老人らうじん)” の例文
此書このしよ全部ぜんぶ六巻、牧之老人ぼくしらうじんねふりかる漫筆まんひつあづさまたざるの稿本かうほんなり。ゆゑ走墨乱写そうぼくらんしやし、また艸画さうぐわなり。老人らうじんしめして校訂かうていふ。
此書このしよ全部ぜんぶ六巻、牧之老人ぼくしらうじんねふりかる漫筆まんひつあづさまたざるの稿本かうほんなり。ゆゑ走墨乱写そうぼくらんしやし、また艸画さうぐわなり。老人らうじんしめして校訂かうていふ。
郡奉行へ相談の上見知人みしりにんの爲江戸表へ連行つれゆく事と定めけれど老人らうじんなれば途中とちう覺束おぼつかなしと甚左衞門をも見知人みしりにんに出府致す樣申渡し直に先觸さきぶれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わるへば傲慢がうまんな、下手へたいた、奧州あうしうめぐりの水戸みと黄門くわうもんつた、はなたかい、ひげしろい、や七十ばかりの老人らうじんでした。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
頸筋くびすぢぶたこゑまでがそれらしい老人らうじん辨當べんたうをむしやつき、すこ上方辯かみがたべんぜた五十幾歳位いくさいぐらゐ老婦人らうふじんはすしを頬張ほゝばりはじめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
モン長 なう、なさけなや、我君わがきみ! 我子わがこ追放つゐはう歎悲なげきあまりにおとろへて、つま昨夜やぜん相果あひはてました。なほ此上このうへにも老人らうじんをさいなむは如何いかなる不幸ふかうぢゃ。
僕は老人らうじんに導かれて千八百八十八年に巴里パリイ歿くなつた全権大使ナホノブ、サメジマ君の墓をはからずも一ぱいした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
このぢいやのおほきなさむくなると、あかぎれれて、まるで膏藥かうやくだらけのザラ/\としたをしてましたが、でもそのこゝろ正直しやうぢきな、そしてやさしい老人らうじんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それつゞいては小體こがらな、元氣げんきな、※鬚あごひげとがつた、かみくろいネグルじんのやうにちゞれた、すこしも落着おちつかぬ老人らうじん
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こんな會話くわいわ老夫婦らうふうふあひだはされたのは、宗助そうすけ出京しゆつきやうして以來いらいや二ではなかつた。實際じつさいかれ叔父をぢところると、老人らうじんうつとほりの人間にんげんえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うして凝然ぢつとしてることをも勘次かんじ僂麻質斯レウマチスなやましてるのだとはらないで、むし老人らうじん通有つういう倦怠けんたいともな睡眠すゐみんむさぼつてるのだらうぐらゐるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
代目だいめ時代じだい鷄屋とりや番人ばんにん老人らうじんて、いろ/\世話せわをしてちやなどれてれてたが、其老人そのろうじんもなくんだので、んとなく寂寞せきばくかんじたのであつた。
人數にんずのそそくさに此女中このぢよちゆうと、ほかには御飯ごはんたきらしき肥大女ふとつちよおよび、其夜そのよりてよりくるまばせて二人ふたりほどきたりしひとあり、一人ひとり六十ろくじふちかかるべき人品じんぴんよき剃髮ていはつ老人らうじん
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あさはんつてから、老人らうじんあしだから、池田いけだいたときは、もうつであつた。おくれた中食ちうじきをして、またぽつ/\と、うまかよひにくいみちを、かはつて山奧やまおくへとすゝんでつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたくしこれにはすこぶ閉口へいこうしたが、どつこひてよ、と踏止ふみとゞまつて命掛いのちがけに揉合もみあこと半時はんときばかり、やうやくこと片膝かたひざかしてやつたので、この評判へうばんたちま船中せんちゆうひろまつて、感服かんぷくする老人らうじんもある
飮居たりしが其中に年の頃六十餘と見ゆる老人らうじん獨酌どくしやくにて一二合飮て其後代錢は拂ひたれども酒のゑひまはりしにやしきりに睡眠ねむり居たるが不※ふと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
若者わかものおもはずはしました。るがうち波間なみまはなれ、大空おほぞら海原うなばらたへなるひかり滿ち、老人らうじん若者わかもの恍惚くわうこつとして此景色このけしきうたれてました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
……あゝ、老人らうじんといふものは、んでゞもゐるかのやうに、太儀たいぎさうに緩漫のろ/\と、おもくるしう、蒼白あをじろう、なまりのやうに……
……ひとらぬが、此処こゝ老人らうじんに、みづなか姿すがたあらはすまぼろしをんな廻向えかうを、とたのまれて、出家しゆつけやくぢや、……よひから念仏ねんぶつとなへてつ、と時刻じこくた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
狗骨ひいらぎ珊瑚珠さんごじゆの様な赤い実を着けて居た。僕は手帳の上へ老人らうじんに記念として名を書かせた。「エス・ブリゲデイエ」と署名して僕に幾度いくたびも声を出して読ませた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
御米およねふものか、新橋しんばしいたとき老人らうじん夫婦ふうふ紹介せうかいされたぎり、つて叔父をぢうち敷居しきゐまたいだことがない。むかふからえれば叔父をぢさん叔母をばさんと丁寧ていねい接待せつたいするが、かへりがけに
