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迷
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まよ
ふりがな文庫
“
迷
(
まよ
)” の例文
四国
(
しこく
)
の
島
(
しま
)
へ
渡
(
わた
)
って、
海
(
うみ
)
ばたの
村
(
むら
)
を
托鉢
(
たくはつ
)
して
歩
(
ある
)
いているうちに、ある日いつどこで
道
(
みち
)
を
間違
(
まちが
)
えたか、山の中へ
迷
(
まよ
)
い
込
(
こ
)
んでしまいました。
人馬
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
太郎
(
たろう
)
は、もしや、おじいさんが、この
真夜中
(
まよなか
)
に
雪道
(
ゆきみち
)
を
迷
(
まよ
)
って、あちらの
広野
(
ひろの
)
をうろついていなさるのではなかろうかと
心配
(
しんぱい
)
しました。
大きなかに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二人の青年
紳士
(
しんし
)
が
猟
(
りょう
)
に出て
路
(
みち
)
を
迷
(
まよ
)
い、「
注文
(
ちゅうもん
)
の多い
料理店
(
りょうりてん
)
」にはいり、その
途方
(
とほう
)
もない
経営者
(
けいえいしゃ
)
からかえって注文されていたはなし。
『注文の多い料理店』新刊案内
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
トーマスは、さんさんとかがやく
太陽
(
たいよう
)
の下で、いつまでも、どちらをはくか
迷
(
まよ
)
いつづけて、ぼんやりと
靴
(
くつ
)
をみながらすわっていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
けれどもまえのようにやはりかれは考えを一つに集めることができなかった。かれの目は川のこちらの岸から向こう岸へと
迷
(
まよ
)
い始めた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
御身
(
おんみ
)
も
知
(
し
)
るとおり、こちらの
世界
(
せかい
)
では
心
(
こころ
)
の
純潔
(
じゅんけつ
)
な、
迷
(
まよ
)
いの
少
(
すく
)
ないものはそのまま
側路
(
わきみち
)
に
入
(
い
)
らず、すぐに
産土神
(
うぶすなのかみ
)
のお
手元
(
てもと
)
に
引
(
ひ
)
きとられる。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
されど、百万遍の
迷
(
まよ
)
い
言
(
ごと
)
何の
益
(
えき
)
なけれど聞いてつかわすべしとの仰せを
幸
(
さいわい
)
、おのが心事を偽らず飾らず
唯
(
ただ
)
有りのままに申し上ぐべく候。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
峨峰
(
がほう
)
、
嶮山
(
けんざん
)
に
囲
(
かこ
)
まれた
大湖
(
たいこ
)
だから、
時々
(
とき/″\
)
颯
(
さつ
)
と
霧
(
きり
)
が
襲
(
おそ
)
ふと、この
飛
(
と
)
んでるのが、
方角
(
はうがく
)
に
迷
(
まよ
)
ふうちに
羽
(
はね
)
が
弱
(
よわ
)
つて、
水
(
みづ
)
に
落
(
お
)
ちる
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いてゐた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
薄
(
うす
)
くらきに
迷
(
まよ
)
ふ
心
(
こゝろ
)
もかき
暮
(
くら
)
されて
何
(
なに
)
と
言
(
いひ
)
入
(
い
)
れん
戸
(
と
)
のすき
間
(
ま
)
よりさし
覗
(
のぞ
)
く
家内
(
かない
)
のいたましさよ
頭巾
(
づきん
)
肩掛
(
かたかけ
)
に
身
(
み
)
はつゝめど
目
(
め
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
だからアッカには、これですっかり
方角
(
ほうがく
)
がわかったのです。もうこうなれば、だれにも
迷
(
まよ
)
わされるようなことはありません。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
切られ
胴
(
どう
