中音テノール)” の例文
中音テノールも野卑なら、歌の節回しも下品であった。と、今度は別の女の声が、なんとなくおどおどしてはいるが、ひどく気取った調子で、甘ったるくこう言った。
彼は背のひくいしなびた男で、黄色い顔をして、ちょっぴりしたもみ上げの毛をきれいになでつけて、幅のない中音テノールで話をして、ものを言うとき口を曲げるのが癖だった。
可愛い女 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)