)” の例文
あるまちはずれのさびしいてらに、和尚おしょうさまと一ぴきのおおきな赤犬あかいぬとがんでいました。そのほかには、だれもいなかったのであります。
犬と人と花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わたしは新羅しらぎくにからはるばるわたって天日矛命あまのひぼこのみことというものです。どうぞこのくにの中で、わたしの土地とちしていただきたい。」
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
とう時、わたしの一家は長さきんでゐた。その長さきには、下岡蓮杖おうならんで、日本寫しんかい元祖ぐわんそである上野彦馬おうが同じくんでゐた。
と、子家鴨達あひるたちは、いままでたまごからんでいたときよりも、あたりがぐっとひろびろしているのをおどろいていました。すると母親ははおや
山家やまがあたりにむものが、邸中やしきぢう座敷ざしきまでおほききのこいくつともなくたゝるのにこうじて、大峰おほみね葛城かつらぎわたつた知音ちいん山伏やまぶしたのんでると
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おじいさんや、そのまた、おじいさんのむかしから、ずっと、この村にんできたのに、どうして、おまえは、ここがいやなのだ。」
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
うしをたべてしまった椿つばきにも、はなが三つ四ついたじぶんの海蔵かいぞうさんは半田はんだまちんでいる地主じぬしいえへやっていきました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
其邊そのへんには』とひながらねこは、其右そのみぎ前足まへあしつてえがき、『帽子屋ぼうしやんでる、それから其方そつちはうには』とほか前足まへあしつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
南滿洲みなみまんしゆうには、やはり石器時代頃せつきじだいころからすでに人間にんげんんでをりましたが、しゆうすゑからかんはじめに支那人しなじんさかんに植民しよくみんしてゐたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたくし自身じしん持参じさんしたのはただはは形見かたみ守刀まもりがたなだけで、いざ出発しゅっぱつきまった瞬間しゅんかんに、いままでんで小屋こやも、器具類きぐるいもすうっと
『ジャン・クリストフ』の作者さくしゃロマン・ローランは、西暦せいれき千八百六十六ねんフランスにまれて、現在げんざいではスウィスの山間さんかんんでいます。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
あかりあかるき無料むりょう官宅かんたくに、奴婢ぬひをさえ使つかってんで、そのうえ仕事しごと自分じぶんおもうまま、してもしないでもんでいると位置いち
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで、だれからの反対もなく、追放の刑が言いわたされました。こうして、ズルスケはスコーネにむことをきんじられました。
こんな看板かんばんけたうちが一けんしかないほどたうげちいさなむらでした。そこに人達ひとたちはいづれもやまうへたがやすお百姓ひやくしやうばかりでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
よしうでないにせい、まへのは最早もう絶滅だめぢゃ、いや、絶滅だめ同樣どうやうぢゃ、はなれてんでござって、貴孃こなたのまゝにならぬによって。
いまにも自分じぶんんでゐる宿しゆくが、四方しはうやまからながれてあめなかかつて仕舞しまひさうで、心配しんぱいでならなかつたとはなしをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何のもなく七堂伽藍がらんの善美や九百余坊の繁昌仏国ぶっこくをすてて、北へ北へ、たましいのを求めて、孤影を旅の風にまかせて歩いた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりとはおもひのほかなるもの、このあたりに大長者だいちやうじやのうわさもかざりき、ひとおほくは廓者くるはものにて良人おつと小格子こがうしなにとやら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
真鳥まとりむ」云々の歌を上の様に解釈してこそ、そこで始めて次の歌が生きて来る。すなわちそれは『万葉集』七の巻に載っているものである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
これを國民こくみん頭割あたまわりにしてますと、一人いちにんにつき平均へいきん五反五畝五歩ごたんごせごぶあたります。すなはち皆樣みなさま五反五畝五歩ごたんごせごぶ森林しんりんなか一人ひとりづゝめる勘定かんじようです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
其日そのひはそれでわかれ、其後そのごたがひさそつてつり出掛でかけたが、ボズさんのうちは一しかないふる茅屋わらや其處そこひとりでわびしげにんでたのである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
なかで、内安堂寺町うちあんだうじまち町醫まちい中田玄竹なかだげんちくだけが、ひどくつて、但馬守たじまのかみこゝろ玄竹げんちくまるあたまなければ、けつしてうごくことがなくなつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
私はこの神社おみやに長くんでいるさるでありますが、人間のように口をくこともできますし、どんなことでもできます。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
まして、このさびしいあきを、山畠やまばたのあたりにんでゐるひとは、どんなにかなしからうといつたものらしいのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
土井は何となし京都がみいゝやうに思へたので、事によつたら足溜りをどこかにこしらへておかうかと思つた。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
火事場かじば纏持まといもちのように、いきせきってんでたのは、おな町内ちょうない市村座いちむらざ木戸番きどばん長兵衛ちょうべえであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
