みと)” の例文
が、かれ年月としつきつとともに、此事業このじげふ單調たんてうなのと、明瞭あきらかえきいのとをみとめるにしたがつて、段々だん/\きてた。かれおもふたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
牛込見附みつけとき、遠くの小石川のもりに数点の灯影ひかげみとめた。代助は夕飯ゆふめしふ考もなく、三千代のゐる方角へいてあるいてつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
当時日本人は、欧州人おうしゅうじんから見れば、まったく眼中がんちゅうになかったのであります。日本という国さえもみとめられてはいないくらいでした。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
金持かねもちは、金色こんじきうおべれば、この病気びょうきがなおるということをきますと、絶望ぜつぼうのうちにかすかな希望きぼうみとめたのであります。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これと同時どうじにその論議ろんぎ具體化ぐたいくわした建築物けんちくぶつ實現じつげんさらのぞましいことである。假令たとひその成績せいせき多少たせう缺點けつてんみとめられてもそれ問題もんだいでない。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
本船ほんせんより射出しやしゆつする船燈せんとうひかりでチラとみとめたのはその船尾せんびしるされてあつた「海蛇丸かいだまる」の三、「海蛇丸かいだまる」とはたしかにかのふね名稱めいしやうである。
死後しご幾年いくねんかをへて、それがはじめて舊石器時代きゆうせつきじだいであることにきまり、今更いまさらサウツオラの手柄てがら人々ひと/″\みとめるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
〔譯〕游惰いうだみとめて以て寛裕かんゆうと爲すことなかれ。嚴刻げんこくを認めて以て直諒ちよくりやうと爲すこと勿れ。私欲しよくを認めて以て志願しぐわんと爲すこと勿れ。
そもそ此所こゝ千鳥窪ちどりくぼが、遺跡ゐせきとしてみとめられたのは、隨分ずゐぶんふることで、明治めいぢ二十一ねんの九ぐわつには、阿部正功あべせいこう若林勝邦わかばやしかつくにの二すで發掘はつくつをしてる。
突き付けられた手紙を、老番頭の太兵衞は呆氣に取られて眺めて居りましたが、やがて手代利吉の書いたものに相違ないことをみとめました。
そううまく行くべきものだか、どうだか。むかしも今も席画というがある、席画に美術を求めることの無理でなのは今は誰しもみとめている。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ルイザはクラフト家の人たちのすぐれていることを文句もんくなしにいつもみとめていたから、おっとしゅうと間違まちがっているなどとはゆめにも思っていなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
かほ入違いれちがひに、かた前髮まへがみせたはうは、此方こちらきに、やゝ俯向うつむくやうにむらさきそでおほふ、がつくりとしたれば、かげつて、かみかたちみとめられず。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうかとおもつてうち村落中むらぢう勘次かんじのおつぎにたいする態度たいどまつた以前いぜんかへつたことをみとめずにはられなくなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
六年の田舎住居、多少は百姓の真似まねもして見て、土に対する農の心理の幾分をしはじめて見ると、余はいやでも曩昔むかしみとめずには居られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こうした文学上の活躍かつやくみとめられて、一九〇九年には女の人としてはじめての名誉めいよであるノーベル文学賞を受けました。
日傭女ひやとひをんなは續けようとしてゐた。しかし、そこで、リアは振向いて私をみとめた。すると直ぐに彼女は相手をつついた。
ふことがあきらかみとめられるのであつて、それを整理せいりすることは、くに利益りえきからして當然たうぜんかんがへるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
無論むろん、そんなことで筆頭ひつとうなどゝみとめられても、格別かくべつうれしくもないが、そも/\わたし寫眞しやしんはじめたのは、十一二の時分のことで、年ごうにすれば、明治めいち三十五六年
日本全國にほんぜんこく津々浦々つゝうら/\までもゆきわたつてはず文明ぶんめい恩澤おんたくぼく故郷くにには其微光そのびくわうすらみとなかつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
きはめて大なる物及び極めてせうなるものに至つては實用有りしとはみとめ難し或は標章へうしやう玩具ぐわんぐの類なりしならんか。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
十一時のかねが鳴ると同時に彼も教室を出て、下駄げたをはいて友人と笑いながら話をしているのを僕はみとめた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
車上しやじやうひと目早めばやみとめて、オヽ此處こゝなり此處こゝ一寸ちよつとにはか指圖さしづ一聲いつせいいさましく引入ひきいれるくるま門口かどぐちろす梶棒かぢぼうともにホツト一息ひといきうちには女共をんなども口々くち/″\らつしやいまし。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それがすなはけむりばれる以所ゆえんである。かういふふうに噴出ふんしゆつはげしいとき電氣でんき火花ひばなあらはれる。性空上人しようくうしようにん霧島火山きりしまかざん神體しんたいみとめたものは以上いじよう現象げんしよう相違そういなからう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
これをあらそう者あるべからず、あきらかみとむるところなれども、日本の武士道ぶしどうを以てすれば如何いかにしてもしのぶべからざるの場合を忍んで、あえてその奇功きこうおさめたる以上は
なにしろ、ニールスの心は、ゆうべ見た、あのはなやかなみやこのありさまで、いっぱいでしたので、目の前にあるものの美しさは、なにもみとめることができなかったのです。
をつとをして三井みつゐ白木しろき下村しもむら売出うりだ広告くわうこくの前に立たしむればこれあるかな必要ひつえうの一器械きかいなり。あれがしいのうつたへをなすにあらざるよりは、がうもアナタの存在をみとむることなし