)
さへ見えぬ此
形容
(
かたち
)
何卒
(
なにとぞ
)
御情に御
弔
(
とむら
)
ひ下され度と涙ながらに頼みければ出家は
點頭
(
うなづき
)
其は心
易
(
やす
)
き事かな
早々
(
さう/\
)
生死の
迷
(
まよ
)
ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
忍冬
(
すひかづら
)
、
素馨
(
そけい
)
、
濱萵苣
(
はまさじ
)
、
迷
(
まよ
)
はしの足りないほかの花よりも、おまへたちの
方
(
はう
)
が、わたしは
好
(
すき
)
だ。
滅
(
ほろ
)
んだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
凡ての職業を見渡した
後
(
のち
)
、
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
は漂泊者の
上
(
うへ
)
に
来
(
き
)
て、そこで
留
(
と
)
まつた。彼は
明
(
あき
)
らかに自分の影を、犬と
人
(
ひと
)
の
境
(
さかい
)
を
迷
(
まよ
)
ふ
乞食
(
こつじき
)
の
群
(
むれ
)
の
中
(
なか
)
に見
出
(
いだ
)
した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
安政
(
あんせい
)
の
末年
(
まつねん
)
、一人の
若武士
(
わかざむらい
)
が品川から
高輪
(
たかなわ
)
の
海端
(
うみばた
)
を通る。夜は
四
(
よ
)
つ過ぎ、
他
(
ほか
)
に人通りは無い。
芝
(
しば
)
の
田町
(
たまち
)
の方から
人魂
(
ひとだま
)
のやうな火が
宙
(
ちゅう
)
を
迷
(
まよ
)
うて来る。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで新吉は、曲馬団へ入ってそこを
逃
(
に
)
げ出すまでのいきさつと、東京へ
叔父
(
おじ
)
さんをたずねて来て、こうして
迷
(
まよ
)
っていることを一通り話しました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ゆくときの
困難
(
こんなん
)
にひきかえて、帰りは一歩も
迷
(
まよ
)
うところなく、わずか六時間でサクラ
湾
(
わん
)
の波の音をきくことができた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
さるをおん
僧
(
そう
)
しば/\こゝにきたりて
回向
(
ゑかう
)
ありつる
功徳
(
くどく
)
によりてありがたき
仏果
(
ぶつくわ
)
をばえたれども、
頭
(
かしら
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
が
障
(
さは
)
りとなりて
閻浮
(
えんぶ
)
に
迷
(
まよ
)
ふあさましさよ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
子をたずね
迷
(
まよ
)
うお時の目には、ものかげからジイッと
飽
(
あ
)
かずに見ていると、ああ
煩悩
(
ぼんのう
)
は
実
(
げ
)
にもふしぎ、この少年こそ、あるいは自分の子ではないか
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夢
(
ゆめ
)
から
夢
(
ゆめ
)
を
辿
(
たど
)
りながら、
更
(
さら
)
に
夢
(
ゆめ
)
の
世界
(
せかい
)
をさ
迷
(
まよ
)
い
続
(
つづ
)
けていた
菊之丞
(
はまむらや
)
は、ふと、
夏
(
なつ
)
の
軒端
(
のきば
)
につり
残
(
のこ
)
されていた
風鈴
(
ふうりん
)
の
音
(
おと
)
に、
重
(
おも
)
い
眼
(
め
)
を
開
(
あ
)
けてあたりを
見廻
(
みまわ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
無垢
(
むく
)
な
若者
(
わかもの
)
の
前
(
まへ
)
に
洪水
(
おほみづ
)
のやうに
展
(
ひら
)
ける
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は、どんなに
甘
(
あま
)
い
多
(
おほ
)
くの
誘惑
(
いうわく
)
や、
美
(
うつく
)
しい
蠱惑
(
こわく
)
に
充
(
み
)
ちて
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せることだらう!
