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向
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むか
ふりがな文庫
“
向
(
むか
)” の例文
あはれ
新婚
(
しんこん
)
の
式
(
しき
)
を
擧
(
あ
)
げて、
一年
(
ひとゝせ
)
の
衾
(
ふすま
)
暖
(
あたゝ
)
かならず、
戰地
(
せんち
)
に
向
(
むか
)
つて
出立
(
いでた
)
つた
折
(
をり
)
には、
忍
(
しの
)
んで
泣
(
な
)
かなかつたのも、
嬉涙
(
うれしなみだ
)
に
暮
(
く
)
れたのであつた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この夏もお
互
(
たがひ
)
に
旅
(
たび
)
先や何かで久しく
顏
(
かほ
)
を合せなかつた二人、さて新秋になると、
向
(
むか
)
うは
熱
(
あた
)
海で
勉強
(
べんけう
)
して大に
強
(
つよ
)
くなつたと自
信
(
しん
)
を持ち
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
三十七
年
(
ねん
)
九
月
(
ぐわつ
)
十四
日
(
か
)
、
幻翁
(
げんおう
)
望生
(
ぼうせい
)
の
二人
(
ふたり
)
と
共
(
とも
)
に
余
(
よ
)
は
馬籠
(
まごめ
)
に
行
(
ゆ
)
き、
茶店
(
ちやみせ
)
に
荷物
(
にもつ
)
や
着物
(
きもの
)
を
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
き、
息子
(
むすこ
)
を
人夫
(
にんぷ
)
に
頼
(
たの
)
んで、
遺跡
(
ゐせき
)
に
向
(
むか
)
つた。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
私は番人夫婦に
向
(
むか
)
って、「お前さん達は長年この別荘に雇われていなさるのかね」と、何気なく尋ねると、夫の方は
白髪頭
(
しらがあたま
)
を撫でて
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つまり
河流
(
かりゆう
)
と
上汐
(
あげしほ
)
とが
河口
(
かこう
)
で
暫時
(
ざんじ
)
戰
(
たゝか
)
つて、
遂
(
つひ
)
に
上汐
(
あげしほ
)
が
勝
(
かち
)
を
占
(
し
)
め、
海水
(
かいすい
)
の
壁
(
かべ
)
を
築
(
きづ
)
きながらそれが
上流
(
じようりゆう
)
に
向
(
むか
)
つて
勢
(
いきほひ
)
よく
進行
(
しんこう
)
するのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
▼ もっと見る
もう
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つて、
谷
(
たに
)
がお
仕舞
(
しまひ
)
になつたかと
思
(
おも
)
ふ
時分
(
じぶん
)
には、また
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
の
谷間
(
たにま
)
の
板屋根
(
いたやね
)
から
煙
(
けむり
)
の
立
(
た
)
ち
登
(
のぼ
)
るのが
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
モリエエルは年若な妻に対する誘惑の多い事を感じて人知れず煩悶する。細君に
向
(
むか
)
つて其れとなく「自重せよ、
良人
(
をつと
)
の愛を反省せよ」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
翌朝
(
よくちょう
)
セルゲイ、セルゲイチはここに
来
(
き
)
て、
熱心
(
ねっしん
)
に十
字架
(
じか
)
に
向
(
むか
)
って
祈祷
(
きとう
)
を
捧
(
ささ
)
げ、
自分等
(
じぶんら
)
が
前
(
さき
)
の
院長
(
いんちょう
)
たりし
人
(
ひと
)
の
眼
(
め
)
を
合
(
あ
)
わしたのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
女はくたぶれたと見えて、わたしと
向
(
むか
)
ひ
合
(
あひ
)
に、けれども、すこし離れた処に腰を下し、スカートを引延すやうにして膝をかくした。
畦道
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
己
(
お
)
れは
此樣
(
こん
)
な
無學漢
(
わからづや
)
だのにお
前
(
まへ
)
は
學
(
もの
)
が
出來
(
でき
)
るからね、
向
(
むか
)
ふの
奴
(
やつ
)
が
漢語
(
かんご
)
か
何
(
なに
)
かで
冷語
