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激
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げき
ふりがな文庫
“
激
(
げき
)” の例文
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
ると、
水
(
みず
)
がさらさらといって、
岩
(
いわ
)
に
激
(
げき
)
して、
白
(
しろ
)
く
砕
(
くだ
)
けていました。ところどころにある、つたうるしが
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
になっていました。
空晴れて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
〔譯〕民の
義
(
ぎ
)
に因つて以て之を
激
(
げき
)
し、民の
欲
(
よく
)
に因つて以て之を
趨
(
はし
)
らさば、則ち民其の生を
忘
(
わす
)
れて其の死を
致
(
いた
)
さん。是れ以て一
戰
(
せん
)
す可し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
激
(
げき
)
しているのでも無く、
怖
(
おそ
)
れているのでも無いらしい。が、何かと
談話
(
だんわ
)
をしてその
糸口
(
いとぐち
)
を引出そうとしても、夫はうるさがるばかりであった。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
何
(
ど
)
れ
程
(
ほど
)
それが
激
(
げき
)
した
心
(
こゝろ
)
に
忌々敷
(
いま/\しく
)
くても
其
(
そ
)
れを
窘
(
たしな
)
めて
叱
(
しか
)
つて
遣
(
や
)
る
何
(
なん
)
の
手
(
て
)
がかりも
有
(
も
)
つて
居
(
を
)
らぬ。三
人
(
にん
)
は
只
(
たゞ
)
默
(
だま
)
つて
歩
(
ある
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
技師は
激
(
げき
)
しているから花前の花前たるところにいっこう気がつかない。技師はたまりかねたか、ここでは話ができないといって
玄関
(
げんかん
)
へまわった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
その
総滝
(
そたき
)
とは川はゞはおよそ百
間
(
けん
)
ちかくもあるべきに、大なる
岩石竜
(
がんぜきりやう
)
の
臥
(
ふし
)
たるごとく
水中
(
すゐちゆう
)
にあるゆゑに、おとしくる水これに
激
(
げき
)
して滝をなす也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
だが卜斎の
返答
(
へんとう
)
が
雄弁
(
ゆうべん
)
だけで、ところどころうまくごま
化
(
か
)
しているのをつらにくくおもった
村上賛之丞
(
むらかみさんのじょう
)
は、やや
激
(
げき
)
して
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荒浪
(
あらなみ
)
激
(
げき
)
する洋上をすれすれに飛んだり、あるいはまた、雲一つない三千メートルの高空にのぼったりして、消えた巨船の行方をさがしもとめたけれど
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そんな男か」と跡部が聞くと、「矢部様の前でお話をしてゐるうちに
激
(
げき
)
して来て、六寸もある
金頭
(
かながしら
)
を頭からめり/\と
咬
(
か
)
ん食べたさうでございます」
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
...
私
(
わたくし
)
は
無論
(
むろん
)
哲人
(
てつじん
)
でも、
哲學者
(
てつがくしや
)
でも
無
(
な
)
いのですから。』と、
更
(
さら
)
に
激
(
げき
)
して。『ですから、
那麼事
(
こんなこと
)
に
就
(
つ
)
いては
何
(
な
)
にも
解
(
わか
)
らんのです。
議論
(
ぎろん
)
する
力
(
ちから
)
が
無
(
な
)
いのです。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
若い男の影と若い女の影があった。始めは男が
激
(
げき
)
して女が泣いた。
後
(
あと
)
では女が激して男が
宥
(
なだ
)
めた。ついには二人手を引き合って音のしない砂の上を歩いた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甲斐守は、膝に手をおいて、虫の音に聴きいるような眼つきをしていたが、急に
激
(
げき
)
したような口調になって
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
『そして
誇
(
ほこ
)
りますか。そして
其出身
(
