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婦
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をんな
ふりがな文庫
“
婦
(
をんな
)” の例文
はて、
何
(
なん
)
の
菜
(
な
)
だ、と
思
(
おも
)
ひながら、
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けようとして、
一
(
ひと
)
つ
咳
(
しはぶき
)
をすると、
此
(
これ
)
は
始
(
はじ
)
めて
心着
(
こゝろづ
)
いたらしく、
菜
(
な
)
を
洗
(
あら
)
ふ
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
が
顏
(
かほ
)
を
上
(
あ
)
げた。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蓋
(
そは
)
もし衣にだにも
捫
(
さは
)
らば
愈
(
いえ
)
んと
意
(
おも
)
へばなりイエスふりかへり
婦
(
をんな
)
を見て曰けるは
女
(
むすめ
)
よ心安かれ爾の信仰なんぢを愈せり即ち婦この時より
愈
(
いゆ
)
忘れがたみ
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
再
(
ふたゝび
)
荊棘
(
けいきよく
)
の
条
(
えだ
)
を
取
(
とり
)
香花
(
かうくわ
)
神前
(
しんぜん
)
に
挿
(
さしはさみ
)
供
(
くうず
)
。次に
集
(
あつま
)
る
各童
(
わらべども
)
手に木刀を
執
(
とり
)
途
(
みち
)
に
隊閙
(
たいだうし
)
、
凡
(
すべて
)
有婚
(
こんれいして
)
无子
(
こなき
)
の
婦
(
をんな
)
木刀を
将
(
もつ
)
て
遍身
(
へんしん
)
打之
(
これをうち
)
口に
荷花蘭蜜
(
こばらみ
)
と
舎
(
とな
)
ふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
婦
(
をんな
)
は家に帰つて、いそいそ箱を
開
(
あ
)
けてみると、なかから転がり出したのは、薬では無くつて
金貨
(
かね
)
であつた。
包紙
(
つゝみがみ
)
には詩人の
字
(
て
)
で
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「うむ、それは心配だらう。能く有る事だ。然し、飯も食はずに気を
揉
(
も
)
んでゐるとは、どう云ふ
伴
(
つれ
)
なのかな。——
年寄
(
としより
)
か、
婦
(
をんな
)
ででもあるか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
掛軸からぬけ出したやうに、歌麿式の凄艶な容姿の
婦
(
をんな
)
がやつて来て、蚊遣香をつぎ足したので、又ひとしきり、仏臭い匂があたりに強く流れた。
薄暮の貌
(新字旧仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
畫題
(
ぐわだい
)
は『
自然
(
しぜん
)
の
心
(
こゝろ
)
』と謂ツて、ちらし
髪
(
がみ
)
の
素裸
(
すつぱだか
)
の
若
(
わか
)
い
婦
(
をんな
)
が、
新緑
(
しんりよく
)
の
雑木林
(
ざふきばやし
)
に
圍
(
かこ
)
はれた
泉
(
いづみ
)
の
傍
(
かたはら
)
に立ツて、自分の
影
(
かげ
)
の
水面
(
すゐめん
)
に映ツてゐるのを
瞶
(
みまも
)
ツてゐるところだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
案じ夏とて谷間に雪あるに
郎
(
をとこ
)
は
單衣
(
ひとへぎぬ
)
にて
上
(
のぼ
)
られぬ梢の
雫
(
しづく
)
巖
(
いはほ
)
の
滴
(
したゝ
)
り何とてそれにて
凌
(
しの
)
がれん
袷
(
あはせ
)
を贈りまゐらせたやとの情
彼
(
か
)
の孤閨を守る
婦
(
をんな
)
が夫が遠征の先へ新衣を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
夕飯を終へてから、
翁媼
(
をうあう
)
も、
婦
(
をんな
)
も孫も、みんな、深く積つた雪がかんかんと氷る道を踏んでその人形芝居を見に行つた。時にはひどい吹雪の夜のことなどもあつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ドクトル、アンドレイ、エヒミチはベローワと
