立派りつぱ)” の例文
それで他國たこく立派りつぱ堂々だう/\たる小學校せうがくかうきふ其樣そんなすぼらしい學校がくかうぼく子供心こどもごころにもけつして愉快ゆくわい心地こゝちなかつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さても秋風あきかぜきりひとか、らねばこそあれ雪佛ゆきぼとけ堂塔だうとういかめしくつくらんとか立派りつぱにせんとか、あはれ草臥くたびれもうけにるがおう
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その得意先とくいさきの一けん橋場はしば妾宅せふたくにゐる御新造ごしんぞがおいと姿すがたを見て是非ぜひ娘分むすめぶんにして行末ゆくすゑ立派りつぱな芸者にしたてたいと云出いひだした事からである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ほんとにまあちやんのおほきくおなんなさいましたこと、今更いまさららしくおもつてみれば、あなたもKさんも立派りつぱな母親なんですわね。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
まゐりましたところ堺町さかひちやうでうきたまちといふ、大層たいそうづかしい町名ちやうめいでございまして、里見さとみちうらうといふ此頃このごろ新築しんちくをした立派りつぱうち
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人ふたりだとおもつても駄目だめよ!とつて、一人ひとりだけ立派りつぱひとにするんでは滿つまらないわ!』とあいちやんは可哀相かあいさうにもさうおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はあと嘉十かじふもこつちでその立派りつぱ太陽たいやうとはんのきをおがみました。みぎから三ばん鹿しかくびをせはしくあげたりげたりしてうたひました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
それが次第しだいすゝんで、旅行中りよこうちゆううたにはほんとうに自然しぜんみこなした立派りつぱなものが、萬葉集まんようしゆうになると、だん/\てゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
第十代だいじゆうだい崇神天皇すじんてんのうと、ぎの垂仁天皇すいにんてんのうころから、まへかくうしろまる前方後圓ぜんぽうこうえん立派りつぱ車塚くるまづかが、きづかれるようになつたことはうたがひありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一町いつちやうばかり、麹町かうぢまち電車通でんしやどほりのはうつた立派りつぱ角邸かどやしき横町よこちやうまがると、其處そこ大溝おほどぶでは、くわツ、くわツ、ころ/\ころ/\とうたつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで『立派りつぱなユーモリスト』なるしぶ先生せんせいこれして、『世界中せかいぢうのひつくりかへるあしたかな』とやつたんだ。どうだわかつたか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
旅亭やどや禿頭はげあたまをしへられたやうに、人馬じんば徃來ゆきゝしげ街道かいだう西にしへ/\とおよそ四五ちやうある十字街よつかどひだりまがつて、三軒目げんめ立派りつぱ煉瓦造れんぐわづくりの一構ひとかまへ
明治めいぢのはじめを御維新ごゐつしんときひまして、あの御維新ごゐつしんときから、どんなお百姓ひやくしやうでも立派りつぱ苗字めうじをつけることにつたさうです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
直樣すぐさまに自ら訴へ主殺しの御所刑しおき願ふ氣なげさよ我が子で有ぞ可愛かあいやといだきも仕度親心立派りつぱな男も三歳兒つごの樣に思はるゝのが子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
如何いかに一八六〇年代の日本の女でも、処女や妻の貞操がそれほど立派りつぱに保たれたといふことは、信用出来ないのに違ひない。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まためんにはかれ立派りつぱ教育けういくけ、博學はくがく多識たしきで、んでもつてゐるとまちひとふてゐるくらゐ。で、かれまちきた字引じびきとせられてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
今日けふは白地の浴衣ゆかためて、背広せびろを着てゐる。然し決して立派りつぱなものぢやない。光線の圧力の野々宮君より白襯衣しろしやつ丈が増しな位なものである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ところが、立派りつぱひかりのあるはずのはち螢火ほたるびほどのひかりもないので、すぐに註文ちゆうもんちがひといつてねつけられてしまひました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
かれ甘藷さつまいもほかには到底たうていさういふすべてのなへ仕立したてることが出來できないので、また立派りつぱなへひにだけ餘裕よゆうもないので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
きみ立派りつぱ書物しよもつ出來上できあがる。きみはこのほんるのをたのしみにしてゐたといふではないか。きみはなぜ、せめては、このほんるまでつてはゐなかつたのだ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
だれもおいてはきません。ひとりのこらずくのです。でもね、いいですか、それまでにおほきくそして立派りつぱそだつことですよ。壯健たつしやからだつよはね! わかつて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
たとへば日比谷公園ひゞやこうえんよこ道路どうろや、青山赤坂通あをやまあかさかどほりなどにゑてあるすゞげたようなのなる並木樹なみきぎとして立派りつぱなすゞかけのは、あかるい淡緑色たんりよくしよくをしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかるに、中根なかね危急ききふわすれてじうはなさず、くまでじうまもらうとした。あの行爲かうゐ、あの精神せいしんまさ軍人精神ぐんじんせいしん立派りつぱ發揚はつやうしたもので、まこと軍人ぐんじんかがみである。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一千萬圓も建築費にかけたその立派りつぱな劇場は、國賓こくひんを招く場合があるとか、なんとかかんとか名をつけて、いはゆる庶民はいつも三階、もしくは四階五階へ押上げられて
むぐらの吐息 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
それよりはすこしでもうつくしい立派りつぱな、快適くわいてきいへつくりたいといふかんがへが先立さきだつてたらねばならぬ。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