(
ひやかし
)
でも
言
(
い
)
つたら、
此方
(
こつち
)
も
漢語
(
かんご
)
で
仕
(
し
)
かへしておくれ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
南洲乃ち三十圓を與へて曰ふ、汝に
一月
(
ひとつき
)
の
俸
(
ほう
)
金を與へん、汝は宜しく汝の心に
向
(
むか
)
うて我が
才力
(
さいりき
)
如何を問ふべしと。其人
復
(
ま
)
た來らず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
ここでは国見岳(四四二〇尺)が正面に見え、左に妙見右に
江丸
(
えまる
)
と外輪山が、環状に
堵列
(
とれつ
)
して
普賢
(
ふけん
)
に
向
(
むか
)
っている
有様
(
ありさま
)
がよく分かる。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
『
日出雄
(
ひでを
)
や、あの
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
える
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
を
覺
(
おぼ
)
えておいでかえ。』と
住馴
(
すみな
)
れし子ープルス
市街
(
まち
)
の
東南
(
とうなん
)
に
聳
(
そび
)
ゆる
山
(
やま
)
を
指
(
ゆびざ
)
すと、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
もう一
度
(
ど
)
おせんは
奥
(
おく
)
へ
向
(
むか
)
って、
由斎
(
ゆうさい
)
を
呼
(
よ
)
んで
見
(
み
)
た。が、
聞
(
きこ
)
えるものは、わずかに
樋
(
とい
)
を
伝
(
つた
)
わって
落
(
お
)
ちる、
雨垂
(
あまだ
)
れの
音
(
おと
)
ばかりであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
梅子は何にも云はずに、
額
(
ひたい
)
に八の字を
寄
(
よ
)
せて、笑ひながら手を振り振り、代助の言葉を遮ぎつた。さうして、
向
(
むか
)
ふから
斯
(
か
)
う云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人は社に
向
(
むか
)
ってゆく、空は
未
(
いま
)
だ全く暗くなってはしまわぬ、右手の農家の前では筒袖をきて手拭を
冠
(
かぶ
)
った男が藁しべなどを掃いている
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
御領地は盛岡で十萬石、南部大膳大夫樣は
向
(
むか
)
ひ
鶴
(
づる
)
の紋ぢや御座いませんか、その上お下屋敷は麻布南部坂で、召使女中には御自慢で京女を
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
向
(
むか
)
ふ
三軒
(
さんげん
)
両隣
(
りやうどな
)
りのお
蝶
(
てふ
)
丹次郎
(
たんじらう
)
お
染
(
そめ
)
久松
(
ひさまつ
)
よりやけにひねつた「ダンス」の
Miss
(
ミツス
)
B.
(
ビー
)
A.
(
エー
)
Bae.
(
べー
)
瓦斯
(
ぐわす
)
糸織
(
いとおり
)
に
綺羅
(
きら
)
を
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
然
(
しか
)
し
彼等
(
かれら
)
は一
方
(
ぱう
)
に
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
る
矛盾
(
むじゆん
)
した
羞耻
(
しうち
)
の
念
(
ねん
)
に
制
(
せい
)
せられて
燃
(
も
)
えるやうな
心情
(
しんじやう
)
から
竊
(
ひそか
)
に
果敢
(
はか
)
ない
目
(
め
)
の
光
(
ひかり
)
を
主
(
しゆ
)
として
夜
(
よ
)
に
向
(
むか
)
つて
注
(
そゝ
)
ぐのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そう
言
(
い
)
いながら、
私
(
わたくし
)
は
成
(
な
)
るべく
先方
(
むこう
)
を
驚
(
おどろ
)
かさないように、
徐
(
しず
)
かに
徐
(
しず
)
かに
腰
(
こし
)
を
降
(
おろ
)
して、この
可愛
(
かわい
)
い
少女
(
しょうじょ
)
とさし
向
(
むか
)
いになりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それでも
感心
(
かんしん
)
なことには、
畫板
(
ぐわばん
)
に
向
(
むか
)
うと
最早
(
もはや
)
志村
(
しむら
)
もいま/\しい
奴
(
やつ
)
など
思
(
