眞似まね)” の例文
新字:真似
呼寄よびよせ相談に及びしは其方は幼年えうねんなれども感應院の手許てもとにて教導けうだうを受し事なれば可なりに修驗しゆけん眞似まねは出來べし我々始め村中より世話せわ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ロミオ (炬火持に對ひ)おれ炬火たいまつれい。おれにはとてかれた眞似まね出來できぬ。あんまおもいによって、いっあかるいものをたう。
うして、んだツて馬鹿ばかな、土方どかた眞似まねたいなことるんだらうと侮辱的ぶぢよくてきかほが、あり/\と焚火たきびけむりあひだからえるのである。
『ボズさん!』とぼくおもはず涙聲なみだごゑんだ。きみ狂氣きちがひ眞似まねをするとたまふか。ぼくじつ滿眼まんがんなんだつるにかした。(畧)
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
娘も矢張やつぱり東京風に作るんだね……近くに大阪があるのに、それを飛び越して、遠い東京の眞似まねをするのは隨分ずゐぶん骨が折れるだらう。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
たか羽音はおとでもあるやうにうなつておとは、その竹竿たけざをにしたひと口端くちばたとがらせてプウ/\なに眞似まねをしてせたこゑでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
主人しゆじんはことさらにかたなはし兩手りやうてつて、つたりつたりする眞似まねをしてせた。宗助そうすけはひたすらにその精巧せいかうつくりをながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにたのしみに轅棒かぢぼうをにぎつて、なにのぞみに牛馬うしうま眞似まねをする、ぜにもらへたらうれしいか、さけまれたら愉快ゆくわいなか、かんがへればなに悉皆しつかいやで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東京驛とうきやうえき一番いちばんてば、無理むりにも右樣みぎやう計略けいりやくおこなはれないこともなささうだが、籠城ろうじやう難儀なんぎおよんだところで、夜討ようち眞似まねても、あさがけの出來できない愚將ぐしやうである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
村落むら子供等こどもらは「三ぺいぴいつく/\」と雲雀ひばり鳴聲なきごゑ眞似まねしながら、小笊こざるつたり叉手さでつたりしてぢやぶ/\とこゝろよい田圃たんぼみづわたつてあるいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ベタベタ膏藥かうやくを貼つたり、ゐざり眞似まねまでして、佐原屋の樣子を見窮みきはめ、娘お筆の身を見守つて居たのです。
『さあ、何卒どうぞ。』と内儀おかみさんも言つて、不思議相に二人を見た。二人は人形の樣に其處に坐つた。お八重が叩頭おじぎをしたので、お定も遲れじと眞似まねをした。源助は
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さうして自分じぶんあたゝかしづかところして、かねめ、書物しよもつみ、種々しゆ/″\屁理窟へりくつかんがへ、またさけを(かれ院長ゐんちやうあかはなて)んだりして、樂隱居らくいんきよのやうな眞似まねをしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
むかし、支那しな莊周さうしうといふひとは、ゆめ胡蝶こてふつたとはなしがありますが、ゆめなればこそ、漫々まん/\たる大海原おほうなばら徒渉かちわたりすることも出來できます、空飛そらととり眞似まね出來できます。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
救助きうじよもとむる難破船なんぱせん眞似まねをしたのは、あのへん海底かいていなにかの理由りいう水深すいしん左程さまでふかからず、弦月丸げんげつまる撃沈げきちんしてのち潜水器せんすいきしづめるに便利べんりかつたためではあるまいか
ジエンナロは「ベルラ、ヂヰナ」(神々しきまで美しき子よとなり)と呼びて、手もて接吻の眞似まねしたり。車は動き出しぬ。さては彼子の名をばララといふとこそ覺ゆれ。
たゞ、あの方を見ることさへ出來たら!——一目だけでも! そのときには、私はあの方に駈け寄るなどゝ云ふ狂氣きちがひじみた眞似まねをしないだらうか? 私には云へない——わからない。
そんなをつとつてゐるより、自分じぶんつまになるはないか? 自分じぶんはいとしいとおもへばこそ、だいそれた眞似まねはたらいたのだ、——盜人ぬすびとはとうとう大膽だいたんにも、さうはなしさへした。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『相手の拔き身を素手すでで受けるぐらゐ、馬鹿な眞似まねはありませんからねえ。』
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
『チヨツ莫迦ばかにしてるよ。松公はもと/\此方こつちの弟子ぢやないか。其をお前が引張込んで、散々さんざツぱら巫山戯ふざけ眞似まねをして置いて……』とだ何か毒づかうとしたが、急に周圍あたりに氣がつくと
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
これ船中せんちうはなしたがね、船頭せんどうはじめ——白癡たはけめ、をんなさそはれて、駈落かけおち眞似まねがしたいのか——で、ふねひとぐるみ、うして奈落ならくさかさま落込おちこんだんです。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そんな眞似まねをして、もう我儘わたまゝいつぱいに振舞ふるまつてりますうちに、だん/″\わたしひとりぼつちにつてしまひました。たれわたしとは交際つきあはなくなりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大船おほふなくや老夫婦としよりふうふ逸早いちはやおしずしと辨當べんたうひこんだのを自分じぶんその眞似まねをしておなじものをもとめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
太吉たきち小僧こぞうひとさしゆびさきいて、おふねこぐ眞似まねせいみせしなをばちよろまかされぬやうにしておれ、わたしかへりがおそいやうならかまはずとをばおろして
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其處そこで、貴方あなたすゝめるのです貴方あなた石炭焚せきたんたきだの、料理方れうりかただのつて、其樣そん馬鹿ばか眞似まね出來できるものでいから、それよりは、この鐵檻車てつおりぐるま製造せいぞうにお着手かゝりなすつては如何いかゞです
