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疊
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たゝみ
ふりがな文庫
“
疊
(
たゝみ
)” の例文
新字:
畳
たゞ
自分
(
じぶん
)
が
今
(
いま
)
坐
(
すわ
)
つてゐる
疊
(
たゝみ
)
の
色
(
いろ
)
や、
天井
(
てんじやう
)
の
柾目
(
まさめ
)
や、
床
(
とこ
)
の
置物
(
おきもの
)
や、
襖
(
ふすま
)
の
模樣
(
もやう
)
などの
中
(
なか
)
に、
此
(
この
)
屏風
(
びやうぶ
)
を
立
(
た
)
てて
見
(
み
)
て、
夫
(
それ
)
に、
召使
(
めしつかひ
)
が
二人
(
ふたり
)
がゝりで
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
小柄
(
こがら
)
な
爺
(
ぢい
)
さんは
突然
(
いきなり
)
疊
(
たゝみ
)
へ
口
(
くち
)
をつけてすう/\と
呼吸
(
いき
)
もつかずに
酒
(
さけ
)
を
啜
(
すゝ
)
つてそれから
強
(
つよ
)
い
咳
(
せき
)
をして、ざら/\に
成
(
な
)
つた
口
(
くち
)
の
埃
(
ほこり
)
を
手拭
(
てぬぐひ
)
でこすつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
桶
(
をけ
)
の
穴
(
あな
)
より入れさするに安五郎
忝
(
かたじ
)
けなしと何心なく
饅頭
(
まんぢう
)
を二ツに
割
(
わる
)
に中に
少
(
ちひ
)
さく
疊
(
たゝみ
)
し紙ありければ
不審
(
ふしん
)
に思ひ
披
(
ひら
)
き見るに
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
兒
(
ちご
)
を
靜
(
しづ
)
かに
寢床
(
ねどこ
)
に
移
(
うつ
)
して
女子
(
をなご
)
はやをら
立上
(
たちあが
)
りぬ、
眼
(
まな
)
ざし
定
(
さだ
)
まりて
口元
(
くちもと
)
かたく
結
(
むす
)
びたるまゝ、
疊
(
たゝみ
)
の
破
(
やぶ
)
れに
足
(
あし
)
を
取
(
と
)
られず
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其
(
そ
)
れよりも、
徹夜
(
てつや
)
の
温習
(
おさらひ
)
に、
何
(
なに
)
よりか
書入
(
かきい
)
れな
夜半
(
やはん
)
の
茶漬
(
ちやづけ
)
で
忘
(
わす
)
れられぬ、
大福
(
だいふく
)
めいた
餡餅
(
あんも
)
を
烘
(
あぶ
)
つたなごりの、
餅網
(
もちあみ
)
が、
侘
(
わび
)
しく
破蓮
(
やればす
)
の
形
(
かたち
)
で
疊
(
たゝみ
)
に
飛
(
と
)
んだ。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
と、
玄竹
(
げんちく
)
は
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
に、
圓
(
まる
)
い
頭
(
あたま
)
を
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
前
(
まへ
)
に
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せた。
疊
(
たゝみ
)
三
枚
(
まい
)
ほど
距
(
へだた
)
つてはゐるが、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
鋭
(
するど
)
い
眼
(
め
)
は、
玄竹
(
げんちく
)
の
頭
(
あたま
)
の
剃刀創
(
かみそりきず
)
をすつかり
數
(
かぞ
)
へて
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それには
當時
(
とうじ
)
の
人
(
ひと
)
も
定
(
さだ
)
めし
困
(
こま
)
つたこともあらうと
思
(
おも
)
はれますが、
今日
(
こんにち
)
のように
美
(
うつく
)
しい
座敷
(
ざしき
)
があつて
疊
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
にゐるわけではなく、
少
(
すこ
)
しぐらゐは
水
(
みづ
)
がしみ
出
(
だ
)
して
濡
(
ぬ
)
れたとて
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
今
(
いま
)
かりにその
木
(
き
)
の
根元
(
ねもと
)
から
切
(
き
)
つた
切
(
き
)
り
口
(
ぐち
)
に
疊
(
たゝみ
)
を
敷
(
し
)
いてみるとしますと
六十九疊
(
ろくじゆうくじよう
)
も
敷
(
し
)
けますから、けっきよく、
八疊
(
はちじよう
)
の
座敷
(
ざしき
)
が
八
(
やつ
)
つと、
五疊
(
ごじよう
)
の
部屋
(
へや
)
が
一
