
氣
(
き
)
を
取
(
と
)
られて、
少
(
すこ
)
しも
心付
(
こゝろづ
)
かなかつたが、
只
(
たゞ
)
見
(
み
)
る、
西方
(
せいほう
)
の
空
(
そら
)
一面
(
いちめん
)
に「ダンブロー
鳥
(
てう
)
」とて、
印度洋
(
インドやう
)
に
特産
(
とくさん
)
の
海鳥
(
かいてう
)
——
其
(
その
)
形
(
かたち
)
は
鷲
(
わし
)
に
似
(
に
)
て
嘴
(
くちばし
)
鋭
(
するど
)
く
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
七歳
(
なゝつ
)
のとしに
父親
(
てゝおや
)
得意塲
(
とくいば
)
の
藏普請
(
くらぶしん
)
に、
足塲
(
あしば
)
を
昇
(
のぼ
)
りて
中
(
なか
)
ぬりの
泥鏝
(
こて
)
を
持
(
も
)
ちながら、
下
(
した
)
なる
奴
(
やつこ
)
に
物
(
もの
)
いひつけんと
振向
(
ふりむ
)
く
途端
(
とたん
)
、
暦
(
こよみ
)
に
黒
(
くろ
)
ぼしの
佛滅
(
ぶつめつ
)
とでも
言
(
い
)
ふ
日
(
ひ
)
で
有
(
あり
)
しか、
年來
(
ねんらい
)
馴
(
な
)
れたる
足塲
(
あしば
)
をあやまりて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ちょうどその
瞬間
(
しゅんかん
)
、少女もわたしを
振向
(
ふりむ
)
いた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
と
撫肩
(
なでかた
)
の優しい上へ、笠の紐
弛
(
ゆる
)
く、
紅
(
べに
)
のような唇をつけて、横顔で
振向
(
ふりむ
)
いたが、
清
(
すず
)
しい
目許
(
めもと
)
に
笑
(
えみ
)
を浮べて
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出
(
だ
)
しぬけの
仰
(
おほ
)
せは
聞
(
き
)
ませぬとて
泣
(
な
)
くを、
恭助
(
けうすけ
)
振向
(
ふりむ
)
いて
見
(
み
)
んともせず、
理由
(
わけ
)
あればこそ、
人並
(
ひとなみ
)
ならぬ
事
(
こと
)
ともなせ、一々の
罪状
(
ざいじやう
)
いひ
立
(
たて
)
んは
憂
(
う
)
かるべし、
車
(
くるま
)
の
用意
(
ようい
)
もなしてあり、
唯
(
たゞ
)
のり
移
(
うつ
)
るばかりと
言
(
い
)
ひて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いま、
河鹿
(
かじか
)
の
流
(
なが
)
れに、たてがみを
振向
(
ふりむ
)
けながら、
柴
(
しば
)
積
(
つ
)
んだ
馬
(
うま
)
が
馬士
(
うまかた
)
とともに、ぼつと
霞
(
かす
)
んで
消
(
き
)
えたと
思
(
おも
)
ふと、
其
(
そ
)
のうしろから
一
(
ひと
)
つ
提灯
(
ちやうちん
)
。……
鄙唄
(
ひなうた
)
を、いゝ
聲
(
こゑ
)
で——
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「それ、
頭
(
あたま
)
が
危
(
あぶな
)
いわ。」「
合點
(
がつてん
)
だ。」といふ
下
(
した
)
から、コツン。おほゝゝほ。「あゝ
殘念
(
ざんねん
)
だ、
後姿
(
うしろすがた
)
だ。いや、えり
脚
(
あし
)
が
白
(
しろ
)
い。」といふ
所
(
ところ
)
を、シヤンに
振向
(
ふりむ
)
かれて、
南無三寶
(
なむさんばう
)
。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これよりして、私は、茶の煮える
間
(
ま
)
と言うもの、およそこの
編
(
へん
)
に
記
(
しる
)
した雀の可愛さをここで話したのである。時々
微笑
(
ほほえ
)
んでは
振向
(
ふりむ
)
いて聞く。娘か、若い妻か、あるいは
妾
(
おもいもの
)
か。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出口
(
でぐち
)
の
柳
(
やなぎ
)
を
振向
(
ふりむ
)
いて
見
(
み
)
ると、
間
(
ま
)
もなく、
俥
(
くるま
)
は、
御神燈
(
ごしんとう
)
を
軒
(
のき
)
に
掛
(
か
)
けた、
格子
(
かうし
)
づくりの
家居
(
いへゐ
)
の
並
(
なら
)
んだ
中
(
なか
)
を、
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
影
(
かげ
)
透
(
す
)
いて、
颯
(
さつ
)
と
紅
(
べに
)
を
流
(
なが
)
したやうな
式臺
(
しきだい
)
へ
着
(
つ
)
いた。
明山閣
(
めいざんかく
)
