トップ
>
穴
>
あな
ふりがな文庫
“
穴
(
あな
)” の例文
高窓
(
たかまど
)
の
障子
(
しょうじ
)
の
破
(
やぶ
)
れ
穴
(
あな
)
に、
風
(
かぜ
)
があたると、ブー、ブーといって、
鳴
(
な
)
りました。もう
冬
(
ふゆ
)
が
近
(
ちか
)
づいていたので、いつも
空
(
そら
)
は
暗
(
くら
)
かったのです。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こうしているうちに、とうとう、
仕立屋
(
したてや
)
さんのかんしゃくだまが
爆発
(
ばくはつ
)
しました。仕立屋さんは
仕立台
(
したてだい
)
の
穴
(
あな
)
から
布
(
ぬの
)
きれをつかみだして
いさましい ちびの仕立屋さん
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
其
(
そ
)
の
口
(
くち
)
へ、——
忽
(
たちま
)
ちがつちりと
音
(
おと
)
のするまで、
丼
(
どんぶり
)
を
当
(
あ
)
てると、
舌
(
した
)
なめずりをした
前歯
(
まへば
)
が、
穴
(
あな
)
に
抜
(
ぬ
)
けて、
上下
(
うへした
)
おはぐろの
兀
(
はげ
)
まだら。……
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
例
(
たと
)
へば
越中
(
えつちゆう
)
氷見
(
ひみ
)
の
大洞穴
(
だいどうけつ
)
の
中
(
なか
)
には、
今
(
いま
)
は
小
(
ちひ
)
さい
社
(
やしろ
)
が
祀
(
まつ
)
られてありますが、その
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
から
石器時代
(
せつきじだい
)
の
遺物
(
いぶつ
)
がたくさんに
出
(
で
)
て
來
(
き
)
ました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
○
蓑
(
みの
)
をやち○笠をてつか○人の死をまがつた又はへねた○
男根
(
なんこん
)
をさつたち○
女陰
(
ぢよいん
)
を
熊
(
くま
)
の
穴
(
あな
)
。此
余
(
よ
)
あまたあり、さのみはとてしるさず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
「まずこれで
伊勢
(
いせ
)
は片づけた、——つぎには
柴田権六
(
しばたごんろく
)
か、きゃつも、ソロソロ
熊
(
くま
)
のように、雪国の
穴
(
あな
)
から首をだしかけておろう……」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冷静
(
れいせい
)
なる
社会的
(
しやくわいてき
)
の
眼
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
見
(
み
)
れば、
等
(
ひと
)
しく之れ
土居
(
どきよ
)
して
土食
(
どしよく
)
する一ツ
穴
(
あな
)
の
蚯蚓
(
みゝず
)
蝤蠐
(
おけら
)
の
徒
(
ともがら
)
なれば
何
(
いづ
)
れを
高
(
たか
)
しとし
何
(
いづ
)
れを
低
(
ひく
)
しとなさん。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
すぐ
夫
(
をつと
)
は
傍
(
そば
)
から
松葉
(
まつば
)
を
拾
(
ひろ
)
ひ
上
(
あ
)
げて
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
をつつ
突
(
つ
)
いた。と、
蜂
(
はち
)
はあわてて
穴
(
あな
)
から
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たが、
忽
(
たちま
)
ち
松葉
(
まつば
)
に
向
(
むか
)
つて
威嚇的
(
ゐかくてき
)
な
素振
(
そぶり
)
を
見
(
み
)
せた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そして、まもなく戦車の
尾部
(
びぶ
)
が土中にかくれ、あとは
崩
(
くず
)
れ
穴
(
あな
)
だけになったが、その穴からは、もくもくと赤土が送り出されてきた。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
石垣
(
いしがき
)
の上にすわるときには、どんな小さな
穴
(
あな
)
にもはいこめるようなイタチがいることを、しょっちゅう気をつけていなけりゃいけない。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
の
類
