たがひ)” の例文
この夏もおたがひたび先や何かで久しくかほを合せなかつた二人、さて新秋になると、むかうはあた海で勉強べんけうして大につよくなつたと自しんを持ち
火事くわじをみて、火事くわじのことを、あゝ火事くわじく、火事くわじく、とさけぶなり。彌次馬やじうまけながら、たがひこゑはせて、ひだりひだりひだりひだり
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
代助は人類の一人いちにんとして、たがひはらなかで侮辱する事なしには、たがひに接触を敢てし得ぬ、現代の社会を、二十世紀の堕落と呼んでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此上このうへにおたのみは萬々ばん/″\見送みおくりなどしてくださるな、さらでだにおとこ朋友ともだち手前てまへもあるになにかをかしくられてもおたがひつまらず
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
芋蟲いもむしあいちやんとはたがひしばらだまつてにらめをしてましたが、つひ芋蟲いもむし其口そのくちから煙管きせるはなして、したッたるいやうなねむさうなこゑ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おな日本につぽん石器時代せつきじだい人々ひと/″\のおたがひ交通こうつうとか、文化ぶんか關係かんけいなどをるには、土器どき模樣もようかたちなどを研究けんきゆうすることが必要ひつようであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
には木陰こかげけてしんみりとたがひむね反覆くりかへとき繁茂はんもしたかきくり彼等かれらゆゐ一の味方みかた月夜つきよでさへふか陰翳かげ安全あんぜん彼等かれらつゝむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
電話機械でんわきかいといふものが始めてまゐつた時に、たがひかけやうを知らぬから、両方で話をしようと思つても、うしてもわからなかつたといふ。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其れは同期に欧洲に遊んだ画家と詩人の記念であるのみならず、たがひに「海のあなた」の恋しさを紛らさうとする手ずさびである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
斯様かうなればたがひ怨恨ゑんこんかさなるのみであるが、良兼の方は何様どうしても官職を帯びて居るので、官符はくだつて、将門を追捕すべき事になつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あれと私達わたしたちとはなん關係くわんけいいやうなものの、あれも着物きもの私達わたしたちたがひ着物きものなんとなく世間せけんたいして、わたし氣耻きはづかしいやうでなりませんのよ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
はしうへかはうへにぎはひを人達ひとたち仲見世なかみせ映画街えいぐわがいにもおとらぬ混雑こんざつ欄干らんかんにもたれてゐる人達ひとたちたがひかたあはすばかり。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
みなさんこんないろ/\のわけをおはなししたら、われ/\がおたがひに、いまそだつてゐるすべての老樹ろうじゆ名木めいぼくを、ます/\大事だいじにして
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
飛田とびた遊廓の漏洩問題については主務省と府の当事者とたがひに責任のなすりつこをして、自分ばかりが良いにならうとしてゐる。
が、手紙てがみ後生大事ごしやうだいじしまつておくところからると、其後そのごなにかの事情じゞやうで、たがひへだたつてはゐても、こゝろいまへだてぬなかだとふことはあきらかである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
其日そのひはそれでわかれ、其後そのごたがひさそつてつり出掛でかけたが、ボズさんのうちは一しかないふる茅屋わらや其處そこひとりでわびしげにんでたのである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
だいちうせう、三十七しゆ齒輪車しりんしやたがひ噛合かみあひ、吸鍔桿ピストン曲肱クンク方位盤ダイレクターたる諸種しよしゆ器械きかい複雜ふくざつきはめ、あだか聯成式れんせいしき蒸氣機關じようききくわんるやうである。
実際じつさい真面目しんめんもく生涯せうがい真味しんみあぢはひし人のみがたがひともはたらき得る人なり 宗教しふけうを以て茶話席ちやわせき活題くわつだいとなすにとゞまるものは言語的げんごてき捺印的なついんてき一致いつちはかれよ
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
こつちでは五ひきがみんなことりことりとおたがひにうなづきつてりました。そのときにはかにすゝんでつた鹿しか竿立さをだちになつてをどりあがつてげてきました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
たましひとばし更にいきたる心地もなくたがひかほを見合せ思ひ/\に神佛しんぶついの溜息ためいきつくばかりなり風は益々つよく船を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れが實際問題じつさいもんだいになると、土地とち状態じやうたい風土ふうど關係くわんけい住者ぢうしや身分みぶん境遇きやうぐう趣味しゆみ性癖せいへき資産しさん家族かぞく職業しよくげふその種々雜多しゆ/″\ざつた素因そいん混亂こんらんしてたがひあい交渉かうせうするので
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
今年ことしもとう/\かれなかつたと、おたがひおもひながらも、それがさしてものなげきでなく、二人ふたりこゝろにはまた來年らいねんこそはといふ希望のぞみ思浮おもひうかんでゐるのであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
けんうちのものは、それほどしたしくつたりたりしましたから、子供同志こどもどうしたがひしたしいあそ友達ともだちでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つまりおたがひに自己の利益などは考へ合はなかつた時だつたのです。ですからあなたは虚心平気でいらつしつた。昔の恋人のためにしみじみとお話しなさいました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