である。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「お有難や、お有難や。あゝ、
苦
(
く
)
を忘れて
腑
(
ふ
)
が抜けた。もし、
太夫様
(
たゆうさま
)
。」と敷居を
跨
(
また
)
いで、
蹌踉状
(
よろけざま
)
に
振向
(
ふりむ
)
いて、「あの、其のお
釵
(
かんざし
)
に……」——「え。」と紫玉が
鸚鵡
(
おうむ
)
を
視
(
み
)
る時
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
笠
(
かさ
)
さへ
振向
(
ふりむ
)
けもしなければ、
青牛
(
せいぎゅう
)
がまたうら
枯草
(
がれくさ
)
を踏む音も立てないで、のそりと歩む。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
螢
(
ほたる
)
と
紫陽花
(
あぢさゐ
)
が
見透
(
みとほ
)
しの
背戸
(
せど
)
に
涼
(
すゞ
)
んで
居
(
ゐ
)
た、
其
(
そ
)
のお
米
(
よね
)
さんの
振向
(
ふりむ
)
いた
瞳
(
め
)
の
情
(
なさけ
)
だつたのです。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
はつと
袖屏風
(
そでびょうぶ
)
して、
間
(
なか
)
を
遮
(
さえぎ
)
ると
斉
(
ひと
)
しく、御簾中の姿は、すつと
背後向
(
うしろむき
)
に成つた——
丈
(
たけ
)
なす黒髪が、
緋
(
ひ
)
の
裳
(
もすそ
)
に
揺
(
ゆら
)
いだが、
幽
(
かすか
)
に、雪よりも白き
御横顔
(
おんよこがお
)
の気高さが、
振向
(
ふりむ
)
かれたと思ふと
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
些
(
そよ
)
との
風
(
かぜ
)
もがなで、
明放
(
あけはな
)
した
背後
(
うしろ
)
の
肱掛窓
(
ひぢかけまど
)
を
振向
(
ふりむ
)
いて、
袖
(
そで
)
で
其
(
そ
)
のブーンと
鳴
(
な
)
くのを
拂
(
はら
)
ひながら、
此
(
こ
)
の
二階住
(
にかいずみ
)
の
主人
(
あるじ
)
唯吉
(
たゞきち
)
が、六
疊
(
でふ
)
やがて
半
(
なか
)
ばに
蔓
(
はびこ
)
る、
自分
(
じぶん
)
の
影法師越
(
かげぼふしご
)
しに
透
(
す
)
かして
視
(
み
)
る
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
然
(
さ
)
うで、
然
(
さ
)
うで、
名
(
めい
)
ぶつで。」と
振向
(
ふりむ
)
いて、
和笑
(
にやり
)
としながら、
平手
(
ひらて
)
で
又
(
また
)
敲
(
たゝ
)
いて、
續
(
つゞ
)
けざまにドン/\と
俵
(
たはら
)
を
打
(
う
)
つと、
言
(
い
)
ふにや
及
(
およ
)
ぶ、
眞白
(
まつしろ
)
なのが、ぱつ/\と
立
(
た
)
つ——
東京
(
とうきやう
)
の
埃
(
ほこり
)
の
中
(
なか
)
で
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
小児
(
こども
)
に
振向
(
ふりむ
)
けた、真白な気高い顔が、雪のように、
颯
(
さっ
)
と消える、とキリキリキリ——と台所を
六角
(
ろっかく
)
に
井桁
(
いげた
)
で仕切った、
内井戸
(
うちいど
)
の
轆轤
(
ろくろ
)
が鳴った。が、すぐに、かたりと小皿が響いた。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
一寸
(
ちよつと
)
横顏
(
よこがほ
)
を
旦那
(
だんな
)
の
方
(
はう
)
に
振向
(
ふりむ
)
けて、
直
(
す
)
ぐに
返事
(
へんじ
)
をした。
此
(
こ
)
の
細君
(
さいくん
)
が、
恁
(
か
)
う
又
(
また
)
直
(
たゞ
)
ちに
良人
(
をつと
)
の
口
(
くち
)
に
應
(
おう
)
じたのは、
蓋
(
けだ
)
し
珍
(
めづら
)
しいので。……
西洋
(
せいやう
)
の
諺
(
ことわざ
)
にも、
能辯
(
のうべん
)
は
銀
(
ぎん
)
の
如
(
ごと
)
く、
沈默
(
ちんもく
)
は
金
(
きん
)
の
如
(
ごと
)
しとある。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
拾
(
ひろ
)
ひ
乘
(
のり
)
だと、
樹
(
き
)
の
下
(
した
)
、
塀續
(
へいつゞ
)
きなぞで、わざ/\
振向
(
ふりむ
)
いて
然
(
さ
)
う
言
(
い
)
つた
事
(
こと
)
さへある。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
背中
(
せなか
)
に、むつとして、いきれたやうな
可厭
(
いや
)
な
声
(
こゑ
)
。
