たけ)” の例文
たけは、さもとがめられたようにかおあかくして、なんと返事へんじをしていいかわからず、ただ、したきながら仕事しごとをするばかりでした。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
笠森かさもりのおせんだと、だれいうとなくくちからみみつたわって白壁町しろかべちょうまでくうちにゃァ、この駕籠かごむねぱなにゃ、人垣ひとがき出来できやすぜ。のうたけ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ればそこらじゅうが、きれいな草地くさちで、そして恰好かっこういさまざまの樹草じゅそう……まつうめたけ、そのがあちこちに点綴てんせつしてるのでした。
卯平うへい久振ひさしぶり故郷こきやうとしむかへた。彼等かれらいへ門松かどまつたゞみじかまつえだたけえだとをちひさなくひしばけて垣根かきね入口いりくちてたのみである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ところで、たけなかからは、そだかたがよかつたとえて、ずん/\おほきくなつて、三月みつきばかりたつうちに一人前いちにんまへひとになりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
まるでりすのようなはやさでかけのぼっていったのは、たけがさ道中合羽どうちゅうがっぱをきて旅商人たびあきんどにばけた丹羽昌仙の密使、早足はやあし燕作えんさくだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
棟近むねちかやまかけて、一陣いちぢんかぜわたつて、まだかすかかげのこつた裏櫺子うられんじたけがさら/\と立騷たちさわぎ、前庭ぜんてい大樹たいじゆかへでみどりおさへてくもくろい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おな不正ふせいくわだてるのならば、百三十六麻雀牌マアジヤンパイ背中せなかたけ木目もくめ暗記あんきするなどは、その努力感どりよくかんだけでもぼくにはむし氣持きもちがいい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
みちを あるくときは みぞの わきで ひろった たけのぼうを つえに ついて あるくので、みちで あそんでいる どもたちは
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
対手あいてにするは下女のおたけ、これも中川の家に奉公するお蔭にて自ら料理の趣味を覚え「お嬢様、今日はどういう御馳走をおこしらえ遊ばします」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いたずねて行きました。え、山をえて、またえて、山をえて、大きなたけやぶのあるところますと、やぶの中から
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あつたところでございますか? それは山科やましな驛路えきろからは、四五ちやうほどへだたつてりませう。たけなかすぎまじつた、人氣ひとけのないところでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かみいととはお祖母ばあさんがくださる、ほねたけうら竹籔たけやぶからぢいやがつてれる、なにもかもおうちにあるものひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
拾得じつとく食器しよくきあらひますときのこつてゐるめしさいたけつゝれてつてきますと、寒山かんざんはそれをもらひにまゐるのでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
大正十二年の開会日は朝ひどい驟雨しゅううがあって、それが晴れると蒸し暑くなって、たけだいの二科会場で十一時五十八分の地震に出会ったのであった。
からすうりの花と蛾 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
證據しようこ召捕めしとり候へと申わたされそれより瀬川せがは并に母おたけ請人うけにん君太夫きみたいふ松葉屋まつばや桐屋きりや以下いか呼出され瀬川の本夫をつとと云は何者なにものなるやと尋問たづねらるゝに瀬川はつゝしんでかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あんた、そないな戯談じょうだんどころじゃございませんがな。——でもかあいそうや、ほんまにかあいそうや、今日もな、あんた、たけにそういいましたてね。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
……たけス、こめあらい、四丁目、そうした下座げざのはやしの音が、いかにぼくの少年の日の夢をはぐくんでくれたことか。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
したからのぞくと、さむたけあさ空氣くうきとざされてじつとしてゐるうしろから、しもやぶいろして、幾分いくぶんいたゞきめてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このるい石棺せきかんふたは、いへ屋根やねかたち出來できてゐるのもあり、またたけふたつにつたかたちをしてゐるのもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
溝のごとく深い一線の刀痕——黒襟くろえりかけた白着に、大きく髑髏しゃれこうべの紋を染めて、下には女物の派手な長襦袢ながじゅばんが、たけぼうみたいなやせすねにからまっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
或人自ら屑屋くずやと名のり「屑籠くずかごの中よりふとたけ里人さとびとの歌論を見つけ出してこれを読むにイヤハヤ御高論……」
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
店内ではその生人形に、おまつ、おたけ、お梅という名前をつけて、まるで生きた人間の様に「お梅さんの帯だ」とか「お梅さんのショールだ」とかいっていた。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
隱元豆いんげんまめつるなどをたけのあらがきからませたるがおりき所縁しよゑんげん七がいへなり、女房にようぼうはおはつといひて二十八か九にもなるべし、ひんにやつれたれば七つもとしおほえて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