(
ひと
)
つとれる
勘定
(
かんじよう
)
になります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
火
(
ひ
)
に
接近
(
せつきん
)
するに
疊
(
たゝみ
)
の
楯
(
たて
)
は
有效
(
ゆうこう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
疊
(
たゝみ
)
迄
(
まで
)
熱
(
あつ
)
くなつた
座敷
(
ざしき
)
の
眞中
(
まんなか
)
へ
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、
下女
(
げぢよ
)
の
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
た
樟腦
(
しやうなう
)
を、
小
(
ちひ
)
さな
紙片
(
かみぎれ
)
に
取
(
と
)
り
分
(
わ
)
けては、
醫者
(
いしや
)
で
呉
(
く
)
れる
散藥
(
さんやく
)
の
樣
(
やう
)
な
形
(
かたち
)
に
疊
(
たゝ
)
んだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの、
通
(
とほ
)
りだ。さすがに、
疊
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
へは
近
(
ちか
)
づけないやうに
防
(
ふせ
)
ぐが、
天井裏
(
てんじやううら
)
から、
臺所
(
だいどころ
)
、
鼠
(
ねずみ
)
の
殖
(
ふ
)
えたことは
一通
(
ひととほ
)
りでない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼等
(
かれら
)
は
外
(
そと
)
からの
人目
(
ひとめ
)
を
雨戸
(
あまど
)
に
避
(
さ
)
けて
其
(
そ
)
の
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
娯樂
(
ごらく
)
とされてある
寶引
(
はうびき
)
をしようといふのであつた。
疊
(
たゝみ
)
には八
本
(
ほん
)
の
紺
(
こん
)
の
寶引絲
(
はうびきいと
)
がざらりと
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
された。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今
(
いま
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
には
憎
(
にく
)
くし
剛慾
(
がうよく
)
もの
事情
(
じじやう
)
あくまで
知
(
し
)
りぬきながら
知
(
し
)
らず
顏
(
がほ
)
の
烟草
(
たばこ
)
ふか/\
身
(
み
)
に
過
(
あやま
)
りあればこそ
疊
(
たゝみ
)
に
額
(
ひたひ
)
ほり
埋
(
うづ
)
めて
歎願
(
たんぐわん
)
も
吹出
(
ふきい
)
だす
烟
(
けむり
)
の
輪
(
わ
)
と
消
(
け
)
して
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吝
(
をし
)
まず
大工
(
だいく
)
泥工
(
さくわん
)
を雇ひ俄に
假玄關
(
かりげんくわん
)
を拵らへ晝夜の別なく急ぎ
修復
(
しゆふく
)
を加へ
障子
(
しやうじ
)
唐紙
(
からかみ
)
疊
(
たゝみ
)
まで出來に及べば
此旨
(
このむね
)
飛脚
(
ひきやく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りましてござります。』と、
玄竹
(
げんちく
)
は
疊
(
たゝみ
)
に
平伏
(
ひれふ
)
した。
老眼
(
らうがん
)
からは、ハラ/\と
涙
(
なみだ
)
がこぼれた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
不圖
(
ふと
)
小六
(
ころく
)
が
斯
(
こ
)
んな
問
(
とひ
)
を
御米
(
およね
)
に
掛
(
か
)
けた。
御米
(
およね
)
は
其時
(
そのとき
)
疊
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
の
紙片
(
かみぎれ
)
を
取
(
と
)
つて、
糊
(
のり
)
に
汚
(
よご
)
れた
手
(
て
)
を
拭
(
ふ
)
いてゐたが、
全
(
まつた
)
く
思
(
おもひ
)
も
寄
(
よ
)
らないといふ
顏
(
かほ
)
をした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
上段
(
じやうだん
)
づきの
大廣間
(
おほひろま
)
、
正面
(
しやうめん
)
一段
(
いちだん
)
高
(
たか
)
い
處
(
ところ
)
に、
疊
(
たゝみ
)
二疊
(
にでふ
)
もあらうと
思
(
おも
)
ふ、
恰
(
あたか
)
も
炎
(
ほのほ
)
の
池
(
いけ
)
の
如
(
ごと
)
き
眞鍮
(
しんちう
)
の
大火鉢
(
おほひばち
