彼等かれら)” の例文
ハヾトフは其間そのあひだ何故なにゆゑもくしたまゝ、さツさと六號室がうしつ這入はひつてつたが、ニキタはれいとほ雜具がらくたつかうへから起上おきあがつて、彼等かれられいをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ですから彼等かれらのゐる村落附近そんらくふきん山林さんりんは、のちにはだん/\にせまく、まばらになつてて、つひにはまき材料ざいりようにも不足ふそくするようになりました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
破片はへんでも報酬ほうしうあたへるとつたのに、破片はへんを、彼等かれらくす必用ひつよういのだから、まつた菱沼宅前ひしぬまたくまへからは、なになかつたのであらう。
夜中よなか彼等かれらつた。勘次かんじ自分じぶんいそぐし使つかひつかれたあしあるかせることも出來できないのでかすみうら汽船きせん土浦つちうらまちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
きたにはゴビの大沙漠だいさばくがあつて、これにもなに怪物くわいぶつるだらうとかんがへた。彼等かれらはゴビの沙漠さばくからかぜ惡魔あくま吐息といきだとかんがへたのであらう。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
彼等かれらは与兵衛が鉄砲を持つてゐないのをて安心したらしく向ふの川岸へ下りて来て、「その親猿を、そつちへはらぬぞ!」
山さち川さち (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
夫婦ふうふ毎夜まいよおな火鉢ひばち兩側りやうがはつて、食後しよくご時間じかんぐらゐはなしをした。はなし題目だいもく彼等かれら生活せいくわつ状態じやうたい相應さうおうした程度ていどのものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
朝食をすますと、彼等かれらは日あたりのいい窓ぎわにかたまって雑談をしたり、事務室におしかけて来て新聞を読んだりしていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あいちやんは彼等かれら石盤せきばん見越みこせるほどちかくにたので、全然すつかりそれがわかりました、『しかしそれはうでもかまはないわ』とひそかにおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いかにとまをせば彼等かれら早朝まだきときさだめて、ちよ/\と囀出さへづりいだすをしほ御寢室ごしんしついでさせたまはむには自然しぜん御眠氣おねむけもあらせられず、御心地おんこゝちよろしかるべし
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして彼等かれらは、その立派りっぱつばさひろげて、このさむくにからもっとあたたかくにへとうみわたってんでときは、みんな不思議ふしぎこえくのでした。
彼等かれらはそのことをあからさまに見せつけたが、彼は気づかない様子ようすで、彼等に深い敬意けいいをしめしていた。そのため、二人の気持きもちはいくらかやわらいだ。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
彼等かれらが、勝手放題に、みだらな踊り方をしたり、または木蔭こかげ抱擁ほうようし合っているのをみると、急にさびしく、あなたがしくてたまらなくなるのでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
彼等かれらみな、この曇天どんてんしすくめられたかとおもほどそろつてせいひくかつた。さうしてまたこのまちはづれの陰慘いんさんたる風物ふうぶつおなじやうないろ著物きものてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼等かれらが気づいた時は、世間一般も同時に知っていた。それは青天せいてん霹靂へきれきにも似て世の耳目じもくおどろかしたからである。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此處こゝ彼等かれらあひだには、それ/\袂別わかれことばもあらうとおもつたので、わたくし氣轉きてんよく一人ひとりはなれて波打際なみうちぎはへとあゆした。
そして彼等かれらは相談しあつて、仕返しをすることにしました。食堂で、古いこはれかけた椅子いすを探しだして、肥つた男がいつもすわる席においておきました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
ロミオ あゝ、彼等かれらにん、二十にんけんよりも、それ、そのそもじまなこにこそひところちからはあれ。たゞもう可愛かはゆをしてくだされ、彼等かれらにくまれうとなんいとはう。
彼等かれらに取っては必ずしも其の境遇は不幸でなく、彼等は決して同情を要求する権利はないのだ。ところが己は、そう云う種類の人間と全く頭が違って居る。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼等かれらのその醜いケチな根性が、どんなに僕たちの伸び伸びした生活をむざんに傷つけ、興覚きょうざめさせている事か。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
後に希臘ギリシャ人がスキュテイア人と呼んだ未開の人種の中でも、この種族は特に一風いっぷう変っている。彼等かれらは湖上に家を建てて住む。野獣やじゅう襲撃しゅうげきけるためである。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
こんなやうな簡短かんたん応答おうとうが、わたし彼等かれらのあいだに失望的しつぼうてきわらひとともかわされた。しかしはなせないのはわたしばかりではなかつた。大抵たいていはなせないのであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
張作霖ちやうさくりんはず、如何いか支那人しなじん麻雀マアジヤンくかといふことはいろいろはなしくが、おどろくことは彼等かれらも三不眠不休ふみんふきうたゝかひつづけて平氣へいきだといふことだ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
天台宗てんだいしゆう寺院じいんは、高地こうちおほまうけてあるが、火山かざんもまた彼等かれらせんれなかつた。したがつてめづらしい火山現象かざんげんしようの、これ僧侶そうりよによつて觀察かんさつせられたれいすくなくない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
彼等かれらあさきて先づ火焚き塲の火をさかんにし、食物調理しよくもつてうりを爲し、飮食いんしよくを終りたる後は、或は食物原料採集げんれうさいしうに出掛け、或は器具製造に從事じうじし、日中のときつひやしたる後
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
今日きょうそちみぎ妖精達ようせいたちわせてやるから、るべく無邪気むじゃき気持きもちで、彼等かれらってもらいたい。
