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當寺
閭は
忙しげに
明家を
出た。そして
跡から
附いて
來る
道翹に
言つた。「
拾得と
云ふ
僧は、まだ
當寺にをられますか。」
寒山でございますか。これは
當寺から
西の
方の
寒巖と
申す
石窟に
住んでをりますものでございます。
寺でも
主簿の
御參詣だと
云ふので、おろそかにはしない。
道翹と
云ふ
僧が
出迎へて、
閭を
客間に
案内した。さて
茶菓の
饗應が
濟むと、
閭が
問うた。「
當寺に
豐干と
云ふ
僧がをられましたか。」