トップ
>
沈
>
しづ
ふりがな文庫
“
沈
(
しづ
)” の例文
空
(
から
)
になつた
渡船
(
とせん
)
へ、
天滿與力
(
てんまよりき
)
は
肩
(
かた
)
をいからして
乘
(
の
)
つた。
六甲山
(
ろくかふざん
)
に
沈
(
しづ
)
まうとする
西日
(
にしび
)
が、きら/\と
彼
(
か
)
れの
兩刀
(
りやうたう
)
の
目貫
(
めぬき
)
を
光
(
ひか
)
らしてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
天空
(
そら
)
には
星影
(
ほしかげ
)
一
點
(
てん
)
、二
點
(
てん
)
、
又
(
ま
)
た三
點
(
てん
)
、
風
(
かぜ
)
死
(
し
)
して
浪
(
なみ
)
黒
(
くろ
)
く、
船
(
ふね
)
は
秒一秒
(
べういちべう
)
と、
阿鼻叫喚
(
あびけうくわん
)
の
響
(
ひゞき
)
を
載
(
の
)
せて、
印度洋
(
インドやう
)
の
海底
(
かいてい
)
に
沈
(
しづ
)
んで
行
(
ゆ
)
くのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あなやと
思
(
おも
)
ふと
更
(
さら
)
に、もとの
顔
(
かほ
)
も、
胸
(
むね
)
も、
乳
(
ちゝ
)
も、
手足
(
てあし
)
も
全
(
まツた
)
き
姿
(
すがた
)
となつて、
浮
(
う
)
いつ
沈
(
しづ
)
みつ、ぱツと
刻
(
きざ
)
まれ、あツと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
又
(
また
)
あらはれる。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
落し娘兩人は苦界へ
沈
(
しづ
)
み夫のみ成らで其身まで此世の
縁
(
えに
)
し淺草なる此
中田圃
(
なかたんぼ
)
の露と共に
消
(
きえ
)
て行身の
哀
(
あは
)
れさは
譬
(
たと
)
ふるものぞなかりける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其
(
そ
)
の
秋
(
あき
)
の
盆
(
ぼん
)
には
赤痢
(
せきり
)
の
騷
(
さわ
)
ぎも
沈
(
しづ
)
んで
新
(
あたら
)
しい
佛
(
ほとけ
)
の
數
(
かず
)
が
殖
(
ふ
)
えて
居
(
ゐ
)
た。
墓地
(
ぼち
)
には
掘
(
ほ
)
り
上
(
あ
)
げた
赤
(
あか
)
い
土
(
つち
)
の
小
(
ちひ
)
さな
塚
(
つか
)
が
幾
(
いく
)
つも
疎末
(
そまつ
)
な
棺臺
(
くわんだい
)
を
載
(
の
)
せて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
其
(
そ
)
れぢや
基督
(
ハリストス
)
でも
例
(
れい
)
に
引
(
ひ
)
きませう、
基督
(
ハリストス
)
は
泣
(
な
)
いたり、
微笑
(
びせう
)
したり、
悲
(
かなし
)
んだり、
怒
(
おこ
)
つたり、
憂
(
うれひ
)
に
沈
(
しづ
)
んだりして、
現實
(
げんじつ
)
に
對
(
たい
)
して
反應
(
はんおう
)
してゐたのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
けれども三千代は其方面の婦人ではなかつた。
色合
(
いろあひ
)
から云ふと、もつと
地味
(
ぢみ
)
で、
気持
(
きもち
)
から云ふと、もう少し
沈
(
しづ
)
んでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが、船を
沈
(
しづ
)
められたり、七平が殺されたり、あんな思ひも寄らぬ騷ぎになつてしまつたのです。私の死ぬのは、そのお蔭で一晩遲れました——
尤
(
もつと
)
も
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
然
(
しか
)
し
其
(
そ
)
の
※
(
ねえ
)
さんは
愛
(
あい
)
ちやんが
行
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つても、
頬杖
(
ほゝづゑ
)
ついて
沈
(
しづ
)
みゆく
夕日
(
ゆふひ
)
を
見
(
み
)
ながら、
可愛
(
かあい
)
い
愛
(
あい
)
ちやんの
事
(
こと
)
から、
又
(
また
)
その
種々
(
しゆ/″\
)
不思議
(
ふしぎ
)
な
冐險談
(
ばうけんだん
)
を
考
(
かんが
)
へながら
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そも/\
流
(
なが
)
れに
塵
(
ちり
)
一ツ
浮
(
うか
)
びそめし
初
(
はじ
)
めにて、
此心
(
このこゝろ
)
更
(
さら