そのしゆつしん
)
たることを
感謝
(
かんしや
)
しますか』と
問
(
と
)
ひ
返
(
か
)
へした
兒玉
(
こだま
)
の
口調
(
くてう
)
はやゝ
激
(
げき
)
して
居
(
ゐ
)
た。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「何を
怒
(
いか
)
るや
怒
(
いか
)
り
猪
(
い
)
の——
俄
(
にわか
)
に
激
(
げき
)
する数千
騎
(
き
)
」
突如
(
とつじょ
)
として山
崩
(
くず
)
れ落つ
鵯越
(
ひよどりごえ
)
の
逆落
(
さかおと
)
し、
四絃
(
しげん
)
を
奔
(
はし
)
る
撥音
(
ばちおと
)
急雨
(
きゅうう
)
の如く、
呀
(
あっ
)
と思う間もなく身は
悲壮
(
ひそう
)
渦中
(
かちゅう
)
に
捲
(
ま
)
きこまれた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
けれど幸いにも彼は殴打を免がれて、ノズドゥリョフの
激
(
げき
)
した両手を掴んで、しっかりと押えつけた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
足下
(
きみ
)
の
同情
(
どうじゃう
)
は
多過
(
おほす
)
ぎる
予
(
わし
)
の
悲痛
(
かなしみ
)
に、
只
(
たゞ
)
悲痛
(
かなしみ
)
を
添
(
そ
)
へるばかり。
戀
(
こひ
)
は
溜息
(
ためいき
)
の
蒸氣
(
ゆげ
)
に
立
(
た
)
つ
濃
(
こ
)
い
煙
(
けむり
)
、
激
(
げき
)
しては
眼
(
め
)
の
裡
(
うち
)
に
火花
(
ひばな
)
を
散
(
ち
)
らし、
窮
(
きう
)
しては
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
を
以
(
もっ
)
て
大海
(
おほうみ
)
の
水量
(
みかさ
)
をも
増
(
ま
)
す。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
セエラはそれに答えた時、自分の声がどうしてこんなに
激
(
げき
)
しているのか、不思議なくらいでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
困難の
度
(
ど
)
は
実
(
じつ
)
に水量と反比例をなし
来
(
きた
)
る
進
(
すす
)
むこと一里にして両岸の岩壁
屏風
(
びやうぶ
)
の
如
(
ごと
)
く、河は
激
(
げき
)
して
瀑布
(
ばくふ
)
となり、
其下
(
そのした
)
凹
(
くぼ
)
みて
深淵
(
しんえん
)
をなす、衆佇立
相盻
(
あひかへり
)
みて
愕然
(
がくぜん
)
一歩も
進
(
すす
)
むを得ず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
『
猫
(
ねこ
)
は
可厭
(
いや
)
!』と
鋭
(
するど
)
い
激
(
げき
)
した
聲
(
こゑ
)
で
鼠
(
ねずみ
)
が
云
(
い
)
ひました。『
若
(
も
)
しお
前樣
(
まへさま
)
が
私
(
わたし
)
だつたら
猫
(
ねこ
)
を
好
(
す
)
くの?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
近江さんに案内して頂いて自分達はイザル川を横ぎり森の中を雨に濡れ
乍
(
なが
)
ら歩いた。川は
石灰
(
いしばひ
)
を
融
(
とか
)
した様に
真白
(
まつしろ
)
な流れが
激
(
げき
)
して居た。森には
種種
(
いろ/\
)
の
樹
(
き
)
が鮮かに黄ばんで居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
手鍋
(
てなべ
)
提
(
さ
)
ぐる
意氣
(
いき
)
に
激
(
げき
)
して、
所帶
(
しよたい
)
の
稽古
(
けいこ
)
に
白魚
(
しらうを
)
の
魥
(
めざし
)
造
(
つく
)
る
也
(
なり
)
。
然
(
しか
)
も
目
(
め
)
を
刺
(
さ
)
すがいぢらしとて、ぬきとむるは
尾
(
を
)
なるを
見
(
み
)
よ。
絲
(
いと
)
の
色
(
いろ
)
も、こぼれかゝる
袖口
(
そでくち
)
も、
繪
(
ゑ
)
の
篝火
(
かゞりび
)
に
似
(
に
)
たるかな。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
手前
(
てめえ
)
」とか、「くたばってしまえ」とか、「親不孝」とか、「鬼婆」とか、「子殺し」とか云うような有りたけの暴言が、
激
(
げき
)
しきった二人の無思慮な口から、
連
(
しきり
)
に
迸
(
ほとばし
)
り出た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
母親思いの兄貴が、
激
(
げき
)
こうの余り、ふと飛んでもない事を考えつかなかったとはいえない
