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忘
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わす
ふりがな文庫
“
忘
(
わす
)” の例文
雪
(
ゆき
)
の
中
(
なか
)
を
此
(
こ
)
の
紅鯛
(
べにだひ
)
綺麗
(
きれい
)
なり。
此
(
こ
)
のお
買初
(
かひぞ
)
めの、
雪
(
ゆき
)
の
眞夜中
(
まよなか
)
、うつくしき
灯
(
ひ
)
に、
新版
(
しんぱん
)
の
繪草紙
(
ゑざうし
)
を
母
(
はゝ
)
に
買
(
か
)
つてもらひし
嬉
(
うれ
)
しさ、
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
忘
(
わす
)
れてゐることはないかと
考
(
かんが
)
へて見るが、萬事手
筈
(
はづ
)
は
整
(
とゝの
)
つてゐる。そこで金太郎は、二時間といふ
僅
(
わづ
)
かな時間をもてあましてしまふ。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
よくいいつかったことを
忘
(
わす
)
れたり、また、
晩
(
ばん
)
になると、じきに
居眠
(
いねむ
)
りをしましたので、よく
叔父
(
おじ
)
さんから、
小言
(
こごと
)
をいわれていました。
人の身の上
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
將
(
しやう
)
、
命
(
めい
)
を
受
(
う
)
くるの
日
(
ひ
)
には
則
(
すなは
)
ち
其家
(
そのいへ
)
を
忘
(
わす
)
れ、
軍
(
ぐん
)
に
臨
(
のぞ
)
んで
約束
(
やくそく
)
すれば
則
(
すなは
)
ち
其親
(
そのしん
)
を
忘
(
わす
)
れ、
(一六)
枹鼓
(
ふこ
)
を
援
(
と
)
ること
急
(
きふ
)
なれば
則
(
すなは
)
ち
其身
(
そのみ
)
を
忘
(
わす
)
る。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
其
(
その
)
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
き
味
(
あぢ
)
に
引
(
ひ
)
かされて、
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
は
行
(
ゆ
)
くが——
行
(
ゆ
)
く
度
(
たび
)
に
思出
(
おもひだ
)
しては、
歸途
(
かへりがけ
)
に、つい、
泣
(
な
)
かされる。——いつも
歸
(
かへ
)
る
時
(
とき
)
は
日暮
(
ひぐれ
)
になる。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
▼ もっと見る
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ます。
父樣
(
おとつさん
)
が
私
(
わたくし
)
の
頭
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でゝ、お
前
(
まへ
)
は
日本人
(
につぽんじん
)
の
子
(
こ
)
といふ
事
(
こと
)
をばどんな
時
(
とき
)
にも
忘
(
わす
)
れてはなりませんよ、と
仰
(
おつ
)
しやつた
事
(
こと
)
でせう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
軍隊
(
ぐんたい
)
が長い
行軍
(
こうぐん
)
で
疲労
(
ひろう
)
しきると、
楽隊
(
がくたい
)
がそれはゆかいな曲を
演奏
(
えんそう
)
する、それで
兵隊
(
へいたい
)
の疲労を
忘
(
わす
)
れさせるようにするというのであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
然
(
しか
)
しながら
若
(
わか
)
い
衆
(
しゆ
)
と
稱
(
しよう
)
する
青年
(
せいねん
)
の一
部
(
ぶ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
家
(
いへ
)
に
不斷
(
ふだん
)
の
注目
(
ちうもく
)
を
怠
(
おこた
)
らない。
其
(
そ
)
れはおつぎの
姿
(
すがた
)
を
忘
(
わす
)
れ
去
(
さ
)
ることが
出來
(
でき
)
ないからである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夕餉
(
ゆうげ
)
どきに帰りを
忘
(
わす
)
れてあそんでいる
弟
(
おとうと
)
を、父や母が
怒
(
おこ
)
らぬうちにとハラハラしてさがす
姉
(
あね
)
のような愛が、彼女の眼にこもっていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十四、五になる
大概
(
