あひ)” の例文
勘次かんじ菜種油なたねあぶらのやうに櫟林くぬぎばやしあひせつしつゝ村落むら西端せいたん僻在へきざいして親子おやこにんたゞ凝結ぎようけつしたやうな状態じやうたいたもつて落付おちついるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今日けふごと浪路なみぢおだやかに、やがあひとも※去くわこ平安へいあんいはひつゝ芙蓉ふようみねあふこと出來できるやうにと只管ひたすらてんいのるのほかはないのである。
京水とあひかへりみて感じ、京水たはふれにイヨ尾張屋とほめけるが、尾張屋は関三の家号いへななる事通じがたきや、尾張屋とほむるものひとりもなし。
よつせいいへせり。の・老子らうしまなものすなは儒學じゆがくしりぞけ、儒學じゆがくまた老子らうししりぞく。『みちおなじからざれば、あひめにはからず』とは、あにこれ
おこさせて新田につたとは名告なのらすれど諸事しよじ別家べつけかくじゆんじて子々孫々しゝそん/\末迄すゑまで同心どうしん協力けふりよくことしよあひ隔離かくりすべからずといふ遺旨ゐしかたく奉戴ほうたいして代々よゝまじはりを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
紅花べにばななへや、おしろいのなへ——とくちうするにおよぶまい、苗賣なへうりこゑだけは、くさはながそのまゝでうたになること、なみつゞみまつ調しらべにあひひとしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
殺せしとの仰せなれども右平兵衞儀は豫々かね/″\世話にもあひなりをりしことゆゑ私し儀おんをこそ報い申べきに何の遺恨いこんありて切害せつがい致さんや又鎌倉屋金兵衞とやらを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小使こづかひのニキタはあひかはらず、雜具がらくたつかうへころがつてゐたのであるが、院長ゐんちやうはひつてたのに吃驚びつくりして跳起はねおきた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
思ふにコロボックルは數人連合し互にあひたすけて獸獵に從事し、此所彼所ここかしこより多くの矢を射掛ゐかけ、鹿なり猪なり勢おとろへて充分じうぶんはしる事能はざるに至るを見濟みすまし
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
其の人を殺したのは、政治上の意見があひれなかつたためである。殺されたものは政争の犠牲である。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
如何なる賤陋せんろうのものにも、世おのづからこれと相従ひあひたすけて功を共にし楽を分つものあるを云ひ、彼は、先づ自ら楽みて笑ひ、又能く笑ひて人を楽ましむるものは
東西伊呂波短歌評釈 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あひをしませうかね。何は無くともこんな好い心持の時にいただくとおいしいものですね。いいえ、さう続けてはとても……まあ、貴方あなた。おやおやもう七時廻つたんですよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其の後お房は些とした機會きくわい雑作ざふさなく手を握らせて呉れた。雖然、其の製作はあひ変らず捗取はかどらぬ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たとへばあき温泉塲おんせんばしづかな更けなどに、このもしいあひ手と勝負せうふねつ中しながら、相當そうたううでが出來なければ冴※ないところのあのたまひゞきを持はちよつと何ともいへない。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あひてはおもかくさるるものからにぎてまくのしききみかも 〔巻十一・二五五四〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この果断と云ひ抗抵と云ひ、すべて前提の「物ふるれば縮みて避けんとす我心は臆病なり云々」の文字とあひ撞着どうちやくして并行へいかうするあたはざる者なり。是れ著者の粗忽そこつあらずして何ぞや。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
「あんたは子供ぢや無いわねえ。大人と子供のあひだわねえ。」とお栄もそばに居て戯れた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
華麗の辞、美妙の文、幾百巻を遺して天地間に止るも、人生にあひわたらずんば是も亦空の空なるのみ。文章は事業なるが故に崇むべし、吾人が頼襄らいのぼるを論ずる即ちかれの事業を論ずる也。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
吾人はいやしくも基督の立教のもとにあつて四海皆兄弟けいていの真理を奉じ、斯の大理を破り邦々くに/″\あひそこなふを以て、人類の恥辱之より甚しきはなしと信ず。吾人は言ふ、基督の立教の下にありと。
「平和」発行之辞 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
先方せんぱうでは貴顕きけんのお客様きやくさまですから丁寧ていねい取扱とりあつかひでございましておかみかたはお二階にかいあるひ奥座敷おくざしきといふのでわたくしつぎのお荷物の中の少々せう/\ばかりの明地あきちかしていたゞく事にあひなりました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これを熟視じゆくしされると、兩對岸りようたいがんあひ接觸せつしよくしてゐた模樣もよう想像そう/″\せられるであらうが、さう接續せつぞくしてゐたとかんがへてのみ説明せつめいられる地理學上ちりがくじよう事項じこうが、また其中そのなかふくまれてゐるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
唯だ法律といふ難かしい定規があつてよんどころなく親子兄弟姉妹あひかんせずにゐるが、アに犬や猫と五十歩百歩だ。何とかいふ人の発句ほつくとかに「羨まし思切る時猫の恋」といふのがあるさうだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
然れども或は勇士意氣に感じてはすなはち身を以てあひるし、或は受くる所は※に一日の粟、而かも甘じて己れを知る者の爲に死す。是の間の消息何ぞ至善あらむ、何ぞ目的あらむ、又何ぞ手段あらむ。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
歌に名はあひはざりきさいへ一夜ひとよゑにしのほかの一夜とおぼすな
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
今トロイアとアカイアと兩軍互ひにあひ約し
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