おも
)
ふ
心
(
こゝろ
)
は
消
(
き
)
えて
書
(
か
)
く
方
(
はう
)
に
全
(
まつた
)
く
心
(
こゝろ
)
を
奪
(
と
)
られてしまつた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
やつと
隧道
(
トンネル
)
を
出
(
で
)
たと
思
(
おも
)
ふ——その
時
(
とき
)
その
蕭索
(
せうさく
)
とした
踏切
(
ふみき
)
りの
柵
(
さく
)
の
向
(
むか
)
うに、
私
(
わたくし
)
は
頬
(
ほほ
)
の
赤
(
あか
)
い三
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
の
子
(
こ
)
が、
目白押
(
めじろお
)
しに
竝
(
なら
)
んで
立
(
た
)
つてゐるのを
見
(
み
)
た。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そしてもちろんそこにはその
童子
(
どうじ
)
が立っていられましたのです。須利耶さまはわれにかえって童子に
向
(
むか
)
って
云
(
い
)
われました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それはまだ
卵
(
たまご
)
から
出
(
で
)
て
幾
(
いく
)
らも
日
(
ひ
)
の
経
(
た
)
たない
子雁
(
こがん
)
で、
大
(
たい
)
そうこましゃくれ
者
(
もの
)
でしたが、その
一方
(
いっぽう
)
が
子家鴨
(
こあひる
)
に
向
(
むか
)
って
言
(
い
)
うのに
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ですから、
魔女
(
まじょ
)
は
少
(
すこ
)
しも
気
(
き
)
がつかずに
居
(
い
)
ましたが、
或
(
あ
)
る
日
(
ひ
)
、ラプンツェルは、うっかり
魔女
(
まじょ
)
に
向
(
むか
)
って、こう
言
(
い
)
いました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
尚
(
なほ
)
又
(
また
)
一
方
(
ぱう
)
から
考
(
かんが
)
へると、
投機思惑
(
とうきおもわく
)
が
圓貨
(
ゑんくわ
)
に
向
(
むか
)
つて
行
(
おこな
)
はるれば、それだけ
爲替相場
(
かはせさうば
)
が
急激
(
きふげき
)
に
上
(
あが
)
ると
云
(
い
)
ふことは
當然
(
たうぜん
)
の
義
(
ぎ
)
であり、
急激
(
きふげき
)
に
上
(
あが
)
る
場合
(
ばあひ
)
には
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
「わたしもヴォルデマールさんも、つまらない
向
(
むか
)
っ
腹
(
ぱら
)
を立てたものだわ。あなたは、皮肉を言うのが楽しみなのね……たんとおっしゃるがいいわ」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
斯
(
か
)
う
降
(
ふ
)
られては
野宿
(
のじゆく
)
でもしなければなるまい、
宿屋
(
やどや
)
は
此近所
(
このきんじよ
)
にはなし、うム
向
(
むか
)
うに
灯
(
ひ
)
が
見
(
み
)
えるが
人家
(
じんか
)
があるのだらう。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
斯樣
(
かやう
)
にすれば
自分
(
じぶん
)
の
發明心
(
はつめいしん
)
を
養成
(
やうせい
)
し、
事物
(
じぶつ
)
に
向
(
むか
)
つて
注意力
(
ちゆういりよく
)
を
熾
(
さか
)
んにするやうになりませう。
即
(
すなは
)
ち
學生
(
がくせい
)
の
自營心
(
じえいしん
)
を
養
(
やしな
)
ひ
獨立心
(
どくりつしん
)
を
養
(
やしな
)
ふ
所以
(
ゆゑん
)
でありませう。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
ある
人
(
ひと
)
が、この
国
(
くに
)
でいちばん
物知
(
ものし
)
りといううわさの
高
(
たか
)
い
人
(
ひと
)
に
向
(
むか
)
って
問
(
と
)
いました。
物知
(
ものし
)
りはもうだいぶ
年
(
とし
)
をとった、
白髪
(
しらが
)
のまじった
老人
(
ろうじん
)
でありました。
明るき世界へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
チャリ敵の伝兵衛、大して度胸もない癖に、すぐ
向
(
むか
)
ッ
腹
(
ぱら
)
をたてる性質だから、たちまち
河豚提灯
(
ふぐちょうちん
)
なりに
面
(
つら
)
を
膨
(
ふく
)
らし