くちでは意志ゐし自由じゆうだとか、個人こじん權威けんゐだとか立派りつぱなことは云ツてゐるものゝ、生活せいくわつめにはこゝろにもない業務ぎやうむを取ツたり、げなくても可い頭も下げなければならない。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
なんゆえに一にんえきなきものをころして多人數たにんずえきすることしきことなしといふ立派りつぱなる理論りろんをもちながら流用りうようすること覺束おぼつかなき裝飾品そうしよくひん數個すこうばひしのみにして立去たちさるにいたりしか
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
平日へいじつかういふ訓練くんれんがあればこそ、かゝる立派りつぱ行動こうどうでることも出來できたのであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「あれはみん立派りつぱ紳士しんしなんだらうが、なんだかやすつぽいね。」M、Hつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
刮目くわつもくして待つてると、みやこはななる者が出た、本も立派りつぱなれば、手揃てぞろひでもあつた、さうして巻頭くわんたう山田やまだの文章、にくむべきてきながらも天晴あつぱれ書きをつた、かれの文章はたしかに二三だん進んだと見た
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
だつてそんな立派りつぱな運河をこしらへるんだもの あたまや手はきつとるわ
かく土方どかた菱沼ひしぬまたくたづねて、そのたといふ土器どきると、完全くわんぜんなる徳利形とくりがたの、立派りつぱなる彌生式やよひしきである。それにまたカワラケの燈明皿とうみやうざら燈心とうしんために一くろげたる)と、高抔たかつきの一とである。
わたしときよりまぐれをおこすはひとのするのではくてみなこゝろがらのあさましいわけがござんす、わたし此樣こんいやしいうへ貴君あなた立派りつぱなお方樣かたさま
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一體いつたい、これには、きざみねぎ、たうがらし、大根だいこんおろしとふ、前栽せんざいのつはものの立派りつぱ加勢かせいるのだけれど、どれもなまだからわたしはこまる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あゝおいとが芸者になつたら一緒に手を引いて歩く人は矢張やつぱりあゝ立派りつぱ紳士しんしであらう。自分は何年たつたらあんな紳士しんしになれるのか知ら。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
が、上人の俳画は勿論祖師でもなんでもないから、更に紙衣かみこなんぞは着てゐない。皆この頃の寒空を知らないやうに、立派りつぱな表装を着用してゐる。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
馬車が来ました。岩「おゝ、お立派りつぱな馬車だ、大きなかただね。婆「あのかた山岡鉄太郎様やまをかてつたらうさまおつしやるおかたです。岩「そばなにか二人いてるね。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
博物學はくぶつがく方面ほうめん博物館はくぶつかん立派りつぱなのが各地かくちまうけてありますが、ことにワシントン、シカゴ、ニューヨークなどにあるものはよく完備かんびしてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
けれどもぼく大島小學校おほしませうがくかう出身しゆつしんなることを、諸君しよくんごと立派りつぱ肩書かたがきもつらるるうち公言こうげんしてすこしはぢず、むしほこつて吹聽ふいちやうしたくなるのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わたしちゝわたし立派りつぱ教育けういくあたへたです、しかし六十年代ねんだい思想しさう影響えいきやうで、わたし醫者いしやとしてしまつたが、わたし其時そのときちゝとほりにならなかつたなら
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
日出雄少年ひでをせうねん鐵工てつこうとなるより、立派りつぱ海軍士官かいぐんしくわんとなる仕度したくをせねばならんよ。』と武村兵曹たけむらへいそうひざなる少年せうねん房々ふさ/″\した頭髮かみでやりつゝ、わたくしむか
その油氣あぶらけのないこはかみが、ういふわけか、あたま眞中まんなか立派りつぱ左右さいうけられてゐるさまを、えずまへうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのなかでもとりわけ立派りつぱ總縫模樣そうぬいもやう晴着はれぎがちらと、へいすきから、貧乏びんぼう隣家となりのうらにしてある洗晒あらひざらしの、ところどころあてつぎ などもある單衣ひとへものをみて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ところが、さきにもいつたとほり、古今集こきんしゆうのよみびとらずのうたのうち、すぐれたものがおほいので、これなどはどこへしてもづかしくない立派りつぱうたであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
もて身の營業なりはひとなすものがいかで左樣な惡き事に荷擔かたん致してすむ可きかは此御賢察ごけんさつこひねがふと口には立派りつぱに言物からこゝろの中には密計みつけいの早くもあらはれ夫ゆゑに弟は最期さいご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本當ほんと先刻さつきからさうおもつてんだが立派りつぱはなぢやねえかな」おつたは庭先にはさき草花くさばなはなしいだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
こんなあかはげやまは、やまとしてはけつして立派りつぱなものとはいへません。人間にんげんでいへばからだばかりおほきくてとく智慧ちえもないとすれば、ひととしててんで品位ひんいがないのとおなじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
おきなひめもその細工さいく立派りつぱなのにをどろいてゐますと、そこへうんわるく玉職人たましよくにん親方おやかたがやつてて、千日せんにちあまりも骨折ほねをつてつくつたのに、まだ細工賃さいくちんくださるといふ御沙汰ごさたがないと
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
木曾きそのやうに山坂やまさかおほいところには、その土地とちてきしたうまがあります。いくら體格たいかく立派りつぱうまでも、平地へいちにばかりはれた動物どうぶつでは、木曾きそのやうな土地とちにはてきしません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
A 馬鹿ばかだなア、しぶ六とはおれ變名へんめいぢやないか。『立派りつぱなユーモリスト』『日本にほん一のユーモリスト』としておれ盛名せいめいらないとは、親友甲斐しんいうがひのないにもほどがあるぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)