外
(
そ
)
れるな、
濁
(
にご
)
るな、
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ふなと
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
無かった縁に
迷
(
まよ
)
いは
惹
(
ひ
)
かぬつもりで、今日に満足して
平穏
(
へいおん
)
に日を送っている。ただ
往時
(
むかし
)
の
感情
(
おもい
)
の
遺
(
のこ
)
した
余影
(
かげ
)
が太郎坊の
湛
(
たた
)
える酒の上に時々浮ぶというばかりだ。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
這麼事
(
こんなこと
)
を
恐
(
おそ
)
れるのは
精神病
(
せいしんびやう
)
に
相違
(
さうゐ
)
なき
事
(
こと
)
、と、
彼
(
かれ
)
も
自
(
みづか
)
ら
思
(
おも
)
ふて
是
(
こゝ
)
に
至
(
いた
)
らぬのでも
無
(
な
)
いが、
偖
(
さて
)
又
(
また
)
考
(
かんが
)
へれば
考
(
かんが
)
ふる
程
(
ほど
)
迷
(
まよ
)
つて、
心中
(
しんちゆう
)
は
愈々
(
いよ/\
)
苦悶
(
くもん
)
と、
恐怖
(
きようふ
)
とに
壓
(
あつ
)
しられる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
戀
(
こひ
)
しい、
懷
(
なつか
)
しい、ヂュリエット、
何
(
なん
)
として
今尚
(
いまな
)
ほ
斯
(
か
)
うも
艶麗
(
あてやか
)
ぢゃ?
若
(
も
)
しや
形
(
かたち
)
のない
死神
(
しにがみ
)
が
卿
(
そなた
)
の
色香
(
いろか
)
に
迷
(
まよ
)
うて、あの
骨
(
ほね
)
ばかりの
怪物
(
くわいぶつ
)
めが、
己
(
おの
)
が
嬖妾
(
おもひもの
)
にしようために
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
僕がここに自分の
迷
(
まよ
)
いの
径路
(
けいろ
)
を述べたのは、同じ問題に苦しめる人の参考に
供
(
きょう
)
したいからである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかしその
美
(
うつく
)
しい
妻
(
つま
)
は、
現在
(
げんざい
)
縛
(
しば
)
られたおれを
前
(
まへ
)
に、
何
(
なん
)
と
盜人
(
ぬすびと
)
に
返事
(
へんじ
)
をしたか? おれは
中有
(
ちうう
)
に
迷
(
まよ
)
つてゐても、
妻
(
つま
)
の
返事
(
へんじ
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
す
毎
(
ごと
)
に、
嗔恚
(
しんい
)
に
燃
(
も
)
えなかつたためしはない。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
若
(
も
)
しミツシヨンより金を
貰
(
もら
)
ふ
事
(
こと
)
が
精神上
(
せいしんじやう
)
彼
(
かれ
)
と
彼
(
かれ
)
の
教会
(
けうくわい
)
の上に
害
(
がい
)
ありと
信
(
しん
)
ずれば
直
(
たゞち
)
に之を
絶
(
た
)
つにあり、我れ
饑
(
う
)
ゆるとも可なり、我の
妻子
(
さいし
)
にして
路頭
(
ろとう
)
に
迷
(
まよ
)
ふに至るも我は
忍
(
しの
)
ばん
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
火はときどき思いだしたように、パチパチと
燃
(
も
)
えてはすぐ
消
(
き
)
えてしまう。
朽
(
く
)
ち
葉
(
ば
)
のくさみを持った
煙
(
けむり
)
はいよいよ立ち
迷
(
まよ
)
うのである。源四郎は二十二、三の
色黒
(
いろぐろ
)
い
丸顔
(
まるがお
)
な男だ。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
人夫中にては中島善作なるものは
猟
(
りやう
)
の為め
常
(
つね
)
に
雪
(
ゆき
)
を
踏
(
ふ
)
んで
深山
(
しんざん
)
に
分
(
わ
)
け入るもの、主として一行の
教導
(
けうどう
)
をなす、一行方向に
迷
(
まよ
)
ふことあれば
直
(
ただ
)
ちに
巧
(
たく
)
みに高樹の
頂
(
いただき
)
に
上
(
のぼ
)
りて
遠望
(
ゑんぼう
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
へえゝ
立派
(
りつぱ
)
な
物
(
もん
)
ですね
何
(
ど
)
うも……あの向うへ
往
(
い
)
きますのは
女
(
をんな
)
ぢやアございませんか。近「
然
(
さ
)
うよ。梅「へえゝ
女
(
をんな
)
てえものは
綺麗
(
きれい
)
なものですなア、
男
(
をとこ
)
が
迷
(
まよ
)
ふな無理もありませんね。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
