さつ)” の例文
婦人ふじん驚駭きやうがいけださつするにあまりある。たくへだてて差向さしむかひにでもことか、椅子いすならべて、かたはせてるのであるから、股栗不能聲こりつしてこゑするあたはず
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔評〕三條公の筑前に在る、或る人其の旅況りよきやう無聊むれうさつして美女を進む、公之をしりぞく。某氏えんひらいて女がくまうく、公ふつ然として去れり。
いつまでも仲よくお遊びよとつてれた事がある———自分の苦痛の何物なにものたるかをさつして同情してれるであらう。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
とうていかような爲事しごと出來できますまいから、この大工事だいこうじ遺物いぶつたゞけでも、當時とうじ社會状態しやかいじようたいさつすることが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一日いちにちすみやかに日本につぽんかへりたいのは山々やま/\だが、前後ぜんご事情じじやうさつすると、いま此人このひとむかつて、其樣そん我儘わがまゝはれぬのである。
ぬすみ出し候ゆゑさては渠等兩人も主人の惡意あくいさつしけれるにや兄弟をぬすみ出しうへうつたへ出る存念ぞんねんと心付南無三寶是ははやりたることをなし公邊かみへ御苦勞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御座ございますけれどわたし其時そのとき自分じぶんかへりみかんがへはませぬゆゑ、良人をつとのこゝろをさつすること出來できませぬ、いやかほあそばせば、それがさはりまするし
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勇吉が『お茶の水邊』と言つたと聞いて、大方事件の落着きをさつした平次は、駕籠と自分の足とを存分に働かせて、危機一髮の場合に間に合つたのでした。
それに大概たいがいうでよりもより以上いじやうくち達者たつしや面面めんめんおほいのだからその騷々さう/″\しさももつさつすべきである。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それが、う云ふ具合か急にうごした。代助は之を生理上の変化から起るのだらうとさつした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたくしけつしてきみたいして立腹りつぷくいたさんので、病氣びやうきなれば據無よんどころないのです、おさつもをすですよ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おふさが私のところへ來てゐることが母親の方へ知れてからは、絶えず手紙で以てしつつこく責められて、一ん日も延び/\した心持がしないらしいといふことは私もさつしてゐた。
金魚 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
ゆゑしゆあいせらるればすなはあたりてしんくはへ、しゆにくまるればすなは(一一〇)つみあたりてくはふ。ゆゑ諫説かんぜいは、(一一一)愛憎あいぞうしゆさつしてしかのちこれかざるからざるなり。
また有珠山うすさん明治四十三年めいじしじゆうさんねん噴火ふんか數日前すうじつぜんから地震ぢしん先發せんぱつせしめたので、とき室蘭警察署長むろらんけいさつしよちよう飯田警視いひだけいし爆發ばくはつ未然みぜんさつし、機宜きゞてきする保安上ほあんじよう手段しゆだんつたことは特筆とくひつすべき事柄ことがらである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
早朝さうてう出立、尾瀬おせの大原野を経過けいくわし燧山麓にいたる、目的とする所の尾瀬沼は眼眸がんばうり来らず、燧山麓一帯の山脈よこたはれるを以て、之を経過けいくわすれば沼にいたるをるならんとさつし、又険山を攀登ばんとう
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
之を用ゐしは男子だんしならん。そは此所にべたる如き面貌の土偶は乳房ちぶさの部の膨れ方はなはだすくなきを以てさつすべし。光線反射の眼に害有る男女なんによに從つて差有るのし。女子は如何いかにして眼を保護ほごせしや。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
あゝ、不吉ふきつうへにも不吉ふきつ賓人まれびとよ、わたくしこゝろ千分せんぶんいちでもおさつしになつたら、どうか奧樣おくさま日出雄樣ひでをさまたすけるとおもつて、今夜こんや御出帆ごしゆつぱんをおください。
合點がてんがいつたら何事なにごとむねおさめて、らぬかほ今夜こんやかへつて、いままでどほりつゝつしんでおくつてれ、おまへくちさんとてもおやさつしるおとゝさつしる
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
久八はとくさつし何事も心切しんせつを盡し内々にて小遣錢こづかひぜに迄も與へかげになり日向ひなたになり心配してくれけるゆゑ久八が忠々まめ/\敷心にめでて千太郎は奉公に來し心にて辛抱しんばう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さつせずしてこれふ、いづれも世道せだう執着しうぢやくして、眞相しんさうあやまつなり。く、こゝしるすものはみな事實じじつなりと。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大概たいがいさつして居た積りだ、——それが到頭歸つて來なかつた。お前さんの彫物を洗ひに行つた二代目勘兵衞さんは、又六の弟子共に袋叩きにされて死んで了つたのだよ」
其頬そのほゝ紅色べにいろや、瘠方やせかたさつするにかれにはもう肺病はいびやう初期しよきざしてゐるのであらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その度毎に明あん悲喜ひきこもごもいたる二人のかほ附たるやおさつしに任せる次第だ。
今や時勢一ぺんして舊規きうき墨守ぼくしゆす可らず、宜しく政けんを王室に還し、以て萬國竝立へいりつ基礎きそを建つべし。其れ則ち當今の急務きふむにして、而て容堂の至願しぐわんなり。ばく下のけんなる、必之をさつするあらんと。
しかるに、大佐たいさ言葉ことばと、その顏色かほいろとでさつすると、その心痛しんつうみなもとんでも其處そこおこつたらしい、わたくしいそげんをつゞけた。
しづめ夫は年の頃はいくつ位に候や我が村中に彌太八といふ者なければ我頼みしおぼえなしさつする所前日の惡者の仲間を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひさぶりでおにかゝつてなにまをしたいこと澤山たんとあるやうなれどくちませぬはさつしてくだされ、ではわたし御別おわかれにいたします、隨分ずいぶんからだをいとふてわづらはぬやう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
てゝくにはしのびぬけれども、鎭守府ちんじゆふ旦那樣だんなさまが、呼吸いきのあるうち一目ひとめひたい、わたしこゝろさつしておくれ、とかういふこゝろく、たうげまへひかへてるし、ぢいや!