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いずれの群集を見ても少しも
激
(
げき
)
しているものはない。
大言
(
たいげん
)
する者もなく、
哂
(
あざけ
)
り
嗤
(
わら
)
う者もない。すこぶる
真面目
(
まじめ
)
でさながら親の大病の診断を医者から聞いているような顔つきであった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
槲
(
かしわ
)
の葉が北風に鳴るように、一寸したことにも
直
(
すぐ
)
に
激
(
げき
)
し
顫
(
ふる
)
えるような人がある。それにつけて思出すことは、私が小諸へ来たばかりの時、青年会を起そうという話が町の有志者の間にあった。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あゝ
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
と
知
(
し
)
つたら
何故
(
なぜ
)
倫敦
(
ロンドン
)
邊
(
へん
)
の
流行歌
(
はやりうた
)
の
一節
(
ひとふし
)
位
(
ぐら
)
いは
覺
(
おぼ
)
えて
置
(
お
)
かなかつたらうと
悔
(
くや
)
んだが
追付
(
おひつ
)
かない、
餘
(
あま
)
りの
殘念
(
くやし
)
さに
春枝夫人
(
はるえふじん
)
の
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ると、
夫人
(
ふじん
)
も
今
(
いま
)
の
嘲罵
(
あざけり
)
を
耳
(
みゝ
)
にして
多少
(
たせう
)
心
(
こゝろ
)
に
激
(
げき
)
したと
見
(
み
)
へ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ぼくはいつもそれを思うと、われわれは感情に
激
(
げき
)
したためにひとりの
有為
(
ゆうい
)
の青年を社会から
葬
(
ほうむ
)
ることになったことが実に残念でたまらん、人を罰するには
慎重
(
しんちょう
)
に考えなければならん、そうじゃないか
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
お浜は、自分の言うことに自分で
激
(
げき
)
して行くらしかった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
世をば
激
(
げき
)
せし
蹤
(
あと
)
を見よ
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
「それに私も、昨夜はあなたの前で少々
激
(
げき
)
しすぎましたよ……おまけに妙にいらいらして失禮でした。これははっきり白状させてもらいます。じつは時にどうも氣分のよくないことがあるんでして、そこへあなたがいきなり眞夜中に見えたものだから……。」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
主人
(
しゆじん
)
の
内儀
(
かみ
)
さんは一
應
(
おう
)
被害者
(
ひがいしや
)
へ
噺
(
はなし
)
をつけて
見
(
み
)
た。
被害者
(
ひがいしや
)
の
家族
(
かぞく
)
は
律義者
(
りちぎもの
)
で
皆
(
みな
)
激
(
げき
)
し
切
(
き
)
つて
居
(
ゐ
)
る。七十ばかりに
成
(
な
)
る
被害者
(
ひがいしや
)
の
老人
(
ぢいさん
)
が
殊
(
こと
)
に
頑固
(
ぐわんこ
)
に
主張
(
しゆちやう
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あたりが真っ暗におぼえる程な失望に血を
激
(
げき
)
しながら、今ここで、自分の心をいいだす勇気もなく、目の前を通りすぎて行こうとする運命に対しても
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
...
私
(
わたくし
)
は
無論
(
むろん
)
哲人
(
てつじん
)
でも、
哲学者
(
てつがくしゃ
)
でも
無
(
な
)
いのですから。』と、
更
(
さら
)
に
激
(
げき
)
して。『ですから、こんなことに
就
(
つ
)
いては
何
(
な
)
にも
解
(
わか
)
らんのです。
議論
(
ぎろん
)
する
力
(
ちから
)
が
無
(
な
)
いのです。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
抑
(
おさ
)
へて之を
揚
(
あ
)
げ、
激
(
げき
)
して之を
進
(
すゝ
)
ましむるは、教の
權
(
けん
)
にして而て
變
(
へん
)
なり。教も亦
術
(
じゆつ
)
多し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
いかにも
大木
(
たいぼく
)
の
僵
(
たふ
)
れたのが
草
(
くさ
)
がくれに
其
(
そ
)
の
幹
(
みき
)
をあらはして
居
(
ゐ
)
る、
乗
(
の
)
ると
足駄穿
