結構けつこう)” の例文
も/\若氣わかげ思込おもひこんだやうな顏色かほいろをしてつた。川柳せんりう口吟くちずさんで、かむりづけをたのし結構けつこう部屋へやがしらの女房にようばうしからぬ。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『いや今日こんにちは、おゝきみ今日けふ顏色かほいろ昨日きのふよりもまたずツといですよ。まづ結構けつこうだ。』と、ミハイル、アウエリヤヌヰチは挨拶あいさつする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
結構けつこうらしい、ことばかりおもひます、左樣さういふことおもふにつけて現在げんざいありさまがいやいやで、うかして此中このなかをのがれたい、此絆このきづなちたい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御酒ごしゆからいものでござります。からいものをからいとおぼしますのは、結構けつこうで、‥‥失禮しつれいながらもう御納盃ごなふはいになりましては。‥‥』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
立床の間には三幅對ぷくついの掛物香爐かうろを臺にいたゞいてあり不完全物ながら結構けつこうづくめの品のみなりうちゆかしき違棚ちがひだなには小さ口の花生はないけへ山茶花を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
召上めしあがれ』とふのだから此程これほど結構けつこうなことはないが、悧巧りこうちひさなあいちやんは大急おほいそぎでれをまうとはしませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
大變たいへん御賑おにぎやかで結構けつこうです」と宗助そうすけいま自分じぶんかんじたとほりべると、主人しゆじんはそれを愛嬌あいけう受取うけとつたものとえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
へえーそれうも結構けつこうな事で。殿「別に師匠ししやうも取らず書物しよもついて独学どくがくをしたのぢやが、色々いろ/\な事を発明はつめいしたよ、まア見るがい、これだけ器械きかいを集めたから。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
外國語ぐわいこくごやくして日本語にほんごとするのは勿論もちろん結構けつこうであるが、そのやく適當てきたうでなかつたり、拙劣せつれつであつたり不都合ふつがふなものが隨分ずゐぶんおほい、あらたに日本語にほんごつくるのであるから
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
こめたはらよりぜに蟇口がまぐちよりいづ結構けつこうなかなに不足ふそく行倒ゆきだふれの茶番ちやばん狂言きやうげんする事かとノンキに太平楽たいへいらく云ふて、自作じさく小説せうせつ何十遍なんじつぺんずりとかの色表紙いろべうしけて売出うりだされ
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
A イヤおほきに結構けつこう双方さうはう一月ひとつき九十せんづつの散財さんざいだ。精々せい/″\葉書はがき贅澤ぜいたくをやりたまへ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
もし其野宿そののじゆくなにかの練習れんしゆうとして效能こうのうみとめられてのことならば、それも結構けつこうであるけれども、病人びようにんまでもその仲間なかまれるか、また病氣びようきおこしてまでもこれを施行しこうするにおいては
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ビフテキが燒いてある?………ほ、それは結構けつこうだね。お前はも強壯な筈だから、ウンと堪能たんのうするさ。俺は殘念ながら、知ツての通り、半熟はんじゆくの卵と牛乳で辛而やつと露命ろめいつないでゐる弱虫だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
もちろんおほきな博物館はくぶつかんもの立派りつぱであつて、そのくにまちかざものとしては結構けつこうでありますが、これを見物けんぶつするひと勉強べんきようする人達ひとたちには不便ふべんおほいのですから、それよりもじんまりとした博物館はくぶつかん
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
どうしてもまちとほはなれたうつくしい自然しぜん森林しんりんかけるにしたことはないのです。この意味いみ近來きんらいやすみを利用りようして各地かくちひらいてゐる林間野營りんかんやえいや、それから山岳旅行さんがくりよこうなどはまことに結構けつこうなことです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
『はゝあ、或程なるほど星火榴彈せいくわりうだん一次いちじ一發いつぱつ火箭くわせん救助きゆうじよもとむる難破船なんぱせん信號しんがうがよくえます、貴下あなたの眼は仲々なか/\結構けつこうです。』と意地惡ゐぢわる船長せんちやうはぢろりッとわたくしかほにらんだか、わたくし一言いちごんいのである。
それだから結構けつこうですわ。
とちのだんごは 結構けつこうだが
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
心に悲しみ居けるが御儉約けんやくなさるゝは結構けつこうの事なれ共御相續の御養子は御家を御つがせ成さる大事の御方なり其大切なる御養子持參金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あゝ、結構けつこうわたしは、それが石地藏いしぢざうで、いまのが姑護鳥うぶめでもかまひません。けれども、それぢや、貴方あなた世間せけんまないでせう。」
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はゝツ。国王こくわうの作つた詩といふから、結構けつこうな物だらうとぞんじて、手に取り上げますると、王「どうぢやな、自製じせいであるが、うまいかまづいか、遠慮ゑんりよなしにまうせ。シ ...