只今書面を拝見して、これへ出向いて参りましたが、原来ぐわんらいたがひ御城警固おんしろけいごの役柄ではありませんか。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それにはべつ理由りいうなにも無い、究竟つまり学校が違つてしまつた所から、おたがひ今日こんにちあつて昨日さくじつ明日みやうにちも無い子供心こどもごゝろに、漠然ぼうつわすれてしまつたのです、すると、わたしが二きふつたとき
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たがひなかあつたかとこがあツて欲しいといふことなんだ………が、おれの家では、お前もひとりなら、俺もひとりだ。お互に頑固に孤獨を守ツてゐるのだから、したがツてお互にひやツこい。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
五三重陽ここぬか佳節かせつをもて帰り来る日とすべし。左門いふ。兄長このかみ必ず此の日をあやまり給ふな。一枝の菊花に五四薄酒うすきさけを備へて待ちたてまつらんと、たがひまことをつくして赤穴は西に帰りけり。
以上いじようとほり、われ/\は内外ないがい活火山かつかざんをざつと巡見じゆんけんした。そのたがひ位置いち辿たどつてみるとひとつの線上せんじようならんでゐるようにもえ、あるひがん行列ぎようれつるようなふうにならんでゐる場合ばあひ見受みうけられる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
兵営へいえい高塀たかべい歩哨ほせう銃剣じゅうけんとはおたがひ連絡れんらくってしまった
二軍たがひ相對あひたいし、威武を比ぶる原上に
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
だから突然とつぜんこの小舅こじうと自分じぶんあひだ御櫃おはちいて、たがひかほ見合みあはせながら、くちうごかすのが、御米およねつては一種いつしゆ經驗けいけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ自分じぶんが一しよときたがひへだてが有相ありさうて、自分じぶんはなれるとにはかむつまじさう笑語さゝやくものゝやうかれひさしいまえからおもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
相手がたがひ巴里パリイツ子同士、流行はやり同士であり、其れが右様みぎやうの事情のもとに行ふ決闘であり、その上当日の決闘ぶりが非常に壮烈であつたので
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「おたがひに、明日あす生命いのちもしれない、はかないものなんだ。なんでも出來できるうちにはうがいいし、また、やらせることだ」と。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
をんなでさへその意氣いきだ。男子だんしはたらかなければならない。——こゝで少々せう/\小聲こごゑになるが、おたがひかせがなければかない。……
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、無ろんたがひけうひそかに「なアにおれの方が……」とおもつてゐる事は、それが將棋せうきをたしなむ者のくせで御多分にれざる所。
長吉ちやうきちは自分とおいとあひだにはいつのにかたがひ疎通そつうしない感情の相違の生じてる事をあきらかに知つて、さらに深いかなしみを感じた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
たがひ身體しんたい丈夫じようぶでなければ何事なにごと出來できませんから、あたらしい空氣くうき呼吸こきゆうと、十分じゆうぶん日光浴につこうよくと、運動うんどうとによつて食物しよくもつをうまくべることが一番いちばん大切たいせつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
石器せつきつくかたやそのかたちもおたがひてゐて、ほとんど世界中せかいじゆう、そのかはりはすくないのでありますから、文化ぶんか關係かんけいその研究けんきゆうには土器どきほどに役立やくだちません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
『こゝに一人ひとり少女せうぢよあり。』小説せうせつ何時いつでもこんなふうはじまるもので、批評家ひゝやうかこひ小説せうせつにもき/\したとの御注文ごちゆうもんしか年若としわかいおたがひつては
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
最早もはや煩縟くた/″\しくいふにおよばぬ、この不思議ふしぎなる海底戰鬪艇かいていせんとうていは、今日こんにち世界せかい萬國ばんこく海軍社會かいぐんしやくわいおいて、たがひその改良かいりよう進歩しんぽとをきそひつゝある海底潜行艇かいていせんかうてい一種いつしゆである。
四邊あたり其香そのにほひで大變たいへんでした。公爵夫人こうしやくふじんでさへも、ッちやんとほとんどかはる/″\くさめをして、せるくるしさにたがひ頻切しツきりなしにいたりわめいたりしてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かうしてたがひに自分達の弱みを知つてゐるから、それをおまへに繰り返させまいとするからの事だといふのだ。
追散おひちらし私し方へ伴ひ立歸りしなり其ころは私し姉儀病死びやうし仕つりしにより節は私し方へ引取置候處九助とかほを見合せたがひに不思議の再會さいくわいを喜び候と言を聞れ大岡殿は扨々人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そしておたがひ東京とうきやうたことがほとんどおなじくらゐときで、彼女かれはうすこはやくらゐのものであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
議論ぎろん上下じやうげするも大きいが、おたがひはなし数年前すうねんまえよりは真面目まじめつた、さて話をして見ると、山田やまだは文章をつて立たうと精神せいしんわたし同断どうだんだ、わたしこのこゝろざしいだいたのは
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これまへにもまうしましたとほり、狂歌師きやうかしつて狂歌きやうかひらきをいたす時、なにかおたがひ可笑をかしい話でもして、ワツと笑ふはうからうとふので、二三くわいやつて見るととん面白おもしろいから
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)