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御耳
密め
御令妹お花樣御事
豫て澤井友次郎殿と不義成れし事私し存じ居候へども
確なる事を見ねば旦那樣の
御耳にも
入難しと
存し處今宵も御當番の御留守を
一夜幼君燈火の
下に
典籍を
繙きて、
寂寞としておはしたる、
御耳を
驚かして、「
君、
密に
申上ぐべきことの
候」と
御前に
伺候せしは、
君の
腹心の
何某なり。
察して
下さりませ
私は
今日まで
遂ひに
原田の
身に
就いて
御耳に
入れました
事もなく、
勇と
私との
中を
人に
言ふた
事は
御座りませぬけれど、
千度も
百度も
考へ
直して