“中音”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちゅうおん58.8%
ちゆうおん11.8%
テノール11.8%
メディアム5.9%
うちね5.9%
アルト5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
阿闍梨あざりは、白地の錦のふちをとった円座わらふだの上に座をしめながら、式部の眼のさめるのをはばかるように、中音ちゅうおんで静かに法華経をしはじめた。
道祖問答 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
二十分の後、誰か村の若衆が一人、中音ちゆうおんに唄をうたひながら、静にこの家の前を通りすぎた。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
中音テノールも野卑なら、歌の節回しも下品であった。と、今度は別の女の声が、なんとなくおどおどしてはいるが、ひどく気取った調子で、甘ったるくこう言った。
「では、唄いますわ。その、見事な『中音メディアム』で! ……でも、あたしの知っている歌でなくては困るのよ。……どんな歌? ごく新しいタイプの歌?」
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ウヰスラアーの靄の中音うちねに鳴き鳴きてそこはかとなし。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
淡紅色ときいろメリンスのたすきを端長く背に結んだ其娘共のうちに、一人、背の低い太つたのがあつて、高音ソプラノ中音アルトの冴えた唄に際立つ次中音テノルの調子を交へた、それがわざと道化た手振をして踊る。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)