此
(
これ
)
は、と
視
(
み
)
ると、すれ
違
(
ちが
)
つて、
通
(
とほ
)
り
状
(
ざま
)
に
振向
(
ふりむ
)
いたのは、
真夜中
(
まよなか
)
の
雨
(
あめ
)
に
饂飩
(
うどん
)
を
食
(
く
)
つた、
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の一
筋
(
すぢ
)
ならびの、
唇
(
くちびる
)
の
爛
(
たゞ
)
れたあの
順礼
(
じゆんれい
)
である。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御神輿
(
おみこし
)
は、あらぬ
向
(
むか
)
う
側
(
がは
)
を
練
(
ね
)
つて、
振向
(
ふりむ
)
きもしないで
四五十間
(
しごじつけん
)
ずつと
過
(
す
)
ぎる。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
沢が、声を掛けようとして、思はず
行詰
(
ゆきづま
)
つた時、向うから先んじて
振向
(
ふりむ
)
いた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
足駄
(
あしだ
)
の
緒
(
を
)
が
少
(
すこ
)
し
弛
(
ゆる
)
んで
居
(
ゐ
)
るので、
足許
(
あしもと
)
を
氣
(
き
)
にして、
踏揃
(
ふみそろ
)
へて、
袖
(
そで
)
の
下
(
した
)
へ
風呂敷
(
ふろしき
)
を
入
(
い
)
れて、
胸
(
むね
)
をおさへて、
顏
(
かほ
)
だけ
振向
(
ふりむ
)
けて
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るので。
大方
(
おほかた
)
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
でそんなもの
見
(
み
)
るのが
氣恥
(
きはづ
)
かしいのであらう。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
丁
(
ちやう
)
ど
瞳
(
ひとみ
)
を
離
(
はな
)
して、あとへ
一歩
(
ひとあし
)
振向
(
ふりむ
)
いた
處
(
ところ
)
が、
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
の
曲角
(
まがりかど
)
で、やゝ
高
(
たか
)
い
向岸
(
むかうぎし
)
の、
崖
(
がけ
)
の
家
(
うち
)
の
裏口
(
うらぐち
)
から、
巖
(
いは
)
を
削
(
けづ
)
れる
状
(
さま
)
の
石段
(
いしだん
)
五六段
(
ごろくだん
)
を
下
(
お
)
りた
汀
(
みぎは
)
に、
洗濯
(
せんたく
)
ものをして
居
(
ゐ
)
た
娘
(
むすめ
)
が、
恰
(
あたか
)
もほつれ
毛
(
げ
)
を
掻
(
か
)
くとて
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「え?」と沢は
振向
(
ふりむ
)
いて、
些
(
ち
)
と
怯
(
おび
)
えたらしく
聞返
(
ききかえ
)
す、……
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
娘
(
むすめ
)
も
肩越
(
かたごし
)
に
衝
(
つ
)
と
振向
(
ふりむ
)
いた。
一同
(
いちどう
)
、
熟
(
じつ
)
と
二人
(
ふたり
)
を
見
(
み
)
た。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ふと
言淀
(
いひよど
)
むかして、
默
(
だま
)
つて、
美人
(
びじん
)
は
背後
(
うしろ
)
を
振向
(
ふりむ
)
いた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
思
(
おも
)
はず
振向
(
ふりむ
)
いて
池
(
いけ
)
の
方
(
はう
)
、うしろの
水
(
みづ
)
を
見返
(
みかへ
)
つた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と糸車の前をずりもせず、顔ばかり
振向
(
ふりむ
)
く
方
(
かた
)
。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
窓
(
まど
)
から
見
(
み
)
たまゝ
振向
(
ふりむ
)
きもしないで、
急込
(
せきこ
)
んで
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
振向
(
ふりむ
)
いたのを、
莞爾
(
にこ
)
やかに
笑
(
え
)
み迎えて
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“振”で始まる語句
振
振舞
振返
振袖
振顧
振分
振廻
振翳
振子
振切