)
、
炭火
(
たんくわ
)
の
烈々
(
れつ/\
)
としたのを
前
(
まへ
)
に
控
(
ひか
)
へて、
唯
(
たゞ
)
見
(
み
)
る
一個
(
いつこ
)
の
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
隣
(
となり
)
の
主人
(
しゆじん
)
の
家族
(
かぞく
)
は
長屋門
(
ながやもん
)
の一
部
(
ぶ
)
に
疊
(
たゝみ
)
を
敷
(
し
)
いて
假
(
かり
)
の
住居
(
すまゐ
)
を
形
(
かたち
)
づくつて
居
(
ゐ
)
た。
主人夫婦
(
しゆじんふうふ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
目
(
め
)
からは
有繋
(
さすが
)
に
災厄
(
さいやく
)
の
後
(
あと
)
の
亂
(
みだ
)
れた
容子
(
ようす
)
が
少
(
すこ
)
しも
發見
(
はつけん
)
されなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いつも此話しの始まりし時は青筋出して
疊
(
たゝみ
)
をたゝくに、はて身知らずの男、醫者になるは芋大根つくりたてるとは
竪
(
たて
)
が違ふぞとて、作助は眞向より
強面
(
こわもて
)
の異見に
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
卷上
(
まきあぐ
)
れば
二疊臺
(
にでふだい
)
に
雲間縁
(
うんけんべり
)
の
疊
(
たゝみ
)
の上に天一坊
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
たゞ
)
して
着座
(
ちやくざ
)
なし大膳が名前を披露に及べば天一坊は
言葉
(
ことば
)
少
(
すく
)
なに
孰
(
いづれ
)
も神妙と
計
(
ばか
)
り大樣の
一聲
(
ひとこゑ
)
に皆々
低頭
(
ていとう
)
平身誰一人
面
(
おもて
)
を上て顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
……
酒氣
(
しゆき
)
が
天井
(
てんじやう
)
を
衝
(
つ
)
くのではない、
陰
(
いん
)
に
籠
(
こも
)
つて
疊
(
たゝみ
)
の
燒
(
や
)
けこげを
轉
(
ころ
)
げ
𢌞
(
まは
)
る。あつ
燗
(
かん
)
で
火
(
ひ
)
の
如
(
ごと
)
く
惡醉
(
あくすゐ
)
闌
(
たけなは
)
なる
最中
(
さいちう
)
。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
ど
)
うぞ
御聞
(
おきゝ
)
遊
(
あそば
)
してと
屹
(
きつ
)
となつて
疊
(
たゝみ
)
に
手
(
て
)
を
突
(
つ
)
く
時
(
とき
)
、はじめて一トしづく
幾層
(
いくそ
)
の
憂
(
う
)
きを
洩
(
もら
)
しそめぬ。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一方
(
いつぱう
)
は
明窓
(
あかりまど
)
の
障子
(
しやうじ
)
がはまつて、
其外
(
そのそと
)
は
疊
(
たゝみ
)
二疊
(
にでふ
)
ばかりの、しツくひ
叩
(
だたき
)
の
池
(
いけ
)
で、
金魚
(
きんぎよ
)
も
緋鯉
(
ひごひ
)
も
居
(
ゐ
)
るのではない。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さりとは
無作法
(
ぶさはう
)
な
置
(
おき
)
つぎといふが
有
(
あ
)
る
物
(
もの
)
か、
夫
(
そ
)
れは
小笠原
(
をがさはら
)
か、
何流
(
なにりう
)
ぞといふに、お
力流
(
りきりう
)
とて
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
一
家
(
か
)
の
左法
(
さはう
)
、
疊
(
たゝみ
)
に
酒
(
さけ
)
のまする
流氣
(
りうぎ
)
もあれば、
大平
(
おほびら
)
の
蓋
(
ふた
)
であほらする
流氣
(
りうぎ
)
もあり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しばらくすると、
再
(
ふたゝ
)
び、しと/\しと/\と
摺足
(
すりあし
)
の
輕
(
かる
)
い、
譬
(
たと
)
へば
身體
(
からだ
)
の
無
(
な
)
いものが、
踵
(
きびす
)
ばかり
疊
(
たゝみ
)
を
踏
(
ふ
)
んで
來
(
く
)
るかと
思
(
おも
)
ひ
取
(
と
)
られた。また
顏
(
かほ
)
を
上
(
あ
)
げると
何
(
なん
)
にも
居
(
を
)
らない。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此邸
(
こゝ
)
にては
煤取
(
すゝとり
)
の
笹
(
さゝ
)
の
葉
(
は
)
座敷
(
ざしき
)
にこぼれて、
冷
(
ひや
)
めし
草履
(
ぞうり
)
こゝかしこの
廊下
(
らうか
)
に
散
(
ちり
)
みだれ、お
