あひだ)” の例文
(七)舜禹しゆんうあひだ(八)岳牧がくぼくみなすすむ。すなはこれ(九)くらゐこころみ、しよくつかさどらしむることすうねん(一〇)功用こうようすでおこり、しかのちまつりごとさづく。
金持ちや貴族のあひだでは、男は概して、女ほど貞操ていさうを守らない。しかし、母や妻である女が、純潔に生涯を送ることは最も確実である。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たとへば、淡路あはぢ和泉いづみあひだうみは、古來こらい茅渟ちぬうみせうたつたのを、今日こんにちはこの名稱めいせうばないで和泉洋いづみなだまたは大阪灣おほさかわんせうしてゐる。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
八百八しましまあひだを、自由じいう青畳あをだゝみうへのやうにぐんだとふから、しま一つ一つおもむきのかはるのも、どんなにいゝかれやしない。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わが主曰ひけるは、フレジアス、フレジアス、こたびは汝さけぶも益なし、我等汝に身を委ぬるは、ひぢを越えゆくあひだのみ 一九—二一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
印刷機械の一部や印刷紙などを積み重ねてあるあひだのはしご段を、づか/\とあがつて行つて三疊と六疊との間の障子をすツと明けた。
その二百年にひやくねんあまりのあひだに、だん/\うたといふものゝ、かういふものでなければならないといふ、漠然ばくぜんとした氣分きぶん出來できました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あいちやんは心配しんぱいさうに木々きゞあひだのぞまはつてゐましたが、やが其頭そのあたま眞上まうへにあつたちひさなとがつたかはに、ひよいときました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そつともとのやうに書物のあひだに収めて、なほもそのへんの一冊々々を何心なにごゝろもなくあさつてくと、今度は思ひがけない一通の手紙に行当ゆきあたつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
名刺には里見美禰子さとみみねことあつた。本郷真砂町だから谷を越すとすぐ向である。三四郎が此名刺を眺めてゐるあひだに、女は椽に腰を卸した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
是天地方円はうゑんあひだ生育そだつゆゑに、天地のかたちをはなれざる事子の親にるに相同じ。雪の六出りくしゆつする所以ゆゑんは、ものかず長数ちやうすういん半数はんすうやう也。
『おきぬさん!』とぼくおもはずげた。おきぬはにつこりわらつて、さつとかほあかめて、れいをした。ひとくるまとのあひだる/\とほざかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
同時に「自我じが」といふものが少しづゝ侵略しんりやくされてくやうに思はれた。これは最初のあひだで、少時しばらくつとまたべつに他の煩悶が起つた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とうさんの祖母おばあさんの隱居所いんきよじよになつてた二かい土藏どざうあひだとほりぬけて、うら木小屋きごやはうおり石段いしだんよこに、その井戸ゐどがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
卯平うへい薄暗うすぐらうちなかたゞ煙草たばこかしてはおほきな眞鍮しんちう煙管きせる火鉢ひばちたゝいてた。卯平うへい勘次かんじとはあひだろくくちきかなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
維盛卿の前なれば心をあかさん折もなく、しばしのあひだながら御邊の顏見る毎に胸を裂かるゝ思ひありし、そは他事にもあらず、横笛が事
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
うして、んだツて馬鹿ばかな、土方どかた眞似まねたいなことるんだらうと侮辱的ぶぢよくてきかほが、あり/\と焚火たきびけむりあひだからえるのである。
日本にほん麻雀マアジヤン近頃ちかごろ少々せう/\ねこ杓子しやくしものかんじになつてしまつたが、わづか四五ねんほどのあひだにこれほど隆盛りうせい勝負事しようぶごとはあるまいし
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
下等船客かとうせんきやくいち支那人シナじんはまだ伊太利イタリー領海りやうかいはなれぬ、ころよりくるしきやまひおかされてつひにカンデイアじまとセリゴじまとのあひだ死亡しぼうしたため
それでヨーロッパの諸國しよこく支那しなのように青銅器せいどうき時代じだいといふものを區別くべつするほどのあひだもなく、すぐに鐵器てつき時代じだいうつつてしまつたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
寺僮と我との足音は、穹窿のあひだに寂しき反響を喚起せり。寺僮のひつぎはかしこにと指して、立ち留まるがまゝに、我はひとり長廊を進めり。
おびあひだから紙幣入さついれを出して幾許いくらはらひをしてかへる時に、重い口からちよいと世辞せじつてきましたから、おほきに様子やうすよろしうございました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
郵便局の角から入ると、それから二三ちやうあひだは露店のランプの油烟ゆえんが、むせるほどに一杯にこもつて、きちがふ人の肩と肩とが触れ合つた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
がたおそろしさはいなづまごとこゝろうちひらめわたつて、二十有餘年いうよねんあひだ奈何どうして自分じぶんこれらざりしか、らんとはざりしか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
見當り次第しだい討取うちとつて夫に手向たむけんと思ひせがれ太七をよび勘兵衞殿は其方のためじつの親には有ねども六ヶ年のあひだ世話せわになりたれば親に違ひなし彌七を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僅か半歳はんさいあひだ、匇々たる貧裡半歳の間とは云へ、僕が君によつて感じ得た幸福は、とこしなへに我等二人を親友とするであらう。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そればかりか、折角せつかくのごちさう はとみれば、そのあひだに、これはまんまと、あなげこんでしまつてゐるのです。そしてあなくちからあたまをだして