(
あしだばき
)
で
差支
(
さしつか
)
へがない、
丸木
(
まるき
)
だけれども
可恐
(
おそろ
)
しく
太
(
ふと
)
いので、
尤
(
もつと
)
もこれを
渡
(
わた
)
り
果
(
は
)
てると
忽
(
たちま
)
ち
流
(
ながれ
)
の
音
(
おと
)
が
耳
(
みゝ
)
に
激
(
げき
)
した
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奇樹
(
きじゆ
)
崖
(
きし
)
に
横
(
よこ
)
たはりて
竜
(
りよう
)
の
眠
(
ねふ
)
るが
如
(
ごと
)
く、
怪岩
(
くわいがん
)
途
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎて
虎
(
とら
)
の
臥
(
ふ
)
すに
似
(
に
)
たり。
山林
(
さんりん
)
は
遠
(
とほ
)
く
染
(
そめ
)
て
錦
(
にしき
)
を
布
(
し
)
き、
礀水
(
かんすゐ
)
は
深
(
ふか
)
く
激
(
げき
)
して
藍
(
あゐ
)
を
流
(
なが
)
せり。
金壁
(
きんへき
)
双
(
なら
)
び
緑山
(
りよくざん
)
連
(
つらな
)
りたるさま画にもおよばざる
光景
(
くわうけい
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
昔
(
むかし
)
の
樣
(
やう
)
に
赫
(
くわつ
)
と
激
(
げき
)
して、すぐ
叔母
(
をば
)
の
所
(
ところ
)
へ
談判
(
だんぱん
)
に
押
(
お
)
し
掛
(
か
)
ける
氣色
(
けしき
)
もなければ、
今迄
(
いままで
)
自分
(
じぶん
)
に
對
(
たい
)
して、
世話
(
せわ
)
にならないでも
濟
(
す
)
む
人
(
ひと
)
の
樣
(
やう
)
に、
餘所
(
よそ
)
々々
(
/\
)
しく
仕向
(
しむ
)
けて
來
(
き
)
た
弟
(
おとうと
)
の
態度
(
たいど
)
が
急
(
きふ
)
に
方向
(
はうかう
)
を
轉
(
てん
)
じたのを
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
境遇
(
きょうぐう
)
のために
激
(
げき
)
せられて他の部よりも
比較的
(
ひかくてき
)
に発展したものであろうか。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大阪侯が
激
(
げき
)
して仙台侯に斬り附けると云ふのが序幕で、次には大阪侯の切腹、其れから
仇打
(
かたきうち
)
の相談が済むと
力彌
(
りきや
)
に当る彌五郎の息子が敵の仙台侯に仕へて居て
仇打
(
かたきうち
)
を父に思ひ
止
(
と
)
まれと忠告したり
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此
(
この
)
家
(
いへ
)
を
去
(
さ
)
る
事
(
こと
)
十
數町
(
すうちやう
)
の
彼方
(
かなた
)
に、
一帶
(
いつたい
)
の
灣
(
わん
)
がある、
逆浪
(
げきらう
)
白
(
しろ
)
く
岩
(
いわ
)
に
激
(
げき
)
して
居
(
を
)
るが、
其
(
その
)
灣中
(
わんちう
)
、
岩
(
いわ
)
と
岩
(
いわ
)
とが
丁度
(
ちやうど
)
屏風
(
びやうぶ
)
のやうに
立廻
(
たてまわ
)
して、
自然
(
しぜん
)
に
坩※
(
るつぼ
)
の
形
(
かたち
)
をなして
居
(
を
)
る
處
(
ところ
)
、
其處
(
そこ
)
に
大佐
(
たいさ
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
がチラリと
見
(
み
)
えた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
天地間
(
てんちかん
)
最早
(
もはや
)
小山某
(
こやまなにがし
)
といふ
畫
(
ゑ
)
かきの
書生
(
しよせい
)
は
居
(
ゐ
)
なくなる! と
僕
(
ぼく
)
は
思
(
おも
)
つた
時
(
とき
)
、
思
(
おも
)
はず
足
(
あし
)
を
止
(
とゞ
)
めた。
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
に
繁
(
しげ
)
つた
枝
(
えだ
)
から
水
(
みづ
)
がぼた/\
落
(
お
)
ちる、
墓穴
(
はかあな
)
のやうな
溪底
(
たにそこ
)
では
水
(
みづ
)
の
激
(
げき
)
して
流
(
なが
)
れる
音
(
おと
)
が
悽
(
すご
)
く
響
(
ひゞ
)
く。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
抔
(
など
)
と
近
(
ちか
)
い
畑同士
(
はたけどうし
)
は
呶鳴
(
どな
)
り
合
(
あ
)
つた。
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