たいがい
)
の
家
(
いえ
)
の
娘
(
むすめ
)
がそうであるように、
袖子
(
そでこ
)
もその
年頃
(
としごろ
)
になってみたら、
人形
(
にんぎょう
)
のことなぞは
次第
(
しだい
)
に
忘
(
わす
)
れたようになった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ところが
少
(
すこ
)
し
行
(
い
)
つたとき、
嘉十
(
かじふ
)
はさつきのやすんだところに、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
忘
(
わす
)
れて
来
(
き
)
たのに
気
(
き
)
がつきましたので、
急
(
いそ
)
いでまた
引
(
ひ
)
つ
返
(
かへ
)
しました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
おじいさんはたいそうよろこんで、うちへ
帰
(
かえ
)
るのも
忘
(
わす
)
れていました。そのうちにだんだん
暗
(
くら
)
くなってきたものですから、おじいさんは
舌切りすずめ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
私
(
わたくし
)
はこの
時
(
とき
)
始
(
はじ
)
めて、
云
(
い
)
ひやうのない
疲勞
(
ひらう
)
と
倦怠
(
けんたい
)
とを、さうして
又
(
また
)
不可解
(
ふかかい
)
な、
下等
(
かとう
)
な、
退屈
(
たいくつ
)
な
人生
(
じんせい
)
を
僅
(
わづか
)
に
忘
(
わす
)
れる
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
たのである。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雖然
(
けれども
)
顏の
寄麗
(
きれい
)
なのと、體格の
完全
(
くわんぜん
)
してゐるのと、おつとりした姿と、
美
(
うつく
)
しい
肌
(
はだ
)
とに心を
魅
(
チヤーム
)
せられて、賤しいといふ考を
忘
(
わす
)
れて了ふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それに、できごとというほどのことでもないではありませんか? マレイのことだって、そのころはじきに
忘
(
わす
)
れてしまったのです。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それから
又
(
また
)
『
毒
(
どく
)
』と
記
(
しる
)
してある
瓶
(
びん
)
から
澤山
(
たくさん
)
飮
(
の
)
めば、それが
屹度
(
きつと
)
晩
(
おそ
)
かれ
早
(
はや
)
かれ
體
(
からだ
)
の
害
(
がい
)
になるものだと
云
(
い
)
ふことを
决
(
けつ
)
して
忘
(
わす
)
れませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
〔譯〕民の
義
(
ぎ
)
に因つて以て之を
激
(
げき
)
し、民の
欲
(
よく
)
に因つて以て之を
趨
(
はし
)
らさば、則ち民其の生を
忘
(
わす
)
れて其の死を
致
(
いた
)
さん。是れ以て一
戰
(
せん
)
す可し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
一
向
(
む
)
きに
病氣
(
びやうき
)
とばかり
思
(
おも
)
ひぬれば、
與
(
よし
)
四
郎
(
らう
)
限
(
かぎ
)
りもなく
傷
(
いた
)
ましくて、
醫者
(
いしや
)
にかゝれの、
藥
(
くすり
)
を
呑
(
の
)
めのと
悋氣
(
りんき
)
は
忘
(
わす
)
れて
此事
(
このこと
)
に
心
(
こゝろ
)
を
盡
(
つく
)
しぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ゆうべの
夢見
(
ゆめみ
)
が
忘
(
わす
)
れられぬであろう。
葉隠
(
はがく
)
れにちょいと
覗
(
のぞ
)
いた
青蛙
(
あおがえる
)
は、
今
(
いま
)
にも
落
(
お
)
ちかかった三
角頭
(
かくとう
)
に、
陽射
(
ひざ
)
しを
眩
(
まば
)
ゆく
避
(
さ
)
けていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ことに
子
(
こ
)
どもらしい
氣持
(
きも
)
ちを
歌
(
うた
)
に
自由
(
じゆう
)
に
詠
(
よ
)
みこんだ
人
(
ひと
)
で、そんなのになると、つい/\よいわるいを
忘
(
わす
)
れて、
同感
(
どうかん
)
せずにゐられません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
媛
(
ひめ
)
は天皇がわざわざそんなになすって、
隠
(
かく
)
れ隠れてまでおたずねくだすったもったいなさを、一生お
忘
(
わす
)
