かぎ)” の例文
先哲せんてついはく……君子くんしはあやふきにちかよらず、いや頬杖ほゝづゑむにかぎる。……かきはな、さみだれの、ふるのきにおとづれて……か。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きことにしてかねやらんせうになれ行々ゆく/\つまにもせんと口惜くちをしきことかぎくにつけてもきみさまのことがなつかしくにまぎれてくに
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なになりとたずねてもらいます。研究けんきゅうめとあれば、わしほうでもそのつもりで、差支さしつかえなきかぎなにけてはなすことにしましょう。
おつぎは勘次かんじ敏捷びんせふあざむくにはこれだけのふか注意ちういはらはなければならなかつた。それもまれなことでかずかならひとつにかぎられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
最後に彼の周囲を人間のあらんかぎつゝむ社会に対しては、彼は何の考も纏めなかつた。事実として、社会は制裁の権を有してゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
第二 毎日まいにち食餌しよくじ三度さんどかぎり、分量ぶんりやうさだし。夜中やちゆう飮食いんしよくせざるをもつともよしとす。たゞし食後しよくご少時間しばらく休息きうそく運動うんどうはじむべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
船長せんちやう一等運轉手チーフメートうしなつて、船橋せんけうあがり、くだり、後甲板こうかんぱんせ、前甲板ぜんかんぱんおどくるふて、こゑかぎりに絶叫ぜつけうした。水夫すゐふ
ひとりいてふにかぎらず、しひのきやかしのきなどいへのまはりや公園こうえん垣根沿かきねぞひにゑてあるは、平常へいじよう木蔭こかげかぜよけになるばかりでなく
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
がこのひと功勞こうろうは、それにはかぎりません。じつのところは、人麿ひとまろて、短歌たんかといふものが、非常ひじようさかんになつたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
かような場合ばあひかへりみると、屋外おくがい避難ひなんしてなる場合ばあひは、わづか二三秒にさんびよう軒下のきしたはなれることが出來できるような位置いちにあるときにかぎるようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いかに、その姿すがたは、ちいさく、うつくしくても、欲望よくぼうかぎりのないことがられたのです。そして、それは、おそろしいことでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしより此毘沙門堂に於て毎年正月三日の夜にかぎりて堂押だうおしといふ事あり、あへて祭式さいしき礼格れいかくとするにはあらねど、むかしより有来ありきたりたる神事じんじなり。
だが目のとどかぎ両側りょうがわは雪にうずまった林であった。前はもう二、三間(四〜五メートル)先が雪でぼんやりくもっていた。
飯粒めしつぶらるゝ鮒男ふなをとこがヤレ才子さいしぢや怜悧者りこうものぢやとめそやされ、たまさかきた精神せいしんものあればかへつ木偶でくのあしらひせらるゝ事沙汰さたかぎりなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
見渡みわたかぎり、あいちやんが針鼠はりねずみおくらうとおもところにはすべ畦畝うねがあつて、二れつになつた兵士へいしつねきて、毬投場グラウンド部分々々ぶゝん/\あるいてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
凄惨せいさんかぎりなき空中墳墓くうちゅうふんぼ! おおこの奇怪きわまりなき光景を望んで気が変にならないでいられるものがあり得ようか。
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きはめて一直線な石垣いしがきを見せた台の下によごれた水色のぬのが敷いてあつて、うしろかぎ書割かきわりにはちひさ大名屋敷だいみやうやしき練塀ねりべいゑが
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ほど婦人ふじんといふかぎりでは、ジヤン・ダークも、ナイチンゲールも、良婦之友りやうふのとも愛讀者あいどくしやも、共通きようつうなのにはちがひない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
また石器時代せつきじだいから金屬使用時代きんぞくしようじだいにはひる中間時代ちゆうかんじだいを、金石併用期きんせきへいようきづける學者がくしやもありますが、かようにわけてけばかぎりなくわけられますけれども
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ヂュリ そのわかにロレンスどのゝ庵室あんじつうたゆゑ、をなご謹愼つゝしみさはらぬかぎりの、ふさはしい會釋ゑしゃくをしておきました。
すでにすべからざるを知るといえども、つかうるところのそんせんかぎりは一日も政府の任をくさざるべからずとて極力きょくりょく計画けいかくしたるところ少なからず
日本人にほんじんのあの花合はなあはせにさへじつ多岐多樣たきたやう詐欺さぎ、いんちきの仕方しかたがあるといふのだから、勝負事しようぶごとといふものが存在そんざいするかぎむをないことかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たかとよびて夫婦の寵愛ちようあいかぎりなく讀書よみかき勿論もちろん絲竹いとたけの道より茶湯ちやのゆ活花等いけばなとうに至るまで師をえらみて習はせしに取分とりわけ書を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかしこうしてててけば天子てんしさまのおやまいはいよいよおもくなって、どんな大事だいじにならないともかぎりません。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もしも「エヽリツトル」とでもはうものならんなむづかしい質問しつもんはじまらないともかぎらないからであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