へえゝ……おまへだれだえ。竹「ホヽヽなんだよ、おたけだアね。梅「こゝは釣堀つりぼりかい。竹「なんだね、うちるんだよ、おまへ寐耄ねぼけたね、うか夢でも見たんだよ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人は身のふり方にいて相談しはじめた。たけ葉越はごしには二つ三つの星が淋しそうにまたたいていた。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その近所きんじょにはいまでもきつねたぬきがいるそうで、ふゆよるなど、ひと便所べんじょにゆくため戸外こがいるときには、をあけるまえに、まず丸太まるたをうちあわせたり、はしらたけでたたいたりして
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
私は毎年の秋たけだいに開かれる絵画展覧会を見ての帰り道、いつも市気しき満々まん/\たる出品の絵画よりも、むかうをか夕陽せきやう敗荷はいかの池に反映する天然の絵画に対して杖をとゞむるを常とした。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
吾背子わがせこ何処いづくかめとさきたけ背向そがひ宿しく今しくやしも 〔巻七・一四一二〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そのため竹細工のわざにも見るべきものがあります。海辺でありますからつりで用いるびくなどにも美しい出来のを見かけます。竹細工の一つで「たけ子笠こがさ」と呼ばれているものがあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ほら、あのたけのことでさあ。さっきわれわれ一行の中にまぎれこんでいましたね。彼奴はカンバスの下に野菜と一緒になってかくれていたんですよ。ところが虎船長、大の御立腹ごりっぷくですわい。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
落葉木らくようぼく悉皆すっかり若葉から青葉になった処で、かしまつすぎもみしい等の常緑樹ときわぎたけるいが、日に/\古葉ふるはを落しては若々しい若葉をつけ出した。此頃は毎日いても掃いても樫の古葉が落ちる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たけぎててんりやうみゝのそよぎ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
たけ葉山はやま雨滴あまじたりはらめくみち
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
山科やましなや、たけ入日いりひ
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
とら退治たいぢたけやり
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
しりたけから
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
一人ひとりが、くるみのへのぼって、ハーモニカをふきました。一人ひとりは、くりのしたで、たけざおをもって、かぶとむしをとっていました。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しな天秤てんびんおろした。おしなたけみじか天秤てんびんさきえだこしらへたちひさなかぎをぶらさげてそれで手桶てをけけてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……かはあたり大溝おほどぶで、どろたかく、みづほそい。あまつさへ、棒切ぼうぎれたけかはなどが、ぐしや/\とつかへて、空屋あきやまへ殊更ことさらながれよどむ。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんなら、ゆっくりめえりやしょう。——おせんちゃんがたれげておくんなさりゃ、どんなに肩身かたみひろいかれやァしねえ。のうたけ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
で、松竹梅しょうちくばいと三つならべてたら、つよいのとよわいのとの両極端りょうきょくたんまつたけとで、うめはその中間ちゅうかんくらいしてるようでございます。
が、くさたけ落葉おちばは、一めんあらされてりましたから、きつとあのをとこころされるまへに、餘程よほど手痛ていたはたらきでもいたしたのにちがひございません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのうちに、すずめきなおうちまへにはたけえてました。かあさまのお洗濯せんたくするはうつてますと、そこにもたけてゐました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ほそたけそでとほして、ちないやうに、扇骨木かなめえだけた手際てぎはが、如何いかにもをんな所作しよさらしく殊勝しゆしようおもはれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たけ網代あじろにあんだ駕籠かごである。山をとばすにはかるくってくっきょうな品物。それへ、さいぜん、忍剣にんけん鉄杖てつじょう腰骨こしぼねをドンとやられた、蚕婆かいこばばあっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たけなかからひろつてこの年月としつき大事だいじそだてたわがを、だれむかへにようともわたすものではない。もしつてかれようものなら、わしこそんでしまひませう
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
川崎備寛かはさきびくわん長尾克ながをこくなどの面面めんめんで、一とうとうを一まるまる、一さうさうを一たけたけといふふうび、三元牌サンウエンパイポンされたあとのこりの一まいてると、それがカンになり
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
見て扨は渠等かれら色事いろごとならん究竟くつきやうの事なりと彼の開戸ひらきどの處へゆきそとよりほと/\たゝきけるに中にはおたけ庭に下立おりたち何かお忘れ物に候やと小聲こごゑひながら何心なく戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この兄神あにがみのようなうそつきは、このたけあおくなって、やがてしおれるように、あおくなって、しおれてしまえ。このしおからびるようにからびてしまえ。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)