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棺臺
其の
秋の
盆には
赤痢の
騷ぎも
沈んで
新しい
佛の
數が
殖えて
居た。
墓地には
掘り
上げた
赤い
土の
小さな
塚が
幾つも
疎末な
棺臺を
載せて
居た。
村落の
人々は
好奇心に
驅られて
怖づ/\も
棺臺をそつと
揚げて
見た。
蛇は
依然としてだらりと
横たはつた
儘であつた。
人々は
睜つた
目を
見合せた。
それから
又四
日目に
佛を
送つて
村落の
者は
黄昏の
墓地に
落ち
合うた。
蛇は
猶且棺臺の
陰を
去らなかつた。
蛇は
自由に
匍匐ふには
餘りに
瘡痍が
大きかつた。