(
るい
)
は
此
(
この
)
穴
(
あな
)
の
周圍
(
しうゐ
)
に
牙
(
きば
)
を
鳴
(
なら
)
し、
爪
(
つめ
)
を
磨
(
みが
)
いて
居
(
を
)
るのだから、
一寸
(
ちよつと
)
でも
鐵檻車
(
てつおりくるま
)
の
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
たら
最後
(
さいご
)
、
直
(
たゞ
)
ちに
無殘
(
むざん
)
の
死
(
し
)
を
遂
(
と
)
げてしまうのだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さてたぬきはおじいさんのうちを
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
してから、
何
(
なん
)
だかこわいものですから、どこへも出ずに
穴
(
あな
)
にばかり
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
んでいました。
かちかち山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
勘太郎
(
かんたろう
)
はそうひとりごとを言って、それから
土間
(
どま
)
の柱をよじ上って、ちょうど
炉端
(
ろばた
)
がぐあいよく見える
穴
(
あな
)
のあいている天井の上に隠れた。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は、
左
(
さ
)
うですかと
云
(
い
)
つて、たゞ
肥
(
ふと
)
つた
男
(
をとこ
)
のなすが
儘
(
まゝ
)
にして
置
(
お
)
いた。すると
彼
(
かれ
)
は
器械
(
きかい
)
をぐる/\
廻
(
まは
)
して
宗助
(
そうすけ
)
の
齒
(
は
)
の
根
(
ね
)
へ
穴
(
あな
)
を
開
(
あ
)
け
始
(
はじ
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し
卯平
(
うへい
)
は
其
(
そ
)
の
僅少
(
きんせう
)
な
厚意
(
こうい
)
に
對
(
たい
)
して
窪
(
くぼ
)
んだ
茶色
(
ちやいろ
)
の
眼
(
め
)
を
蹙
(
しが
)
める
樣
(
やう
)
にして、
洗
(
あら
)
ひもせぬ
殼
(
から
)
の
兩端
(
りやうはし
)
に
小
(
ちひ
)
さな
穴
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
つて
啜
(
すゝ
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
狹衣子
(
さごろもし
)
が
手傳
(
てつだ
)
ひに
來
(
き
)
ては、つい、
社
(
しや
)
に
出
(
で
)
る
時間
(
じかん
)
を
忘
(
わす
)
れた
事
(
こと
)
や、
佛骨子
(
ぶつこつし
)
が
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
で
午睡
(
ひるね
)
をした
事
(
こと
)
や、これ
等
(
ら
)
は
奇談
(
きだん
)
の
主
(
おも
)
なるもの。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
そこで
嘉十
(
かじふ
)
はちよつとにが
笑
(
わら
)
ひをしながら、
泥
(
どろ
)
のついて
穴
(
あな
)
のあいた
手拭
(
てぬぐひ
)
をひろつてじぶんもまた
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
へ
歩
(
ある
)
きはじめたのです。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そして地べたに
茶飲茶碗
(
ちゃのみちゃわん
)
ほどの——いやもっと小さい、さかずきほどの
穴
(
あな
)
をほりその中にとってきた花をいい
按配
(
あんばい
)
に入れる。
花をうめる
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
その毛皮服にはそではなかったが、
肩
(
かた
)
の所に二つ大きな
穴
(
あな
)
をあけて、そこから、もとは録色だったはずのビロードのそでをぬっと出していた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そればかりか、
折角
(
せつかく
)
のごちさう はとみれば、その
間
(
あひだ
)
に、これはまんまと、
穴
(
あな
)
へ
逃
(
に
)
げこんでしまつてゐるのです。そして
穴
(
あな
)
の
口
(
くち
)
から
頭
(
あたま
)
をだして