雜巾
(
ぞうきん
)
かけまする
物
(
もの
)
、お
疊
(
たゝみ
)
たゝく
物
(
もの
)
、
家内
(
かない
)
の
調度
(
てうど
)
になひ
廻
(
まは
)
るも
有
(
あ
)
れば、お
振舞
(
ふるまひ
)
の
酒
(
さゝ
)
に
醉
(
ゑ
)
ふて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
引斷
(
ひきちぎ
)
りては
舌鼓
(
したうち
)
して
咀嚼
(
そしやく
)
し、
疊
(
たゝみ
)
とも
言
(
い
)
はず、
敷居
(
しきゐ
)
ともいはず、
吐出
(
はきいだ
)
しては
舐
(
ねぶ
)
る
態
(
さま
)
は、ちらと
見
(
み
)
るだに
嘔吐
(
おうど
)
を
催
(
もよほ
)
し、
心弱
(
こゝろよわ
)
き
婦女子
(
ふぢよし
)
は
後三日
(
のちみつか
)
の
食
(
しよく
)
を
廢
(
はい
)
して、
病
(
やまひ
)
を
得
(
え
)
ざるは
寡
(
すく
)
なし。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
切めては
害
(
がい
)
を加へ參らせじとのすさび、憎くき奴とは思し給ふとも、
死
(
うせ
)
たる後は吊らはせ給へとて、眞心よりの涙に詞はふるへて、
疊
(
たゝみ
)
につきたる手をあげも得せず、恐れいりたる躰
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
近所
(
きんじよ
)
の
人
(
ひと
)
たちも、
二三人
(
にさんにん
)
、
念
(
ねん
)
のため、スヰツチを
切
(
き
)
つて
置
(
お
)
いて、
疊
(
たゝみ
)
を
上
(
あ
)
げた、が
何事
(
なにごと
)
もない。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ずつとお
月樣
(
つきさま
)
のさす
方
(
はう
)
へ、さ、
蒲團
(
ふとん
)
へ
乘
(
の
)
れ、
蒲團
(
ふとん
)
へ、
何
(
ど
)
うも
疊
(
たゝみ
)
が
汚
(
きた
)
ないので
大屋
(
おほや
)
に
言
(
い
)
つては
置
(
お
)
いたが
職人
(
しよくにん
)
の
都合
(
つがふ
)
があると
言
(
い
)
ふてな、
遠慮
(
ゑんりよ
)
も
何
(
なに
)
も
入
(
い
)
らない
着物
(
きもの
)
がたまらぬから
夫
(
そ
)
れを
敷
(
し
)
ひて
呉
(
く
)
れ
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
疊
(
たゝみ
)
のへりも
蛇
(
へび
)
か、とばかり、
我家
(
わがや
)
の
内
(
うち
)
もおど/\しながら
二日
(
ふつか
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
過
(
す
)
ぎた、と
云
(
い
)
ふ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恨
(
うら
)
まれるは
覺悟
(
かくご
)
の
前
(
まへ
)
、
鬼
(
おに
)
だとも
蛇
(
じや
)
だとも
思
(
おも
)
ふがようござりますとて、
撥
(
ばち
)
を
疊
(
たゝみ
)
に
少
(
すこ
)
し
延
(
の
)
びあがりて
表
(
おもて
)
を
見
(
み
)
おろせば、
何
(
なん
)
と
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えるかと
嬲
(
なぶ
)
る、あゝ
最
(
も
)
う
歸
(
かへ
)
つたと
見
(
み
)
えますとて
茫然
(
ぼん
)
として
居
(
ゐ
)
るに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
障子
(
しやうじ
)
を
透
(
す
)
かして、
疊
(
たゝみ
)
凡
(
およ
)
そ
半疊
(
はんでふ
)
ばかりの
細長
(
ほそなが
)
い
七輪
(
しちりん
)
に、
五
(
いつ
)
つづゝ
刺
(
さ
)
した
眞白
(
まつしろ
)
な
串團子
(
くしだんご
)
を、
大福帳
(
だいふくちやう
)
が
權化
(
ごんげ
)
した
算盤
(
そろばん
)
の
如
(
ごと
)
くずらりと
並
(
なら
)
べて、
眞赤
(
まつか
)
な
火
(
ひ
)
を、
四角
(
しかく
)
な
團扇
(
うちは
)
で、ばた/\ばた
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
昨日
(
きのふ
)
甘
(
あま
)
へて
買
(
か
)
ふて
貰
(
もら
)
ひし
黒
(
くろ
)
ぬりの
駒下駄
(
こまげた
)
、よしや
疊
(
たゝみ
)
は
擬
(
まが
)
ひ
南部
(
なんぶ
)
にもせよ、
比
(
くら
)
ぶる
物
(
もの
)
なき
時
(
とき
)
は
嬉
(
うれ
)
しくて
立出
(
たちいで
)
ぬ、さても
東叡山
(
とうえいざん
)
の
春
(
はる
)
四
月
(
ぐわつ
)
、
雲
(
くも
)
に
見紛
(
みまが
)
ふ
