ちひ)” の例文
丁度ちようど普通ふつうちひさななみについてはまおい經驗けいけんするとほりであるから、此状態このじようたいになつてからは、なみといふよりもむしながれといふべきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
たとへば越中えつちゆう氷見ひみ大洞穴だいどうけつなかには、いまちひさいやしろまつられてありますが、そのあななかから石器時代せつきじだい遺物いぶつがたくさんにました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しな天秤てんびんおろした。おしなたけみじか天秤てんびんさきえだこしらへたちひさなかぎをぶらさげてそれで手桶てをけけてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
するととほくのはうでパタ/\とちひさな跫音あしおとのするのがきこえました、あいちやんはいそいでいてなにたのだらうかとてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そこへると最早もはや寒帶林かんたいりんをはりにちかづいたことがわかります。すなはち落葉松林からまつばやしはゞはごくせまくなつてをり、ちひさくなつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
かへるにくべにはちをくはへてはうんできますが、そのちひさなかへるにくについたかみきれ行衛ゆくゑ見定みさだめるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いやだよ。御父おとつちやんべい。おほきい御馬おむまつてれなくつちや、彼方あつちかないよ」とこたへた。こゑちひさいをとここゑであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
視力もとかへりてちひさきかゞやきに堪ふるに及び(わがこれを小さしといへるはしひてわが目を離すにいたれる大いなる輝に比ぶればなり)
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
石疊いしだたみ穿下ほりおろした合目あはせめには、のあたりにさんするなんとかいふかに甲良かふら黄色きいろで、あしあかい、ちひさなのが數限かずかぎりなくむらがつてうごいてる。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けれども貴殿あなたがそういふことをまうされるのも要之つまりぼくが一のちひさな小學校せうがくかう出身しゆつしんであることをほこるとか、感謝かんしやするとかふのは
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「はい。そればかりではありません。世界せかいにはわたしどものらないことが數限かずかぎりなくあります。——ちひさなところでひと威張ゐばつてゐることの」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「さうですね、そのへんつてゐるやうなちひさないしでも、戦争後せんさうご物価ぶつかがちがひますからな、五六千円せんゑんはかゝるつもりでないと出来できません。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
この二首にしゆうたは、うたがひもなく、景色けしきんだうたであります。畝傍山うねびやま附近ふきんの、ちひさな範圍はんい自然しぜんうたつた、いはゆる敍景詩じよけいしといふものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ちひさく、はなあかく、肩幅かたはゞひろく、せいたかく、手足てあし圖※づぬけておほきい、其手そのてつかまへられやうものなら呼吸こきふまりさうな。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
舊藩きうはん因縁いんねん執着しふちやくする元氣げんき豪傑連がうけつれんや、ちひさな愛國者達あいこくしやたちが、墮落だらくしたコスモポリタンを批難ひなんするのであつた。
お深は傍邊よりモシ九郎兵衞殿其彫物ほりものは此あひだソレちひさく有たと云れたではないかと九郎兵衞へで知らせる樣子なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わがはちやうど蝗虫いなごのやうだ、こゝよ、かしこよと跳回はねまはる、うなつてあるく、また或時あるとき色入いろいりはねひろげて、ちひさなくびきとほつて、からところをみせもする。
もんいたと思ふとちひさな足音あしおとがして、いきなりお縁側えんがはのところで「さいなら!」などゝ言つてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
一人ひとりつまなるべしつゐするほどの年輩ねんぱいにてこれは實法じつぱふちひさき丸髷まるまげをぞひける、みたるひとるよりやがて奧深おくふかとこかせて、くゝまくらつむりおちつかせけるが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どうぢゃ! 噴水像みづふきどの! え、まだいておぢゃるか? え、いつまでも雨天しけつゞきか? 其許おぬしたんだひとつのちひさい身體からだで、ふねにもなれば、うみにもかぜにもなりゃる。
それはねこのため、兒猫こねこのため、五すんにたらぬちひさなねこぴきで、五しやくちかからだてあます。くるしい。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
さうして街の水路から樋をくぐつて來るかのちひさいながれは隱居屋の涼み臺の下を流れ、泉水に分れ注ぎ、酒桶を洗ひ眞白な米を流す水となり、同じ屋敷内の瀦水に落ち
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
こたへて、茶色ちやいろのスエエタアをた、まるまるふとつたからだをよちよちさせながら、敏樹としきべつちひさなまりげた。が、見當けんたうはづれて、それはをつとよこへそれてしまつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そして、相手あひてとりしたほうへとだんだんちひさくなつてちてゆき、えなくなつてしまふと、そのときこそ得意とくいさうにはねらして、カラカラとそらのまんなかで、わらふのだつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