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
それは一銭銅貨を
穴
(
あな
)
へ入れて、金具をパチンとはじくと、キャラメルが一つ出てくるような道具である。時には、いくらかよいものが出てくる。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
さうしてその四
角
(
かく
)
な
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
から、
煤
(
すす
)
を
溶
(
とか
)
したやうなどす
黒
(
ぐろ
)
い
空氣
(
くうき
)
が、
俄
(
にはか
)
に
息苦
(
いきぐる
)
しい
煙
(
けむり
)
になつて
濛濛
(
もうもう
)
と
車内
(
しやない
)
へ
漲
(
みなぎ
)
り
出
(
だ
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大気都比売命
(
おおけつひめのみこと
)
は、おことばに従って、さっそく、鼻の
穴
(
あな
)
や口の中からいろいろの食べものを出して、それをいろいろにお料理してさしあげました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
同じ
獅子
(
しし
)
の
穴
(
あな
)
に入るにしても、相手が
己
(
おの
)
れを食らうなど思えばおそろしくなるが、この
獅子
(
しし
)
は
妄
(
みだ
)
りに人を
食
(
く
)
わぬことが分かれば、恐怖の念が去る。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そのうちに、
※
(
あつ
)
い
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
に
埋
(
う
)
まつて
居
(
ゐ
)
た
柿
(
かき
)
の
穴
(
あな
)
からは、ぷう/\
澁
(
しぶ
)
を
吹出
(
ふきだ
)
しまして、
燒
(
や
)
けた
柿
(
かき
)
がそこへ
出來上
(
できあが
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
桶
(
をけ
)
の
穴
(
あな
)
より入れさするに安五郎
忝
(
かたじ
)
けなしと何心なく
饅頭
(
まんぢう
)
を二ツに
割
(
わる
)
に中に
少
(
ちひ
)
さく
疊
(
たゝみ
)
し紙ありければ
不審
(
ふしん
)
に思ひ
披
(
ひら
)
き見るに
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そんな
遠
(
とお
)
くにいたんじゃ、
本当
(
ほんとう
)
の
香
(
かお
)
りは
判
(
わか
)
らねえから、もっと
薬罐
(
やかん
)
の
傍
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
って、
鼻
(
はな
)
の
穴
(
あな
)
をおッぴろげて
嗅
(
か
)
いで
見
(
み
)
ねえ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
めっかりました、
先生
(
せんせい
)
。エピファーノフが自分で持ってたんです。ポケットに
穴
(
あな
)
があいてたもんですから、ナイフも
銀貨
(
ぎんか
)
も
長靴
(
ながぐつ
)
ん中へ落ちてたんです。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
の
位置
(
いち
)
から、
庭
(
にわ
)
の
楓
(
かえで
)
の
葉
(
は
)
がくれではあるが、
島本医院
(
しまもといいん
)
の
白壁
(
しらかべ
)
が
見
(
み
)
えていて、もしその
壁
(
かべ
)
に
穴
(
あな
)
があると、こつちを
見
(
み
)
おろすこともできるはずである。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
何日
(
いつ
)
でもちよいと
私
(
わつし
)
をお
喚
(
よ
)
びなさりやア
好
(
よ
)
い
穴
(
あな
)
を
見附
(
みつ
)
けて一
幕位
(
まくぐらゐ
)
見
(
み
)
せて
上
(
あ
)
げらア、
何
(
ど
)
うも
大
(
おほ
)
きに
有難
(
ありがた
)
うがした。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
殺そうか殺すまいかと
躊躇
(
ちゅうちょ
)
して見て居る内に、彼は直ぐ
其処
(
そこ
)
にある
径
(
けい
)
一寸ばかりの
穴
(
あな
)
に
這入
(
はい
)
りかけた。見る中に吸わるゝ様にズル/\と
辷
(
すべ
)
り込んで了うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