云
(
い
)
ふ
婦
(
をんな
)
の
小汚
(
こぎた
)
ない
家
(
いへ
)
の一
間
(
ま
)
を
借
(
か
)
りることになつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
而
(
しか
)
もこれは
婦
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
から
種々
(
しゆ/″\
)
の
問題
(
もんだい
)
を
持出
(
もちだ
)
して
居
(
ゐ
)
るやうだそして
多少
(
いくら
)
か
煩
(
うるさ
)
いといふ
氣味
(
きみ
)
で
男
(
をとこ
)
はそれに
説明
(
せつめい
)
を
與
(
あた
)
へて
居
(
ゐ
)
たが
隨分
(
ずゐぶん
)
丁寧
(
ていねい
)
な
者
(
もの
)
で
決
(
けつ
)
して『ハア』『そう』の
比
(
ひ
)
ではない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
併し、彼の妻は、暑さをさほどには感じなかつた。併し、彼の妻から暑さを防いだものは、その頭の上の
紫陽花
(
あぢさゐ
)
色に紫陽花の
刺繍
(
ししゆう
)
のあるパラソル——貧しい
婦
(
をんな
)
の天蓋——ではなかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
鎮火と聞いて
孰
(
いづれ
)
も胸を安めたやうなものの、かう毎晩の様に火事があつては、とても安閑として生活して居られぬといふそは/\した不安の情が村一体に満ち渡つて、家々の角には、
婦
(
をんな
)
やら
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
前掛ばかり白い
婦
(
をんな
)
のひとは
女中
(新字旧仮名)
/
石川善助
(著)
雨
(
あめ
)
の
日
(
ひ
)
のつれ/″\に、
佛
(
ほとけ
)
、
教
(
をし
)
へてのたまはく、
昔
(
むかし
)
某
(
それ
)
の
國
(
くに
)
に
一婦
(
いつぷ
)
ありて
女
(
ぢよ
)
を
生
(
う
)
めり。
此
(
こ
)
の
婦
(
をんな
)
恰
(
あたか
)
も
弱竹
(
なよたけ
)
の
如
(
ごと
)
くにして、
生
(
うま
)
れし
女
(
むすめ
)
玉
(
たま
)
の
如
(
ごと
)
し。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
再
(
ふたゝび
)
荊棘
(
けいきよく
)
の
条
(
えだ
)
を
取
(
とり
)
香花
(
かうくわ
)
神前
(
しんぜん
)
に
挿
(
さしはさみ
)
供
(
くうず
)
。次に
集
(
あつま
)
る
各童
(
わらべども
)
手に木刀を
執
(
とり
)
途
(
みち
)
に
隊閙
(
たいだうし
)
、
凡
(
すべて
)
有婚
(
こんれいして
)
无子
(
こなき
)
の
婦
(
をんな
)
木刀を
将
(
もつ
)
て
遍身
(
へんしん
)
打之
(
これをうち
)
口に
荷花蘭蜜
(
こばらみ
)
と
舎
(
とな
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
婦
(
をんな
)
の徳をさへ
虧
(
か
)
かでこの
嬋娟
(
あでやか
)
に生れ得て、しかもこの富めるに
遇
(
あ
)
へる、天の
恵
(
めぐみ
)
と世の
幸
(
さち
)
とを
併
(
あは
)
せ
享
(
う
)
けて、残る
方
(
かた
)
無き果報のかくも
痛
(
いみじ
)
き人もあるものか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一
體
(
たい
)
日本
(
にほん
)
の
婦
(
をんな
)
の足と
來
(
く
)
たら、周三
等
(
ら
)
の
所謂
(
いはゆる
)
大根
(
だいこん
)
で、
不恰好
(
ぶかつかう
)
に
短
(
みぢか
)
いけれども、お房の足はすツと長い、
從
(
したが
)
ツて
背
(
せい
)
も
高
(
たか
)
かツたが、と謂ツて
不態
(
ぶざま
)
な
大柄
(
おほがら
)
ではなかツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
お人好しの詩人は、それを聞くと
狼狽
(
うろた
)
へ出した。
婦
(
をんな
)
を引張るやうにして、その
家
