はたら)” の例文
ほんとうに、毎日まいにちはたらいても、つまらないはなしだ。大金持おおがねもちになれはしないし、また、これという安楽あんらくもされない。ばかばかしいことだ。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地震計ぢしんけいもつ觀察かんさつすると、かういふ地下ちかはたらきの所在地しよざいちわかるから、それからして岩漿がんしよう貯藏ちよぞうされてゐる場所ばしよふかさが想像そう/″\せられる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わたくし三浦みうらとついだころは五十さいくらいでもあったでしょうが、とう女房にょうぼう先立さきだたれ、独身どくしんはたらいている、いたって忠実ちゅうじつ親爺おやじさんでした。
糟谷かすや次男じなん芳輔よしすけじょれい親子おやこ四人の家族かぞくであるが、その四人の生活が、いまの糟谷かすやはたらきでは、なかなかほねがおれるのであった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
海蔵かいぞうさんはこしをあげました。利助りすけさんが、よるおそくまでせっせとはたらくのは、じぶんだけのためだということがよくわかったのです。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「いいえ、あの子はいい子ですよ。りこうで、物がわかって、それでやさしいのだから、あの子はわたしたちのためにはたらいてくれますよ」
宗助そうすけは五六日前にちまへ伊藤公いとうこう暗殺あんさつ號外がうぐわいたとき、御米およねはたらいてゐる臺所だいどころて、「おい大變たいへんだ、伊藤いとうさんがころされた」とつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじには主人しゆじんうち愉快ゆくわいはたらくことが出來できた。かれ體躯からだむし矮小こつぶであるが、そのきりつとしまつた筋肉きんにく段々だん/″\仕事しごと上手じやうずにした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
武村兵曹たけむらへいそう相變あひかはらず淡白たんぱくで、慓輕へうきんで、其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら一同いちどう元氣げんきよく、だいなる希望きぼう待望まちのぞみつゝ、勤勉きんべんはたらいてる。
どこをながめても、人びとは気もちよく、春をむかえようとして、いそがしそうに立ちはたらいていました。町なかもやっぱりそうでした。
なになにをしたつて身體からださへはたらかせりや、彼女あれはせて、ちゝはのまされます。」と、仕立屋したてやさんは、いそ/\とかへつていつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
毎日まいにちる、ひと毎日まいにちはたらけ。さうすれば毎晩まいばんやすらかにねむられる、さうすれば、其翌日そのよくじつまたあたらしいをがむことが出來できる。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
けれども六部ろくぶは、あまりはたらいていきれて、気絶きぜつしただけでしたから、みんながこして介抱かいほうすると、たちまちいきかえしました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
やつ身體からだいたくせ親父おやぢらすまいとしてはたらいてた、れをたられはくちけなかつた、をとこくてへのは可笑をかしいではいか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
男の部屋へやからひきとってきたおかみさんは、くるくるといそがしげにはたらきつづけていたが、心の中では、ずっと男のことを考えつづけていた。
こういう折でもなければ、十石の扶持ふちでも上げられる時勢ではないし、一藩に認められるのもこんな時こそ侍のはたらいというものだった。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
どんなにまずしい人でも、東京へさえいけば、なにかはたらく道もあるし、りっぱになれるということを村の人たちから聞かされていたからです。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
母親は病気で長い間とこについたきりでしたし、そのうえにまだはたらくことの出来ない二人の子供こども——六つの女の子と八つになる男の子があり
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
丁 さう彼方此方あッちこッちることは出來できんわ。(一同に對ひ)ささ、はたらいたはたらいた。暫時ちっとのまぢゃ、はたらいた/\。さうして長生ながいきすりゃ持丸長者もちまるちゃうじゃぢゃ。
かりはたらかせしが其の夜はおそなりしかば翌朝かへしけるにはや辰刻頃いつゝごろなるに隱居所の裏口うらぐちしまり居て未だ起ざる樣子なれば大いにあやし何時いつも早く目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
が、くさたけ落葉おちばは、一めんあらされてりましたから、きつとあのをとこころされるまへに、餘程よほど手痛ていたはたらきでもいたしたのにちがひございません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あるあさ、おはつ台所だいどころながしもとにはたらいていた。そこへ袖子そでこった。袖子そでこ敷布しきふをかかえたままものわないで、あおざめたかおをしていた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
先生がいわれたとおり、いのきちがはたらくようになったミルクホールには、大学だいがくの先生や学生たちが、大ぜいやってきた。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
実際じつさい真面目しんめんもく生涯せうがい真味しんみあぢはひし人のみがたがひともはたらき得る人なり 宗教しふけうを以て茶話席ちやわせき活題くわつだいとなすにとゞまるものは言語的げんごてき捺印的なついんてき一致いつちはかれよ
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
はし欄干らんかんのさしてあかからぬ火影ほかげにはちかくの商店しやうてんはたらいてゐるをんなでなければ、真面目まじめ女事務員をんなじむゐんとしかえないくらい、たくみにそのうへかくしてゐる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
