物語ものがたり)” の例文
平家の人びとのれいは、まだじゅうぶんには、なぐさめられなかったとみえます。つぎの物語ものがたりはこのふしぎなことのひとつであります。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
わたくしうかがった橘姫たちばなひめのお物語ものがたりなかには、まだいろいろおつたえしたいことがございますが、とても一かたりつくすことはできませぬ。
「はい」是々云々これ/\しか/″\でしたと、灣内わんないであつたいわしやひらめ の優待いうたいから、をきでうけたおほきな魚類ぎよるゐからの侮蔑ぶべつまで、こまごまとなみだもまぢ物語ものがたり
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ぼく先生せんせい對座たいざして四方山よもやま物語ものがたりをしてながら、熟々つく/″\おもひました、うるはしき生活せいくわつがあるならば、先生せんせい生活せいくわつごときはじつにそれであると
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この子家鴨こあひるくるしいふゆあいだ出遭であった様々さまざま難儀なんぎをすっかりおはなししたには、それはずいぶんかなしい物語ものがたりになるでしょう。
物語ものがたりき、此像このざうはいするにそゞろに落涙らくるゐせり。(りやく)かくてたる小堂せうだう雨風あめかぜをだにふせぎかねて、彩色さいしき云々うん/\
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一 若き時は夫の親類友達下部しもべ等の若男わかきおとこには打解けて物語ものがたり近付ちかづくべからず。男女のへだてかたくすべし。如何なる用あり共、若男に文などかよわすべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その擧動ふるまひのあまりに奇怪きくわいなのでわたくしおもはず小首こくびかたむけたが、此時このとき何故なにゆゑともれず偶然ぐうぜんにもむねうかんでひとつの物語ものがたりがある。
幸ひに早々立歸たちかへりしが靱負は主に對ひ白水翁の方へ參り斯樣々々かやう/\云々也しか/\なりと有し事共物語ものがたりしかば主は驚き白水翁が斯申時はと思ひながら靱負の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
廿四日、天気てんきし。となりきゃくつとめて声高こわだか物語ものがたりするに打驚うちおどろきてめぬ。何事なにごとかと聞けば、衛生えいせい虎列拉これらとの事なり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これが、おばあさんのおはなしであります。そのときのおかあさんは、もうとっくにんでしまい、そのときのむすめさんは、この物語ものがたりをしたおばあさんなのでした。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼はいかにして砂地すなじを田園に化せしか、いかにして沼地の水をはらいしか、いかにして磽地いしじひらいて果園を作りしか、これ植林に劣らぬ面白き物語ものがたりであります。
ことに、こどもの道徳教育どうとくきょういくが、真剣しんけんかんがえられている今日こんにち、こういう、道徳的教訓どうとくてききょうくんのふくんだ物語ものがたりは、おさんのために、ぜひおすすめしたいものとおもいます。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
安井やすゐわらひながら、比較ひかくのため、自分じぶんつてゐるある友達ともだち故郷こきやう物語ものがたりをして宗助そうすけかした。それは淨瑠璃じやうるりあひ土山つちやまあめるとある有名いうめい宿しゆくことであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こゑきくよすがもらざりければ、別亭はなれ澁茶しぶちやすゝりながらそれとなき物語ものがたり、この四隣あたりはいづれも閑靜かんせいにて、手廣てびろ園生そのふ浦山うらやましきものなり、此隣このとなりは誰樣たれさま御別莊ごべつさう
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうじてうちつゝむはほかほまれ、金玉きんぎょく物語ものがたりきん鈎子はさみがねかすれば、にも立派りっぱ寶物たからもの
今度こんどのおはなしでは、短歌たんかならしようせられてゐる長歌ちようかのことは、はぶきたいとおもひます。がこれは、大體だいたい第一章だいいつしようのところでべてある物語ものがたりうたから、變化へんかしてたものとてさしつかへありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あはれなる物語ものがたりさへありけむを人は過ぎつつよすがだになし
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
とうといお物語ものがたりをありがとうございました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さてお約束やくそく懺悔ざんげでございますが、わたくしにとりて、なによりにしみているのをひとつおはないたしましょう。それはわたくし守刀まもりがたな物語ものがたりでございます。
講釈筆記かうしやくひつき武勇談ぶゆうだんはうから一寸ちよいとる。——もつと略筋りやくすぢ、あとで物語ものがたり主題しゆだいともふべきところを、くらべてませう。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二十一日、あるじ来て物語ものがたりす。ちちは東京にいでしことあれど、おのれは高田より北、吹上より南をらずという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「じゃ、そのはなしをきかしてあげよう。」と、おばあさんは、あおひかりにいろどられたへやのなかで、みんなにかって、つぎのような物語ものがたりをされたのであります。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
大げんかんの前、召使めしつかいの案内あんない、長いろうか、大広間、そして、しんといならぶ人びとの前、そこで法師は昨夜とおなじように、だんうら物語ものがたりをひきました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
取此所にも半年餘はんとしあまりも居て友次郎樣夫婦の所在ありかを尋ねしかども一向に知ず然るに或日あめふりて外へも出られねばむなしく宿屋に在し所宿の亭主の物語ものがたりにて此印籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かゝ物語ものがたり不知不測しらずしらずふかし、やがわたくし遭難さうなん實談じつだんをはると、櫻木大佐さくらぎたいさは、此時このときおもてあらためてわたくしむかつた。