土産物みやげもの女中ぢよちゆうむすめ分配ぶんぱいしてしまつた。彼等かれらたしかによろこんだ、しかぼくうれしくもなんともない。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
天滿與力てんまよりきはそれからけふ木綿もめんものの衣類いるゐ仕立したてさせるやら、大小だいせうこしらへをへるやら、ごた/\と大騷おほさわぎをしたが、但馬守たじまのかみは、キラ/\とつね彼等かれらうへひかつて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
二人ふたりものおいこゝろはせ何事なにごとにももとめばてんいま我父わがちゝ彼等かれらのためにこれをたまふべし。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女かのぢよが、戀人こひびと片山かたやまと一しよ生活せいくわつしたのは、わづかかに三ヶげつばかりだつた。かれがそのぞくしてゐるたう指令しれいのもとに、ある地方ちはう派遣はけんされたのち彼等かれら滅多めつた機會きくわいもなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
うぬれの強いかの女はまた、莫迦ばか莫迦しくひがみやすくもある。だが結局人夫にんぷは人夫の稼業かぎょうから預けられた土塊つちくれや石柱をかかえ、それが彼等かれらの眼の中にいっぱいつまっているのだ。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼等かれらの中には熊手くまでを動かしていた手を休めて私の方を胡散臭うさんくさそうに見送る者もあった。私はそういう気づまりな視線から逃れるために何度も道もないようなところへみ込んだ。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
彼等かれらいはゆる『世界改造せかいかいざう偉業ゐげふ』に參加さんかすべき責任せきにんいうしているんぢやないか。國内政治機關こくないせいぢきくわん改造かいざう要求えうきうする人民じんみんこゑ無視むしするわけくまいぢやないか。どうだいきみきみはサウおもはないんか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
最も細かい事は小声ですからくは分りませんが、清水助右衞門を殺した時に三千円を、という事をたしかに聞いて、さては三千円の金を持って出た清水の旦那を殺した悪人は、彼等かれら二人ににんに相違ない
彼等かれらの多くは兄の屋敷の厄介になつて、大小を横へた一人前の男がなんの仕事もなしに日を暮してゐるといふ、一面から見れば頗る呑氣らしい、また一面から見れば、頗る悲惨な境遇に置かれてゐた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
コノール (不機嫌に)彼等かれらはもう死んでしまうた。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
けれども米屋こめやはらひを、この三十日みそかにはうしたものだらうといふ、くるしい世帶話しよたいばなしは、いまかつ一度いちど彼等かれらくちにはのぼらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼等かれら最初さいしよんだつち強大きやうだい牽引力けんいんりよく永久えいきう彼等かれらとほはなたない。彼等かれら到底たうていつちくるしみとほさねばならぬ運命うんめいつてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ハバトフはそのあいだ何故なにゆえもくしたまま、さッさと六号室ごうしつ這入はいってったが、ニキタはれいとお雑具がらくたつかうえから起上おきあがって、彼等かれられいをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼等かれらつぎなにをするかしら!おろせるならまどからわたしおろしてれゝばいが!もうなが此麽こんなところたくない!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かのうづたかめるくちなはしかばねも、彼等かれらまさらむとするにさいしては、あな穿うがちてこと/″\うづむるなり。さても清風せいふうきて不淨ふじやうはらへば、山野さんや一點いつてん妖氛えうふんをもとゞめず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
佐助は五六人の手代や丁稚共と立つと頭がつかえるような低いせまい部屋へ寝るので彼等かれらねむりをさまたげぬことを条件として内証にしておいてくれるように頼んだ。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼等かれら女の子達ヤンキイガアルズと遊んでいる芝生しばふを通りかかると、「ヘエイ、ボオイズ」とか、変なアクセントの英語で呼びとめ、ぼく達とかたを組み、写真をってくれました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
彼等かれらてんぷらをあいするやうに「しるこ」をもかならず——あいするかどうかは多少たしよう疑問ぎもんはあるにもせよ、かくおうはすすめて價値かちのあることだけはたしかであらう。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
紀元節きげんせつ當日たうじつさかんなる光景くわうけい、つゞいて、電光艇でんくわうてい試運轉式しうんてんしき大異變だいゐへんから、今回こんくわい使命しめい立到たちいたつたまで奇譚きだんは、始終しじう彼等かれらをヤンヤとはせて、吾等われら孤島こたう生活中せいくわつちう
それで三にん相談さうだんするやうかほをして、一端いつたん松林まつばやしまで退しりぞき、姿すがた彼等かれら視線しせんからかくれるやいなや、それツとばかり間道かんだう逃出にげだして、うらいけかたから、駒岡こまをかかた韋駄天走ゐだてんばしり。
彼等かれらは自分でロマびとだとかコラびとだとかいつてゐますが、フランスではボヘミアンと呼ばれ、イタリヤではツンガリーと呼ばれ、イギリスではジプシーと呼ばれてゐます。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
いかに場ちがいな感じを彼等かれらにあたえるかは、先生自身が、一ばんよく知っていたのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
は曾てコロボックルは人肉じんにくくらひしならんとの事を云ひしが、此風習このふうしふは必しも粗暴猛惡そぼうまうあくたみの間にのみ行はるるには非ず、且つ人肉は决して彼等かれら平常へいじよう食料しよくれうには非ざりし事
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
食事後しよくじご気分きぶんまえよりも一そう打寛うちくつろいだものであつたが、彼等かれら或者あるものなお未練みれんがましく私達わたしたちそばつてて、揉手もみてをしながら「キヤンニユスピイク、イングリシユ?」を繰返くりかえした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)