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流
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なが
ふりがな文庫
“
流
(
なが
)” の例文
そして、あたりは
静
(
しず
)
かであって、ただ、
遠
(
とお
)
い
街
(
まち
)
の
角
(
かど
)
を
曲
(
ま
)
がる
荷車
(
にぐるま
)
のわだちの
音
(
おと
)
が、
夢
(
ゆめ
)
のように
流
(
なが
)
れて
聞
(
き
)
こえてくるばかりであります。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夜
(
よる
)
もうっかり
流
(
なが
)
しの
下
(
した
)
や、
台所
(
だいどころ
)
の
隅
(
すみ
)
に
食
(
た
)
べ
物
(
もの
)
をあさりに出ると、
暗
(
くら
)
やみに目が
光
(
ひか
)
っていて、どんな目にあうか
分
(
わ
)
からなくなりました。
猫の草紙
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
流
(
なが
)
されるのは、たしかにやせたひばりの
子供
(
こども
)
です。ホモイはいきなり水の中に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで、前あしでしっかりそれをつかまえました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そこで金太郎は體を
固
(
かた
)
く小さくして、道の白い
流
(
なが
)
れの上へ、飛びこむやうな
具
(
ぐ
)
合に轉んでいつた。自轉車は三四米先へ
投
(
な
)
げ出された。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
呀
(
やあ
)
?
衣
(
きぬ
)
も
扱帶
(
しごき
)
も
上
(
うへ
)
へ
摺
(
ず
)
つて、するりと
白
(
しろ
)
い
顏
(
かほ
)
が
襟
(
えり
)
に
埋
(
うま
)
つた、
紫
(
むらさき
)
と
萌黄
(
もえぎ
)
の、
緋
(
ひ
)
を
流
(
なが
)
るゝやうに
宙
(
ちう
)
に
掛
(
か
)
けて、
紳士
(
しんし
)
は
大跨
(
おほまた
)
にづかり/\。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
今
(
いま
)
まで
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
で
頻
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いていた
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
が、
絶
(
た
)
えがちに
細
(
ほそ
)
ったのは、
雨戸
(
あまど
)
から
差
(
さ
)
す
陽
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りに、おのずと
怯
(
おび
)
えてしまったに
相違
(
そうい
)
ない。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
丁度
(
ちようど
)
普通
(
ふつう
)
の
小
(
ちひ
)
さな
波
(
なみ
)
について
濱
(
はま
)
に
於
(
おい
)
て
經驗
(
けいけん
)
する
通
(
とほ
)
りであるから、
此状態
(
このじようたい
)
になつてからは、
浪
(
なみ
)
といふよりも
寧
(
むし
)
ろ
流
(
なが
)
れといふべきである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
カピ長 やゝ、これは! おゝ、
我妻
(
わがつま
)
よ、あれ、
見
(
み
)
さしませ、
愛女
(
むすめ
)
の
體内
(
みうち
)
から
血
(
ち
)
が
流
(
なが
)
るゝ! えゝ、
此
(
この
)
劍
(
けん
)
は
住家
(
すみか
)
をば
間違
(
まちが
)
へをったわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
人
(
ひと
)
と
人
(
ひと
)
との
間
(
あひだ
)
に
少
(
すこ
)
しでも
隙間
(
すきま
)
が
出来
(
でき
)
ると
見
(
み
)
ると
歩
(
ある
)
いてゐるものがすぐ
其跡
(
そのあと
)
に
割込
(
わりこ
)
んで
河水
(
かはみづ
)
の
流
(
なが
)
れと、それに
映
(
うつ
)
る
灯影
(
ほかげ
)
を
眺
(
なが
)
めるのである。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
