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音
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おと
ふりがな文庫
“
音
(
おと
)” の例文
こまかき
雨
(
あめ
)
ははら/\と
音
(
おと
)
して
草村
(
くさむら
)
がくれ
鳴
(
なく
)
こほろぎのふしをも
乱
(
みだ
)
さず、
風
(
かぜ
)
一
(
ひと
)
しきり
颯
(
さつ
)
と
降
(
ふり
)
くるは
彼
(
か
)
の
葉
(
は
)
にばかり
懸
(
かゝ
)
るかといたまし。
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、あたりは
静
(
しず
)
かであって、ただ、
遠
(
とお
)
い
街
(
まち
)
の
角
(
かど
)
を
曲
(
ま
)
がる
荷車
(
にぐるま
)
のわだちの
音
(
おと
)
が、
夢
(
ゆめ
)
のように
流
(
なが
)
れて
聞
(
き
)
こえてくるばかりであります。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて大きなつめでひっかくような
音
(
おと
)
がすると
思
(
おも
)
うと、はじめ
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
雲
(
くも
)
と
思
(
おも
)
われていたものが
急
(
きゅう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
化
(
ば
)
けものの
形
(
かたち
)
になって
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
其
(
そ
)
の
口
(
くち
)
へ、——
忽
(
たちま
)
ちがつちりと
音
(
おと
)
のするまで、
丼
(
どんぶり
)
を
当
(
あ
)
てると、
舌
(
した
)
なめずりをした
前歯
(
まへば
)
が、
穴
(
あな
)
に
抜
(
ぬ
)
けて、
上下
(
うへした
)
おはぐろの
兀
(
はげ
)
まだら。……
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いや馬鹿
囃
(
ばやし
)
は
厭
(
いや
)
だ。それよりか
鼓
(
つゞみ
)
が
打
(
う
)
つて見たくつてね。
何故
(
なぜ
)
だか
鼓
(
つゞみ
)
の
音
(
おと
)
を聞いてゐると、全く二十世紀の気がしなくなるから
可
(
い
)
い。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
子供
(
こども
)
たちは
遠
(
とお
)
くへいき、「もういいかい。」「まあだだよ。」という
声
(
こえ
)
が、ほかのもの
音
(
おと
)
とまじりあって、ききわけにくくなりました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
背伸
(
せの
)
びをして、三
尺
(
じゃく
)
の
戸棚
(
とだな
)
の
奥
(
おく
)
を
探
(
さぐ
)
っていた
春重
(
はるしげ
)
は、
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
から
重
(
おも
)
い
声
(
こえ
)
でこういいながら、もう一
度
(
ど
)
、ごとりと
鼠
(
ねずみ
)
のように
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今度
(
こんど
)
は
二
(
ふた
)
つの
叫
(
さけ
)
び
聲
(
ごゑ
)
がして、
又
(
また
)
硝子
(
ガラス
)
のミリ/\と
破
(
わ
)
れる
音
(
おと
)
がしました。『
胡瓜
(
きうり
)
の
苗床
(
なへどこ
)
が
幾
(
いく
)
つあるんだらう!』と
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
かしこに
顯
(
あらは
)
れし諸〻の光より一のうるはしき
音
(
おと
)
十字架の上にあつまり、歌を
解
(
げ
)
しえざりし我もこれに心を奪はれき 一二一—一二三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
耳
(
みゝ
)
を
傾
(
かたむ
)
けると、
何處
(
いづく
)
ともなく
鼕々
(
とう/\
)
と
浪
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
の
聽
(
きこ
)
ゆるのは、
此
(
この
)
削壁
(
かべ
)
の
外
(
そと
)
は、
怒濤
(
どとう
)
逆卷
(
さかま
)
く
荒海
(
あらうみ