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
權山ごんざんといふたうげは、ひくいながらも、老人らうじんにはだいぶあへいでさねばならなかつた。たうげ頂上ちやうじやうからは、多田院ただのゐん開帳かいちやう太鼓たいこおときこえて、大幟おほのぼり松並木まつなみきおくに、しろうへはうだけせてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
とうさんはこのきな老人らうじんから、はたけよりあらはれたたぬきむじなはなしやましたきじはなし、それから奧山おくやまはうむといふおそろしいおほかみ山犬やまいぬはなしなぞをきましたが、そのうちにねむくなつて
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
上結東かみけつとうは廿九軒有)此村に市右エ門とて村中第一の大家あり、幸ひ案内者の知る人なれば宿やどりをもとめたち入りて見るに、四けんに六間ほどの住居すまゐ也、主人夫婦あるじふうふ老人らうじんにて、長男せがれは廿七八
この四郎右衞門は當年たうねん六十五歳の老人らうじんなり夫を是より三十五年のあひだ殘金ざんきん勘定かんぢやうかゝらばこれ何歳なんさいに至るぞや大岡殿おほをかどの仁心じんしんおもふべし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老人らうじん大島仁藏おほしまじんざう若者わかもの池上權藏いけがみごんざうであるといふことをへば、諸君しよくんは、すで大概たいがい想像さうざうはつくだらうとおもひます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
カピ長 モンタギューとてもみぎ同樣どうやう懲罰おとがめにて謹愼きんしん仰附おほせつけられた。したが、吾々われ/\老人らうじんっては、平和へいわまもることはさまで困難むづかしうはあるまいでござる。
れて此処こゝとほりかゝると、いまわし御身おみまをしたやうに、ぬまみづふかいぞ、とけたものがある。四手場よつでば片膝かたひざで、やみみづ視詰みつめて老人らうじんぞや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いかにやせんと人々佇立たゝずみたるなかに、かの老人らうじんよし/\所為しかたこそあれとて、わかものどもをつれちかき村にいたりてにはとりをかりあつめ、雪頽なだれの上にはなちをあたえつゝおもふ処へあゆませけるに
もつと左樣さうするまへ老人らうじん小聲こゞゑ一寸ちよつ相談さうだんがあつたらしく、金貸かねかしらしい老人らうじんは『勿論もちろんのこと』とひたげな樣子やうすくびかたせてたのであつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それだから追分おひわけ何時いつでもあはれにかんじらるゝ。つまるところ卑怯ひけふな、臆病おくびやう老人らうじん念佛ねんぶつとなへるのと大差たいさはないので、へてへば、不殘のこらずふしをつけた不平ふへい獨言つぶやきである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
老人らうじん若者わかもの自殺じさつ覺悟かくご最初さいしよからつてたのですけれども最後さいごまで直接ちよくせつにさうとは一言いちごんひませんでした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
老人らうじんつく/″\みて、のまゝでは、よううも、あの蹈切ふみきり越切こしきれなんだ。——
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くと、それがボズさんとのちつた老爺ぢいさんであつた。七十ちかい、ひくいが骨太ほねぶと老人らうじん矢張やはり釣竿つりざをもつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
気勢けはひが、やがて昼間ひるま天守てんしゆむねうへいたほどに、ドヽンとすごおとがして、足代あじろつたした老人らうじんしづめてつた手網であみ真中まんなかあたりへ、したゝかなものちたおと
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
老人らうじんなら南無阿彌陀佛なむあみだぶつ/\とくちうちとなへるところだ。老人らうじんでなくともこの心持こゝろもちおなじである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
夜汽車よぎしやが、芽峠めたうげほたるんで、まどには菖蒲あやめいたのです——ゆめのやうです。………あの老尼らうには、およねさんの守護神まもりがみ——はてな、老人らうじんは、——知事ちじ怨靈をんりやうではなかつたか。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なんでも無遠慮ぶゑんりよはな老人らうじんうへことけてはないやうにしてた。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もし/\と、二聲ふたこゑ三聲みこゑんでたが、ざとい老人らうじん寐入ねいりばな、けて、つみ屈託くつたくも、やままちなんにもないから、ゆきしづまりかへつて一層いつそう寐心ねごころささうに、いびききこえずひツそりしてる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
老人らうじんくちをあいてわらひ、いやめづらしくもない、まゝあること、にはかゆき降籠ふりこめられると、ともはなれ、ねぐらまよひ、行方ゆくへうしなひ、じきゑて、かへつてひとなづる、これは獵師れふしあはれんで、生命いのちらず、ひえ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
七八十になつた老人らうじんおもけないのであつたとふから。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)