鰌は一時いちじあひつるむ、如何なる波も
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
京水とあひかへりみて感じ、京水たはふれにイヨ尾張屋とほめけるが、尾張屋は関三の家号いへななる事通じがたきや、尾張屋とほむるものひとりもなし。
しなかうしてつめたいかばねつてからもあしそこ棺桶くわんをけいたまいへだてただけでさら永久えいきうつちあひせつしてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とき流行りうかうといへば、べつして婦人ふじん見得みえ憧憬しようけいまとにする……まととなれば、金銀きんぎんあひかゞやく。ゆみまなぶものの、三年さんねん凝視ぎようしひとみにはまとしらみおほきさ車輪しやりんである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かさねしが當代たうだい新田につたのあるじはいへにつきて血統ちすぢならず一人娘ひとりむすめ入夫にふふなりしかばあひおもふのこゝろふかからずかつにのみはし曲者くせものなればかねては松澤まつざは隆盛りうせい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまとほからず橄欖島かんらんたうのほとりで櫻木大佐さくらぎたいさ對面たいめんし、それより本艦ほんかん」と櫻木大佐さくらぎたいさ電光艇でんくわうていとが舳艫じくろあひならんで颯々さつ/\たる海風かいふう帝國軍艦旗ていこくぐんかんきひるがへしつゝやが
いはばわたしにとつてはじつこうてき手だつたのだが、先生今や東北青ぜう下につて久しくあひ見ゆるない。時々おもひ出すと、わたしには脾にくたんへないものがあるのである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
はやきて何時いつしかきみあひむとおもひしこころいまぎぬる 〔巻十一・二五七九〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
わが遊魂いかでか飄乎へうことしてそゝり出で、以て霊境の美神とあひ通化せざるを得んや。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
第一、第二、第三の頸部には一二條のせんめぐらしたり。こは頭巾づきんと上着とあひ連續れんぞくする部分をばひもにて括りたる状ならん。是等三個の面部左右兩端めんぶさいうりやうはしには前後に貫通くわんつうする小孔各一個有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
失なひて殘念ざんねんなりと罵詈狂のゝしりくるひ歩行候ゆゑ甚兵衞も迷惑めいわくに存じ隱居所いんきよじよを追出せしにお三婆は宿やどなしとあひなりしを隣村りんそんの名主甚左衞門といふ者當村の名主なぬし甚兵衞がおとゝにて慈悲じひふかきひとにて是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
努力は其れと稍や違つた意味を有し、意志と感情とがあひし戻つて居る場合でも、意識の火を燃え立たせて、感情の水に負けぬやうに爲し、そして熱して/\已まぬのを云ふのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ふたゝ火山脈かざんみやく辿たどつてみると、それが地震ぢしんおこすぢすなは地震帶ぢしんたい一致いつちし、あるひあひ竝行へいこうしてゐる場合ばあひおほみとめられる。しかしながら火山脈かざんみやくともなつてゐない地震帶ぢしんたい多數たすうあることをわすれてはならない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
この二つの道は並び行はれてあひもとらざるものなり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
敵軍まへあひ向ひ何等の蹟も擧げ得ざる
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
自分じぶん勘次かんじあひつたのは十六のあきである。おつぎはうして大人おとならしくるであらうかと何時いつになくそんなことをおもつた。おつぎは十五であつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
新撰字鏡に鮭の字をいだしゝはせいけいと字のあひたるを以て伝写でんしやあやまりをつたへしもしるべからず。けい河豚ふぐの事なるをや。下学集かがくしふにもさけ干鮭からさけならいだせり。
萬事ばんじはうあひまかせる、此女このもの何處いづこにてもともなき、妙齡としごろれんまで、人目ひとめにかけずかくけ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほどもなく靴音くつおとたかつてたのはまさしく濱島はまじま! 十ねんあひかれには立派りつぱ八字髯はちじひげ
引力によりてあひ繋纏けいてんする物質の力、自由を以て独自卓犖たくらくたる精神の力、この二者が相率ひ、相争ひ、相呼び、相結びて、幾千幾百年の間、一の因より一の果に、一の果より他の因に
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
なみうへゆる児島こじまくもがくりあな気衝いきづかしあひわかれなば 〔巻八・一四五四〕 笠金村
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
凡人即ち禽獸と相距る遠からざるものとなつて醉生すゐせい夢死ぼうしするのみであるが、聖賢仙佛の教は、皆凡人の常態、即ち人と禽獸とあひること幾何もあらざる所以のものを超越して仕舞つて
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
いつも威勢いせいよきくろぬりくるまの、それかどおとまつたむすめではないかと兩親ふたおや出迎でむかはれつるものを、今宵こよひつぢよりとびのりのくるまさへかへして悄然しよんぼり格子戸かうしどそとてば、家内うちには父親ちゝはゝあひかはらずの高聲たかごゑ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おく舍弟おとゝ十兵衞をしばふだつじにて殺害せつがいし同人の娘を賣りし身の代金しろきん五十兩を奪ひとり其妻そのつまを三次と云る同氣どうきあひもとむる惡漢わるものゆだね淺草の中田圃なかたんぼにて殺害させ其上伊勢屋五兵衞の養子やうし千太郎に小夜衣さよぎぬ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いふまでもなく先生はわたしの三田文科ぶんくわ生時だいからの先生であるが、球突たまつきでは始終ししう喧嘩けんくわあひ手で、銀座裏ぎんざうらの日勝亭せうてい勝負せうふあらそつて、その成績せいせきで風月どう洋食ようしよくのおごりつこをしたなどもしばしばである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)