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別亭
何が何でも、そこに立っちゃいられんから、
這ったか、
摺ったか、
弁別はない、
凸凹の土間をよろよろで
別亭の方へ引返すと……
聲きくよすがも
有らざりければ、
別亭に
澁茶すゝりながら
夫となき
物語、この
四隣はいづれも
閑靜にて、
手廣き
園生浦山しきものなり、
此隣りは
誰樣の
御別莊ぞ
揃つて
浮足に
成つて、
瑪瑙の
八ツ
橋を
渡ると、
奧の
方に
又一堂。
其處へ
入ると
伽藍の
高天井。
素通りに
進んで、
前庭へ
拔けると、
再び
其處に
別亭あり。
噴水あり。
突當りは、
數寄を
凝して
瀧まで
懸る。