(
うち
)
へ駈けつけてみると、病人は
乾魚
(
ひうを
)
のやうに痩せた
身体
(
からだ
)
を床の中に
横
(
よこた
)
へてゐた。詩人は脈を取つてみた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
とせい/\、
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆすぶ
)
ると、
其
(
そ
)
の
響
(
ひゞ
)
きか、
震
(
ふる
)
へながら、
婦
(
をんな
)
は
真黒
(
まつくろ
)
な
髪
(
かみ
)
の
中
(
なか
)
に、
大理石
(
だいりせき
)
のやうな
白
(
しろ
)
い
顔
(
かほ
)
を
押据
(
おしす
)
えて、
前途
(
ゆくさき
)
を
唯
(
たゞ
)
熟
(
じつ
)
と
瞻
(
みまも
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
されば風早學士が、解剖臺に据ゑられた屍體に對する態度と謂ツたら、冷々たるもので、其が肉付の好い若い
婦
(
をんな
)
であツても、また皺だらけの老夫であツても、其樣な事には頓と頓着せぬ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ある時、見すぼらしい姿をした
婦
(
をんな
)
が一人駈け込んで来た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
かならず此
婦
(
をんな
)
当年
(
このとし
)
孕
(
はらみ
)
男を
生
(
うむ
)
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
然
(
さ
)
うですね、
年少
(
としわか
)
な
田舍
(
ゐなか
)
の
大盡
(
だいじん
)
が、
相場
(
さうば
)
に
掛
(
かゝ
)
つて
失敗
(
しつぱい
)
でもしたか、
婦
(
をんな
)
に
引掛
(
ひつかゝ
)
つて
酷
(
ひど
)
く
費消
(
つかひ
)
過
(
す
)
ぎた……とでも
云
(
い
)
ふのかと
見
(
み
)
える
樣子
(
やうす
)
です。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
流の
彼方
(
あツち
)
此方
(
こツち
)
で、
何
(
ど
)
うかすると燦爛たる光を放つ……霧は淡い雲のやうになツて川面を這ふ……向ふの岸に若い
婦
(
をんな
)
が水際に下り立ツて洗濯をしてゐたが、
正面
(
まとも
)
に日光を受けて、着物を
搾
(
しぼ
)
る
雫
(
しづく
)
は
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
かならず此
婦
(
をんな
)
当年
(
このとし
)
孕
(
はらみ
)
男を
生
(
うむ
)
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
壇
(
だん
)
を
落
(
お
)
ちるやうに
下
(
お
)
りた
時
(
とき
)
、
黒
(
くろ
)
い
狐格子
(
きつねがうし
)
を
背後
(
うしろ
)
にして、
婦
(
をんな
)
は
斜違
(
はすつかひ
)
に
其處
(
そこ
)
に
立
(
た
)
つたが、
呀
(
あ
)
、
足許
(
あしもと
)
に、
早
(
は
)
やあの
毛
(
け
)
むくぢやらの
三俵法師
(
さんだらぼふし
)
だ。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何んだか醜い
婦
(
をんな
)
の
白粉
(
おしろい
)
が剥げたやうな
心地
(
こゝち
)
もする。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
濡色
(
ぬれいろ
)
を
含
(
ふく
)
んだ
曙
(
あけぼの
)
の
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
から、
姿
(
すがた
)
も
振
(
ふり
)
もしつとりとした
婦
(
をんな
)
を
肩
(
かた
)
に、
片手
(
かたて
)
を
引担
(
ひつかつ
)
ぐやうにして、
一人
(
ひとり
)
の
青年
(
わかもの
)
がとぼ/\と
顕
(
あら
)
はれた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
婦
(
をんな
)
は、
薄色縮緬
(
うすいろちりめん
)
の
紋着