兎
(
うさぎ
)
の
穴
(
あな
)
は
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
隧道
(
トンネル
)
のやうに
眞直
(
まつすぐ
)
に
通
(
つう
)
じて
居
(
ゐ
)
ました。
止
(
と
)
まらうと
思
(
おも
)
ふ
隙
(
ひま
)
もない
程
(
ほど
)
急
(
きふ
)
に、
愛
(
あい
)
ちやんは
非常
(
ひじよう
)
に
深
(
ふか
)
い
井戸
(
ゐど
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
お
)
ちて、びッしよりになりました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あの
水松
(
いちゐ
)
の
下
(
した
)
で、
長々
(
なが/\
)
と
横
(
よこ
)
になって、
此
(
この
)
洞
(
ほら
)
めいた
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
直
(
ひた
)
と
耳
(
みゝ
)
を
附
(
つ
)
けてゐい、
穴
(
あな
)
を
掘
(
ほ
)
るので、
土
(
つち
)
が
緩
(
ゆる
)
んで、
和
(
やはら
)
いでゐるによって、
踏
(
ふ
)
めば
直
(
すぐ
)
に
足音
(
あしあと
)
が
聞
(
きこ
)
えう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
と見ると、幽霊は不意に、
陥
(
おと
)
し
穴
(
あな
)
に落ち込む人のように、あッと思う間もなく大地にめり込んで、あとは、塔婆と白張と井戸と柳が、ほの暗い中に残るばかり。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その中に
手首
(
てくび
)
からさきのない
腕
(
うで
)
が、にゅっとかれのほうにつきだされ、のっぺらぼうのまっ白な大きな顔が、うす青い三つの
深
(
ふか
)
い
穴
(
あな
)
をあけて、
空中
(
くうちゅう
)
に
浮
(
う
)
いていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
一つずり落ち二つ落ちして、ようやく
穴
(
あな
)
へ帰ったころには、枝に一ぴきものこっていない。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
其れが貢さんには、蛇の
穴
(
あな
)
を
発見
(
めつ
)
けたので
掘
(
ほ
)
らうぢや無いかと相談して居る
様
(
やう
)
に思はれた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
まあ
勿体
(
もったい
)
ないお
言葉
(
ことば
)
、そんなに
仰
(
おお
)
せられますと
私
(
わたくし
)
は
穴
(
あな
)
へも
入
(
はい
)
りたい
思
(
おも
)
いがいたします……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
非人
(
ひにん
)
が
来
(
き
)
て、
死者
(
ししゃ
)
の
手
(
て
)
や、
足
(
あし
)
を
捉
(
とら
)
えて
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
引込
(
ひきこ
)
んでしまうのだ、うッふ! だが
何
(
なん
)
でもない……その
換
(
かわ
)
り
俺
(
おれ
)
は
彼
(
あ
)
の
世
(
よ
)
から
化
(
ば
)
けて
来
(
き
)
て、ここらの
奴等
(
やつら
)
を
片端
(
かたッぱし
)
から
嚇
(
おど
)
してくれる
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
紀州
(
きしう
)
の山奥に、
狸山
(
たぬきやま
)
といふ高い山がありました。
其所
(
そこ
)
には、大きな
樫
(
かし
)
だの、
樟
(
くす
)
だのが生え
繁
(
しげ
)
つてゐる、昼でも薄暗い、気味の悪い森がありました。森の中には百
穴
(
あな
)
といふのがありました。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
紀
(
こつな
)
はなんとも
答
(
こた
)
へなかつたが、
厭
(
いや
)
で
厭
(
いや
)
でたまらないこの
土地
(
とち
)
の
生
(
なま
)
ぬるい、
齒切
(
はぎ
)
れのわるい
人間
(
にんげん
)
をこツぴどくやつ
付
(
つ
)
けてくれた
殿樣
(
とのさま
)
の
小氣味
(
こきみ
)
のよい
言葉
(
ことば
)
が、
氣持
(
きも
)
ちよく
耳
(
みゝ
)
の
穴
(
あな
)
へ