天
(
てん
)
にでもいゝ、
地
(
ち
)
にでもいゝ、
縋
(
すが
)
らうとする
心
(
こゝろ
)
、
祈
(
いの
)
らうとする
希
(
ねが
)
ひが、
不純
(
ふじゆん
)
な
沙
(
すな
)
を
透
(
とほ
)
して
清
(
きよ
)
くとろ/\と
彼女
(
かのぢよ
)
の
胸
(
むね
)
に
流
(
なが
)
れ
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
幾里
(
いくり
)
ともなき
流
(
なが
)
れに
霞
(
かすみ
)
をひきたるがごとく、朝より夕べまで
悉
(
こと/″\
)
く川上へつゞきたるがそのかぎりをしらず、川水も見えざるほど也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼
(
かれ
)
はどつかり
坐
(
すわ
)
つた、
横
(
よこ
)
になつたが
又
(
また
)
起直
(
おきなほ
)
る。
而
(
さう
)
して
袖
(
そで
)
で
額
(
ひたひ
)
に
流
(
なが
)
れる
冷汗
(
ひやあせ
)
を
拭
(
ふ
)
いたが
顏中
(
かほぢゆう
)
燒魚
(
やきざかな
)
の
腥膻
(
なまぐさ
)
い
臭
(
にほひ
)
がして
來
(
き
)
た。
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
打
(
うち
)
ければ
額
(
ひたひ
)
より
血
(
ち
)
流
(
なが
)
れけるに四郎右衞門今は
堪忍
(
かんにん
)
成難
(
なりがた
)
しと思へども其身
病勞
(
やみつかれ
)
て居るゆゑ
何共
(
なにとも
)
詮方
(
せんかた
)
なく無念を堪へ
寥々
(
すご/\
)
とこそ歸りけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いのきちは、山で
生
(
う
)
まれた。
湖
(
みずうみ
)
の上を
流
(
なが
)
れるきりをおっぱいとしてのみ、谷をわたるカッコウの声を、
子
(
こ
)
もり
歌
(
うた
)
にきいて、大きくなった。
ラクダイ横町
(新字新仮名)
/
岡本良雄
(著)
下
(
くだ
)
るわ、/\、/\。
流
(
なが
)
れは
何處
(
どこ
)
まで
行
(
い
)
つても
盡
(
つ
)
きないのかしら?『
今
(
いま
)
までに
私
(
わたし
)
は
幾
(
いく
)
哩
(
マイル
)
落
(
お
)
ちたかしら?』と
愛
(
あい
)
ちやんは
聲高
(
こわだか
)
に
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
馬方
(
うまかた
)
が
言
(
い
)
ひますと、
馬
(
うま
)
は
片足
(
かたあし
)
づゝ
盥
(
たらひ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れます。
馬
(
うま
)
の
行水
(
ぎやうずゐ
)
は
藁
(
わら
)
でもつて、びつしより
汗
(
あせ
)
になつた
身體
(
からだ
)
を
流
(
なが
)
してやるのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「なんてけち な
風
(
かぜ
)
だらう。
吹
(
ふ
)
くなら
吹
(
ふ
)
くらしくふけばいいんだ。
此
(
こ
)
の
暑
(
あつ
)
いのに。みてくんな、
此
(
こ
)
の
汗
(
あせ
)
を。どうだいまるで
流
(
なが
)
れるやうだ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
男は、ぐいぐいと
流
(
なが
)
しこむようにたてつづけていく
杯
(
はい
)
ものみ、口のはたをてのひらでぬぐうと立ちあがって、
中庭
(
なかにわ
)
にぶらりとでていった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
此時
(
このとき
)
今迄
(
いまゝで
)
は
晴朗
(
うらゝか
)
であつた
大空
(
おほぞら
)
は、
見
(
み
)
る/\
内
(
うち
)
に
西
(
にし
)
の
方
(
かた
)
から
曇
(
くも
)
つて
來
(
き
)
て、
熱帶地方
(
ねつたいちほう
)
で
有名
(
いうめい
)
な
驟雨
(
にわかあめ
)
が、
車軸
(
しやぢく
)
を
流
(
なが
)
すやうに
降
(
ふ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さういふ
天
(
てん
)
の
世界
(
せかい
)
にとゞくやうな、
空気
(
くうき
)
の
稀薄
(
うす
)
いところでは、あれあれといふ
間
(
ま
)
もなく、千
年
(
ねん
)
位
(
ぐらゐ
)
の
年月
(
としつき
)
が
流
(
なが
)
れてしまふさうだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
それが済んだら、ぎいと風呂場の戸を半分
開
(
あ
)
けた。例の女が
入口
(
いりぐち
)
から「ちいと
流
(
なが
)
しませうか」と聞いた。三四郎は大きな声で
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一日
僕
(
ぼく
)
を
從
(
したが
)
へて
往來
(
わうらい
)
を
歩
(
ある
)
いて居ると
忽
(
たちま
)
ち
向
(
むかふ
)
から二人の男、
額
(
ひたひ
)
から
汗
(
あせ
)
を
水
(
みづ
)
の如く
流
(
なが
)
し、
空中
(
くうちゆう
)
に
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
り
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
りして
走
(
はし
)
りながら
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
みなさんはじり/\と
燒
(
や
)
きつけるような
海岸
(
かいがん
)
の
砂濱
(
すなはま
)
に
出
(
で
)
たり、
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
しながら
登山
(
とざん
)
をされるときのことを
考
(
かんが
)
へてごらんなさい。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
よほど
深
(
ふか
)
いものと
見
(
み
)
えまして、
湛
(
たた
)
えた
水
(
みず
)
は
藍
(
あい
)
を
流
(
なが
)
したように
蒼味
(
あおみ
)
を
帯
(
お
)
び、
水面
(
すいめん
)
には
対岸
(
たいがん
)
の
鬱蒼
(
うっそう
)
たる
森林
(
しんりん
)
の
影
(
かげ
)
が、くろぐろと
映
(
うつ
)
って
居
(
い
)
ました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
堀
(
ほり
)
は
雨
(
あめ
)
の
後
(
あと
)
の
水
(
みづ
)
を
聚
(
あつ
)
めてさら/\と
岸
(
きし
)
を
浸
(
ひた
)
して
行
(
ゆ
)
く。
青
(
あを
)
く
茂
(
しげ
)
つて
傾
(
かたむ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
川楊
(
かはやなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
が一つ
水
(
みづ
)
について、
流
(
なが
)
れ
去
(
さ
)
る
力
(
ちから
)
に
輕
(
かる
)
く
動
(
うご
)
かされて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
支那
(
しな
)
では、たゞ
今
(
いま
)
申
(
まを
)
したように
新石器時代
(
しんせつきじだい
)
のものが
出
(
で
)
るばかりではなく、その
北方
(
ほつぽう
)
黄河
(
こうが
)
の
流
(
なが
)
れが
北
(
きた
)
へ
曲
(
まが
)
つて、また
南
(
みなみ
)
へをれて
來
(
く
)
るあたりでは
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
僧正
(
そうじょう
)
の
祈
(
いの
)
りの声と、ろうそくの
光
(
ひかり
)
と
香
(
こう
)
の
煙
(
けむり
)
のなかで、人形がうっとり笑いかけたとき、コスモとコスマの
眼
(
め
)
からは、
涙
(
なみだ
)
がはらはらと
流
(
なが
)
れました。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
漸く話のわかって来た友達を失うと云う事は嬉しい事ではないので
結句
(
けっく
)
その方が
流
(
なが
)
し元まで響き渡ってよかったのである。
千世子(二)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
奥
(
おく
)
では
殿様
(
とのさま
)
が
手襷掛
(
たすきがけ
)
で、
汗
(
あせ
)
をダク/\
流
(
なが
)
しながら
餡拵
(
あんごしら
)
へか
何
(
なに
)
かして
居
(
ゐ
)
らつしやり、
奥様
(
おくさま
)
は鼻の先を、
真白
(
まつしろ
)
にしながら
白玉
(
しらたま
)
を丸めて
居
(
ゐ
)
るなどといふ。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
文壇
(
ぶんだん
)
の
論陣
(
ろんぢん
)
今や
輕
(
けい
)