又
(
また
)
弄
(
ろう
)
されて
千鳥
(
ちどり
)
の
群
(
むれ
)
は
岩
(
いは
)
より
岩
(
いは
)
へと
飛
(
と
)
びかうて
居
(
ゐ
)
ましたが、
斯
(
か
)
かる
際
(
さい
)
にも
絶望
(
ぜつばう
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
んだ
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
は
益々
(
ます/\
)
闇
(
やみ
)
を
求
(
もと
)
めて
迷
(
まよ
)
ふものと
見
(
み
)
え、
一人
(
ひとり
)
の
若者
(
わかもの
)
ありて、
蒼
(
あを
)
ざめた
顏
(
かほ
)
を
襟
(
えり
)
に
埋
(
うづ
)
め
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
やがて
日暮
(
ひぐ
)
れ
方
(
がた
)
彼
(
かれ
)
は
見
(
み
)
すぼらしい
小屋
(
こや
)
の
前
(
まえ
)
に
来
(
き
)
ましたが、それは
今
(
いま
)
にも
倒
(
たお
)
れそうで、ただ、どっち
側
(
がわ
)
に
倒
(
たお
)
れようかと
迷
(
まよ
)
っているためにばかりまだ
倒
(
たお
)
れずに
立
(
た
)
っている
様
(
よう
)
な
家
(
いえ
)
でした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
今
(
いま
)
は、
冬
(
ふゆ
)
か
春
(
はる
)
か
心
(
こゝろ
)
の
上
(
うへ
)
で
迷
(
まよ
)
はずにゐられない
時分
(
じぶん
)
である。
心
(
こゝろ
)
ではいつとも
時候
(
じこう
)
の
區別
(
くべつ
)
がつかないのに、
目
(
め
)
に
見
(
み
)
るものは、すでに
尠
(
すくな
)
くとも、
一
(
ひと
)
つだけは
春
(
はる
)
らしいしるしを
示
(
しめ
)
してゐる。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
蒼
(
あを
)
い
空
(
そら
)
は
淺
(
あさ
)
い
水
(
みづ
)
の
底
(
そこ
)
から
遙
(
はる
)
かに
深
(
ふか
)
く
遠
(
とほ
)
く
光
(
ひか
)
つた。さうして
何處
(
どこ
)
からか
迷
(
まよ
)
ひ
出
(
だ
)
して
落付
(
おちつ
)
く
場所
(
ばしよ
)
を
見出
(
みいだ
)
し
兼
(
か
)
ねて
困
(
こま
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうな
白
(
しろ
)
い
雲
(
くも
)
が
映
(
うつ
)
つて、
勘次
(
かんじ
)
が
走
(
はし
)
れば
走
(
はし
)
る
程
(
ほど
)
先
(
さき
)
へ/\と
移
(
うつ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
迷
(
まよ
)
わないわけにいかなかったが、とにかく繃帯をといてみれば、どっちがほんものかニセかがわかるかもしれないと思い、ついに決心して壁の前に立っている博士の頭へ手をのばした。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうしてこの明るい家の中に、こんな
暗
(
くら
)
さがあるのだらうと
考
(
かんが
)
へた。
北側
(
きたがは
)
に一
連
(
れん
)
の
壁
(
かべ
)
があるこれだ。——しかし、私は間もなく
周囲
(
しうゐ
)
の庭に
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れてゐるとりどりの
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
に
迷
(
まよ
)
ひ出した。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
一四三
里遠き犬の声を力に、家に走りかへりて、彦六にしかじかのよしをかたりければ、
一四四
なでふ狐に
欺
(
あざむ
)
かれしなるべし。心の
臆
(
おく
)
れたるときはかならず
一四五
迷
(
まよ
)
はし神の
魘
(
おそ
)
ふものぞ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
けれど
夫人
(
ふじん
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えない『
春枝夫人
(
はるえふじん
)
、々々。』と
聲
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
呼
(
よ
)
んで
見
(
み
)
たが
應
(
こたへ
)
がない、
只
(
たゞ
)
一度
(
いちど
)
遙
(
はる
)
か/\の
波間
(
なみま
)
から、
微
(
かす
)
かに
答
(
こたへ
)
のあつた
樣
(
やう
)
にも
思