れ申すことができませんでした。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
傍
(
そば
)
に
夫
(
をつと
)
のゐる
事
(
こと
)
は
殆
(
ほと
)
んど
忘
(
わす
)
れて
眞面目
(
まじめ
)
に
聽
(
き
)
いてゐるらしかつた。
宗助
(
そうすけ
)
は
羨
(
うら
)
やましい
人
(
ひと
)
のうちに
御米
(
およね
)
迄
(
まで
)
勘定
(
かんぢやう
)
しなければならなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
火事
(
かじ
)
の
時
(
とき
)
には
防火樹
(
ぼうかじゆ
)
として
非常
(
ひじよう
)
に
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
ち
家
(
いへ
)
も
燒
(
や
)
かずに
濟
(
す
)
み、
時
(
とき
)
には
人
(
ひと
)
の
命
(
いのち
)
すら
救
(
すく
)
はれることがあることも
忘
(
わす
)
れてはなりません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
ようやくのこと人びとの
口気
(
こうき
)
できょうの
土曜日
(
どようび
)
というに気づいた。糟谷はいまがいままできょうの土曜日ということを
忘
(
わす
)
れておったのだ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
こんなにまで
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
のあった
女性
(
じょせい
)
でございますから、こちらの
世界
(
せかい
)
へ
来
(
き
)
ても
矢張
(
やは
)
り
私
(
わたくし
)
のことを
忘
(
わす
)
れない
筈
(
はず
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
忘
(
わす
)
れはせまじ餘り
情
(
なさけ
)
なき
仕方
(
しかた
)
なりと利兵衞を
恨
(
うら
)
みけるが吉三郎は
素
(
もと
)
より
孝心
(
かうしん
)
深
(
ふか
)
ければ母を
慰
(
なぐさ
)
め利兵衞殿斯の如く
約束
(
やくそく
)
を
變
(
へん
)
じ
音信
(
おとづれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
百合と
薔薇
(
ばら
)
とを取りかへて
部屋
(
へや
)
の
暗
(
くら
)
さを
忘
(
わす
)
れてゐると、次ぎにはおいらん
草
(
さう
)
が白と
桃色
(
もゝいろ
)
の
雲
(
くも
)
のやうに、庭の
全面
(
ぜんめん
)
に
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れた。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
誰
(
だれ
)
もお礼をいうのを
忘
(
わす
)
れるほどそれに
馴
(
な
)
れきっていた。彼の
方
(
ほう
)
では、
贈物
(
おくりもの
)
をすることがうれしくて、それだけでもう
満足
(
まんぞく
)
してるらしかった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そしてまた
再
(
ふたた
)
び
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
って
来
(
き
)
ましたが、
今
(
いま
)
はもう、さっきの
鳥
(
とり
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
な
気持
(
きもち
)
にすっかりとらわれて、
我
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れるくらいです。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
生
(
う
)
みの
親
(
おや
)
のことも
忘
(
わす
)
れて、こゝのお
二人
(
ふたり
)
に
馴
(
な
)
れ
親
(
した
)
しみましたので、
私
(
わたし
)
はお
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れて
行
(
い
)
くのが、ほんとうに
悲
(
かな
)
しうございます
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
もう一つ
忘
(
わす
)
れてはいけないのは、オッテンビューの長い
垣
(
かき
)
です。これは島をよこぎって、オッテンビューとほかの土地との
境
(
さかい
)
になっています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
地震
(
ぢしん
)
があってから
恰
(
ちゃう
)
ど
最早
(
もう
)
十一
年目
(
ねんめ
)
……