佻
亂雜
(
らんざつ
)
卑
(
ひ
)
小に
流
(
なが
)
れて、
飽
(
あく
)
までも
所信
(
しよしん
)
に
邁進
(
まいしん
)
する
堂
(
どう
)
々たる
論客
(
きやく
)
なきを
思
(
おも
)
ふ時、
泡鳴
(
ほうめい
)
さんのさうした
追憶
(
ついおく
)
も
私
(
わたし
)
には
深
(
ふか
)
い懷しさである。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
お島は力ない手を、
浴槽
(
よくそう
)
の
縁
(
ふち
)
につかまったまま、
流
(
なが
)
れ
減
(
た
)
っていく湯を、うっとり眺めていた。ごぼごぼと云う音を立てて、湯は流れおちていった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寢轉
(
ねころ
)
んで
讀書
(
どくしよ
)
してゐる
枕頭
(
まくらもと
)
にお
行儀
(
げうぎ
)
よくおちんをしてゐる、
叱
(
しか
)
つても
逃
(
に
)
げない、
庭
(
には
)
へつまみ
出
(
だ
)
す、また
這入
(
はい
)
つてくる、
汚物
(
をぶつ
)
をたれ
流
(
なが
)
す、
下女
(
げぢよ
)
が
怒
(
おこ
)
る。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
流
(
なが
)
れて
知
(
し
)
られる
頼
(
たの
)
みもなしマアどの
位
(
くらゐ
)
悲
(
かな
)
しからうと
入
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
ながら
苦勞
(
くらう
)
ぞかしとて
流石
(
さすが
)
に
笑
(
わら
)
へばテモ
孃
(
じやう
)
さまは
花
(
はな
)
の
心
(
こゝろ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
よっちゃんと呼ばれる風呂屋の
由蔵
(
よしぞう
)
が、誰かの背中を流しながらちょっと挨拶した。陽吉は黙って石鹸と
流
(
なが
)
し
札
(
ふだ
)
を
桶
(
おけ
)
の上に置いて湯槽の横手へ廻った。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
余
(
よ
)
明治
(
めいぢ
)
三十五
年
(
ねん
)
春
(
はる
)
四
月
(
ぐわつ
)
、
徳島
(
とくしま
)
を
去
(
さ
)
り、
北海道
(
ほくかいだう
)
に
移住
(
いぢゆう
)
す。
是
(
これ
)
より
先
(
さ
)
き、
四男
(
しなん
)
又一
(
またいち
)
をして、
十勝國
(
とかちのくに
)
中川郡
(
なかがはごほり
)
釧路國
(
くしろのくに
)
足寄郡
(
あしよろごほり
)
に
流
(
なが
)
るゝ
斗滿川
(
とまむがは
)
の
畔
(
ほとり
)
に
牧塲
(
ぼくぢやう
)
を
經營
(
けいえい
)
せしむ。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
むずかしく申しますと、「無声に聴く」と云うことが一頭曳の馬車では出来なくなりますのですね。そこで肝心のだんまりも見事にお
流
(
なが
)
れになりましたの。
辻馬車
(新字新仮名)
/
フェレンツ・モルナール
(著)
流
(
なが
)
れにそつて京橋區内にはいると、靈岸島
湊町
(
みなとちやう
)
に御船手番所があり、
新川
(
しんかは
)
三十間堀には酒醤油の問屋と銀座があり、木挽町にも正保元年から山村座がある。
花火と大川端
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼女は
斎杭
(
いくい
)
に懸った鏡の前で、兎の背骨を焼いた粉末を顔に塗ると、その上から
辰砂
(
しんしゃ
)
の粉を両頬に
掃
(
は
)
き
流
(
なが
)
した。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
むかしの英傑の伝を見るに、果断だとか、「
裁決
(
さいけつ
)
流
(
なが
)
るるがごとし」とかぞうさもなく出来るように書いてある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
流
(
なが
)
し
場
(
ば
)
から細君の声で兼吉はほうきをおいて走っていく。五郎はまぐさをいっせいに乳牛にふりまく。十七、八頭の乳牛は一
時
(
じ
)
に
騒然
(
そうぜん
)
として草をあらそいはむ。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
此の山は
九四
大徳
(
だいとこ
)
の
啓
(
ひら
)
き給うて、
土石草木
(
どせきさうもく
)
も
九五
霊
(
れい
)
なきはあらずと聞く。さるに
九六
玉川の
流
(
なが
)