(
もんつき
)
の
單羽織
(
ひとへばおり
)
を、
細
(
ほつそ
)
り、
痩
(
やせ
)
ぎすな
撫肩
(
なでがた
)
にすらりと
着
(
き
)
た、
肱
(
ひぢ
)
に
掛
(
か
)
けて、
濃
(
こ
)
い
桔梗色
(
ききやういろ
)
の
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
を
一
(
ひと
)
ツ
持
(
も
)
つた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
(ひい。)と
引
(
ひ
)
く
婦
(
をんな
)
の
聲
(
こゑ
)
。
鷺
(
さぎ
)
は
舞上
(
まひあが
)
りました。
翼
(
つばさ
)
の
風
(
かぜ
)
に、
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
のさら/\と
亂
(
みだ
)
るゝのが、
婦
(
をんな
)
が
手足
(
てあし
)
を
畝
(
うね
)
らして、
身
(
み
)
を
踠
(
もが
)
くに
宛然
(
さながら
)
である。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いや/\、
決
(
けつ
)
して
貴下方
(
あなたがた
)
が
御辛抱
(
ごしんばう
)
なさるには
及
(
およ
)
ばん。
辛抱
(
しんばう
)
をするのはお
浦
(
うら
)
だ、
可哀想
(
かあいさう
)
な
婦
(
をんな
)
だ。
我慢
(
がまん
)
をしてくれ、お
浦
(
うら
)
、
腕
(
うで
)
は
確
(
たしか
)
だ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
次
(
つぎ
)
の
婦
(
をんな
)
は、
腰
(
こし
)
から
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
を
地
(
つち
)
へ
吸込
(
すひこ
)
まれさうに、
悄乎
(
しよんぼり
)
と
腰
(
こし
)
をなやして
踞
(
しやが
)
む……
鬢
(
びん
)
のはづれへ、ひよろりと
杖
(
つゑ
)
の
尖
(
さき
)
が
抽
(
ぬ
)
けて
青
(
あを
)
い。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
牛屋
(
うしや
)
の
手間取
(
てまとり
)
、
牛切
(
ぎうき
)
りの
若
(
わか
)
いもの、
一婦
(
いつぷ
)
を
娶
(
めと
)
る、と
云
(
い
)
ふのがはじまり。
漸
(
やつ
)
と
女房
(
にようばう
)
にありついたは
見
(
み
)
つけものであるが、
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
(
奇醜
(
きしう
)
)とある。
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り
拔
(
ぬ
)
けるばかりで、
身體
(
からだ
)
が
窘
(
すく
)
みます。
歩行
(
ある
)
けなく
成
(
な
)
つた
所
(
ところ
)
を、
掴
(
つかま
)
つたら
何
(
ど
)
うしませう……
私
(
わたし
)
死
(
し
)
んで
了
(
しま
)
ひますよ……
婦
(
をんな
)
は
弱
(
よわ
)
いものですねえ。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
處
(
ところ
)
がだあ、へゝゝ、
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
からお
前
(
まへ
)
、
燈
(
あかり
)
を
暗
(
くら
)
くすると、ふつと
婦
(
をんな
)
の
身體
(
からだ
)
へ
月明
(
つきあかり
)
がさしたやうに
成
(
な
)
つて、
第一
(
だいいち
)
な、
色
(
いろ
)
が
眞白
(
まつしろ
)
く
成
(
な
)
るのに、
目
(
め
)
が
覺
(
さめ
)
るだ。
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あゝ、あの
柳
(
やなぎ
)
に、
美
(
うつくし
)
い
虹
(
にじ
)
が
渡
(
わた
)
る、と
見
(
み
)
ると、
薄靄
(
うすもや
)
に、
中
(
なか
)
が
分
(
わか
)
れて、
三
(
みつ
)
つに
切
(
き
)
れて、
友染
(
いうぜん
)
に、