忘
(
わす
)
れもしませぬ……一
年
(
ねん
)
三百六十
日
(
にち
)
の
中
(
うち
)
で、はい、
其日
(
そのひ
)
に
乳離
(
ちばな
)
れをなされました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
はたしてさけあまたえしゆゑ
鵜飼
(
うかひ
)
の
謡曲
(
うたひ
)
にうたふごとく
罪
(
つみ
)
も
報
(
むくひ
)
も
后
(
のち
)
の
世
(
よ
)
も
忘
(
わす
)
れはてゝ、おもしろくやゝ時をぞうつしける。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
二十五六
歳
(
さい
)
の
頃
(
ころ
)
より
毎日
(
まいにち
)
朝夕
(
てうせき
)
實行
(
じつかう
)
して、七十七
歳
(
さい
)
の
今日
(
こんにち
)
に
及
(
およ
)
び、
爾來
(
じらい
)
數十年間
(
すうじふねんかん
)
頭痛
(
づつう
)
を
忘
(
わす
)
れ、
胃
(
ゐ
)
は
健全
(
けんぜん
)
となり、
感冐
(
かんばう
)
に
犯
(
をか
)
されたる
事
(
こと
)
未
(
いま
)
だ
一度
(
いちど
)
もあらず。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
恰
(
あたか
)
も彼七本
槍
(
やり
)
を以て有名なる
賤
(
しづ
)
が
岳
(
たけ
)
山下余吾湖を
見
(
み
)
るに
似
(
に
)
たり、
陶然
(
とうぜん
)
として
身
(
み
)
は故山の
旧盧
(
きうろ
)
にあるが如く、
恍
(
こう
)
として他郷の深山麋熊の林中にあるを
忘
(
わす
)
る
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
餘
(
あま
)
りのおどろきに
御亭主
(
ごていしゆ
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
酒慾
(
しゆよく
)
も
何
(
なに
)
もすつかり、どこへか
忘
(
わす
)
れました。そして
眞面目
(
まじめ
)
に
働
(
はたら
)
きだしました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
斯
(
こ
)
のくらゐ
苟且
(
かりそめ
)
ならぬ
恋
(
こひ
)
の
紀念
(
きねん
)
が、
其後
(
そのゝち
)
唯
(
たゞ
)
忘
(
わす
)
られて
此背負揚
(
このしよいあげ
)
の
中
(
なか
)
に
遺
(
のこ
)
つてゐるものとは。
如何
(
どう
)
しても
受取
(
うけと
)
れぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
皆
(
みな
)
さんが
貝塚
(
かひづか
)
に
出
(
で
)
かけたならば、
種々
(
しゆ/″\
)
異
(
ことな
)
つた
種類
(
しゆるい
)
の
貝殼
(
かひがら
)
を
採集
(
さいしゆう
)
して
來
(
く
)
る
必要
(
ひつよう
)
のあることを
忘
(
わす
)
れてはなりません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
ゆえに僕は実業に
志
(
こころざ
)
す人に、社会国家を
忘
(
わす
)
れろとは決して言わないけれども、口に出すことだけは
遠慮
(
えんりょ
)
するほうがよかろうと
勧
(
すす
)
めたいくらいに思っている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
地
(
ち
)
には
光
(
ひかり
)
があり
反射
(
はんしや
)
があり、
空
(
そら
)
には
色
(
いろ
)
と
霑
(
うるほ
)
ひとがある。
空氣
(
くうき
)
は
澄
(
す
)
んで/\
澄
(
すみ
)
み
切
(
き
)
つて、どんな
科學者
(
くわがくしや
)
にもそれが
其處
(
そこ
)
にあるといふ
事
(
こと
)
を一
時
(
じ
)
忘
(
わす
)
れさせるであらう。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
然
(
しか
)
るに、
中根
(
なかね
)
は
身
(
み
)
の
危急
(
ききふ
)
を
忘
(
わす
)
れて
銃
(
じう
)
を
離
(
はな
)
さず、
飽
(
あ
)
くまで
銃
(
じう
)
を
守
(
まも
)
らうとした。あの
行爲
(
かうゐ
)
、あの
精神
(
せいしん
)
は
正
(
まさ
)
に
軍人精神
(
ぐんじんせいしん
)
を
立派
(
りつぱ
)
に
發揚
(
はつやう
)
したもので、
誠
(
まこと
)
に
軍人
(
ぐんじん
)
の
鑑
(
かがみ
)
である。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
『
其處
(
そこ
)
に
骨
(
ほね
)
の
人
(
ひと
)
行
(
ゆ
)
く』といふ
文句
(
もんく
)
それ
自身