そしてちひさな聲ですぐ眼の前の人を呼ぶやうに、しかしながら遠い我子とわがをつととを見つめて
(旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、雛形娘ひながたむすめ飾紐かざりひも雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、ちひさい人形にんぎやうのやうに立派なので兄弟きやうだい玩弄おもちやになつてゐる、おまへは全體ぜんたいおろかなのか、こすいのか、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
されば家塾かじゆく放任主義はうにんしゆぎおこなふのは畢竟ひつきやう獨立心どくりつしんやしなためであつて、このせまちひさな家塾かじゆく習慣しふくわんをつけてくのは他日たじつおほひなる社會しやくわいひろ世界せかいことけない仕度したく御在ございます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
たい日本にほんけんよりちひさいものにぐんけてゐるのは不都合ふつがふだと、吉田東伍よしだとうごさんなんぞは不服ふふくとなへてゐる。りよはたして台州たいしう主簿しゆぼであつたとすると日本にほん府縣知事ふけんちじくらゐ官吏くわんりである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ちひさなすぎや、たけよりもなが枯萱かれかやしげつてるので、たれ何處どこるのやらわからぬ。
が、おも硝子戸ガラスど中中なかなかおもふやうにあがらないらしい。あのひびだらけのほほいよいよあかくなつて、時時ときどき鼻洟はなをすすりこむおとが、ちひさないきれるこゑと一しよに、せはしなくみみへはひつてる。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ちひさな土橋どばしひとつ、小川をがは山川やまがはそゝぐところにかゝつてゐた。山川やまがはにははしがなくて、香魚あゆみさうなみづが、きやう鴨川かもがはのやうに、あれとおなじくらゐのはゞで、あさくちよろ/\とながれてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
まるで狂暴きやうばうわしまへにすゑられた小鳥ことりのやうに、おとなしくちひさくなつてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
娘は涙に濡れた顏を、無造作に袂で拭いて、部屋の隅に行膝ゐざり寄りました。外から歸つたばかりの、晴着らしい赤い帶、頬が涙に濡れて、ちひさめの顏が、本當に花のやうに匂ひさうです。
春の眺めは一目千両とはちひせえ/\! などゝ声を合せたがつたが、いつかの晩に耳にした太十等の歌声の素晴しさに比べると、月鼈げつべつの相違であることが益々明らかに想はれるだけだつた。
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
此処こゝでさん/″\たせられて、彼此かれこれ三四十ぷん暗黒くらやみなかつたのちやうや桟橋さんばしそとることが出来できた。したのはかたばかりのちひさな手荷物てにもつで、おほきなトランクは明朝みやうてうりにいとのことだ。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
ある時はフィリップのごとさき町にちひさき人々ひとを愛せむと思ふ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
ちひさい問題もんだいのやうでじつ重大ぢうだいなる問題もんだいである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
お前たちの手はまだちひさいけれど——。
ゆづり葉 (新字旧仮名) / 河井酔茗(著)
ちひさき鳥に滅亡を齎らす鷹の近づくを
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
そのつらを、ちひせエ声してブツクサ呟く
ちひさき魚はにもとまらず。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
そのかみれにちひさなる
夏の日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
とうさんちひさいそのとき
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ちひさ姿をみいる時。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
きつとちひちやい
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
一寸ちよつとたまへ」とつて、燐寸まつち瓦斯ガス煖爐だんろいた。瓦斯ガス煖爐だんろへや比例ひれいしたごくちひさいものであつた。坂井さかゐはしかるのち蒲團ふとんすゝめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
みちのゆくには、藁屋わらやちひさく、ゆる/\うねみちあらはれた背戸せどに、牡丹ぼたんゑたのが、あのときの、子爵夫人ししやくふじんのやうにはるかのぞいてえた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから乾菓子ひぐわしべました。おほきなとり其味そのあぢわからないとつてこぼす、ちひさなとりせて背中せなかたゝいてもらう、それは/\大騷おほさわぎでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おつぎはだまつて草履ざうり脱棄ぬぎすてゝ座敷ざしきけあがつて、戸棚とだなからちひさなふる新聞紙しんぶんしふくろさがして、自分じぶんひらすこ砂糖さたうをつまみして
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そこからうへふたゝ落葉濶葉樹らくようかつようじゆのかばるいとかはんのきるいとか、うつくしいはなくしゃくなげなどちひさくひく植物しよくぶつ生育せいいくしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)