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の
菖蒲
(
あやめ
)
を
被
(
か
)
けた、
派手
(
はで
)
に
涼
(
すゞ
)
しい
裝
(
よそほひ
)
の
婦
(
をんな
)
が三
人
(
にん
)
。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
よう
似
(
に
)
た、お
前樣
(
まへさま
)
と
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
で、
然
(
さ
)
る
婦
(
をんな
)
にあひゞきに
參
(
まゐ
)
るので、
此處
(
こゝ
)
を、
此
(
こ
)
の
坂
(
さか
)
を、
矢張
(
やは
)
り、
向
(
むか
)
つて
下
(
した
)
から、うか/\と
上
(
あが
)
りかけたのでありました。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
漸
(
やつ
)
との
思
(
おも
)
ひ、
念力
(
ねんりき
)
で、
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
を
見
(
み
)
ました
時
(
とき
)
は、
絹絲
(
きぬいと
)
も、むれて、ほろ/\と
切
(
き
)
れて
消
(
き
)
えさうに、なよ/\として、
唯
(
たゞ
)
うつむいて
居
(
ゐ
)
たのであります。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あかりのついた、お
附合
(
つきあひ
)
の
隣
(
となり
)
の
窓
(
まど
)
から、
岩
(
いは
)
さんの
安否
(
あんぴ
)
を
聞
(
き
)
かうとしでもしたのであらう。
格子
(
かうし
)
をあけた
婦
(
をんな
)
があつたが、
何
(
なん
)
にも
女房
(
にようばう
)
には
聞
(
きこ
)
えない。……
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
貴方
(
あなた
)
、お
手
(
て
)
をお
擧
(
あ
)
げ
下
(
くだ
)
さい。
家内
(
かない
)
とは
一方
(
ひとかた
)
ならぬ。」と
云
(
い
)
ひかけて
厭
(
いや
)
な
顏
(
かほ
)
もしないが、
婦
(
をんな
)
と
兩方
(
りやうはう
)
を
見較
(
みくら
)
べながら
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
これ
)
の
船中
(
せんちう
)
に
話
(
はな
)
したがね、
船頭
(
せんどう
)
はじめ——
白癡
(
たはけ
)
め、
婦
(
をんな
)
に
誘
(
さそ
)
はれて、
駈落
(
かけおち
)
の
眞似
(
まね
)
がしたいのか——で、
船
(
ふね
)
は
人
(
ひと
)
ぐるみ、
然
(
さ
)
うして
奈落
(
ならく
)
へ
逆
(
さかさま
)
に
落込
(
おちこ
)
んだんです。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
婦
(
をんな
)
たちは
怨
(
うら
)
んだ。が、
結句
(
けつく
)
此
(
これ
)
がために
勢
(
いきほひ
)
づいて、
茣蓙
(
ござ
)
縁臺
(
えんだい
)
を
引摺
(
ひきず
)
り/\、とにかく
黒塀
(
くろべい
)
について、
折曲
(
をりまが
)
つて、
我家々々
(
わがや/\
)
の
向
(
むか
)
うまで
取
(
と
)
つて
返
(
かへ
)
す
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
た。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
重詰
(
ぢうづめ
)
を
中味
(
なかみ
)
のまゝ
持
(
も
)
つて
來
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
はない、と
思
(
おも
)
つたが、
成程
(
なるほど
)
、
私
(
わたし
)
の
家内
(
かない
)
だつて、
面
(
つら
)
はどうでも、
髮
(
かみ
)
を
結
(
ゆ
)
つた
婦
(
をんな
)
が、「めしあがれ。」とその
火事場
(
くわじば
)
の
眞
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
に