流
(
なが
)
れ
込
(
こ
)
んで
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
同
(
おな
)
じ
新開
(
しんかい
)
の
町
(
まち
)
はづれに八百
屋
(
や
)
と
髮結床
(
かみゆひどこ
)
が
庇合
(
ひあはひ
)
のやうな
細露路
(
ほそろぢ
)
、
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
る
日
(
ひ
)
は
傘
(
かさ
)
もさゝれぬ
窮屈
(
きうくつ
)
さに、
足
(
あし
)
もととては
處々
(
ところ/″\
)
に
溝板
(
どぶいた
)
の
落
(
おと
)
し
穴
(
あな
)
あやふげなるを
中
(
なか
)
にして、
兩側
(
りようがは
)
に
立
(
た
)
てたる
棟割長屋
(
むねわりながや
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
穴
(
あな
)
を
作
(
つく
)
るに當つては、或は長さ
幾歩
(
いくほ
)
、
幅
(
はば
)
幾歩と
歩
(
あゆ
)
み試み、或は
繩
(
なわ
)
を
採
(
と
)
り
尋數
(
ひろすう
)
を
測
(
はか
)
りて地上に
張
(
は
)
り
廻
(
めぐ
)
らし、堀る可き
塲所
(
ばしよ
)
の大さを定め、
尖
(
とが
)
りたる
棒
(
ぼう
)
を以て地を
穿
(
うが
)
ち、
籠
(
かご
)
、
席
(
むしろ
)
の類に土を受け
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
外國
(
がいこく
)
の
譬
(
たと
)
へにも、
金持
(
かねも
)
ちが
天國
(
てんごく
)
へ
行
(
ゆ
)
くのは、
大
(
おほ
)
きな
象
(
ぞう
)
に
針
(
はり
)
の
穴
(
あな
)
をとほらせるよりもむつかしいといつてゐますが、さういつた
滿足
(
まんぞく
)
しきつた
氣持
(
きも
)
ちばかりでゐては、
人間
(
にんげん
)
にはしみ/″\と
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
日本
(
につぽん
)
の
狐
(
きつね
)
は
日本
(
につぽん
)
固有
(
こゆう
)
のもので
山
(
やま
)
の
穴
(
あな
)
に
棲
(
す
)
んでゐます。
體
(
からだ
)
は
二尺
(
にしやく
)
ぐらゐで
尾
(
を
)
が
長
(
なが
)
く、からだの
半分
(
はんぶん
)
以上
(
いじよう
)
もあります。
食物
(
しよくもつ
)
は
主
(
おも
)
に
野鼠
(
のねずみ
)
ですが、
人家
(
じんか
)
に
近
(
ちか
)
いところでは
鷄
(
にはとり
)
などを
掠
(
かす
)
めることもあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
このすきまにつけこんで、魔人のやつは、何か仕事をしてから、逃げだそうと思う方角へ、夜中に、たこつぼのような
穴
(
あな
)
をほり、その上にマンホールのふたをかぶせて、ちゃんと用意しておくのだ。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
即ち鍋上に
穴
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
てる
布片
(
きれ
)
を
覆
(
お
)
ひ、内に
餌
(
え
)
を
入
(
い
)
れて之を沼中に
投
(
とう
)
じたるなり、「どろくき」と
称
(
しやう
)
する魚十余尾を
得
(
え
)
たり、形
鰌
(
どぜう
)
に非ず「くき」にも非ず、一種の
奇魚
(
きぎよ
)
なり、衆争うて之を
炙
(
あぶ
)
り
食
(
しよく
)
すれど
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
太郎「だつて
皮
(
かは
)
の
穴
(
あな
)
からなんだか
赤
(
あか
)
い
汁
(
しる
)
が
出
(
で
)
るんだもの」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
おや ストーブの
煙突
(
えんとつ
)
の
穴
(
あな
)
から何か
入
(
はい
)
つてきたわ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
穴
(
あな
)
に心を
吸
(
す
)
はれゆくごとく思ひて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
穴
常用漢字
小6
部首:⽳
5画
“穴”を含む語句
洞穴
穴居
巌穴
百穴
墓穴
穴蔵
風穴
虎穴
穴籠
穴師
闇穴道
馬穴
穴太
大穴
偕老同穴
抜穴
穴埋
巖穴
竪穴
穴生
...