午後ごご)” の例文
「あんなことで、こすものじゃなくてよ。」と、しょうちゃんは、おねえさんにしかられました。ところが、その午後ごごでありました。
ねことおしるこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
急信きふしんは××ねん××ぐわつ××にち午後ごごとゞいたので、民子たみこあをくなつてつと、不斷着ふだんぎ繻子しゆすおび引緊ひきしめて、つか/\と玄關げんくわんへ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
非常ひじやう甘味うま菓子くわし舌皷したつゞみちつゝ、や十五ふんすぎたとおもころ時計とけい午後ごご六時ろくじほうじて、日永ひながの五ぐわつそらも、夕陽ゆふひ西山せいざんうすつくやうになつた。
ある日の午後ごご、カラスたちは、カラス山のをしゅうぜんしましたが、そのあとで、すばらしい見つけものをしました。
十一月もすえであった。こがらしがしずかになったと思うと、ねずみ色をした雲が低く空をとじて雪でもるのかしらと思われる不快ふかい午後ごごであった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
午後ごごれた所爲せゐか、あさくらべると仕事しごとすこ果取はかどつた。しか二人ふたり氣分きぶん飯前めしまへよりもかへつて縁遠えんどほくなつた。ことにさむ天氣てんき二人ふたりあたまこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼等かれらのしをらしいものはそれでも午前ごぜん幾時間いくじかん懸命けんめいはたらいてちゝなるものゝ小言こごとかぬまでにうまやそばくさんでは、午後ごご幾時間いくじかん勝手かつてつひやさうとする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
坪井博士つぼゐはかせは、正午過しやうごすぎ、用事ようじため歸京ききやうされたので、あと大野助手おほのぢよしゆ主任しゆにん監督かんとくしてると、午後ごご時頃じごろいたつて、船町倉次郎ふなまちくらじらう受持うけもち山麓さんろくから、多數たすう圓石まるいし發見はつけんした。
ひるの赤飯、煮しめも食べ終つて、午後ごごは雨もよほしで外出も出来ませんかつたから雑誌のよみかけを読まうと母に相談し、さてある社会改革者の事業の一段に読み及ぼして
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
うち湿しめり——嗚呼ああ午後ごご七時——ひとしきり、落居おちゐ騒擾さやぎ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なつのはじめのある午後ごごのことでした。
二三にちつたれた午後ごごだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ここは、まちちかくにあった、はらっぱです。子供こどもたちが、なつ午後ごごたのしくボールをげたり相撲すもうをとったりしてあそんでいました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
その天麩羅屋てんぷらやの、しかも蛤鍋はまなべ三錢さんせんふのをねらつて、小栗をぐり柳川やながは徳田とくだわたし……宙外君ちうぐわいくんくははつて、大擧たいきよして押上おしあがつた、春寒はるさむ午後ごごである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ文庫ぶんことゞけた午後ごごに、坂井さかゐつたとほり、刑事けいじ宗助そうすけいへ裏手うらてから崖下がけしたしらべにたが、其時そのとき坂井さかゐ一所いつしよだつたので、御米およねはじめてうはさいた家主やぬしかほた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
巡査じゆんさ午後ごご申報書しんぱうしよいんりに勘次かんじいへつてた。勘次かんじ何處どこつたと巡査じゆんさかれておつぎはたゞらないといつた。さうして巡査じゆんさ後姿うしろすがた垣根かきねときひそかいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
暮春ぼしゆん午後ごごをそこはかとしゆをばけども。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして、あめのふるおとのように、ジイジイせみがないていました。また、あぶらぜみがなき、午後ごごからはひぐらしがないたのでありました。
おさらい帳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
淺蜊あさりやア淺蜊あさり剥身むきみ——高臺たかだい屋敷町やしきまちはるさむ午後ごご園生そのふ一人ひとり庭下駄にはげた爪立つまだつまで、そらざまなるむすめあり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけところえたのは、かへつてから、まだ二三にちしかたない、殘暑ざんしよつよ午後ごごである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
午後ごごから村落むらのどのいへからも風呂敷包ふろしきづゝみめしつぎや重箱ぢゆうばこれうはこばれた。老人等としよりらみなそれほこりだらけな佛壇ぶつだんまへそなへた。きたな風呂敷包ふろしきづゝみ小山こやまごとまれたとき念佛ねんぶつ太鼓たいこまたつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
午後ごごの光に蒔く種は
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
午後ごごから、きゅうそらくらくなって夕立ゆうだちがきそうになりました。兄弟きょうだいが、縁側えんがわはなしをしていると、ぽつりぽつりあめがふりだしました。
川へふなをにがす (新字新仮名) / 小川未明(著)
五月十三日ごぐわつじふさんにち午後ごごである。こゝろざした飯坂いひざか温泉をんせんくのに、汽車きしや伊達驛だてえきりて、すぐにくるまをたよると、三臺さんだい四臺よだい、さあ五臺ごだいまではなかつたかもれない。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
口笛くちぶえきながら、街道かいどうはしりました。そらには、小波さざなみのようなしろくもながれていました。午後ごごになると、うみほうから、かぜきはじめます。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二日ふつか午後ごごけむり三方さんぱうながら、あきあつさは炎天えんてんより意地いぢわるく、くはふるに砂煙さえん濛々もう/\とした大地だいち茣蓙ござ一枚いちまい立退所たちのきじよから、いくさのやうなひとごみを、けつ、くゞりつ
