ちやう)” の例文
越前ゑちぜん武生たけふの、わびしい旅宿やどの、ゆきうもれたのきはなれて、二ちやうばかりもすゝんだとき吹雪ふゞき行惱ゆきなやみながら、わたしは——おもひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでの一ちやうはう晝間ひるまめたといふほど、ひどい臭氣しうきが、ころくさつた人間にんげんこゝろのやうに、かぜかれてつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
多少知名な人人の遺骨で改葬すべき子孫の無い物は特に墓標が設けられて居る。これおよそ五ちやう程も続くのであるが案外に不気味で無い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
所在しよざいしるすのに、日本にほんでは、くに府縣ふけんちやう番地ばんちだいよりせうるに、歐米おうべいでは、番地ばんちちやう府縣ふけんくにと、ぎやくせうよりだいる。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
郵便局の角から入ると、それから二三ちやうあひだは露店のランプの油烟ゆえんが、むせるほどに一杯にこもつて、きちがふ人の肩と肩とが触れ合つた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
おつぎは二ちやうばかり上流じやうりう板橋いたばしわたつてつて、やうやくのことでえだげてそのはりをとつた。さうしてまた與吉よきちぼうけてやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あつたところでございますか? それは山科やましな驛路えきろからは、四五ちやうほどへだたつてりませう。たけなかすぎまじつた、人氣ひとけのないところでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
野球ボール其樣そん災難さいなんいから、毎日まいにち/\さかんなものだ、丁度ちやうど海岸かいがんいへから一ちやうほどはなれて、不思議ふしぎほど平坦たいらか芝原しばはらの「ゲラウンド」があるので
かれ其日そのひ役所やくしよかへけに駿河臺下するがだいしたまでて、電車でんしやりて、いものを頬張ほゝばつたやうくち穿すぼめて一二ちやうあるいたのち、ある齒醫者はいしやかどくゞつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なかちやうから檜町ひのきちやうの高臺にあがると、麻布あざぶの龍土町である。そこの第一聯隊と第三聯隊との間に龍土軒と云ふ佛蘭西フランス料理屋がある。そこが龍土會の會場であつた。
二三ちやうまゐつて総門そうもん這入はいそれから爪先上つまさきあがりにあがつてまゐりますると、少しひろところがございまして、其処そこ新築しんちくになりました、十四五けんもある建家たていへがございました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
立出で二三ちやうきたりけるにあとより申し/\と呼掛よびかける者有故振返ふりかへるに田舍ゐなかにて見覺みおぼえあるおたけと云し女なり此女は金屋かなや井筒屋ゐづつやへ出入なす織物屋おりものやの娘にて利兵衞が江戸へみせ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから十ちやうへだたつてらぬ加瀬かせ貝塚かひづかまはつて、小發掘せうはつくつこゝろみ、相變あひかはらず失敗しつぱいして歸宅きたくした。
彼女たちはまたさうして錢湯にゆくこともあるが、新道をゆかずに通りちやうを歩いた。
「郭子儀」異変 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
だい奉仕ほうしたゆみなく、一ちやうあまりなるいへより、ゆきにもあめにも朝夕てうせき機嫌きげんきゝおこたらぬこゝろ殊勝しゆしようなり、つまもたずやとすゝむるひとあれど、なんがことたまそれよりはぢやうさまのうへづかはしゝ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其頃、江戸の、今の水道橋内すゐどうばしうちさきちやうの所に講武所といふものがあつた。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
二頭とも馬車馬としてはなにの訓練もない素人の、加之おまけに気むづかしやぞろひと来てゐるので、ものの二ちやうも走つて、町の四つ角に来たと思ふと、一頭は右へ、一頭は左へ折れようとして喧嘩を始めた。
なかちやうにはビーヤホールが出来て、「秋信先通ず両行の灯影」といふやうな町の眺めの調和が破られ、張店はりみせがなくなつて五丁町ごちやうまちは薄暗く、土手に人力車の数の少くなつた事が際立つて目についた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「これから、ハイカラちやうへ行きたいと思つてるんだけど。」
津軽 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
思はず五六ちやうを歩いて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
このちやうへおいで
おさんだいしよさま (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
田圃たんぼみづうみにならぬが不思議ふしぎで、どう/\とになつて、前途ゆくてに一むらやぶえる、それさかひにしておよそ二ちやうばかりのあひだまるかはぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやう程行つてエスカウト河へ出たが、大小の汽船が煙を吐いて荷揚人足や荷車の行交ゆきかせはしい港街の光景に久しぶりに接する心地も悪くない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
今日こんにち世界せかい最大さいだいふねながさ二百三十ヤード、すなはちやうにして二ちやうゆるものもある、本船ほんせんごときもその一で、競走レース前部甲板ぜんぶかんぱんから後部甲板こうぶかんぱんへと
横手村よこてむらつても、町とは人家続きになつてて、十ちやうへだゝつてはなかつた。その近所と思はれるところに行くと、野菜の車を曳いて、向ふから男がつて来る。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
なかちやうの中通りを耳ばかり氣にして通り過ぎてしまひ、裏通りの隅にある例の辨當屋と反對になつたかどから出ると、今その辨當屋から出た千代子の姿が目に這入つた。