斯樣かやう事柄ことがらを一々まをせばかぎりのないことで、居家處世きよかしよせいうへ種々しゆ/″\間違まちがひおほく、さればとつて、これを一々前以ぜんもつ命令めいれいするといふは實際じつさいおこなはれがたことであるから
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
お前さんのは其処そこにお葉漬はづけかありますよ、これはわたしわたしのおあしで買つたのですと天丼てんどんかゝ候如そろごときはあへて社会下流かりうの事のみともかぎられぬ形勢けいせいそろ内職ないしよく人心じんしん
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
ま、ま、っておくんなせえやし。そんなにおせきンならねえでも、おせんの返事へんじは、ぐさまおかせもうしやすが、ここは道端みちばただれられねえともかぎりやせん。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのなか夢心地ゆめごこち状態じょうたいにあきてくると、彼はうごきまわっておとをたてたくてたまらなくなった。そういう時には、楽曲がっきょくつくり出して、それをあらんかぎりのこえで歌った。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
此日このひかぎり、探檢たんけんにはかなかつた。何故なにゆゑならば、とて主墳發見しゆふんはつけん見込みこみいからであつた。
それで十分じふゞんです、ちからかぎいてそれ愚論ぐろんならべつ仕方しかたいからな。けれどもたのしみります。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
... 睡魔すゐまです! 左樣さやう!』と、イワン、デミトリチは昂然かうぜんとして『貴方あなた苦痛くつう輕蔑けいべつなさるが、こゝろみ貴方あなたゆびぽんでもはさんで御覽ごらんなさい、うしたらこゑかぎさけぶでせう。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
むかし苗字めうじ武士階級ぶしかいきふ以上いじやうかぎられたが、維新いしん以來いらいしやう町人ちやうにんすべ苗字めうじゆるされたので、種々雜多しゆ/″\ざつた苗字めうじ出現しゆつげんし、苗字めうじうぢともせいともことになつて今日こんにちにいたつたのである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
なほまた財政ざいせい膨脹ぼうちやう中央政府ちうあうせいふかぎらず、地方ちはう公共團體こうきようだんたい財政ざいせいはより以上いじやう膨脹ぼうちやうしてつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ざされてしまわないようちからかぎあしみずをばちゃばちゃいていなければなりませんでした。
もとより明言めいげんするを得るかぎりには非ざれどこころみに想像そうぞうを畫きて他日精査を爲すの端緒たんちよとせん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そして病院びやうゐんがいふには、入院料にふゐんれうつてないかぎり、けつして屍體したいわたさないと。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
B まつたくだよ。あんなひとかぎつて有數いうすう惡文家あくぶんか乃至ないし駄文家だぶんかだからたまらない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
それから三年の後に、再び山にのぼってごらんになりますと、こんどはせんとはすっかりうって変わって、お目のおよかぎり、どの村々にも煙がいっぱい、勢いよく立ちのぼっておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
月も三こうまでをかぎりとする。四更といってはもう夜半やはんをすぎてあかつきにちかいころ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町の方の子供こどもらが出て来るのは日曜日にかぎっていましたから私どもはどんな日でも初蕈はつたけくりをたくさんとりました。ずいぶん遠くまでも行ったのでしたが日曜には一層いっそう遠くまで出掛けました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
庭の内に高低こうてい参差しんしとした十数本の松は、何れもしのび得るかぎり雪にわんで、最早はらおうか今払おうかと思いがおに枝を揺々ゆらゆらさして居る。素裸すっぱだかになってた落葉木らくようぼくは、従順すなおに雪の積るに任せて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たゞ、そのときつたのは自分じぶんこゝろ自分じぶん肉體にくたいかぎりないさびしさであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
花のもとの半日のかく、月の前の一夜の友も、名殘は惜しまるゝ習ひなるに、一向所感の身なれば、先の世の法縁も淺からず思はれ、流石さすがの瀧口、かぎりなき感慨むねあふれて、轉〻うたゝ今昔こんじやくじやうに堪へず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
やはりこのおさな子供こどもびかける言葉ことばしたしいものにかぎられていた。もともと金之助きんのすけさんを袖子そでこいえへ、はじめていてせたのは下女げじょのおはつで、おはつ子煩悩こぼんのうときたら、袖子そでこおとらなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
透きとほるいで湯の中にこもごもの思ひまつはりかぎりもなしも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
そつくび引拔ひきぬき、其國そのくに珍寳たかららむかぎ引攫ひきさらうてかへるべし
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「その間に、曲者は忍び込めないとはかぎるまい」
片瀬かたせなみのあらむかぎりは
人格の養成 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かぎりもらずきはみなく
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)