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
高山こうざんにはよくさういふ凹地くぼちみづたゝへて、ときには沼地ぬまちかたちづくり、附近ふきんいはあひだゆきをためてゐたりするところがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
地中海から吹く北風に石炭のほこりが煙の様に渦を巻いて少時しばらくあひだに美しい白ぬりの𤍠田丸も真黒まつくろに成つて居た。出帆時間が来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
一體いつたい家屋かおくあたらしいあひだはしら横木よこぎとのあひだめつけてゐるくさびいてゐるけれども、それが段々だん/″\ふるくなつてると、次第しだいゆるみがる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
彼は今朝までのあひだに二間續きの模樣を變へ、次の間の窓際に經机を置いて、おばあさんの席をつくつておいてくれたのだ。
おばあさん (旧字旧仮名) / ささきふさ(著)
わたしが悪う御座いました。堪忍して下さい。もうこれからけつして貴婦人にならうとは思ひませぬ。金剛石ダイヤモンド貴方あなたわたしあひだを割く悪魔でした。」
金剛石 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
桂次けいじいまをる此許こゝもと養家やうかゑんかれて伯父をぢ伯母をばといふあひだがらなり、はじめて此家このやたりしは十八のはる田舍縞いなかじま着物きものかたぬひあげをかしとわらはれ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
B うゝ、それはマア双方さうはうあひだにキナくさにほひぐらゐしてゐたのだらう。其中そのうちをんなくにかへつて、しばらくしてから手紙てがみをよこしたんだ、さうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
方略の第二段に襲撃を加へることにしてある大阪富豪の家々は、北船場きたせんばむらがつてゐるので、もうことごと指顧しこあひだにある。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「大阪にうめすけと云ふ役者があるの、綺麗な顔ですよ。このあひだね、お小姓こしやうになつたの、桃色のお振袖ふりそでを着てましたよ。」
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
我國わがくにおい大正たいしやうねんぐわつ十二にちきん輸出禁止ゆしゆつきんし實行じつかうして以來いらい十三ねんあひだきん輸出禁止ゆしゆつきんし日本にほん經濟界けいざいかいあたへた惡影響あくえいきやうなりだいなるものであつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そのころ習慣ならはしにしたがつて、三日みつかあひだ大宴會だいえんかいひらいて、近所きんじよひとたちや、そのほかおほくの男女なんによをよんでいはひました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
また此短針このたんしんと十とのあひだ半過なかばすぎて十はう近寄ちかより、長針ちやうしんすゝんで八ところきたればこれを十まへ二十分時ぶんじと云ふ。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし、世間から作家として許されるまでにはもとよりまだ大きにあひだがあつた。たゞ自分が好きで気なぐさみにやつてゐられたといふだけであつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
第四 長日ちやうじつあひだは、午後一時ごゞいちじころ半時計はんじばかり晝眠ひるねやしなひたすけとなることあれども、其他そのたけつして日中につちゆう睡臥すゐぐわきんこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
もなく、K夫人ふじんあひだうすまけて吃驚びつくりした。瞬間しゆんかん自殺じさつかと狼狽らうばいしたほど彼女かのぢよ多量たりやう咯血かくけつなかにのめつてゐた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
マンチュアにちっしてゐやるあひだに、わしがをり二人ふたり内祝言ないしうげん顛末もとすゑおほやけにし、兩家りゃうけ確執かくしつ調停てうていし、御領主ごりゃうしゅゆるしひ、やがてそなた呼返よびかへすことにせう
三日みつかあひだ城内じやうないりでございまして、やうや歸宅きたくいたしますと町方まちかた病家びやうかから、見舞みまひ催促さいそくるやうで、其處そこをどうにかけてまゐりました。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あれは徳川氏が自分の政策上から、あんな料理法を拵へ上げたので、一体吾々の食べる魚肉といふものは、皮肉ひにくあひだあぶらが乗つて一番うまいものなんです。
たいこの規則きそくでさせること規則きそく其物そのものそんしてゐるあひだすなは規則きそくにはまつてあひだはよろしいが、他日たじつ境遇きやうぐうはると、一方ひとかたならぬ差支さしつかへしやうずることがありませう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
「梅の花折りてかざせる諸人もろびとは今日のあひだは楽しくあるべし」(巻五・八三二)、「真袖もち床うち払ひ君待つと居りし間に月かたぶきぬ」(巻十一・二六六七)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
わたし北海道ほくかいだうつても、れにもつたひとはふとはおもひませんわ。わたしはたゞそつと自分じぶんまへのこした足跡あしあとを、くるまほろあひだからでもてくれゝばいゝんですもの。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
それで、そのあひだの小劍には、小説は、文字どほり、餘技であり、小遣こづかりであつたかもしれない。
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
みぎから二ばん鹿しかが、にはかにとびあがつて、それからからだをなみのやうにうねらせながら、みんなのあひだつてはせまはり、たびたび太陽たいやうはうにあたまをさげました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)