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのやうなつまらぬかんがへをつて、つまらぬ仕向しむけをいたしまするつまへ、のやうな結構けつこうひとなればとて親切しんせつむかはれましやうか、お役所やくしよから退けておかへあそばすに
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかるに今日こんにち状態ぜうたい如何いかゞであるか、外語研究ぐわいごけんきう旺盛わうせいはまことに結構けつこうであるが、一てんして漫然まんぜんたる外語崇拜ぐわいごすうはいとなり、母語ぼご輕侮けいぶとなり、理由りいうなくして母語ぼご
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
『それで結構けつこうさ!』と芋蟲いもむし氣短きみじかにつて、ツイとあがると(それが丁度ちやうどずんたかさでした)。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
御米およねはたゞ結構けつこう御座ございますとか、御目出おめでたう御座ございますとか言葉ことばを、間々あひだ/\はさんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『あゝ貴方あなたこゝれられましたのですか。』とかれしはがれたこゑ片眼かためほそくしてふた。『いや結構けつこう散々さん/″\ひとうしてつたから、此度こんど御自分ごじぶんはれるばんだ、結構々々けつこう/\。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
A 持藥ぢやくかつたね。なにしろマアそれでヒステリーびやうだの悋氣病りんきびやうだのがなほれば結構けつこうだ。年始状ねんしじやう無暗むやみ澤山たくさんしたりするのにくらべると、君等きみらのはけだ葉書利用法はがきりようはふ上乘じやうじようなるものだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
前記ぜんきごと研究けんきゆう結構けつこう出來できるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
其癖そのくせ學校がくかうで、おの/\をのぞきつくらをするときは「じやもんだい、清正きよまさだ。」とつて、まけをしみに威張ゐばつた、勿論もちろん結構けつこうなものではない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼の男それ結構けつこうなこと隨分ずゐぶん御達者で御歸りなされましハイ然樣さやうならばとわかゆくを重四郎は振返ふりかへり見れば胸當むねあてをして股引もゝひき脚絆きやはんこしには三度がさを附大莨袋おほたばこいれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
エヽ此水指このみづさしまこと結構けつこうですな、それからむかうのお屏風びやうぶ、三ぷくつひ探幽たんにゆうのおぢくそれ此霰このあられかま蘆屋あしやでげせうな
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
きみ身體からだ丈夫ぢやうぶだから結構けつこうだ」とよく何處どこかに故障こしやうおこ安井やすゐうらやましがつた。この安井やすゐといふのはくに越前ゑちぜんだが、なが横濱よこはまたので、言葉ことば樣子やうすがう東京とうきやうものとことなるてんがなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
莫遮それはさうと現今げんこん建築けんちく本義ほんぎとか理想りさうとかについ種々しゆ/″\なる異論ゐろんのあることはまこと結構けつこうなことである。建築界けんちくかいにはへず何等なんらかの學術的風波がくじゆつてきふうはがなければならぬ、しからざれば沈滯ちんたい結果けつくわ腐敗ぶはいするのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
貴方あなたしんじてゐなさるから結構けつこうだ。然云さうい信仰しんかうりさへすれば、假令たとひかべなか塗込ぬりこまれたつて、うたうたひながら生活せいくわつしてかれます。貴方あなた失禮しつれいながら何處どこ教育けういくをおけになつたか?
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひとおどろかされたのは、おもひのほか、さかな結構けつこうだ、とつたのを嘲笑あざわらつて、つい津居山つゐやま漁場ぎよぢやうには、たひすゞきもびち/\ねてると、てのひらかたねた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
炬燵こたつの中でくひツたけ這入はいつて当日たうじつまでまつるのでございますからのくらゐ結構けつこうな事はございません。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
結構けつこう」と答へた。すると、門野かどの
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
若氣わかげ思込おもひこんだやうな顏色かほつきをしてつた。川柳せんりう口吟くちずさんでかむりづけをたのしむ、結構けつこう部屋へやがしらの女房にようばうを、ものして、るからしからぬ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へえこれがおわんで……おはしは……これですか、成程なるほどうま出来できますな……ズル/\ズル/\(汁を吸ふ音)ウン結構けつこうでございます……が、どうもカかたくつて……。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うらやましいとはないまでも、結構けつこうだとでもいふことか、手柄てがらだといつてめてくれた。わたしむねがせまつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
拝見はいけんだけおほけられてくださいましとつて、まづかしらからさきけ、それからふちを見て、目貫めぬきからうも誠におさしごろに、さだめし御中身おなかみ結構けつこうな事でございませう
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
串戲じようだんぢやありません、眞個ほんとうです。……ですから二階同士にかいどうし結構けつこうですとも。……そして、わたしに……とおつしやつて、貴女あなたなんでございます……御遠慮ごゑんりよりません。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
誠に結構けつこうなおしなでございますと、めながらきずけるんだ、しい事には揚物あげものでございますつて。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、ひますうちにも、ぬまびたりちゞんだり、すぼまつたり、ひろがつたり、うごいてるやうでせう。——ますか、結構けつこうです——のつもりでおください。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくし毎度まいどまゐりますがうも遠いのに恐入おそれいりましたよ、へい御内室ごしんぞさん此間こなひだは誠に有難ありがたぞんじます、エヘヽヽわたくしはねうもソノおさかな結構けつこうなのに御酒ごしゆいのとてえませう
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
空腹すきばらへ、秋刀魚さんまやきいものごときは、第一だいいちにきくのである。折角せつかく結構けつこうなる體臭たいしうをお持合もちあはせの御婦人方ごふじんがたには、あひすまぬ。が……したがつて、はらひもしないで、かせまをした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其家そのうちはたいした身代しんだいだから、なんとかいふのある結構けつこうな石でこしらへた立派りつぱ井戸ゐどださうだ。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
きみ學問がくもんみち寢食しんしよくわすたまふは、至極しごく結構けつこうにて、とやかく申上まをしあげむことばもなくさふらへども御心遣おんこゝろやりすべさふらはでは、あまりに御氣おきつまりて千金せんきん御身おんみにさはりとも相成あひならむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんでございますか誠に結構けつこう御茶碗おちやわんでと一々聞いて先方むかうはせなければなりませんよ、それからぽツぽとけむの出るやうなお口取くちとりが出るよ、粟饅頭あはまんぢう蕎麦饅頭そばまんぢうが出るだらう。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それにまだ世間せけんには売物ばいぶつにないと結構けつこうなお下物さかなでせうなんだか名も知らない美味物許うまいものばかりなんで吾知われしらず大変たいへんつちまひました、それゆゑ何方様どちらさまへも番附ばんづけくばらずにかへつたので
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)