やまうへから一ちやうしたえるながれにして、みづそこあきらかにとほくからかされたとき御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
向うはなかちやうでも指折りの華魁おいらんだし、こつちは片輪も同様な、ちんちくりんの南瓜だからね。かうならない前に聞いて見給へ。僕にしたつて嘘だと思ふ。それがあいつにやつらかつたんだ。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
洋行から帰つて来ると、氏は牛込の喜久井ちやうに自分のうちを新築した。
ばんちやうにて倒候たふれさふらふせつは、六しやくぼうにて追払おひはらはれ、握飯むすび二個ふたつ番茶ばんちやぱい
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いとなむがうへれは本家ほんけとてもちひもおもかるべくわれとて信用しんよううすきならねど彼方かなた七分しちぶえきあるときこゝにはわづかに三分さんぶのみいへ繁榮はんえい長久ちやうきうさく松澤まつざはきにしかずつはむすめ容色きりやうすぐれたればこれとてもまたひとつの金庫かねぐら芳之助よしのすけとのえにしえなばとほちやうかど地面ぢめん持參ぢさんむこもなきにはあらじ一擧兩得いつきよりやうとくとはこれなんめりとおもこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし此處こゝから四十あまへだたつた、おなじ雪深ゆきぶかくにうまれたので、うした夜道よみちを、十ちやうや十五ちやう歩行あるくのはなんでもないとおもつたのであります。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
海岸かいがん沿ふてこと七八ちやう岩層がんそう小高こだかをかがある、そのをかゆると、今迄いまゝでえたうみ景色けしきまつたえずなつて、なみおと次第しだい/\にとうく/\。
鉄道の上に架した橋を渡つて程なく左手に建つた第一の家がロダン先生の家である。木立こだちの上に風車かざぐるまの舞ふのが見えると教へてれた。十四五ちやう歩いた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
鍵をあづかつてる人は、前の街道を一二ちやう行つたところの、鍛冶屋かぢやの隣の饅頭屋まんぢうやであつた。場末の町によく見るやうないへつくりで、せいろのなかの田舎饅頭まんぢうからは湯気が立つてる。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
若旦那わかだんなばれて、苦笑にがわらひする小六ころくかほると、ひとしくこゑしてわらした。小六ころくはるらしい空氣くうきうちからた。さうして一ちやうほどさむさを横切よこぎつて、またはるらしい電燈でんとうもとすわつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「もし/\一寸おたづねしますが、Nちやうへはきますかね。」
素人目しろうとめにも、こののぼり十五ちやう、五十六まがり十六けいまをして岩端いはばな山口やまぐち処々ところ/″\、いづれもかはる/″\、みづうみ景色けしきかはりますうちにも、こゝは一だんぞんじました。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此處こゝがその、ひどなかちやうしき面白おもしろいのは、女房かみさんが、「なにかのお禁呪まじなひになるんだらう。」とつた。そこで、そのむすめが、うや/\しくおぼんせて、その釜敷かましきつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小屋こやて二ちやうばかりくとすぐさかがあつて、さか下口おりくち一軒いつけん鳥屋とりやがあるので、樹蔭こかげなんにもない、お天気てんきのいゝときあかるい/\ちひさなみせで、町家まちやのきならびにあつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やうや起上おきあがつてみちの五六ちやうくとまた同一おなじやうに、胴中どうなかかはかしてくびえぬが、ぬたり!
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三社樣さんじやさま御神輿おみこしが、芳原よしはらわたつたときであつた。なかちやうで、ある引手茶屋ひきてぢやや女房にようばうの、ひさしくわづらつてたのが、まつり景氣けいきやつきて、ほのかうれしさうに、しかし悄乎しよんぼり店先みせさきたゝずんだ。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしのはさきつたが、——説明せつめいくと、砂煙すなけぶりがすさまじいので、すくなくとも十ちやうあまりは間隔かんかくかないと、まへすゝむのはまだしも、あとくるまくちかないのださうである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うへ立停たちとまつて前途ゆくてながら、由井ゆゐはままでは、だ三ちやうばかりあると、つく/″\かんがへた。三ちやうけだとほみちではないが、身體からだ精神せいしんともいたつかれてたからで。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
與吉よきち身體からだれようといふいへは、すぐ間近まぢかで、一ちやうばかりくと、たもとに一ぽん暴風雨あらし根返ねがへして横樣よこざまになつたまゝ、なかれて、なか青々あを/\とした、あはれな銀杏いてふ矮樹わいじゆがある、はし一個ひとつ
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
焼山やけやまを一ちやうばかり、奥入瀬口おいらせぐちすゝんだところで、博士はかせ自動車じどうしやめていつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いえもうなんでございます、じつ此先このさきちやうけ、うすれば上段じやうだんへやかして一ばんあふいでそれ功徳くどくのためにするうちがあるとうけたまはりましても、まツたくのところあし歩行あるけますのではございません
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また思出おもひだことがある。故人こじん谷活東たにくわつとうは、紅葉先生こうえふせんせい晩年ばんねん準門葉じゆんもんえふで、肺病はいびやうむねいたみつゝ、洒々落々しや/\らく/\とした江戸えどであつた。(かつぎゆく三味線箱さみせんばこ時鳥ほとゝぎす)となかちやうとともにいた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて、六七ちやうもぐつてました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)