)
に
追
(
お
)
へども
去
(
さ
)
らず、
澄
(
す
)
まさんと
思
(
おも
)
ふほど
掻
(
か
)
きにごりて、
眞如
(
しんによ
)
の
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
は
何處
(
いづく
)
、
朦々朧々
(
もう/\ろう/\
)
の
淵
(
ふち
)
ふかく
沈
(
しづ
)
みて
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
今初
(
いまはじ
)
めた
計
(
ばか
)
りです。』と
言
(
い
)
ふ
中
(
うち
)
、
浮木
(
うき
)
がグイと
沈
(
しづ
)
んだから
合
(
あは
)
すと、
餌釣
(
ゑづり
)
としては、
中々
(
なか/\
)
大
(
おほき
)
いのが
上
(
あが
)
つた。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
パレスといふ
小岩
(
こいは
)
の
遊
(
あそ
)
び
場
(
ば
)
に
身
(
み
)
を
沈
(
しづ
)
めてゐた
頃
(
ころ
)
、
折々
(
をり/\
)
泊
(
とま
)
りに
来
(
き
)
た
客
(
きやく
)
なので、
調子
(
てうし
)
もおのづから
心
(
こゝろ
)
やすく
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
青木さんはふと一人
言
(
ごと
)
のやうにさうつぶやいて、
軒
(
のき
)
先に
見
(
み
)
える
晴
(
は
)
れた
夜
(
よ
)
空をぢつと
見
(
み
)
上げた。が、さういふ空
想
(
さう
)
の明るさとは
反対
(
はんたい
)
に
氕持
(
きもち
)
は
妙
(
めう
)
に
暗
(
くら
)
く
沈
(
しづ
)
んで
行
(
い
)
つた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
産終
(
うみをは
)
るまでの
困苦
(
こんく
)
のために
尾鰭
(
をひれ
)
を
損
(
そこな
)
ひ
身
(
み
)
痩
(
やせ
)
労
(
つか
)
れ、ながれにしたがひてくだり
深淵
(
ふかきふち
)
ある所にいたればこゝに
沈
(
しづ
)
み
居
(
ゐ
)
て
労
(
つかれ
)
を
養
(
やしな
)
ひ、もとのごとく
肥太
(
こえふと
)
りて
再
(
ふたゝ
)
び
流
(
ながれ
)
に
泝
(
さかのぼ
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
壓
(
お
)
し付けられ、
沈
(
しづ
)
みきツた
反動
(
はんどう
)
で、恰で鳥の
柔毛
(
にこげ
)
が風に飛ぶやうに氣が
浮々
(
うき/\
)
する。
喚
(
さけび
)
出
(
だ
)
したくなる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
貴重品
(
きちようひん
)
を
一時
(
いちじ
)
井戸
(
ゐど
)
に
沈
(
しづ
)
めることあり。
地中
(
ちちゆう
)
に
埋
(
うづ
)
める
場合
(
ばあひ
)
は
砂
(
すな
)
の
厚
(
あつ
)
さ
五分
(
ごぶ
)
程
(
ほど
)
にても
有效
(
ゆうこう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
誰
(
たれ
)
か、——その
誰
(
たれ
)
かは
見
(
み
)
えない
手
(
て
)
に、そつと
胸
(
むね
)
の
小刀
(
さすが
)
を
拔
(
ぬ
)
いた。
同時
(
どうじ
)
におれの
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
には、もう一
度
(
ど
)
血潮
(
ちしほ
)
が
溢
(
あふ
)
れて
來
(
く
)
る。おれはそれぎり
永久
(
えいきう
)
に、
中有
(
ちうう
)
の
闇
(
やみ
)
へ
沈
(
しづ
)
んでしまつた。………
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
所詮
(
しよせん
)
此の経を
一〇一
魔道に
回向
(
ゑかう
)
して、恨をはるかさんと、一すぢにおもひ定めて、
指
(
ゆび
)
を
破
(
やぶ
)
り血をもて
願文
(
ぐわんもん
)
をうつし、経とともに
一〇二
志戸
(
しと
)
の海に
沈
(
しづ
)
めてし後は、人にも
見
(
まみ
)
えず深く
閉
(
と
)
ぢこもりて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
是
(
こ
)
れ
皆
(
みな
)
憎
(
にく
)
いが
原
(
もと
)
とは
言
(
い
)
へ、
可愛
(
かはゆ
)
いにも
深
(
ふか
)
い/\
縁
(
えん
)
がある……すれば
是
(
こ
)
りゃ
憎
(
にく
)
みながらの
可愛
(
かはゆ
)
さ!