は
被害者
(
ひがいしや
)
の
耳
(
みゝ
)
にも
這入
(
はひ
)
つてむか/\と
激
(
げき
)
した
其
(
そ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
勢
(
いきほ
)
ひを
附
(
つ
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
激
(
げき
)
しやすい
処女
(
おとめ
)
の感情は、青じろい権まくを顔にもって、涙まじりに、あいての胸へしがみついて行った。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半町
(
はんちやう
)
ばかり
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
を、
火
(
ひ
)
の
燃通
(
もえとほ
)
る
状
(
さま
)
は、
眞赤
(
まつか
)
な
大川
(
おほかは
)
の
流
(
なが
)
るゝやうで、
然
(
しか
)
も
凪
(
な
)
ぎた
風
(
かぜ
)
が
北
(
きた
)
に
變
(
かは
)
つて、
一旦
(
いつたん
)
九段上
(
くだんうへ
)
へ
燒
(
や
)
け
拔
(
ぬ
)
けたのが、
燃返
(
もえかへ
)
つて、
然
(
しか
)
も
低地
(
ていち
)
から、
高臺
(
たかだい
)
へ、
家々
(
いへ/\
)
の
大巖
(
おほいは
)
に
激
(
げき
)
して
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小六
(
ころく
)
は
兄
(
あに
)
の
平氣
(
へいき
)
な
態度
(
たいど
)
を
心
(
こゝろ
)
の
中
(
うち
)
では
飽足
(
あきた
)
らず
眺
(
なが
)
めた。
然
(
しか
)
し
宗助
(
そうすけ
)
の
樣子
(
やうす
)
に
何處
(
どこ
)
と
云
(
い
)
つて、
他
(
ひと
)
を
激
(
げき
)
させる
樣
(
やう
)
な
鋭
(
する
)
どい
所
(
ところ
)
も、
自
(
みづか
)
らを
庇護
(
かば
)
ふ
樣
(
やう
)
な
卑
(
いや
)
しい
點
(
てん
)
もないので、
喰
(
く
)
つて
掛
(
かゝ
)
る
勇氣
(
ゆうき
)
は
更
(
さら
)
に
出
(
で
)
なかつた。たゞ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
されど
急流
(
きふりう
)
岩に
激
(
げき
)
して
水勢
(
すゐせい
)
絶急
(
はげしき
)
ところは雪もつもる事あたはず、浪を見る処もあり。
渡口
(
わたしば
)
などは
斧
(
をの
)
にて氷を
砕
(
くだ
)
きてわたせども、
終
(
つひ
)
には
氷
(
こほり
)
厚
(
あつ
)
くなりて力およびがたく、船は
陸
(
をか
)
に
在
(
あ
)
りて人々氷の上を
渉
(
わた
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
滅多に、大声など出さない良人が、さっきから
激
(
げき
)
している様子に、彼の妻は、
襖
(
ふすま
)
近くにいたらしかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
酷
(
ひど
)
いこと!」と
柳眉
(
りゅうび
)
逆立
(
さかだ
)
ち、
心
(
こころ
)
激
(
げき
)
して
団扇
(
うちわ
)
に及ばず、
袂
(
たもと
)
の
尖
(
さき
)
で、向うへ払ふと、怪しい虫の消えた
後
(
あと
)
を、姉は
袖口
(
そでくち
)
で
噛
(
か
)
んで
拭
(
ふ
)
いて
遣
(
や
)
りながら、同じ針箱の引出から、二つ折、
笹色
(
ささいろ
)
の
紅
(
べに
)
の
板
(
いた
)
。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
容易に開かない
唇
(
くち
)
へ、武蔵がこう少し
激
(
げき
)
しかかると吉野は、消していた
笑靨
(
えくぼ
)
をまたちらと見せ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをば
刈払
(
かりはら
)
ひ、
遁出
(
のがれい
)
でむとするにその
術
(
すべ
)
なく、すること、なすこと、人見て必ず、
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
め、
嘲
(
あざけ
)
り、笑ひ、
卑
(
いやし
)
め、
罵
(
ののし
)
り、はた
悲
(
かなし
)
み
憂
(
うれ
)
ひなどするにぞ、気あがり、
心
(
こころ
)
激
(
げき
)
し、ただじれにじれて
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
激
常用漢字
小6
部首:⽔
16画
“激”を含む語句
急激
激昂
激浪
刺激
激流
過激
矯激
激情
激発
憤激
激越
激怒
激動
激烈
激賞
激厲
相激
感激
激励
激湍
...