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
今までの悲哀ひあいや苦痛はもとより其によツて少しもげんぜられたといふわけではないが、蔽重おつかさなツたくもあひだから突然とつぜん日のひかりしたやうに、前途ぜんと一抹いちまつ光明くわうめうみとめられたやうに感じて
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
はたらき其場所に取落し置たるに相違さうゐあるまじ尋常に白状せよことに長庵が申立に其方事前日長庵方へ藥取くすりとりに參り合せ十兵衞が娘を吉原町へうり其金を持て歸りし時の容子ようすみとめ其方惡意あくい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「入口で、三人、やっつけたばかりで、ここまで来ても、更に敵影てきえいみとめず、ですな」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
王子おうじは、ここまでると、どこからか、いたことのあるこえみみはいったので、こえのするほうすすんでくと、ラプンツェルがぐに王子おうじみとめて、いきなりくび抱着だきついて、きました。
ことに老人の傷処きずしょあらため見ればのどを一突にて深く刺れ「あっ」とも云わずに死せしとこそ思わるれ、曲者くせものの去りたる後まで生存いきながらえしとはみとむ可からず、笑の浮みしは実際にして又道理なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
が、もう一たけろうが、はなあたまッこすって、ニヤリとわらったその刹那せつなむこうからかかった、八丁堀ちょうぼり与力よりき井上藤吉いのうえとうきちよういているおに七をみとめた千きちは、素速すばや相手あいてせいした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
この無頓著むとんちやくひとと、みちもとめるひととの中間ちゆうかんに、みちふものゝ存在そんざい客觀的かくくわんてきみとめてゐて、それにたいしてまつた無頓著むとんちやくだとふわけでもなく、さればとつてみづかすゝんでみちもとめるでもなく
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
チチコフはマニーロフと入口でお辞儀ばかりしあっていたので、それまで少しも気がつかなかったが、この時はじめて一人の婦人の姿をみとめた。なかなか美人で、顔に相応しい服装をしていた。
客は註文を通したのち横柄おうへいに煙草をふかし始めた。その姿は見れば見るほど、敵役かたきやく寸法すんぽうはまっていた。あぶらぎったあから顔は勿論、大島おおしまの羽織、みとめになる指環ゆびわ、——ことごとく型を出でなかった。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
国境論とは上越の国界なる清水越しみづごへより山脈の頂上をつね進行しんこうせんとするものにして、つひに頂上より水源をみとめなば水流をふて漸次くだらんとするなり、水源論とははじめより水流をさかのぼりて水源にいた
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
これなどは、ひとみとめまた實際じつさいにねうちもあるものです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかもらうとおもことこと/″\こと出來できなかつた。おのれの弱點じやくてんいては、一言ひとことかれまへ自白じはくするの勇氣ゆうき必要ひつえうみとめなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
が、かれ年月としつきつとともに、この事業じぎょう単調たんちょうなのと、明瞭あきらかえきいのとをみとめるにしたがって、段々だんだんきてた。かれおもうたのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ちょうど、このとき、小鳥ことりは、くらな、そしてたけくるうすさまじいうみのあちらから、一筋ひとすじあかるいひかりすのをみとめたのです。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
貧乏びんばふ所帶しよたいであれば彼等かれらいく少量せうりやうでも不足ふそくをいはぬ。しか多少たせう財産ざいさんいうしてると彼等かれらみとめてうちでそれををしめば彼等かれら不平ふへいうつたへてまぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのほかフランスの洞穴ほらあなには、これとよくや、すこおもむきことにするが、無數むすうにありますが、一風いつぷうかはつたかた舊石器時代きゆうせつきじだいみとめられるものは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
この魚族ぎよぞくは、きわめて性質せいしつ猛惡まうあくなもので、一時いちじ押寄おしよせてたのは、うたがひもなく、吾等われら餌物えものみとめたのであらう。わたくしそのぐんたちま野心やしんおこつた。
戰爭せんさうむと翌年よくねんからふたゝ輸入超過ゆにふてうくわへん經濟界けいざいかい状勢じやうせいは一ぺんしたるにかゝはらず戰後せんご數年すうねん今日こんにちおいてもさら改善かいぜん曙光しよくくわうみとむることをざる状態じやうたいにある。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
「もう失敗してもいない。おれは昔の怜悧者りこうものではない。おれは明治めいじの人間だ。明治の天子様は、たとえ若崎が今度失敗しても、畢竟ひっきょうみとめて下さることを疑わない」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
外国人はおのおのそのみとむるところの政府に左袒さたんして干渉かんしょうたんを開くのおそれありしといわんか。
飛脚ひきやく大波おほなみたゞよごとく、鬼門關きもんくわんおよがされて、からくも燈明臺とうみやうだいみとめた一基いつき路端みちばたふる石碑せきひ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、その内にいく分倦きて來た。それに學校を出て、どうにか新進作しんさく家などゝみとめられ出して、事が相當そうとうに忙しくなつて來たとなると、さうさう球突塲たまつきば通ひも出來なくなつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)