(
じしん
)
がふら/\と
新宿
(
しんじゆく
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
に
着
(
つ
)
いたのは六月二十日の
午前
(
ごぜん
)
何時であつたか
忘
(
わす
)
れた。
兔
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
一汽車
(
ひときしや
)
乘
(
の
)
り
遲
(
おく
)
れたのである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
『
肺
(
はい
)
の
方
(
はう
)
から
來
(
き
)
た
病人
(
びやうにん
)
なのですがな。』とハヾトフは
小聲
(
こごゑ
)
で
云
(
い
)
ふた。『や、
私
(
わたし
)
は
聽診器
(
ちやうしんき
)
を
忘
(
わす
)
れて
來
(
き
)
た、
直
(
す
)
ぐ
取
(
と
)
つて
來
(
き
)
ますから、
些
(
ちよつ
)
と
貴方
(
あなた
)
は
此處
(
こゝ
)
でお
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さい。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
所
(
ところ
)
が
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
にア
身躰
(
からだ
)
が
惡
(
わる
)
く、
肺病
(
はいびよう
)
と
來
(
き
)
てゐるから
僕
(
ぼく
)
も
殆
(
ほと
)
んど
當惑
(
とうわく
)
する
僕
(
ぼく
)
だつて
心配
(
しんぱい
)
でならんから
其
(
その
)
心配
(
しんぱい
)
を
忘
(
わす
)
れやうと
思
(
おも
)
つて、つい
飮
(
の
)
む、
飮
(
の
)
めば
飮
(
の
)
むほど
心配
(
しんぱい
)
する。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
『はゝゝゝゝ。
腹
(
はら
)
が
空
(
す
)
いたか。すつかり
忘
(
わす
)
れてゐた。
今
(
いま
)
に
飯
(
はん
)
を
取
(
と
)
らせるが、まあそれまでに、この
盃
(
さかづき
)
だけ
一
(
ひと
)
つ
受
(
う
)
けてくれ。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
強
(
し
)
ひて
玄竹
(
げんちく
)
に
盃
(
さかづき
)
を
與
(
あた
)
へた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
安
(
やす
)
らかに、おまへの
白
(
しろ
)
い
御主
(
おんあるじ
)
の
下
(
もと
)
へ
行
(
ゆ
)
け、さうして、あたしをお
忘
(
わす
)
れになつたかと
申上
(
まをしあ
)
げて
呉
(
く
)
れよ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
其
(
それ
)
には
別
(
べつ
)
に
理由
(
りいう
)
も
何
(
なに
)
も無い、
究竟
(
つまり
)
学校が違つて
了
(
しま
)
つた所から、お
互
(
たがひ
)
に
今日
(
こんにち
)
あつて
昨日
(
さくじつ
)
も
明日
(
みやうにち
)
も無い
子供心
(
こどもごゝろ
)
に、
漠然
(
ぼうつ
)
と
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
つたのです、すると、
私
(
わたし
)
が二
級
(
きふ
)
に
成
(
な
)
つた
時
(
とき
)
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
予の初めて先生を
知
(
し
)
りしは
安政
(
あんせい
)
六年、月日は
忘
(
わす
)
れたり。先生が大阪より江戸に出で、
鉄炮洲
(
てっぽうず
)
の
中津藩邸
(
なかつはんてい
)
に
住
(
すま
)
われし始めの事にして、先生は廿五歳、予は廿九歳の時なり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
「オホホ、私、英語なんかもう
悉皆
(
すっかり
)
忘
(
わす
)
れてしまいましたわ。こんなに大勢子供があるんですもの」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
手にあたったものを
握
(
にぎ
)
ってそのまま
忘
(
わす
)
れてしまったんだろう。ポケットの
中
(
なか
)
を
掻
(
か
)
きまわしてご
覧
(
らん
)
。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
忘
常用漢字
小6
部首:⼼
7画
“忘”を含む語句
忘却
忘八
勿忘草
忘我
備忘録
胴忘
物忘
忘恩
忽忘草
打忘
置忘
度忘
見忘
備忘
忘誕
面忘
遺忘
忘筌子
忘惑
終身不忘
...