可愛
(
かはゆ
)
いながらの
憎
(
にく
)
さといふもの!
無
(
む
)
から
出
(
で
)
た
有
(
う
)
ぢゃ!
悲
(
かな
)
しい
戲
(
たはぶ
)
れ、
沈
(
しづ
)
んだ
浮氣
(
うはき
)
、
目易
(
めやす
)
い
醜
(
みにく
)
さ
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
私
(
わたし
)
は
九州
(
きゆうしゆう
)
へ
旅行
(
りよこう
)
しました
時
(
とき
)
、
田圃
(
たんぼ
)
の
溝
(
みぞ
)
の
中
(
なか
)
に
七寸
(
しちすん
)
ぐらゐもある
大
(
おほ
)
きな
磨製石斧
(
ませいせきふ
)
が
潜航艇
(
せんこうてい
)
のように
沈
(
しづ
)
んでゐるのを
發見
(
はつけん
)
して
拾
(
ひろ
)
ひ
取
(
と
)
つたことがありますが、こんなやつを
探
(
さが
)
し
當
(
あ
)
てたときは
非常
(
ひじよう
)
に
愉快
(
ゆかい
)
です。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
静
(
しづ
)
かなること水のごと
沈
(
しづ
)
みて匂ふ
香
(
か
)
のそらに
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
私
(
わたし
)
は
悲
(
かな
)
しくなつて、
多時
(
しばらく
)
深
(
ふか
)
い
沈黙
(
ちんもく
)
に
沈
(
しづ
)
んだ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
さはら
木
(
ぎ
)
は
腕
(
かひな
)
だるげに
伏
(
ふ
)
し
沈
(
しづ
)
み
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
なげきよりこそ人
沈
(
しづ
)
め
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
父
(
ちゝ
)
も
沈
(
しづ
)
みぬちゝのみの
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
白玉の
沈
(
しづ
)
く淺瀬に
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
丁度
(
ちやうど
)
私
(
わたし
)
の
居
(
ゐ
)
た
汀
(
みぎは
)
に、
朽木
(
くちき
)
のやうに
成
(
な
)
つて、
沼
(
ぬま
)
に
沈
(
しづ
)
んで、
裂目
(
さけめ
)
に
燕子花
(
かきつばた
)
の
影
(
かげ
)
が
映
(
さ
)
し、
破
(
やぶ
)
れた
底
(
そこ
)
を
中空
(
なかぞら
)
の
雲
(
くも
)
の
往來
(
ゆきき
)
する
小舟
(
こぶね
)
の
形
(
かたち
)
が
見
(
み
)
えました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『えゝ、
無責任
(
むせきにん
)
なる
船員
(
せんいん
)
!
卑劣
(
ひれつ
)
なる
外人
(
くわいじん
)
!
海上
(
かいじやう
)
の
規則
(
きそく
)
は
何
(
なん
)
の
爲
(
ため
)
ぞ。』と
悲憤
(
ひふん
)
の
腕
(
うで
)
を
扼
(
やく
)
すと、
夫人
(
ふじん
)
の
淋
(
さび
)
しき
顏
(
かほ
)
は
私
(
わたくし
)
に
向
(
むか
)
つた、
沈
(
しづ
)
んだ
聲
(
こゑ
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼
(
かれ
)
は
殆
(
ほと
)
んど
動
(
うご
)
かぬやうにして
棄
(
す
)
てゝ
置
(
お
)
けばすつと
深
(
ふか
)
く
沈
(
しづ
)
んで
畢
(
しま
)
つたやうに
冷
(
さ
)
めて
行
(
ゆ
)
く
火
(
ひ
)
へぽちり/\と
麁朶
(
そだ
)
を
足
(
た
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
眼
(
め
)
を
醒
(
さま
)
す刺激の
底
(
そこ
)
に
何所
(
どこ
)
か
沈
(
しづ
)
んだ調子のあるのを嬉しく思ひながら、
鳥打
(
とりうち
)
帽を
被
(
かむ
)
つて、
銘仙
(
めいせん
)
の不断
着
(
ぎ
)
の儘
門
(
もん
)
を
出
(
で
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
沈
(
しづ
)
めしうへ身の代金の三十兩は兩人にて
遣
(
つか
)
ひ
捨
(
すて
)
たるに
相違
(
さうゐ
)
有まじ夫故にこそ三次に頼み後の
憂
(
うれ
)
ひを除かん爲又お安を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
猶且
(
やはり
)
毎朝
(
まいあさ