母は、午前中はある病院びょういんのそうじおんなとしてはたらき、帰ってからは輸出向ゆしゅつむきのハンケチのへりかがりを内職ないしょくにしていた。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
熟々つら/\かんがふるにてんとんびありて油揚あぶらげをさらひ土鼠もぐらもちありて蚯蚓みゝずくら目出度めでたなか人間にんげん一日いちにちあくせくとはたらきてひかぬるが今日けふ此頃このごろ世智辛せちがら生涯しやうがいなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
其處そこをよくわきまへて、たゞしくはたらいてもらひたい。つめあかほどでも、不正ふせいがあつたら、この但馬たじまけつしてだまつてゐない。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あまりのおどろきに御亭主ごていしゆは、自分じぶん酒慾しゆよくなにもすつかり、どこへかわすれました。そして眞面目まじめはたらきだしました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
此春妻が三軒茶屋さんげんぢゃやから帰るとて、車はなしひょろ/\する程荷物をげてあるいて居ると、畑にはたらいて居た娘が
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「けれどあすこには汽車はないんですねえ、そんならぼくはたけをつくろうか。何かはたらかないといけないんだから」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おのれも手伝い申さんというにまかせてはたらかせて置きしに、午飯時ひるめしどきめしを食わせんとてたずねたれど見えず。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たゞし、資本しほんは一めんいておほいに國家的こくかてきであるから國際戰爭こくさいせんさうおこり、したがつてまた國家的こくかてき社會主義者しやくわいしゆぎしやもあり、コスモポリタンにざる心理しんりはたらきがそこにる。
むすめさんはまたいとつむいで熱心ねつしんはたらいてゐるといふ實際生活じつさいせいかつることが出來でき、また料理屋りようりや茶店ちやみせ各地方かくちほうにあるそのまゝの建築けんちくで、料理りようりもまたその地方ちほう名物めいぶつはせ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こゝらにも各人が作の價値かち批判ひはんする心持の相違さうゐがあると見えますが、「和解」にゑがかれてゐる作のテエマ、即ち父と子のいたましい心の爭鬪さうとうに對してはたらいてゐる作者の實感じつかん
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
生來せいらい貴方あなた怠惰者なまけもので、嚴格げんかく人間にんげん其故それゆゑ貴方あなたんでも自分じぶん面倒めんだうでないやう、はたらかなくともむやうとばか心掛こゝろがけてゐる、事業じげふ代診だいしんや、其他そのたのやくざものにまか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
而してくこのしよ主人公しゆじんこうはたらかせしものは即ち無形の社會而已なること云を須たず。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
彼女かのぢよはすぐに自分自身じぶんじしんのために、また子供達こどもたちためめにはたらかなければならなかつた。彼女かのぢよもなく親戚しんせき子供こどもあづけて土地とち病院びやうゐんつとめるとなつた。彼女かのぢよ脇目わきめらなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そのあひだ彼女かのぢよは、無産者むさんしや××同盟どうめい支部しぶはたらかたはら、あるデパート專屬せんぞく刺繍ししう工場こうぢやうかよつて生活せいくわつさゝへた。そのうち、三・一五事件じけんとして有名いうめいな、日本にほん×××ゐん全國的ぜんこくてき大檢擧だいけんきよおこなはれた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
其女そのをんなさいはたらき、勉強べんきやう出来できすぐれて悧巧りこうたちであつたが、或時あるとき脊負揚しよいあげのなかゝら脱落ぬけおちたをとこふみで、其保護者そのほごしや親類しんるゐ細君さいくんかんづかれ、一学校がくかうめられて、うち禁足きんそくされてゐたが
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのために、若葉わかばをふいてから次第しだい丈夫じようぶにかため、なつさかりをさいはひに、どん/\太陽たいようひかりともはたらいて、あき紅葉もみぢをする支度したくや、ふゆてもこまらない、養分ようぶんたくはへをするのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
うして失敗しつぱいでもして、一人ひとりさびしくあるいてると、あゝ、あのとき二人連ふたりつれあとから活東くわつとう花舟くわしうと、あゝ、二人共ふたりともんでしまつた。茶店ちやみせ息子むすこ忠實ちうじつはたらいてれたが、あれもんだ。
「ま、弱蟲よわむしね。先生、そんなにおはたらきなすツて。」と馴々しい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
はたらける……甘き甘きあるものを掻きいださんとするがごとく。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平次は妙なところで知恵をはたらかせるのです。
小さい人は はたらいてばかりゐるんです
はたらつまをよびとめて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
おたがいに達者たっしゃで、はたらくことはできるし、それに毎年まいねん気候きこうのぐあいもよくて、はたけのものもたくさんれて、こんな幸福こうふくなことはない。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちにわたしにも、みんなといっしょにはたらけるだけじょうぶになる日が来た。わたしはその仕事を始める日を待ちかねていた。
それぞれ御用ごようちがうので、平生へいぜい別々べつべつになっておはたらきになり、たまにしかしょになって、おくつろあそばすことがないともうします……。