)
で、
此處
(
こゝ
)
は
確
(
たしか
)
に
海底
(
かいてい
)
數十
(
すうじふ
)
尺
(
しやく
)
の
底
(
そこ
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ボンボン時計を
修繕
(
なほ
)
す禿頭は硝子戸の中に
俯向
(
うつむ
)
いたぎりチツクタツクと
音
(
おと
)
をつまみ、本屋の
主人
(
あるじ
)
は蒼白い顏をして空をたゞ
凝視
(
みつ
)
めてゐる。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
交
(
ちが
)
い
棚
(
だな
)
を略した押入れのあるのに目をとめて、それへ手がかかる途端に、サッと、
襖
(
ふすま
)
の
音
(
おと
)
——そして、どたりという重苦しい響きが一瞬。
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
思
(
おも
)
いました。そしてまだじっとしていますと、
猟
(
りょう
)
はなおもその
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
ではげしく
続
(
つづ
)
いて、
銃
(
じゅう
)
の
音
(
おと
)
が
水草
(
みずくさ
)
を
通
(
とお
)
して
響
(
ひび
)
きわたるのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
父
(
とう
)
さんが
玄關
(
げんくわん
)
の
廣
(
ひろ
)
い
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
居
(
ゐ
)
て、その
筬
(
をさ
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
きながら
遊
(
あそ
)
んで
居
(
を
)
りますと、そこへもよくめづらしいもの
好
(
ず
)
きの
雀
(
すずめ
)
が
覗
(
のぞ
)
きに
來
(
き
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
本堂
(
ほんだう
)
の
方
(
はう
)
では
経
(
きやう
)
を
読
(
よ
)
む
声
(
こゑ
)
、
鉦
(
かね
)
を
打
(
う
)
つ
音
(
おと
)
もしてゐる。
道子
(
みちこ
)
は
今年
(
ことし
)
もいつか
盆
(
ぼん
)
の十三
日
(
にち
)
になつたのだと
初
(
はじ
)
めて
気
(
き
)
がついた
時
(
とき
)
である。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
ですが民衆を肯定し得る場合ほど、幸福なことがあるでしょうか。民藝品はこの悦ばしい
音
(
おと
)
ずれを語ってくれる使いなのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼
(
かれ
)
は
直
(
すぐ
)
自分
(
じぶん
)
に
近
(
ちか
)
く
手拭
(
てぬぐひ
)
被
(
かぶ
)
つたおつぎの
姿
(
すがた
)
が
徐
(
おもむ
)
ろに
動
(
うご
)
いて
來
(
く
)
るのを
見
(
み
)
た。
其
(
それ
)
と
同時
(
どうじ
)
に
竊
(
ひそか
)
に
落
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
く
草履
(
ざうり
)
の
音
(
おと
)
が
勘次
(
かんじ
)
の
耳
(
みゝ
)
に
響
(
ひゞ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
糺
(
たゞ
)
しあらためあしき
御政事
(
おんせいじ
)
當時は何時にても
此皷
(
このつゞみ
)
を
打
(
うち
)
て
奏聞
(
そうもん
)
するに
帝
(
てい
)
たとへば
御食事
(
おんしよくじ
)
の時にても
皷
(
つゞみ
)
の
音
(
おと
)
を聞給ひたちまち出させ給ひ
萬民
(
ばんみん
)
の
訴
(
うつたへ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
すると
間
(
ま
)
もなく
凄
(
すさま
)
じい
音
(
おと
)
をはためかせて、
汽車
(
きしや
)
が
隧道
(
トンネル
)
へなだれこむと
同時
(
どうじ
)
に、
小娘
(
こむすめ
)
の
開
(
あ
)
けようとした
硝子戸
(
ガラスど
)
は、とうとうばたりと
下
(
した
)
へ
落
(
お
)
ちた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤鉢卷隊
(
あかはちまきたい
)
は
全力
(
ぜんりよく
)
を
山頂
(
さんてう
)
に