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
の
花
(
はな
)
も
今日
(
けふ
)
明日
(
あす
)
ばかりの十七日
成
(
な
)
りければ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
のしと/\とする
時分
(
じぶん
)
、
家内
(
かない
)
が
朝
(
あさ
)
の
間
(
あひだ
)
、
掃除
(
さうぢ
)
をする
時
(
とき
)
、
縁
(
えん
)
のあかりで
氣
(
き
)
が
着
(
つ
)
くと、
疊
(
たゝみ
)
のへりを
横縱
(
よこたて
)
にすツと
一列
(
いちれつ
)
に
並
(
なら
)
んで、
小
(
ちひ
)
さい
雨垂
(
あまだれ
)
に
足
(
あし
)
の
生
(
は
)
えたやうなものの
群
(
むらが
)
り
出
(
で
)
たのを
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
疊
(
たゝみ
)
をあげませう。
濱野
(
はまの
)
さん……
御近所
(
ごきんじよ
)
の
方
(
かた
)
、おとなりさん。」「
騷
(
さわ
)
ぐなよ。」とはいつたけれども、
私
(
わたし
)
も
胸
(
むね
)
がドキ/\して、
壁
(
かべ
)
に
頬
(
ほゝ
)
を
押
(
お
)
しつけたり、
疊
(
たゝみ
)
を
撫
(
な
)
でたり、だらしはないが
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
敷合
(
しきあは
)
せ
疊
(
たゝみ
)
三疊
(
さんでふ
)
、
丁度
(
ちやうど
)
座布團
(
ざぶとん
)
とともに、その
形
(
かたち
)
だけ、ばさ/\の
煤
(
すゝ
)
になつて、うづたかく
重
(
かさ
)
なつた。
下
(
した
)
も
煤
(
すゝ
)
だらけ、
水
(
みづ
)
びたしの
中
(
なか
)
に
畏
(
かしこま
)
つて、
吹
(
ふ
)
きつける
雪風
(
ゆきかぜ
)
の
不安
(
ふあん
)
さに、
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
る
勇氣
(
ゆうき
)
はない。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
氣
(
き
)
をつけて
居
(
ゐ
)
るのだから、
臺所
(
だいどころ
)
、もの
置
(
おき
)
は
荒
(
あら
)
しても、めつたに
疊
(
たゝみ
)
は
踏
(
ふ
)
ませないのに、
大地震
(
おほぢしん
)
の
一搖
(
ひとゆ
)
れで、
家中
(
うちぢう
)
、
穴
(
あな
)
だらけ、
隙間
(
すきま
)
だらけで、
我家
(
わがや
)
の
二階
(
にかい
)
でさへ、
壁土
(
かべつち
)
と
塵埃
(
ほこり
)
と
煤
(
すゝ
)
と、
襖
(
ふすま
)
障子
(
しやうじ
)
の
骨
(
ほね
)
だらけな
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思
(
おも
)
はず
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
した
私
(
わたし
)
の
身體
(
からだ
)
は
疊
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
をぐる/\まはつたと
思
(
おも
)
つた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
寒餅
(
かんもち
)
でも
出
(
だ
)
す
氣
(
き
)
だつたか、
家内
(
かない
)
が
立
(
た
)
つて、この
時
(
とき
)
、はじめて、
座敷
(
ざしき
)
の
方
(
はう
)
のふすまを
開
(
あ
)
けた、……と
思
(
おも
)
ふと、ひし/\と
疊
(
たゝみ
)
にくひ
込
(
こ
)
んで、そのくせ
飛
(
と
)
ぶやうな
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて、「
水
(
みづ
)
、
水
(
みづ
)
……」
何
(
なん
)
と、
立
(
た
)
つと
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
次第
(
しだい
)
に、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の
柱
(
はしら
)
、
天井裏
(
てんじやううら
)
、
鴨居
(
かもゐ
)
、
障子
(
しやうじ
)
の
棧
(
さん
)
、
疊
(
たゝみ
)
のへり。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
疊
(
たゝみ
)
半疊
(
はんでふ
)
ばかりなのを、
大
(
おほ
)
きく、ふはりとこしらへた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
疊
部首:⽥
22画
“疊”を含む語句
重疊
疊紙
八疊
四疊半
石疊
青疊
岩疊
菅疊
十疊
六疊
二疊
三疊
半疊
六疊敷
袖疊
折疊
皮疊
疊針
疊觸
絁疊
...