)
のやうに
此
(
こ
)
の
朝
(
あさ
)
も
氣
(
き
)
が
引立
(
ひきた
)
たず、
沈
(
しづ
)
んだ
調子
(
てうし
)
で
或
(
あ
)
る
横町
(
よこちやう
)
に
差掛
(
さしかゝ
)
ると、
折
(
をり
)
から
向
(
むかふ
)
より
二人
(
ふたり
)
の
囚人
(
しうじん
)
と四
人
(
にん
)
の
銃
(
じゆう
)
を
負
(
お
)
ふて
附添
(
つきそ
)
ふて
來
(
く
)
る
兵卒
(
へいそつ
)
とに、ぱつたりと
出會
(
でつくわ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
坊主
(
ぼうず
)
までが
陰氣
(
いんき
)
らしう
沈
(
しづ
)
んで
仕舞
(
しまい
)
ましたといふに、みれば
茶椀
(
ちやわん
)
と
箸
(
はし
)
を
其處
(
そこ
)
に
置
(
お
)
いて
父
(
ちゝ
)
と
母
(
はゝ
)
との
顏
(
かほ
)
をば
見
(
み
)
くらべて
何
(
なに
)
とは
知
(
し
)
らず
氣
(
き
)
になる
樣子
(
やうす
)
、こんな
可愛
(
かわひ
)
い
者
(
もの
)
さへあるに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かの
淵
(
ふち
)
に
灵
(
れい
)
ありといふは、むかし永光寺のほとりに
貴人
(
きにん
)
何某
(
なにがし
)
住玉ひしに、その
内室
(
ないしつ
)
色情
(
しきじやう
)
の
妬
(
ねたみ
)
にて
夫
(
をつと
)
をうらみ、東光が淵に身を
沈
(
しづ
)
め、
冤魂
(
ゑんこん
)
悪竜
(
あくりゆう
)
となりて人をなやまししを
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
又
(
また
)
弄
(
ろう
)
されて
千鳥
(
ちどり
)
の
群
(
むれ
)
は
岩
(
いは
)
より
岩
(
いは
)
へと
飛
(
と
)
びかうて
居
(
ゐ
)
ましたが、
斯
(
か
)
かる
際
(
さい
)
にも
絶望
(
ぜつばう
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
んだ
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
は
益々
(
ます/\
)
闇
(
やみ
)
を
求
(
もと
)
めて
迷
(
まよ
)
ふものと
見
(
み
)
え、
一人
(
ひとり
)
の
若者
(
わかもの
)
ありて、
蒼
(
あを
)
ざめた
顏
(
かほ
)
を
襟
(
えり
)
に
埋
(
うづ
)
め
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
風
(
かぜ
)
はなかつた。
空氣
(
くうき
)
は
水
(
みづ
)
のやうに
重
(
おも
)
く
沈
(
しづ
)
んでゐた。
人家
(
じんか
)
も、
燈灯
(
ともしび
)
も、
畑
(
はたけ
)
も、
森
(
もり
)
も、
川
(
かは
)
も、
丘
(
をか
)
も、そして
歩
(
ある
)
いてゐる
我我
(
われわれ
)
の
體
(
からだ
)
も、
灰
(
はひ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな
夜霧
(
よぎり
)
の
海
(
うみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてゐるのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「こんな
日
(
ひ
)
は
何
(
ど
)
うも
氣
(
き
)
が
沈
(
しづ
)
んで
可
(
い
)
けないものだ。」
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
沈
(
しづ
)
み
切
(
き
)
つた
顏
(
かほ
)
には、
凄
(
すご
)
い
微笑
(
びせう
)
があつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『
愈々
(
いよ/\
)
沈
(
しづ
)
まつしやつたゞ、
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
。』
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
水
(
み
)
がくれにつとこそ
沈
(
しづ
)
め。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
黒
(
くろ
)
く
沈
(
しづ
)
める
眼
(
め
)
のうちに
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
我胸
(
わがむね
)
堪難
(
たへがた
)
く
沈
(
しづ
)
める
時
(
とき