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
サン はて、
飼犬
(
いぬ
)
を
見
(
み
)
たゞけでも
向
(
むか
)
うてゆくわい。モンタギューの
奴等
(
やつら
)
と
見
(
み
)
りゃ、
男
(
をとこ
)
でも
女
(
をんな
)
でも
關
(
かま
)
うたことァない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
他
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
らは
好
(
い
)
い
幸
(
さいは
)
ひに
其
(
そ
)
れを
坐布團
(
ざぶとん
)
にして
其上
(
そのうへ
)
に
彼等
(
かれら
)
の
肘
(
ひぢ
)
を
載
(
の
)
せ、
其頭
(
そのあたま
)
を
越
(
こ
)
えて
向
(
むか
)
ひ
合
(
あは
)
せになつて
話
(
はな
)
してゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
A フン、それは
相談
(
さうだん
)
をしない
方
(
はう
)
が
惡
(
わる
)
いんだが、
向
(
むか
)
ふで
相談
(
さうだん
)
しなけりや
此方
(
こつち
)
から
相談
(
さうだん
)
しかけたら
可
(
い
)
いぢやないか。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
生は歌よみに
向
(
むか
)
いて何の
恨
(
うらみ
)
も持たぬにかく罵詈がましき言を放たねばならぬように
相成
(
あいなり
)
候心のほど
御察被下度
(
おさっしくだされたく
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
この
人
(
ひと
)
たちは
思
(
おも
)
ひ/\に
手
(
て
)
だてをめぐらして
姫
(
ひめ
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れようとしましたが、
誰
(
たれ
)
も
成功
(
せいこう
)
しませんでした。
翁
(
おきな
)
もあまりのことに
思
(
おも
)
つて、ある
時
(
とき
)
、
姫
(
ひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
木之助は今までに仏壇に
向
(
むか
)
って胡弓を弾いたことはなかったので、変なそぐわない気がした。だが思い切って弾き出して見ると、じきそんな気持ちは消えた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
地球上
(
ちきゆうじよう
)
でも、
赤道
(
せきどう
)
を
中心
(
ちゆうしん
)
にして
兩極
(
りようきよく
)
に
向
(
むか
)
ふにしたがひ、
又
(
また
)
は
海岸
(
かいがん
)
から
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
へ
登
(
のぼ
)
るにつれて、その
寒暖
(
かんだん
)
の
差
(
さ
)
に
應
(
おう
)
じ、しぜんとそこに
生
(
は
)
える
樹木
(
じゆもく
)
の
種類
(
しゆるい
)
が
違
(
ちが
)
ひ
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「
耐
(
たま
)
らんな、
此
(
か
)
う取付けられちや!」と周三は、
其
(
その
)
貧弱
(
ひんじやく
)
極
(
きわ
)
まる
經濟
(
けいざい
)
の
前途
(
ぜんと
)
に
向
(
むか
)
ツて、少からぬ
杞憂
(
きいう
)
を
抱
(
いだ
)
いた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
見廻せば一
同
(
どう
)
平伏
(
へいふく
)
ある時に伊豆守殿は伊賀亮に
向
(
むか
)
はれ申さるゝ樣天一坊殿
御出生
(
ごしゆつしやう
)
の
地
(
ち
)
并
(
ならび
)
に御成長の所は何の地なるやと
尋
(
たづね
)
らるゝに此時常樂院は
懷中
(
くわいちう
)
より
書付
(
かきつけ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いつも
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
玄竹
(
げんちく
)
が
來
(
く
)
ると、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
大抵
(
たいてい
)
差
(
さ
)
し
向
(
むか
)
ひで
話
(
はなし
)
をして
障子
(
しやうじ
)
には、
大
(
おほ
)
きな、『××の
金槌
(
かなづち
)
』と
下世話
(
げせわ
)
に
惡評
(
あくひやう
)
される
武士髷
(
ぶしまげ
)
と、
固
(
かた