れいになき子細しさいらしきおきやく呼入よびいれて二かいの六ぢよう三味線さみせんなしのしめやかなる物語ものがたりとしはれてはれて其次そのつぎおやもとの調しらべ、士族しぞくかといへばれははれませぬといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あはれなる物語ものがたりおほけれども、このロミオとヂュリエットの戀物語こひものがたりまさるはないわい。
かほあげ二人ふたり物語ものがたりきいました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのひとつはわたくしがまだ実家さところ腰元こしもとのようにして可愛かわいがってた、香織かおりという一人ひとり女性じょせいとの会合かいごう物語ものがたりでございます。
かへつて、るにしたがつて、物語ものがたりきさしたごとく、ゆかしく、可懷なつかしく、みるやうにつたのである。……
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつに、きみ經歴けいれき小説せうせつのやうです。』とつたまゝ暫時しばしわたくしかほながめてつたが、物語ものがたりうちでも、春枝夫人はるえふじん殊勝けなげなる振舞ふるまひには、すくなからずこゝろうごかした樣子やうす
元気げんきよくいているせみのこえほそっていきました。このなかきゅうにこんなにわりましたので、ふたりは、もう、たがいにあって物語ものがたりをするようなこともなかったのです。
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
如何いかきゝ如何いかばかりあんじやしけん、どくのことしてけるよ、いで今日けふくれなんとするを、れいあしおとするころなり、日頃ひごろくもりしむねかゞみすゞしき物語ものがたりはらさばやとばかり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
送りながら江戸見物にゆかうと思ふゆゑひさぶりにて又貴樣の處の世話にならうかと兄弟きやうだいまことを明しあひ久々ひさ/″\にての對面たいめんに餘念もなき物語ものがたりにぞ及びけるかゝりし程に長兵衞は先兄の無事なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平家へいけ物語ものがたり——だんうらだんじてください。」
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
むかしから物語ものがたりほんにもある、むね白羽しらは征矢そやつか、もなければ狩倉かりくらとき貴人あてびとのおまつて御殿ごてん召出めしだされるのは、那麼あんなのぢやとうはさたかかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いやなおひとにはおしやくをせぬといふが大詰おほづめのきまりでござんすとておくしたるさまもなきに、きやくはいよ/\面白おもしろがりて履歴りれきをはなしてかせよさだめてすさましい物語ものがたりがあるに相違さういなし
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二人ふたり兄弟きょうだいは、うみぼたるについて、こんな物語ものがたりがあることをりませんでした。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
莞爾くわんじとしてきながら、よし/\それもよし、蒲鉾かまぼこ旅店はたごや口取くちとりでお知己ちかづき烏賊いか鹽辛しほから節季せつきをかけて漬物屋つけものやのびらでとほり外郎うゐらう小本こほん物語ものがたり懇意こんいなるべし。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この大將たいしやう若樣わかさまなんなくさとしとりこになりけり、令孃ひめとのなかむつましきをるより、奇貨きくわおくべしと竹馬たけうま製造せいざうはじめに、植木うゑき講譯かうしやく、いくさ物語ものがたり田舍ゐなかぢいばあ如何いかにをかしきことひて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おじいさんは、わか時代じだいから、この英雄えいゆう物語ものがたりいて、ふか崇拝すうはいしていました。そして、上野うえの公園こうえんへいったら、かならず、この銅像どうぞうてこなければならぬということもっていました。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其處そこちまして、手前てまへ了簡れうけんで、なんと、今年ことしひとつ、おもむきをかへて、おさけ頂戴ちやうだいしながら、各々めい/\國々くに/″\はなし土地とちところ物語ものがたりふのをしめやかにしようではあるまいか。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
令孃ひめ鎌倉かまくらごもりのうはさむねとヾろきてさとししばしはあきれしが、なほ甚之助じんのすけくはしくへば、相違さうゐなき物語ものがたりなかばきながらにて、何卒なにとぞめにやう工風くふうきかとたのまれて、さてなにとせん
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かれは、けて戸口とぐちると、あおざめた星晴ほしばれのしたそらは、わすれていた、なつかしいおさな物語ものがたりをしてくれますので、しばらくその昔語むかしがたりにききとれて、じっとをみはっていると、とおくで
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
われらはげしき大都会だいとくわい色彩しきさいながむるもの、奥州辺おうしうへん物語ものがたりみ、婦人ふじん想像さうざうするに、大方おほかた安達あだちはら婆々ばゞおもひ、もつぺ穿きたるあねえをおもひ、こんふんどし媽々かゝあをおもふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、その不思議ふしぎはなしというのはつぎのような物語ものがたりです。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たがひぞとて御優おやさしき御詞おことばわれもしきりにうれしくてたづぬるひとありとこそあかさゞりしが種々いろ/\との物語ものがたり和女そなた母御はゝご斯々かく/\ひとならずやとおもらぬ御問おとまことかぞなんとして御存ごぞんじとへばわすれてるべきか和女そなたれとは兄弟きやうだいぞかしれは梨本なしもというなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のほか色々いろ/\うたはべるよしうけたまはさふらふふ。——物語ものがたり優美いうびうち幻怪げんくわいあり。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこちまして、手前てまへ了簡れうけんで、なんと、今年ことしひとおもむきをかへておさけ頂戴ちやうだいしながら、各々めい/\國々くに/″\はなし土地とちところ物語ものがたりふのを、しめやかにしようではあるまいかと申出まをしでましたところ部屋頭へやがしらだいばん
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)