西面北部せいめんほくぶ横穴よこあなは、乞食こじきかつんでことがあり、西面南部せいめんなんぶの二には、子供こどもはいつてあそんだこともある。
するとそのへんんでゐた太郎たらうぢやない、次郎じらうといふ子供こどもが、その鸚鵡あうむぬすんでポツケツトへれました。
東京市内とうきようしないむものは、七八秒しちはちびようから十秒位じゆうびようぐらゐまでの初期微動しよきびどうゆうする地震ぢしんかんずることがもつと多數たすうである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
明るいところにまないごとく、花前のような生活には虚偽きょぎ罪悪ざいあくなどいうものの宿やどりようがない。大悟徹底だいごてっていというのがそれか。絶対的ぜったいてき安心あんしんというのがそれか。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その人間はどういう男なのか、アイピング村にくるまではどこにんでいたのか、どんなことをしていたのか、さっぱりわかっていないそうだ。ほら、この新聞を
だがどうしてその女が、こんな寂しい森の奥に、一人でんでいるのだろう? まったく寂しい森である。巨木が矗々すくすくと聳えている。枝葉がこんもりと繁っている。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あつときにはさつぱりした浴衣ゆかたけてることも出來できた。其處そこかれにはづらところでもなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
武村兵曹たけむらへいそうわたくしとは、ぼうだつして下方したながめたが、かぜみなみからきたへと、輕氣球けいきゝゆうは、三千すうしやく大空たいくうを、次第しだい/\に大陸たいりくほうへと、やがて、れし朝日島あさひじま
千八百八十三ねん、ペテルブルグの師範学校しはんがっこう卒業そつぎょうしたソログーブは、各地かくちうつみながら、教師きょうしつとめ、かたわつくっていたが、もなく長篇小説ちょうへんしょうせつ重苦おもくるしいゆめ
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
寒山かんざんでございますか。これは當寺たうじから西にしはう寒巖かんがんまを石窟せきくつんでをりますものでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
腰を掛けて牛乳を呑むと、東京で賣つてゐるものとは、まるで品質がちがひます。わたしは同じ家庭を持つなら東京の町中よりもいつそうした田舍にまつて見たい。
畦道 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
といって二十日も一月も晴天が続くと川の水が減少して鮎のせまくなりますのに硅藻があま生長せいちょうすぎこわくなりますから鮎はやっぱり餌に飢て味が悪くなります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
はるまけてものがなしきにさけてぶきしぎにかむ 〔巻十九・四一四一〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
大至急だいしきゅうあのお医者いしゃさんをあらおうじやないか。なにるよ。すぐとなりにんでいるのだ。しかも医者いしゃだ。毒物どくぶつ知識ちしきもあるはずだし、青酸加里せいさんかりだつて入手にゅうしゅできるのだろう。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
家屋かおくは一だいかぎりのもので、子孫繼承しそんけいしやうしてまふものでないといふ思想しさうふか根柢こんていをなした。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
やまなか古池ふるいけがありました。そこにかへるの一ぞく何不自由なにふじいうなくらして、んでをりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
実に可懐なつかしかつたのです、顔を見ると手をつて、たゞち旧交きふこうあたゝめられるとわけで、其頃そのころ山田やまだわたし猶且やはり第二中学時代とかはらずしばんでましたから、往復わうふくともに手をたづさへて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
○さて此関山村のかたほとりに、ひと草庵さうあんむすびて源教げんけうといふ念仏ねんぶつ道心坊だうしんばうありけり。年は六十あまり、たゞ念仏三昧ざんまい法師はふしにて、无学むがくなれどもそのおこなひ碩僧せきそうにもをさ/\おとらず。
ところが、第三に、そのたまり水がしおからかった証拠しょうこもあったのです。それはやはり北上山地のへりの赤砂利から、牡蠣かきや何か、半鹹はんかんのところにでなければまない介殻かいがら化石かせきが出ました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
同時に彼は、子爵といふかんむりのある勝見家の門内もんないまツて、華族といふ名に依ツて存在し、其の自由を束縛そくばくされてゐることを甚だ窮窟にも思ひ、また意久地いくぢなく無意味に思ふやうになツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
出様来でやうきやものや、伊祖いぞ大主おほぬし御万人おまんちようち頭取かしらどりちゆる者どやゆる、お万人のまぢりだに聞留ききとめれ、ムルチてる池に大蛇おほぢやとて、かぜらぬ、あめらぬ、屋蔵やぐらふきくづち、はる物作もづくり
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
五一 山にはさまざまの鳥めど、最もさびしき声の鳥はオット鳥なり。夏の夜中よなかく。浜の大槌おおづちより駄賃附だちんづけの者など峠を越え来たれば、はるかに谷底にてその声を聞くといえり。昔ある長者の娘あり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
賽の河原は乱脈らんみゃくである。慈悲柔和じひにゅうわにこ/\した地蔵様が出て来て慰めて下さらずば、賽の河原は、実に情無なさけない場所ではあるまいか。旅は道づれ世はなさけ我儕われらは情によって生きることが出来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
火星くわせい人間にんげんんでゐるか