馬鹿七ばかしち
紀州の山奥に、狸山といふ高い山がありました。其所には、大きな樫だの、樟だのが生え繁つてゐる、昼でも薄暗い、気味の悪い森がありました。森の中には百穴といふのがありました。其の穴の中から、お腹の膨れた古狸が、夕方になると、百疋も二百疋も、ノソノ …