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるのことでした。三にんは、いっしょに、おほりほうあるいてゆきました。ゆきえて、みずがなみなみと、午後ごごひかりかがやいていました。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二日ふつか三日みつかおなじやうな御惱氣ごなうけつゞいたところ三月さんぐわつ十日とをか午後ごごからしよぼ/\とあめになつて、薄暗うすぐら炬燵こたつ周圍しうゐへ、べつして邪氣じやきたゞよなかで、女房にようばう箪笥たんす抽斗ひきだしをがた/\とけたり
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十二がつ日曜日にちようびでした。かぜのないしずかなお天気てんきであります。たつ一は、午後ごごから、××のへいってみようとおもいました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
四谷よつやつけの二夜ふたよ露宿ろじゆくからかへつたばかり……三日みつか午後ごご大雨おほあめに、ほねまでぐしよれにつて、やがてかへたのち冷々ひえ/″\しめつぽい、しよぼけた身體からだを、ぐつたりとよこにして
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こちらからると、なすや、きゅうりや、大根だいこんなどが、店先みせさきにならべられて、午後ごご赤色あかいろをしたひかりけていました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌朝よくてうまだ薄暗うすぐらかつたが、七時しちじつたくるまが、はずむ酒手さかてもなかつたのに、午後ごご九時くじふのに、金澤かなざは町外まちはづれの茶店ちやみせいた。屈竟くつきやうわかをとこふでもなく年配ねんぱい車夫くるまやである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あきしずかな、午後ごごでありました。よわひかりが、かる大地だいちうえにみなぎっていました。のぶは、熱心ねっしんに、ははが、はこけるのをながめていました。
青い花の香り (新字新仮名) / 小川未明(著)
とそつはないが、日焼ひやけのしただらけのむねへ、ドンと打撞ぶつかりさうにれらるる、保勝会ほしようくわい小笠原氏をがさはらしの——八ぐわつ午後ごご古間木こまきうてより、自動車じどうしやられ、ふねまれ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その午後ごご授業時間じゅぎょうじかんわって学校がっこうからかえるときに、こうへいていは、いちはやくのがれてかえることができました。
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぐわつ午後ごご秋田県あきたけん鹿角郡かつのぐん生出おひで駕籠かごのぼつて……これから三瀧街道たきかいだう大湯温泉おほゆをんせんまで、自動車じどうしやで一かうとする、発荷峠はつかたふげ見返茶屋みかへりちややを、……なごりのうみから、むかつてみぎ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その午後ごごでありました。一人ひとりのみすぼらしいふうをした乞食こじきが、ひくはしうえって、ひとりさびしそうに、ながれてゆくみずうえていました。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一昨年いつさくねんときは、翌日よくじつ半日はんにち、いや、午後ごご時頃じごろまで、ようもないのに、女中ぢよちうたちのかげあやし氣勢けはひのするのがおもられるまで、腕組うでぐみが、肘枕ひぢまくらで、やがて、夜具やぐ引被ひつかぶつてまでおもひ、なや
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
アネモネは、午後ごご西日にしび障子しょうじうえらすのをたばかりで、自身じしんは、らされることがありませんでした。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
午後ごごになると、いもうと光子みつこさんが、さきかえってきました。それからまもなく、次郎じろうさんのくつおとがして、元気げんきよく
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その言葉ことばうしにわかったものか、うしおもそうなあしどりをせいいっぱいにはやめました。そして、その午後ごごまち目的地もくてきちくことができたのであります。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真夏まなつ午後ごごひかり田舎道いなかみちうえあつらしていました。あまりとおっている人影ひとかげえなかったのであります。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつ午後ごごでありました。先生せんせいきつれられて、おんなおおい、幼稚園ようちえん生徒せいとたちは、ぞろぞろとまちなかあるいていました。病院びょういんへの途中とちゅうであります。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるなつ午後ごごのことでありました。ちいさなおとうとが、玄関げんかんって、なにかりにきたものをことわっていました。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、午後ごごになってから、近所きんじょひとたちが、さも、心配しんぱいそうなかおつきをして、ぐちから、はいってくると
幼き日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「かわいらしい、雪割草ゆきわりそうはなだな。これをとどけてもらおうか。」といいました。そして、雪割草ゆきわりそうは、その午後ごご、この温室おんしつなかから、そとされたのです。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、あさは、はやつとめにかけて、午後ごごは、晩方ばんがたおそくまではたらいて、かえりには、どんなにははっていなさるだろうとおもって、いそいでくるのをつねとしていました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、かんがえたのでした。午後ごごになってゆうちゃんは、学校がっこうからかえると、にわて、一人ひとりあそんでいました。
ある夏の日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
午後ごごになると、ねえさんがきて、かわってくれたので、ぼくはしばらく、自由じゆうのからだになりました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
午後ごごより。」というように、時間じかんめて、おつのほうへ通知つうちをいたしました。けれど、時計とけいたなくなったおつのほうは、六がいつであるかわかりません。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)