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
緑
(
みどり
)
沈
(
しづ
)
める
川上
(
かはかみ
)
の
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
で
干潮
(
かんてう
)
の
時
(
とき
)
は
見
(
み
)
るも
哀
(
あはれ
)
で、
宛然
(
さながら
)
洪水
(
でみづ
)
のあとの
如
(
ごと
)
く、
何時
(
いつ
)
棄
(
す
)
てた
世帶道具
(
しよたいだうぐ
)
やら、
缺擂鉢
(
かけすりばち
)
が
黒
(
くろ
)
く
沈
(
しづ
)
むで、
蓬
(
おどろ
)
のやうな
水草
(
みづくさ
)
は
波
(
なみ
)
の
隨意
(
まに/\
)
靡
(
なび
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一同
(
いちどう
)
は
詮方
(
せんかた
)
なく
海岸
(
かいがん
)
の
家
(
いへ
)
に
皈
(
かへ
)
つたが、
全
(
まつた
)
く
火
(
ひ
)
の
消
(
き
)
えた
後
(
あと
)
のやうに、
淋
(
さび
)
しく
心細
(
こゝろぼそ
)
い
光景
(
くわうけい
)
。
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
默然
(
もくねん
)
として
深
(
ふか
)
く
考
(
かんがへ
)
に
沈
(
しづ
)
んだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「なあに
管
(
かま
)
あねえ」
後
(
あと
)
から
目
(
め
)
を
蹙
(
しか
)
めながら
一人
(
ひとり
)
が
首筋
(
くびすぢ
)
まで
沈
(
しづ
)
んだ。それから
風呂桶
(
ふろをけ
)
へ
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けてごし/\と
洗
(
あら
)
ひながら
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
けれども、
夫
(
それ
)
はたゞ
沈
(
しづ
)
んだものを
掻
(
か
)
き
立
(
た
)
てて、
賑
(
にぎ
)
やかな
光
(
ひか
)
りのうちに
浮
(
う
)
かした
迄
(
まで
)
であつた。
御米
(
およね
)
の
暗
(
くら
)
い
過去
(
くわこ
)
の
中
(
なか
)
に
其時
(
そのとき
)
一種
(
いつしゆ
)
の
好奇心
(
かうきしん
)
が
萠
(
きざ
)
したのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
浮川竹
(
うきかはたけ
)
とやらへお
沈
(
しづ
)
め下され
聊
(
いさゝ
)
かにてもお金に
換
(
かへ
)
らるゝ物ならば此身は
何樣
(
いかやう
)
の
艱難
(
かんなん
)
を致し候も
更々
(
さら/\
)
厭
(
いと
)
ひ申さねば何卒此身を
遊女
(
いうぢよ
)
に御
賣成
(
うりなさ
)
れ其お金にて御
年貢
(
ねんぐ
)
の
納
(
をさ
)
め方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かの
淵
(
ふち
)
に
灵
(
れい
)
ありといふは、むかし永光寺のほとりに
貴人
(
きにん
)
何某
(
なにがし
)
住玉ひしに、その
内室
(
ないしつ
)
色情
(
しきじやう
)
の
妬
(
ねたみ
)
にて
夫
(
をつと
)
をうらみ、東光が淵に身を
沈
(
しづ
)
め、
冤魂
(
ゑんこん
)
悪竜
(
あくりゆう
)
となりて人をなやまししを
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
で、
彼
(
かれ
)
ももう
思慮
(
かんが
)
へる
事
(
こと
)
の
無益
(
むえき
)
なのを
悟
(
さと
)
り、
全然
(
すつかり
)
失望
(
しつばう
)
と、
恐怖
(
きようふ
)
との
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しづ
)
んで
了
(
しま
)
つたのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
“沈”の解説
沈(しん)は、周公旦の後裔であり、西周から春秋時代に江漢流域にあった諸侯国で、春秋時代には強大な隣国楚に従属することが多く、柏挙の戦いの前に蔡に滅ぼされた。
汾水流域には他に古沈が遠く周王朝成立前に存在し、その地は春秋時代には晋の国内となっており、「春秋左氏伝」の昭公元年に記載が見られる。
(出典:Wikipedia)
沈
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“沈”を含む語句
沈黙
沈丁花
沈默
沈静
沈着
沈鬱
沈香
沈澱
浮沈
沈黙家
沈々
沈南蘋
沈重
沈丁
銷沈
沈淪
沈吟
沈思
沈欝
沈没
...