(
おも
)
はれたが、それも
浪
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
やら、
心
(
こゝろ
)
の
迷
(
まよ
)
ひやら
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
面
(
おも
)
黄
(
き
)
なる
病児
(
びやうじ
)
幽
(
かす
)
かに照らされて
迷
(
まよ
)
ひわづらふ。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
もの
倦
(
うじ
)
がほにたゆたひつ、
迷
(
まよ
)
ひつ、
軈
(
やが
)
て
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
みたまよ
何処
(
いずこ
)
に
迷
(
まよ
)
いておわすか
七里ヶ浜の哀歌
(新字新仮名)
/
三角錫子
(著)
蝶は
花野
(
はなの
)
の地に
迷
(
まよ
)
ふ
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
一
度
(
ど
)
、いったところであるから、
道
(
みち
)
を
迷
(
まよ
)
う
心配
(
しんぱい
)
もなかった。二
羽
(
わ
)
のすずめは、
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
えて、
湯気
(
ゆげ
)
の
立
(
た
)
ち
上
(
のぼ
)
る
温泉
(
おんせん
)
へついたのでした。
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしたちが道に
迷
(
まよ
)
ったことがわかると、もうからだになんの力も
残
(
のこ
)
らないように思われた。親方はわたしのうでを
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
いけ
年
(
どし
)
を
為
(
し
)
た
爺
(
ぢゞい
)
が、
女色
(
いろ
)
に
迷
(
まよ
)
ふと
思
(
おも
)
はつしやるな。
持
(
も
)
たぬ
孫
(
まご
)
の
可愛
(
かあい
)
さも、
見
(
み
)
ぬ
極楽
(
ごくらく
)
の
恋
(
こひ
)
しいも、これ、
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
と
考
(
かんが
)
えたゞね。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
邪魔
(
じやま
)
に
致
(
いた
)
し
罪
(
つみ
)
なき者に罪を
着
(
き
)
せ
離縁
(
りえん
)
仕つりしにより私し共
路頭
(
ろとう
)
に
迷
(
まよ
)
ひ候を村内の者共
達
(
たつ
)
て
勸
(
すゝ
)
めに
任
(
まか
)
せ里儀を惣内妻に
致
(
いた
)
候夫を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
むろん
人間
(
にんげん
)
には、
賢愚
(
けんぐ
)
、
善悪
(
ぜんあく
)
、
大小
(
だいしょう
)
、
高下
(
こうげ
)
、さまざまの
等差
(
とうさ
)
があるので、
仏教
(
ぶっきょう
)
の
方便
(
ほうべん
)
も
穴勝
(
あながち
)
悪
(
わる
)
いものでもなく、
迷
(
まよ
)
いの
深
(
ふか
)
い
者
(
もの
)
、
判
(
わか
)
りのわるい
者
(
もの
)
には
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
わたしはもう
自分
(
じぶん
)
ながら
自分
(
じぶん
)
の
深
(
ふか
)
い
罪
(
つみ
)
と
迷
(
まよ
)
いのために、このとおり石になってもなお
苦
(
くる
)
しんでいるのでございます。
殺生石
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
雛菊
(
ひなぎく
)
、
釣舟草
(
つりぶねさう
)
、
莧
(
ひゆ
)
の花、もつと眞劍の
迷
(
まよ
)
はしよりも、おまへたちの方がわたしは好だ。
滅
(
ほろ
)
んだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
小鳥たちの中には、道に
迷
(
まよ
)
って遠い国に吹き流され、そこで、うえ死にしたものもありますし、
疲
(
つか
)
れはてて海に落ちて、おぼれ死んだものもあります。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
いくら
盲
(
めくら
)
めっぽうに進んでも、けっして、
迷
(
まよ
)
う気づかいはないと、燕作はいつもの早足ぐせで、才蔵よりまえにタッタとかけていったが、やがてのこと
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
迷
常用漢字
小5
部首:⾡
9画
“迷”を含む語句
迷路
迷宮
迷子
迷惑
迷児
世迷言
迷妄
戸迷
気迷
迷迭香
迷羊
昏迷
頑迷
迷子札
世迷
迷兒
迷夢
迷付
血迷
迷彩
...