向
(
むか
)
つて
注
(
そゝ
)
ぎ、
山全體
(
やまぜんたい
)
を
取
(
とり
)
くづすといふ
勢
(
いきほ
)
ひで
遣
(
や
)
つて
居
(
ゐ
)
る
間
(
うち
)
に、
鍬
(
くは
)
の
先
(
さき
)
にガチリと
音
(
おと
)
して
何
(
なに
)
か
當
(
あた
)
つた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
と、左の方に当ってがさがさと云う枯れた草木の枝葉に足を触れる
音
(
おと
)
が聞えた。益雄はびっくりして犬だろうか人だろうかと思って眼を
睜
(
みは
)
った。
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もとよりどんな
風
(
ふう
)
に
遊
(
あそ
)
ぶのかも
知
(
し
)
らなかつたのだが、さてその
窓向
(
まどむかう
)
から
時折
(
ときをり
)
談笑
(
だんせう
)
の
聲
(
こゑ
)
に
交
(
まじ
)
つてチヤラチヤラチヤラチヤラ
聞
(
きこ
)
えてくる
麻雀牌
(
マアジヤンパイ
)
の
音
(
おと
)
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
私もその家は
音
(
おと
)
ずれてみたことがあるが、嫁の
代
(
だい
)
が変ってからは
何等
(
なにら
)
のことも無いような風である。
真箇
(
まったく
)
妙なことがある。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
そんな
話
(
はなし
)
の
最中
(
さいちう
)
にサァーツと
音
(
おと
)
をたてゝ
漆
(
うるし
)
のやうに
暗
(
くら
)
い
空
(
そら
)
の
方
(
はう
)
から、
直逆
(
まつさか
)
さまにこれはまた一
羽
(
は
)
の
鴉
(
からす
)
がパチパチ
燃
(
も
)
えてる
篝火
(
かがりび
)
の
中
(
なか
)
に
墜
(
を
)
ちてきた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
ふくろ(
鶚
(
がく
)
)は
體
(
からだ
)
が
一尺
(
いつしやく
)
もあり、
暗褐色
(
あんかつしよく
)
の
羽毛
(
うもう
)
を
趾
(
あし
)
までかぶつてゐます。
翅
(
はね
)
が
非常
(
ひじよう
)
に
軟
(
やはらか
)
ですから
飛
(
と
)
ぶときに
音
(
おと
)
がしません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
非道
(
ひど
)
いヒステリーの夫人や未亡人が、妙な神様や気合術なぞに凝り固まって
音
(
おと
)
なしくなったなぞいう例がいくらもある。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
翌朝
(
よくちょう
)
。画家は
楽気
(
らくげ
)
に
凭掛
(
よりかかり
)
の
椅子
(
いす
)
に掛り、
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
の
)
み、
珈琲
(
コオフィイ
)
を飲み、スケッチの手帳を
繰拡
(
くりひろ
)
げ、見ている。戸を
叩
(
たた
)
く
音
(
おと
)
す。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
私
(
わたくし
)
はあの
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
をききながら、いつもその
音
(
おと
)
の
中
(
なか
)
に
溶
(
と
)
けこむような
気分
(
きぶん
)
で、
自分
(
じぶん
)
の
存在
(
ありか
)
も
忘
(
わす
)
れて、うっとりとしていることが
多
(
おお
)
いのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
其晩
(
そのばん
)
は
湿
(
しめ
)
やかな
春雨
(
はるさめ
)
が
降
(
ふ
)
つてゐた。
近所隣
(
きんじよとなり
)
は
闃
(
ひつそ
)
として、
樋
(
ひ
)
を
洩
(
も
)
れる
細
(
ほそ
)
い
雨滴
(
あまだれ
)
の
音
(
おと
)
ばかりがメロヂカルに
聞
(
きこ
)
える。が、
部屋
(
へや
)
には
可恐
(
おそろ
)
しい
影
(
かげ
)
が
潜
(
ひそ
)
んでゐた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「すると、人形はその時の
溢
(
こぼ
)
れた水を踏んだという事になるね」と検事は、引きつれたような声を出した。「もう後は、あの鈴のような
音
(
おと
)
だけなんだ。 ...