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
なに
)
を
疑
(
うたぐ
)
つて
見
(
み
)
た
處
(
ところ
)
で、
其
(
そ
)
のものの
言
(
い
)
ひぶりが、
別
(
べつ
)
に
人
(
ひと
)
があつて、
婦
(
をんな
)
と
對向
(
さしむか
)
ひで
居
(
ゐ
)
る
樣子
(
やうす
)
には
思
(
おも
)
はれないので
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分
(
じぶん
)
で
許
(
ゆる
)
す
色男
(
いろをとこ
)
が、
思
(
おも
)
ひをかけて
屆
(
とゞ
)
かぬ
婦
(
をんな
)
を、
恁
(
か
)
うして
人
(
ひと
)
に
誇
(
ほこ
)
る
術
(
すべ
)
は
隨分
(
ずゐぶん
)
數
(
かぞ
)
へ
切
(
き
)
れないほどあるのである。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
櫻
(
さくら
)
のわくら
葉
(
ば
)
のぱら/\と
落
(
お
)
ちかゝるにさへ、
婦
(
をんな
)
は
聲
(
こゑ
)
を
發
(
た
)
て、
男
(
をとこ
)
はひやりと
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
して
居
(
ゐ
)
るのであつた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
元二
(
げんじ
)
の
順
(
じゆん
)
に
杯
(
さかづき
)
も
𢌞
(
まは
)
つて
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
、
自分
(
じぶん
)
國許
(
くにもと
)
の
事
(
こと
)
に
懲
(
こ
)
りて
仔細
(
しさい
)
あつて、
世
(
よ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
若
(
わか
)
ものが
庄屋
(
しやうや
)
の
屋敷
(
やしき
)
に
奉公
(
ほうこう
)
して、
其
(
そ
)
の
妻
(
つま
)
と
不義
(
ふぎ
)
をする、なかだちは、
婦
(
をんな
)
が
寵愛
(
ちようあい
)
の
猫
(
ねこ
)
で
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
黒塀
(
くろべい
)
の、
溝端
(
どぶばた
)
の
茣蓙
(
ござ
)
へ、
然
(
さ
)
も
疲
(
つか
)
れたやうに、ほつと、くの
字
(
じ
)
に
膝
(
ひざ
)
をついて、
婦連
(
をんなれん
)
がいたはつて
汲
(
く
)
んで
出
(
だ
)
した、ぬるま
湯
(
ゆ
)
で、
輕
(
かる
)
く
胸
(
むね
)
をさすつた。その
婦
(
をんな
)
の
風情
(
ふぜい
)
は
媚
(
なまめ
)
かしい。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯
(
たゞ
)
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
にも、はじめて
嬉
(
うれ
)
しさを
知
(
し
)
りましたのは、
私
(
わたし
)
たち
婦
(
をんな
)
の
長
(
なが
)
い
黒髮
(
くろかみ
)
です……
白
(
しろ
)
い
枕
(
まくら
)
に
流
(
なが
)
れるやうに
掛
(
かゝ
)
りましたのが、
自分
(
じぶん
)
ながら
冷々
(
ひや/\
)
と、
氷
(
こほり
)
を
伸
(
の
)
ばして
敷
(
し
)
いたやうで
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“婦(
婦人
)”の解説
夫人
婦人(ふじん)はくだけた呼び方であり、これは敬称ではない。
正しい敬称はご婦人(ごふじん)であり英語圏ではMs.に相当する。
一般的には成人女性全般または大人の女性への敬称である。上流階級の女性には貴婦人があてがわれる。
類似する意味には成人女性全般を意味する婦女(ふじょ)は汎用性の高い女性と同義である。
(出典:Wikipedia)
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
“婦”を含む語句
夫婦
情婦
主婦
婦人
娼婦
貴婦人
醜婦
妖婦
淫売婦
新婦
老婦
夫婦喧嘩
寡婦
命婦
淫婦
婦女
酌婦
婦女子
妊婦
老夫婦
...