れには毒あり。人飲む時は
斃
(
たふ
)
るが故に、大師のよませ給ふ歌とて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
何
(
なに
)
しろ
一刀
(
ひとかたな
)
とは
申
(
まを
)
すものの、
胸
(
むな
)
もとの
突
(
つ
)
き
傷
(
きず
)
でございますから、
死骸
(
しがい
)
のまはりの
竹
(
たけ
)
の
落葉
(
おちば
)
は、
蘇芳
(
すはう
)
に
滲
(
し
)
みたやうでございます。いえ、
血
(
ち
)
はもう
流
(
なが
)
れては
居
(
を
)
りません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
皮
(
かは
)
が
破
(
やぶ
)
れ、
肉
(
にく
)
が
爛
(
たゞ
)
れて、
膿汁
(
うみしる
)
のやうなものが、どろ/\してゐた。
内臟
(
ないざう
)
はまるで
松魚
(
かつを
)
の
酒盜
(
しほから
)
の
如
(
ごと
)
く、
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
されて、ぽかんと
開
(
あ
)
いた
脇腹
(
わきばら
)
の
創口
(
きずぐち
)
から
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
してゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その向こうは
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
で、手桶のそばに茶碗や
箸
(
はし
)
が置いてあった。棚には
桶
(
おけ
)
と
摺
(
す
)
り
鉢
(
ばち
)
が伏せてあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
銛は
鋭
(
するど
)
き
尖端
(
せんたん
)
と槍の如き
柄
(
え
)
とより成る物なるが魚の力
強
(
つよ
)
き時は
假令
(
たとへ
)
骨に
刺
(
さ
)
さりたるも
其儘
(
そのまま
)
にて水中深く入る事も有るべく、又漁夫が
誤
(
あやま
)
つて此道具を
流
(
なが
)
す事も有るべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
しかり、
鉱山掘夫
(
かなやまほり
)
六十人、その時、
野呂川
(
のろがわ
)
の
流
(
なが
)
れに
沿
(
そ
)
って、
上流
(
かみ
)
へ上流へと足なみをそろえていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
照
(
て
)
りわたった
夏
(
なつ
)
の日、風の夜、
流
(
なが
)
れる光、星のきらめき、
雨風
(
あめかぜ
)
、
小鳥
(
ことり
)
の歌、虫の
羽音
(
はおと
)
、
樹々
(
きぎ
)
のそよぎ、
好
(
この
)
ましい
声
(
こえ
)
やいとわしい声、ふだん
聞
(
き
)
きなれている、
炉
(
ろ
)
の
音
(
おと
)
、戸の音
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ところがその
晩
(
ばん
)
のことです。
料理番
(
りょうりばん
)
のわかいものが、
台所
(
だいどころ
)
の
流
(
なが
)
し
口
(
ぐち
)
から、一
羽
(
わ
)
のカモがおよいではいってくるのを見ました。ところが、そのカモがこんなことをいいました。
森のなかの三人の小人
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
この系統のもの、
釉
(
くすり
)
の流し方変化に富みいずれも卓越する。信楽の作では
絵附
(
えつけ
)
のものが少ない代りに、
流
(
なが
)
し
釉
(
ぐすり
)
の手法が著しく進んだ。色は黒のほかに、白や柿や緑も用いられた。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
シラチブチは
其頃
(
そのころ
)
から埋まりかけてゐた。東へ掘割を掘つて水を眞下に
流
(
なが
)
すやうになつてから、夏になる
度
(
たび
)
沿岸
(
えんがん
)
の土が流れ込んで、五寸づつ一尺づつ、だん/\と
埋
(
うづ
)
まつて行つた。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
“流”の意味
《名詞》
(リュウ)流れ。
(リュウ)仲間。連中。
(出典:Wiktionary)
流
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
“流”を含む語句
流行
上流
下流
渓流
細流
流連
風流
小流
大流行
流離
支流
流眄
流出
一流
末流
流通
水流
流浪
流罪
流星
...