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、
然
(
さ
)
う
思返
(
おもひかへ
)
したものゝ、
猶且
(
やはり
)
失望
(
しつばう
)
は
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
愈〻
(
いよ/\
)
募
(
つの
)
つて、
彼
(
かれ
)
は
思
(
おも
)
はず
兩
(
りやう
)
の
手
(
て
)
に
格子
(
かうし
)
を
捉
(
とら
)
へ、
力儘
(
ちからまか
)
せに
搖動
(
ゆすぶ
)
つたが、
堅固
(
けんご
)
な
格子
(
かうし
)
はミチリとの
音
(
おと
)
も
爲
(
せ
)
ぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お
聞
(
き
)
きでないかあのもの
靜
(
しづ
)
かな
筧
(
かけひ
)
の
音
(
おと
)
を。
見
(
み
)
る
通
(
とほ
)
りに
雪
(
ゆき
)
は
眞白
(
ましろ
)
く
山
(
やま
)
に
積
(
つも
)
つてゐる。そして
日蔭
(
ひかげ
)
はあらゆるものの
休止
(
きうし
)
の
姿
(
すがた
)
で
靜
(
しづ
)
かに
寒
(
さむ
)
く
默
(
だま
)
りかへつてゐる。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
何
(
なに
)
を考えるともなくぼんやり
夢想
(
むそう
)
している時でも——彼はいつも、
口
(
くち
)
を
閉
(
と
)
じ、
頬
(
ほほ
)
をふくらし、
唇
(
くちびる
)
をふるわして、つぶやくような
単調
(
たんちょう
)
な
音
(
おと
)
をもらしていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
其
(
その
)
音
(
おと
)
が
寂寞
(
せきばく
)
を
破
(
やぶ
)
つてざわ/\と
鳴
(
な
)
ると、
閭
(
りよ
)
は
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
根
(
ね
)
を
締
(
し
)
め
附
(
つ
)
けられるやうに
感
(
かん
)
じて、
全身
(
ぜんしん
)
の
肌
(
はだ
)
に
粟
(
あは
)
を
生
(
しやう
)
じた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
深更、
暁明
(
よあけ
)
、二度目の、
音
(
おと
)
ないの響きに、今度は、宿屋の、
不寝番
(
ねずばん
)
も、うたたねから目を醒されたのであろう——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
こういって、
外套室
(
がいとうしつ
)
へかけ出した。このとき
小使
(
こづかい
)
がベルのボタンを
押
(
お
)
したので、
味
(
あじ
)
もそっけもない広い
校舎
(
こうしゃ
)
じゅうへ、けたたましいベルの
音
(
おと
)
が
響
(
ひび
)
き渡った。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
そして
何日
(
いつ
)
かは
雷
(
かみなり
)
のような
音
(
おと
)
がして、その格子戸が
開
(
あ
)
くだろうと、甘いあくがれを胸に持って待っていて見たけれど、とうとう格子戸は
開
(
あ
)
かずにしまった。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
お母さんの
御許可
(
おゆるし
)
が出て、土曜日に舞踏会をするので、姉さん達は蜜蜂のように忙しい。
乃公
(
おれ
)
も大層
音
(
おと
)
なしい。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
吉備
(
きび
)
の
國
(
くに
)
の
中山
(
なかやま
)
——
美作
(
みまさか
)
にある——よ。それが
腰
(
こし
)
のひきまはしにしてゐる、
細谷川
(
ほそたにがは
)
の
音
(
おと
)
の
澄
(
す
)
んで
聞
(
きこ
)
えることよ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
夜になったのでは
雌波
(
めなみ
)
の
音
(
おと
)
一つ立たないで、
阿漕
(
あこぎ
)
ヶ
浦
(
うら
)
で鳴く千鳥が
遠音
(
とおね
)
に聞こえるくらいのものでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ヹルハアレンの詩が近世の鋼鉄で出来た器械の壮大な
音
(
おと
)