)
い
頭
(
あたま
)
とが
映
(
うつ
)
るだけで
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そんなにかやがないならば、
向
(
むか
)
うに
見
(
み
)
える、あの
小松
(
こまつ
)
の
茂
(
しげ
)
つてゐる、その
下
(
した
)
のかやをば、お
刈
(
か
)
りなさいな。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
其
(
それ
)
と
与
(
とも
)
に
一方
(
いつぱう
)
には小説雑誌の
気運
(
きうん
)
が
日増
(
ひまし
)
に
熟
(
じゆく
)
して来たので、
此際
(
このさい
)
何
(
なに
)
か発行しやうと
云
(
い
)
ふ
金港堂
(
きんこうどう
)
の
計画
(
けいくわく
)
が有つたのですから、
早速
(
さつそく
)
山田
(
やまだ
)
へ
密使
(
みつし
)
が
向
(
むか
)
つたものと見える
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ニューヨークのマンハッタン銀行のまん
向
(
むか
)
えに、ジョン・グレージーというダイヤモンド商があった。
変な恋
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
リゼットはマギイ婆さんに
向
(
むか
)
っても同様に盃を挙げた。それに対して婆さんは盃を返礼した後
云
(
い
)
った。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうすれば、椎の小枝を折ってそれに飯を盛ったと解していいだろう。「片岡の
此
(
この
)
向
(
むか
)
つ
峯
(
を
)
に
椎
(
しひ
)
蒔かば今年の夏の陰になみむか」(巻七・一〇九九)も
椎
(
しい
)
であろうか。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
火鉢
(
ひばち
)
の
火
(
ひ
)
が
赤
(
あか
)
いのも、
鐵瓶
(
てつびん
)
が
優
(
やさ
)
しい
響
(
ひゞ
)
きに
湯氣
(
ゆげ
)
を
立
(
た
)
てゝゐるのも、ふと
擡
(
もた
)
げてみた
夜着
(
よぎ
)
の
裏
(
うら
)
が
甚
(
はなはだ
)
しく
色褪
(
いろあ
)
せてゐるのも、すべてが
皆
(
みな
)
私
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて
生
(
い
)
きてゐる——この
年
(
とし
)
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
為めに頭を
冷
(
ひ
)
やさんとするも
悲
(
かなし
)
いかな水なきを如何せん、鹽原君
帯
(
お
)
ぶる所の劔を
抜
(
ぬ
)
きて其顔面に
当
(
あ
)
て、以て多少之を
冷
(
ひや
)
すを
得
(
え
)
たり、朝に
至
(
いた
)
りて
少
(
すこ
)
しく快方に
向
(
むか
)
ひ来る。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
向
(
むか
)
うの
岸
(
きし
)
に
往
(
ゆ
)
かんとし
給
(
たま
)
ひしに、ある
学者
(
がくしや
)
来
(
きた
)
りて
云
(
い
)
ひけるは
師
(
し
)
よ。
何処
(
いづこ
)
へ
行
(
ゆ
)
き
給
(
たま
)
ふとも
我
(
わ
)
れ
従
(
したが
)
はん。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
我
(
わ
)
が
朝日新聞社員
(
あさひしんぶんしやゐん
)
横川勇次氏
(
よこかはゆうじし
)
を送らんと、
朝
(
あさ
)
未明
(
まだき
)
に
起
(
おき
)
出
(
いで
)
て、
顔
(
かほ
)
洗
(
あら
)
ふ
間
(
ま
)
も心せはしく車を
急
(
いそが
)
せて
向島
(
むかふじま
)
へと
向
(
むか
)
ふ、
常
(
つね
)
にはあらぬ
市中
(
しちう
)
の
賑
(
にぎ
)
はひ、三々五々
勇
(
いさ
)
ましげに
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
ふて
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
“向”の解説
向(しょう、こう)は、漢姓のひとつ。
同じ漢字を使う日本の姓向(むかい、むかえ、むこう)についてもこの記事で述べる。
琉球王国の向氏については、第二尚氏を参照。
(出典:Wikipedia)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“向”を含む語句
仰向
真向
斜向
上向
一向
手向
日向
俯向
眞向
向合
向側
差向
向山
向後
方向
背向
趣向
筋向
対向
川向
...