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「へエ、おさつしの通りで、私は遠州樣には、先々代樣から三十年も御厄介ごやくかいになつて居ります。みす/\御主人夫婦が惡者の手に掛つてくなられたのを知りながら默つちや居られません」
貧乏びんぼうなればこそしゞみかつがせて、此寒空このさむそらちいさなあし草鞋わらじをはかせる親心おやこゝろさつしてくだされとて伯母おばなみだなり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
備中びつちう一時あるとき越前ゑちぜん領土巡検りやうどじゆんけんやくを、主人しゆじん義景よしかげよりうけたまはり、供方ともかた二十にんばかりをれて、領分りやうぶんたみ状態じやうたいさつせんため、だゝる越前ゑちぜん大川おほかは足羽川あすはがはのほとりにかゝる。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最初惡人に引摺ひきずられたが、美しい奧方と一緒に居るうち、本當に惡い望みを起して、奧方に無禮なことをしたのさ——、末期まつごの苦しい息の下から、奧方の方を拜んだと聽いて俺は大方おほかたさつしたよ。
八重やへさつしてすゝめつゝとりまかなひてふうらすにふみにはあらで一枚ひとひら短冊たんざくなりけり兩女ふたりひとしく雲形くもがた
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と、きやくめうかほをして、これをながめて、さつしたとえて噴出ふきだして、「ことだよ/\。」とふ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さつしてくださりませわたくし今日けふまでひに原田はらだいて御耳おみゝれましたこともなく、いさむわたしとのなかひとふたこと御座ござりませぬけれど、千度ちたび百度もゝたびかんがなほして
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えゝ、お姫様ひいさまの! うやらいままでの乞目こひめでは、一度いちど一年いちねんかゝりさうぢや。おかげ私等わしらひもじうも、だるうもけれど、肝心かんじんたすらうとふ、奥様おくさまをおさつしやれ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
えぬなはにつながれてかれてゆくやうなれをば、あなたはしんところなにともおもふてくれねば、勝手かつてにしろといふふうれのこととてはすこしもさつしてくれる樣子やうすえぬ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
立後たちおくれたのを歩行悩あるきなやんだとさつした様子やうすなにさてころちてもはやつてひるあかおとしたさ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴君あなたわたしおもことがあるだらうとさつしてくださるからうれしいけれど、よもやわたしなにをおもふかれこそはおわかりにりますまい、かんがへたとて仕方しかたがないゆゑ人前ひとまへばかりの大陽氣おほようき
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つたふるところ怪異くわいいしよおほくは徳育とくいくのために、訓戒くんかいのために、寓意ぐういだんじて、勸懲くわんちやうとなすにぎず。けだをしへのために、鬼神きしんわづらはすものなり人意じんいいづくん鬼神きしん好惡かうをさつむや。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なによりさきわたし自墮落じだらく承知しやうちしてくだされ、もとより箱入はこいりの生娘きむすめならねばすこしはさつしてもくださろうが、口奇麗くちぎれいことはいひますともこのあたりのひとどろなかはすとやら
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こゝはおさつしをねがひます。——心易こゝろやすくは禮手紙れいてがみ、たゞ音信おとづれさへ出來できますまい。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ばずて光氏みつうぢさまといふとかやお姿すがたさつせよかしそれかれてゞはけれどひと
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御側おそば面々めん/\鳥籠とりかごをぐるりと取卷とりまき、「御難澁ごなんじふのほどさつる、さて/\御氣おきどくのいたり」となぐさむるもあり、また、「これも御奉公ごほうこうなれば怠懈おこたり御勤おつとめあるべし、かみ御慰おんなぐさみにならるゝばかり、 ...
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さつしあれ、知己ちき方々かた/″\。——わたし下駄げたひきずつて横飛よことびに逃出にげだした。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちつとさつしてくだされといふに成程なるほど/\とて結城ゆふきは二ごんといはざりき。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふまでもなく、よひのうちは、いつものつりだとさつしてた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見捨みすてゝじやうなしがおまへきかあはれといへば深山みやまがくれのはなこゝろさぞかしとさつしられるにもられずひとにもられずさきるが本意ほんいであらうかおなあらしさそはれてもおもひと宿やどきておもひとおもはれたらるともうらみはるまいもの谷間たにまみづ便たよりがなくは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ところ不可いけないのでございます。おさつくださいまし。……
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また場所ばしよそれつじそれところ待給まちたまかならずよとちぎりてわかれし其夜そのよのことるべきならねば心安こゝろやすけれど心安こゝろやすからぬは松澤まつざはいま境涯きやうがいあらましはさつしてもたものゝそれほどまでとはおもひもらざりしが其御難儀そのごなんぎたれがせしわざならず勿躰もつたいなけれどおやうらみなりかれぬまでもいさめてんかいなちゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)