に富んで居るのを更に押し進めたものだとも見られる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それは、ちかくのよせ(
落語
(
らくご
)
や
講談
(
こうだん
)
などのかかる
小屋
(
こや
)
)のたいこの
音
(
おと
)
で、かえりの
人
(
ひと
)
がぞろぞろでてきたので、
朝吹
(
あさぶき
)
はもうどうすることもできませんでした。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
この
茅葺
(
かやぶき
)
は隣に遠い一軒家であった。
加之
(
しか
)
も
空屋
(
あきや
)
と見えて、内は真の闇、
鎮
(
しずま
)
り返って物の
音
(
おと
)
も聞えなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
妙源 みんな恐ろしさに耳の中まで慄えるので、自分の血のめぐる
音
(
おと
)
がいろいろな物の
音
(
ね
)
にきこえるのだ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
兵士
(
へいし
)
の
軍楽
(
ぐんがく
)
を
奏
(
そう
)
しますのは
勇
(
いさ
)
ましいものでございますが、
此
(
こ
)
の時は
陰々
(
いん/\
)
として
居
(
を
)
りまして、
靴
(
くつ
)
の
音
(
おと
)
もしないやうにお
歩行
(
あるき
)
なさる事で、
是
(
これ
)
はどうも
歩行
(
ある
)
き
悪
(
にく
)
い事で
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
罌粟
(
けし
)
の
花
(
はな
)
、
愛
(
あい
)
の疲の
眠
(
ねむり
)
、片田舍の廢園。
蓬生
(
よもぎふ
)
の
中
(
なか
)
に、ぐつすり
眠
(
ねむ
)
るまろ
寢姿
(
ねすがた
)
——靴の
音
(
おと
)
にも眼が醒めぬ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
北
(
きた
)
から
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
が
来
(
き
)
て、ひゆうと
鳴
(
な
)
り、はんの
木
(
き
)
はほんたうに
砕
(
くだ
)
けた
鉄
(
てつ
)
の
鏡
(
かゞみ
)
のやうにかゞやき、かちんかちんと
葉
(
は
)
と
葉
(
は
)
がすれあつて
音
(
おと
)
をたてたやうにさへおもはれ
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
泣
(
な
)
いたのと
暴
(
あば
)
れたので
幾干
(
いくら
)
か
胸
(
むね
)
がすくと
共
(
とも
)
に、
次第
(
しだい
)
に
疲
(
つか
)
れて
來
(
き
)
たので、いつか
其處
(
そこ
)
に
臥
(
ね
)
てしまひ、
自分
(
じぶん
)
は
蒼々
(
さう/\
)
たる
大空
(
おほぞら
)
を
見上
(
みあ
)
げて
居
(
ゐ
)
ると、
川瀬
(
かはせ
)
の
音
(
おと
)
が
淙々
(
そう/\
)
として
聞
(
きこ
)
える。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
法華經云、
諸法實相
(
しよほふじつさう
)
。
天台云
(
てんだいにいはく
)
、
聲爲佛事等云々
(
せいゐぶつじとううんぬん
)
。日蓮又かくの如く推し
奉
(
たてまつ
)
る。たとへば
雷
(
いかづち
)
の
音
(
おと
)
、
耳
(
みゝ
)
しい(
聾
(
つんぼ
)
)の爲に聞くことなく、日月の光り目くらのために
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
なし。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
室が
寂然
(
ひつそり
)
してゐるので、
時計
(
とけい
)
の時を
刻
(
きざ
)
む
音
(
おと
)
が自分の
脈膊
(
みやくはく
)
と
巧
(
うま
)
く
拍子
(
ひやうし
)
を取つてハツキリ胸に通ふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
“音”の意味
《名詞》
(おと)空気や水等の物質を介して伝わる振動で、人の耳に達して感覚(聴覚)を生ずるもの。
(ね)美しい音や声。
(オン)漢字の読みのうち、漢字が伝わった当時の中国語の発音に基く読み方。音読み。
(出典:Wiktionary)
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
“音”を含む語句
音信
音色
音響
跫音
声音
音声
中音
音問
足音
観音
音楽
高音
顫音
鳴音
轟音
水音
観音堂
大音
知音
觀音
...