かれかんがへた。けれどもかんがへる方向はうかうも、かんがへる問題もんだい實質じつしつも、ほとんどつらまえやうのない空漠くうばくなものであつた。かれかんがへながら、自分じぶん非常ひじやう迂濶うくわつ眞似まねをしてゐるのではなからうかとうたがつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小池のこしらへる麥笛を奪ひ取つたことや、秋の頃二人で田圃道たんぼみちを歩いて、小池が稻の穗の重さうにれてみのつたのを拔き取り、もみを噛んでは白い汁を吐き出すのを眞似まねして、お光も稻の穗を拔き
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ジエンナロは猶いぶかしげに我顏を見て一語をも出さゞりき。われ微笑ほゝゑみつゝジエンナロが前夜の口吻を眞似まねて、おん身のけふ我に惜みて彼馬鹿者に與へ給ひし接吻を取返さでは歸らずといひたり。
其時そのときあいちやんはいぬころが、馬車馬ばしやうま眞似まねをしてあそぶのが大好だいすきだとふことをおもしたので、みつけられては大變たいへんだとふたゝあざみ周圍しうゐまはりました、いぬころは其枝そのえだびうつるばかりになつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「お前の父親の筆跡をよく眞似まねた人間があつた筈だ。知つてるかい」
くみて與へたり寶澤は押戴おしいたゞ懷中くわいちうより何やらん取出してのむ眞似まねせり此時以前のをとこ寶澤に向ひ尋けるは其方は年もゆかぬに伊勢參宮いせまゐりと見受たり奇特きどくの事なりいづれの國のうまれなるやと問ふ思慮しりよふかき寶澤は紀州と名乘ば後々のち/\さはりなるべしと早くも心付わざいつはりて私しは信州のうまれにて候と云亭主ていしゆ此を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八千八谷はつせんやたにながるゝ、圓山川まるやまがはとともに、八千八聲はつせんやこゑとなふる杜鵑ほとゝぎすは、ともに此地このち名物めいぶつである。それも昨夜さくや按摩あんまはなした。其時そのときくち眞似まねたのがこれである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くれは日曜にちえう終日ひねもすてもとがむるひとし、まくら相手あひて芋虫いもむし眞似まねびて、おもて格子こうしにはでうをおろしたまゝ、人訪ひとゝへともおともせず、いたづらに午後ごゝといふころなりぬれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
本船ほんせん愚昧おろかなる船長せんちやうは『船幽靈ふないうれいめが、難破船なんぱせん眞似まねなんかして、このふね暗礁あんせうへでも誘引おびせやうとかゝつてるのだな。』と延氣のんきことつてつたが、其實そのじつ船幽靈ふないうれいならぬ海賊船かいぞくせん
……なかがせゝつこましく、物價ぶつか騰貴とうきしたのでは、そんな馬鹿ばか眞似まねはしてられない。しかし時節じせつのあのこゑは、わたしおもれずきである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねへ正太しようたさん左樣さうであらう、とくちきわめて信如しんによことわるへば、夫れでも龍華寺りうげじはまだものわかつてるよ、長吉ちようきちたられははやと、生意氣なまいき大人おとなくち眞似まねれば、おしよ正太しようたさん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
喟然きぜんとしてわたしたんじた。人間にんげんとくによる。むかし、路次裏ろじうらのいかさま宗匠そうしやうが、芭蕉ばせをおく細道ほそみち眞似まねをして、南部なんぶのおそれやまで、おほかみにおどされたはなしがある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
桂川かつらがはまくときはおはんせな長右衞門ちやううゑもんうたはせておびうへへちよこなんとつてるか、此奴こいついお茶番ちやばんだとわらはれるに、をとこなら眞似まねろ、仕事しごとやのうちつて茶棚ちやだなおく菓子鉢くわしばちなか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
分別ふんべつをするから、つぶてつたり、煙管きせる雁首がんくび引拂ひつぱらふなど、いまやうな陣笠ぢんがさ勢子せこわざ振舞ふるまはぬ、大將たいしやうもつぱ寛仁大度くわんにんたいどことと、すなは黒猫くろねこを、ト御新造ごしんぞこゑ内證ないしよう眞似まね
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だれだとおも長吉ちようきちなまふざけた眞似まねをして後悔こうくわいするなと頬骨ほうぼねうち、あつと魂消たまげ逃入にげいゑりがみを、つかんで引出ひきだ横町よこてうの一むれ、それ三五らうをたゝきころせ、正太しようた引出ひきだしてやつて仕舞しまへ、弱虫よはむしにげるな
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし臨終りんじうらせなんでせうから、すぐに心掛こゝろがかりのないやうに、遺言ゆゐごん眞似まねごとだけもしませうと、果敢はかないんですわねえ……たゞそればかりをまとのやうにしてみはつてたんですよ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おなじ半帕ハンケチでも、金澤かなざは貸本屋かしほんや若妻わかづまふのが、店口みせぐち暖簾のれんかたけた半身はんしんで、でれりとすわつて、いつも半帕ハンケチくちくはへて、うつむいてせたは、永洗えいせん口繪くちゑ艷冶えんやてい眞似まね
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かんがへると、(をかしてならん。)と一寸ちよつと京阪かみがた言葉ことば眞似まねる。串戲じようだんではない。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……車麩くるまぶだつてさ……つてたよ。あの、ばうのおにはへ。——やまのね、やまのまはりを引張ひつぱるの。……くるま眞似まねだか、あの、オートバイだか、電車でんしや眞似まねだか、ガツタン、ガツタン、がう……
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なん眞似まねだい。」
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)